とある妖刀使いの物語   作:遊妙精進

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今回はサブタイトルの通り小学生の探偵が登場します


13話 小学生名探偵

「黒瀬君、これを」

 昼休み、自分の席で寝ていると黒子が何かの紙を持ってきた。

「ん、これは……」

 黒子が持ってきた紙を手に取って見る。紙の上の方にどでかく入部届と書いてあった。

「カントクが黒子君にも渡しておくようにと頼まれましたので。月曜日の八時四十分、屋上に持ってくるようにと」

 月曜日の八時四十分? それって朝礼の時間じゃなかったっけ? まぁいいや。黒子に言っておかないとな。

「黒子、すまんが俺は部活に入らないように決めたんだ」

「やっぱりですか」

 と、黒子から予想外の答えが返ってきた。

「知ってたのか?」

「はい、昨日のミニゲームで、黒瀬君のプレーを見てわかりました。黒瀬君、あの時全然本気を出していませんでしたよね?」

「はは、バレてたか。その通りだよ」

 昨日、先輩たちとミニゲームをした際、黒子の言う通り俺は全然本気を出さなかった。もし、俺が本気を出していれば、圧勝していただろう。俺はコートのどこからでもシュートを決めることができるし、五人抜きでも十人抜きでも出来るだろう。

「なあ、黒子、俺ってキセキの世代と比べてどうだ?」

 黒子は確か、キセキの世代幻のシックスマンと言われている男だ。天才と言われているキセキの世代のメンバーのことも良く知っているだろう。

「そうですね……確かに黒瀬君がやったゴール下からのシュートは、キセキの世代でも出来る人はそういません」

「おりはするのね……」

 やっぱキセキの世代ってすごいやつの集まりなんだな。

「黒瀬君がどのくらいの力を出していたかはわかりませんが、本気を出した状態なら帝光中でレギュラーは取れてることは間違いないです」

「そうか」

 黒子がそう言うんならそうなんだろう。嘘をつくタイプには見えないし。 

「そのキセキの世代のやつらとも戦ってみたいけど、やっぱチームプレーだとダメなんだよな。みんなが足手まといに見えてしまう」

 今まで個人競技のものばっかりやってたからか? チームワークというものがわからん。

「黒瀬君がそう言うのなら仕方がありません。カントクにはボクの方から説明しときます」

「ああ、ありがとな黒子」

 

 

 

                    ☆

 

 

 

 学校が終わり俺はすぐ電車に乗って行きつけのデパートまで向かった。

 今日からそのデパートで一週間ほど、北海道物産展があるのだ。北海道に行かなくても北海道の物が買えるなんてありがたい。

「ふむふむ、これはこれは」

 俺は売られているものを物色しながら店内を回る。店内は人で賑わっており大盛況だ。

 北海道のスイーツ、いくら、マグロを買って他にも何かないか探していると、この人混みの中、見覚えのある姿の人物がいた。

 俺と同じ制服を着ていて、茶色の髪に制服の上からでもわかるほど痩せている少年。

「ありゃ夏目か?」

 これほどの人混みでわからなかったが、集中してみると、確かに妖力の高い人間がいる。あれは夏目で間違いない。

 どうしよう。話しかけた方が良いのか? まだ夏目がどんなやつがわかってないんだよな。でも入学してから五日間、何の接触もしてこなかったから、祓い屋でも陰陽師でもなのかもな。陰陽師のやつらは妖怪が見える人にはやたらと接してくるし。

 まぁいいや。一応同じクラスメイトだからな。

「夏目か?」

 俺は夏目に近寄り話しかけた。

「えっと、黒瀬涼?」

 夏目は少し驚いた顔をし、俺の名前を言った。

「そうそう、同じクラスの黒瀬だ。一人で買い物か?」

「ああ、今お世話になってる人に頼まれたんだ」

 そういや西村が言ってたが、夏目は親戚の家で暮らしているんだったな。

「なあ夏目、お前さ――」

「ご、ごめん。おれもう行くよ」

 夏目はそう言い、人混みをくぐり抜け、去っていった。

「ふう」

 あんまり人と話すことが好きじゃないようだ。学校でも休み時間はほとんど寝てるしな。

 

 

 

                    ☆

 

 

 

 

 買い物が終わったので、デパートから出た。両手には買い物袋でいっぱいだ。

 さっさと家に荷物を置いてあいつらの練習に付き合わないとな。

 そう思っていると、左側から黒いジャンパーを着た男が凄いスピードで走ってきているのが見えた。

「おらおら、どけー!!」

「キャー!!」

 その男は、手には刃渡り十センチメートルほどのナイフが握られていた。

 男はナイフを振り回し、通行人を退けさせながら走る。

「…………」

 いつも思うが、東京って治安悪いな。

 本当ならここで、男をぶん殴って警察に引き渡したいところだが、両手は袋でいっぱいなのでどうすることもできない。地面に置くのも汚いし。

「まてー!」

 ジャンパー男の後ろからスーツを着た男が走っている。スーツを着た男には見覚えがあった。追いかけているのは警察の人間だ。

 警察がいるなら、ここは素直に退いとくか。

 俺は道を空けようとすると、ジャンパー男と運悪く目が合ってしまった。

 あ~やべ。

 袋を持っていることもあって身動きがとれず、ジャンパー男に背後を取られてしまった。

 ジャンパー男に首を腕で抑えられ、首筋に感じる冷たくて細長いものが当てられる。

「動くな!! このガキがどうなってもいいのか!?」

 男は叫び、追いかけていたスーツの男を近寄らせないようにする。

「………………」

 人質になってしまった。何回目だろうか。

『キャー!』

 と周りの女たちが叫ぶ。叫びたいのはこっちだ。

「や、やめなさ――て、リョウくん?」

 スーツの男は人質にされている俺を見てキョトンとした。

「いや~、どうもご無沙汰しています、高木刑事」

「な、てめえら知り合いか!? いや、そっちの方が都合がいいか。おい警察! 知り合いのガキがどうなってもいいのか!?」

「え~と、御愁傷様ですとしか……」

「ああん!? このガキがどうなってもいいというのか!?」

 この男、勘違いをしているな。御愁傷様というのはな……

「お前のことだよ」

「なに!?」

 俺は足を大きく上に上げ、下に落とし男の足を踏みつける。

「ぎっ!?」

 男はそれほど痛かったのか、掴んでいた俺の首を離し、後ろによろけた。

 殴って吹き飛ばしたいところだが、ナイフをまだ持っているので地面に倒れたときに首や胸に刺さってしまうかもしれない。

 俺は手に持っている買い物袋を目一杯上に投げる。

 これで両手が使えるようになった。

 俺は男のナイフを握っている手を掴み、街路樹に一、二、三と高速で三度ぶつける。

「いっ!!」

 痛みに耐えきれなくなったのか、ナイフをポロリと落とした。

 そのまま、男の手を左手で握ったまま、右手で胸ぐらを掴む。

「うらぁ!」

 男の足をすくって持ち上げ、地面に叩きつける。

「ぎゃ!?」

 男は気絶していないが、しばらく自分では動けないだろう。

 俺は空から降ってくる買い物袋を全てキャッチする。 

『おー!』

 ギャラリーからパチパチと拍手と称賛が贈られてきた。写真もパシャパシャと撮られているが、別に気にしない。

 俺はしゃがみ、さっき落とさせたナイフをハンカチで回収する。

「いや~助かったよ、リョウくん。君が人質じゃなかったら犯人に従うことになってたからね」

 と俺にそう言うのは、高木 渉(たかぎ わたる)刑事。警視庁刑事部捜査第一課強行犯捜査三係の刑事を務める巡査部長だ。高木刑事とはこれまでも数々の事件現場で会っている。 

「高木刑事、そんことよりも手錠」

 のびている男に指を差す。

「おっと、いけない」

 高木刑事は男に近寄り手に手錠を掛ける。

「十六時十九分、銃刀法違反と強要罪で現行犯逮捕します」

「ち、きしょう……」

「高木刑事、こいつは?」

 俺はナイフを高木刑事に渡し、何故こんなことになっていたのかを聞く。

「ああ、この人は人を殺したんだよ。自分の彼女に嫉妬してね」

 嫉妬怖い。

「で、毛利のおっさんが事件を解いて、逮捕されたくなかったから逃げたと」

「お、よくわかったね。その通りだよ。もうそろそろ目暮警部が来る頃だけど」

「はあはあ、高木君、捕まえられたか」

 太い口髭に茶色のスーツと帽子がトレードマークの人物が近づいてきた。

「はい! リョウくんが犯人を倒してくれたおかげで誰にも被害が及びませんでした」

「て、リョウくん!? また君かね……」

 目暮警部はあきれ顔だ。まあ、こういう場面に何度も居合わせてるからそう言われてもしょうがない。

 この茶色のスーツの男の名前は目暮 十三(めぐれ じゅうぞう)警部。高木刑事と同じ部署の警部で目暮警部とも事件現場で何度も会っている。

「目暮警部、ご無沙汰しています」

 そういやあいつがいないな。毛利のおっさんが事件を解いたことになってんならあいつもいるはずだけど。

 そんなことを考えた直後、ジャンパー男や高木刑事が走ってきた方とは逆の方から何かが滑ってくる音が聞こえた。

 振り向くと、スケートボードに乗っている小学一年生ほどの少年が近づいてきていた。

「おや、コナンくんを来たのか。安心してくれたまえ、犯人は逮捕できたよ」

「う、うん。そうみたいだね。良かった~」

 相変わらず芝居が上手いな。

「よ、コナン」

「あ~リョウ兄ちゃんだ~。ひさしぶりだね」

 ……きもい。

(てか、てめえなら犯人を逃がさないですんだろ! こちとら人質にされて危なかったんだぞ!)

(しょうがないだろ! あのベルトは修理に出してんだよ!)

 俺とコナンは小声で話す。

 あのボールが出てくるベルトは修理に出してんのか。スケボーで先回りして高木刑事と挟み撃ちにするつもりだったらしい。 

 この小学生は江戸川 コナン(えどがわ こなん)。どっからどう見ても小学一年生ほどに見えるが、正体は日本のシャーロック・ホームズと呼ばれるほど有名な高校生名探偵、工藤 新一(くどう しんいち)だ。色々あって体が縮んでしまっている。こいつと一緒にいると、色んな事件に巻き込まれ、こちらとしてはいい迷惑だ。

「リョウくん、聞くの遅くなったけど怪我してない?」

「はい、どこにも」

 首にナイフが当てられていたが、触っても傷はついていない。

「じゃあ、一緒に警察に来てくれないかな。人質にされた事実があるから事情聴取を受けないと」

「えーー」

「そんなあからさまに嫌な顔されても……一応被害者だから……ね?」

 十七時からはあいつらと練習の約束があったけど……しょうがないか。事情が事情だし。

「コナンくんは一人で毛利君のところまで帰れるかね?」 

「うん、じゃあボク帰るね」

「あ、待ってくれコナン」

 俺は帰ろうとしていたコナンを呼び止めた。

「これ、持ってけよ。事情聴取受けてると溶けちまう」

 大量の袋の中から北海道のミルクを使ったアイスの袋を取って渡す。

「ありがとう、リョウ兄ちゃん!」

 きもい。

 さ~て、あいつらに連絡しないと。でも電話番号知らねえんだよな。穂むらに電話すりゃいっかな?  

 

 

 

 

 

 

 

 




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