とある妖刀使いの物語   作:遊妙精進

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前半はオリ主視点ですが後半は別の視点になっております



12話 依頼

「あ~も~、疲れた~」

 練習が終わり、店員さんはよろよろで地面に倒れこむ。

「何言ってんだ。まだまだこんなもんじゃないぞ」

「え~!? そんな~」

 店員さんはこんな感じでへばっているが、園田さんとベージュさんは少し息が上がっているぐらいだ。さすがとでも言っておこう。

「黒瀬さん、ありがとうございます。悔しいですが、コーチとしては優秀だと思います」

「ああ、そりゃどうも」

 そういえばとっても肝心なことも聞き忘れていた。

「そういや名前聞いてなかったな」

『あ……』

 三人の声が重なる。

「すんげぇ遅れたけど自己紹介しとくか。俺は黒瀬涼。条東商業高校の一年生だ」

 と、軽く自己紹介する。

「って、お客さんって年下だったの!?」

 え? もしかして年上なの?

「穂乃果、気づいていなかったのですか?」

「え!? 海未ちゃんもことりちゃんも知ってたの!?」

「う、うん。ほらあれを見てよ」

 ベージュさんは俺の左胸を指差す。

 そこには、学ランに縫い付けられた名札が『条東商一年 黒瀬 涼』としっかり身分を明かしていた。

「ほんとだ! 気づかなかった!」

 こいつ……バカだろ。

「じゃ、ほら自己紹介に戻ろうぜ」

 俺がそう言うと、店員さんが一歩前に出た。

「音ノ木坂学院二年生! 高坂 穂乃果(こうさか ほのか)だよ!」

 マジで年上だったのか。同級生だと思ってたわ。

「同じく音ノ木坂二年、園田 海未(そのだ うみ)です」

「私も音ノ木坂二年生の南 ことり(みなみ ことり)です」

 全員年上か。まじかよ。

「よ~し、じゃあ自己紹介が済んだところでもう帰るか。もう暗いし」

 辺りはすっかり真っ暗になっていた。

 俺は三人を見送り、一人で駅まで向かった。

 ギュルルルル! 

「…………」

 そういや腹が減ってること忘れてたわ。

 

 

 

                    ☆

 

 

 

 とある国のとある町にあるホテル。そのホテルは主にVIPや金持ちが使用するホテルで、外から見ても金持ちが泊まるところだと誰でも理解することができ、中の設備も充実されている。

 そのホテルの最上階に、ある男が泊まっていた。

「ふんふ~ん♪」

 男は鼻歌を歌いながら先ほどシャワーで濡れた体を上質なタオルで拭く。

 吹き終わると、タオルを床に投げ捨て、鏡に写っている自分の姿を確認した。

 鏡には、黒髪のクセッ毛に赤色の目、中性的で中国人か日本人のような顔立ちをした人物が写っていた。

 彼自信も自分がどこの国の人間なのか、何処で生まれたのかはわからない。物心つくときには既に中東の反政府軍の一員として紛争に参加していたのだ。年齢もわからないが、十代後半であることは間違いないだろう。

「今日も良い男だな」

 自分の姿を見て、冗談なのか本気なのかそんな言葉を彼は吐く。

 下着を着てユニットバスから出ると、テーブルの上に並べられた携帯電話がちょうど鳴った。

「………………」

 男は無言のままノートパソコンを用意し、テーブルに並べられた七つの携帯電話の中から着メロが鳴っている赤色のスマートフォンを取り、USBで繋いだ。

「逆探知♪逆探知♪」

 嬉しそうに歌い、応答を押した。

「はい、もしもし? 『ピザは頼んでないよ?』」

 一見ふざけているように見えるが、これは、彼が決めた暗号だ。

〈『え? マルゲリータを頼んだのはあなたではないのですか?』 これで良いかね?〉

 携帯からは六十代ほどのしわがれた声がした。聞き覚えはない。新しい依頼主(クライアント)である。

「く、クク……」

 男は椅子に掛けていたタオルで口を押さえ、込み上げてくる笑いを我慢する。

 暗号を言う度に、何が面白いのかこうして笑っているようだ。

「はい、良いですよ。でね、依頼を言う前に出す金額を言ってください」

 彼に来る『依頼』とは様々であるが、そのほとんど、九割が非合法な内容だ。

 そして彼が依頼を受ける際は、絶対に前払い制度だ。クライアントが信用していないと成立しない話である。

〈ああ、もうお金は君の通帳に入れておいたよ〉

「ほう」

 テーブルから青色のスマートフォンを取り通帳を調べる。

「一、十、百、千……」

 通帳に入っていた金額を読み上げる。その額、一億ドル。

「へぇ、こりゃすごい。でも幾らなんでも多すぎじゃないですかね?」

 彼は今までも数々の依頼をこなしてきたが、これほどの依頼料は初めてだ。

〈依頼する仕事はそれほど大変だってことだよ。それに私にはその程度の金を稼ぐことなど造作もない〉

 どこかの大企業の社長、それとも政府の上官の者だろうか。

「そりゃすごいですね。その依頼とは何ですか?」

 これほどの依頼料である。どこかの国の反政府軍の殲滅だと彼は思っていたが、予想外の答えが返ってきた。

〈日本の警察をぶっ潰してほしい〉

 その言葉を聞き、男は不気味な笑みを浮かべた。

「わかりました。これだけの金を受け取って断るのもあれなんでね。潰し方はこちらにまかせてもらっても?」

〈ああ、もちろんだ。期待しているよ、『幻影の殺し屋(ファントムキラー)』くん〉

 『幻影の暗殺者』とは彼自身が自分につけた通り名だ。彼の戦闘スタイルとは名前が合わないが。

 電話を切る。クライアントの名前を聞いていないのはそれがこの世界のルールだからだ。依頼相応の金さえ貰えば彼はどんな仕事でも受ける。しかし、彼にも興味はある。

「ほう、これはこれは」

 逆探知の結果が、パソコンに映し出されていた。場所はアメリカのイリノイ州にある都市、シカゴ。その都市にある大きなビル、『アイアンライド』社。そこから電話が発信されていた。

 『アイアンライド』社は、アメリカでも有名な自動車メーカーで、その社長は名をサミュエル・ホランドと言う。サミュエルは裏での闇取引の噂や豪遊をしていることで有名だ。年齢は六十を越えている。電話の声からしてサミュエル本人からの依頼で間違いないだろう。サミュエルの言った通り彼には一億ドルを稼ぐことなど造作もない。

「面白そうだな。もううっきうきだ」

 依頼の理由を知らないし、知る必要もない。彼には、金を貰って人を殺すことだけが唯一の楽しみである。

「さて、準備を整えて日本に行くか」

 準備には時間がかかる。彼の戦闘スタイルはロケットランチャーやミサイル、対物ライフルや毒ガスを使うなど、派手なことで有名だ。今回の依頼は日本の警察を潰せという不可能な内容だが、彼は今まで一度も依頼を失敗したことはない。

 彼の名前は『幻影の殺し屋』

 裏の世界では彼を知らない人物などいない。

 

 

 




『幻影の殺し屋』久しぶりに中二病が出てしまいました。この名前を思いつくのに何時間かかったことやら

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