とある妖刀使いの物語   作:遊妙精進

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書きながら思ったのですが、このオリ主、三人称視点の方が扱いやすいですね


11話 少女たちとの出会い

 ギュルルルルル!

「………………」

 腹減った……

 やっぱり黒子と一緒にマジバーガー(ファーストフード店)に行っとくんだった。でも俺の家とは逆方向だったからなぁ。

 今日の晩飯何にしようか。

 俺は色々と考える。

 さっきバスケで動きまくって、とっても腹が減ってるからがっつりしたものが食いたいな。

 ハンバーグ、牛丼、カレー、唐揚げ、ラーメン……

 考え出したらきりがない。でも一番早く作れるのはやっぱり丼ものかな。

 あ、食べ物といえば、このあいだ食べた穂むらのみたらし団子と大福美味かったな。家で真似て作ってみたけど全然味が違ったんだよなぁ。やっぱ自家製の○○とか使ってるんだろう。でもあの味を家でも食べれるようにしたい。俺はこう見えて料理は好きなのだ。大抵の料理は作れるぞ。

「…………」

 よし、穂むらに行こう!

 別に図々しく、味の秘密を教えて! とは言わない。だが、あと少しで味の秘密がわかりそうなんだ。もう一個、二個食べれば大体のイメージは湧くだろう。

 さーて、電車に乗って千代田の方まで向かうか。

 

 

 

                    ☆

 

 

 

「待てー貴様ー! このあいだの借りは返してもらうぞ!」

「ぐわっはは、本当にうまそうじゃわい」

「だぁぁ! しつこいぞ!」

 ただいま俺は鬼さんから追いかけられ中。千代田区の住宅街に入った途端これだ。一匹は入学式のときと同じ奴だが、もう一匹、別の鬼が増えている。

 てか何で懲りないんだ。今度は殺すって言っといたのに。

 しばらく走っていると、看板が見えた。

『神田神社』

 神社が近い。低級妖怪は神社やその敷地の周辺には近寄ってこないのだ。

 スピードを上げ、急な階段をのぼり、神社へと入る。

 後ろを見ると、鬼二匹はいなくなっていた。

 ギュルルルルル!

「…………」

 あいつらのせいでもっと腹が減ってしまった。次は殺そ。 

「あれ? お客さん?」

 と、聞き覚えのある声がした。

 振り向くと、昨日も一昨日も会った穂むらの店員さんがジャージ姿で立っていた。

「やっぱりお客さんだ! こんなに短い間に何度も会うなんてスゴいね! あ、もしかしてお客さん、穂乃果のファンだったりする!?」

 …………なんというか、コミュ力がすごいよな、この店員さん。

 いや、それにしてもこいつの言う通り三日連続で偶然会うのは凄いというか、おかしい。確かに俺は穂むらに行こうとしていたが、鬼から追いかけられ、逃げた先にこいつがいた。偶然も偶然だな。

「…………」

 今までの経験から考えると、こいつと俺には何かの『縁』があるのかもしれない。

「? どうしたの、お客さん?」

「すまん、ちょっと考え事をしてた。あ、それで穂乃果のファンってなんだ? もしかしてお前はモデルとかアイドルだったり?」

「え!? どうしてアイドルだってわかったの!?」

 うわ、マジかよ。当てずっぽうだったのに。

「可愛いからかな」

 と、普通に嘘を付いてみる。俺は何がカッコよくて何が可愛いとかわからないからな。でも他の人から見たらこいつは可愛いのかもしれない…………しれない。

「えっへへ、そうかな? あはは~」

 まんざらでもなさそうだ。

「まだ、スクールアイドルになって二日なんだけどね」

「…………」

 二日ってマジで成り立てじゃないか。というかスクールアイドルってA-RISEのあれか。西村の言ってた通りブームなんだなスクールアイドルは。

「あら、穂乃果、そちらの方は?」

 後ろの方から女二人が現れた。

 どちらともジャージ姿で、一人は青みがかった黒髪、もう一人はベージュ色の髪。二人とも普通に見て高校生だろう。

「ん?」

 黒髪の女の方には見覚えがあった。確か、弓道の大会で……

「あ、園田 海未(そのだ うみ)さんか」

 彼女は去年の弓道大会に出ていた人だ。俺もその大会に出ていた。

「え、お客さん、海未ちゃんのこと知ってたの?」

「ああ、去年の弓道の大会で――」

 と、先のことまで話そうとしたが、

「あーーーー!!」

 と園田さんに叫ばれて遮られてしまった。

「ど、どうしたの、海未ちゃん?」

「く、黒瀬リョウ……」

 園田さんは震えながら俺を指差した。

「ああ、そうだ」

 頷く。

 さっきも述べた通り、俺と園田さんは同じ弓道の大会に出ていた。性別は違うのでもちろん対決とかはしていない。休憩時間、俺は暇だったので大会の出場者が射るのを見ていた。その中の一人が園田海未ということだ。

「ど、どうして私の名前を?」

 え? どうしてって……

「大会で会ったじゃん」

「会ったって……。私たち話していませんよね?」

「? 園田さんだって俺の名前覚えたじゃん」

「そ、れ、は! あなたが大会でとんでもないことをしていたからじゃないですか! 普通、三秒ほどで矢を射って、それを的に! しかも真ん中に当てるなんてあなたぐらいしかいませんよ! あなた有名なんですよ!?」

 あ~、そういやそんなことしてたな。その大会、結局優勝したんだよね。

「俺が園田さんのことを覚えているのは、今まで会った人全員覚えてるからな」

 名前と顔の両方を知っている奴だけだが。

「へ~、お客さんって色々とスゴいんだね。穂乃果じゃ、弓道出来ないし、記憶力も良くないよ」

 自虐かな?

「穂乃果ちゃん、それでこの人とはどういう関係なの?」

 ベージュの女が言った。

「この人は穂むらのお客さんだよ! 穂乃果たちね、三日も偶然会ってるんだ!」

 店員さんがそう言うと、場の空気がゴゴゴと悪くなっていった。

「黒瀬さん……あなた、もしかしてストーカーだったりします?」

 園田さんの顔は鬼のような形相になっていた。

 ……こわい。

「いや、本当に偶然だから……」

「偶然? 偶然三日も?」

「う……」

 そりゃ確かに俺もおかしいと思うよ。だっていくら東京が狭いといっても三日も連続はないだろう。しかも今日は穂むらに行こうとした途中で鬼から追いかけられ、逃げた先に穂むらの店員さんがいたんだからな。時々こういうことが起こるが、誰かに仕組まれてんじゃないかと思わされてる。しかもそういうやつらに限って何かと俺と『縁』があるのだ。きっと、この店員さんとも何かの『縁』があるんだろうな。

「ねぇ海未ちゃん。ことりはこの人がストーカーになんて見えないよ」

 お、ナイスフォローだ、ベージュさん。

「さあどうでしょうね。そう見える人こそ犯罪に手を染めてるんじゃありませんか?」

 あながち間違ってないな。よく銃刀法違反してるし。

「でもそう言っちゃったらキリがないんじゃ?」

 うんうん、確かに!

「穂乃果もお客さんが悪い人には見えないよ?」

 おお、店員さんもいい人だ。

「園田さん、二人がこう言ってることですし……」

 俺がそう言うと、園田さんは大きなため息をついた。

「わかりました。そういう偶然もあるんでしょう」

 うん、信じられてないな。しょうがないけど。

「そういえばスクールアイドルやってるって言ってたけどこの人たちもメンバーか?」

 俺は店員さんに聞く。

「うん! ことりちゃんも海未ちゃんも一緒にスクールアイドルしてくれるんだ!」

「へぇ~」

 一緒にアイドルをやってくれるなんてよほど仲が良いんだな。俺の友達に「一緒にアイドルやろうぜ」と言ったら何人がOKを出してくれるだろう? 既にアイドルになってるやつを除くとしたら一人もいないんじゃないだろうか。

「なあ、聞きたいんだけど……」 

「うん、何?」

「スクールアイドルにプロデューサーとかマネージャーとかトレーナーとかいるの?」

 とっても大事な質問だ。

「う~ん、他のスクールアイドルはわからないけど穂乃果たちにはいないよ」

 ……もしかしてのもしかしてで俺がそれになったりするのかな? それとも別のことで関わったりするのかな? 

「黒瀬さ~ん~? もしかして私たちのトレーナーになるとか言い出さないですよね?」

 園田さんは俺を鋭く睨み付け言った。

「言い出すかもしれない」

「言い出すかもしれないってなんですか!?」

 未来のことはわからんからな。

「そもそもあなたにはダンスの経験があるのですか?」

「うん、あるよ。一年くらいだけど」

 しかし俺はその一年でダンスをほとんどといっていいほどマスターした。ダンスの先生が日本屈指のダンサーということが大きいだろう。

 俺がそう言って数秒後。店員さんが俺の手を掴んできた。

 「!?」である。

「コーチ、ゲット!!」

「ちょ、穂乃果!?」

「海未ちゃん! ことりちゃん! コーチだよコーチ! 私たちにコーチがつくんだよ!」

 店員さんはすごいはしゃぎようである。

「おいおい、俺はコーチになるなんて言ってないぞ」

「でもさっきトレーナーとかマネージャーになるって言い出すかもしれないって言ったじゃん」

「う、確かに言ったが、あれは可能性の話でな……」 

「今その可能性が目覚めるときだよ!」

「………………」

 うむ。どうしたものか。俺と店員さんには何かの『縁』があったとしたら、俺はこいつらのトレーナーになればいいのか? ここで断っても良いのだが、あとが怖いな。

 ときどき思うのだ。俺の人生は都合が良すぎると。

 何度も強力な妖怪と戦ったり、おかしいほど事件に巻き込まれたり、強力な敵と戦うときには、まるで天が味方してくれるように運が良い。

 俺の人生は、あのとき……中学一年生のときに会ったあの神様に全部仕組まれているんじゃないか? そう思うほどに俺の人生は狂っている。

 この……この三人と会ったのも神様が仕組んだことだとすれば……

「三人が良いなら別にやってもいいぜ」

 そう、あの神様が仕組んだことだったら真っ向に受けて立つ! 面倒だが、神様には逆らえねえよ。

「海未ちゃん! ことりちゃん!」

「ことりは良いよ? 誰もダンスの経験ないから助かるね」

「え、ことりも賛成何ですか!?」

 あとは園田さんだけである。俺の予想だと……

「はあ……しょうがないですね。私も日本舞踊の経験しかありませんしダンスの練習はどうすれば良いのか悩んでいたところです」

 ほらな、結局こうなる。多分、ここでコーチを断ってたり、断られたりしても、明日も明後日も“偶然”会うこととになっていただろう。

 あ~、神様。いつ会えるのですかね? 俺は平穏な毎日を過ごしたいです。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




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