とある妖刀使いの物語   作:遊妙精進

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今回は前編・後編になります。
『二重人格のプロデューサー』の1話に登場している主人公の妹、黒瀬しおりが登場します


14話 休日の災難 前編

「あ~暇だ~」

 昨日が土曜授業だったので今日は日曜日。休みの日は嬉しいのだが、暇すぎてやることがトレーニングルームで筋トレぐらいしかない。

「二百九十九、三百……と」

 腕立て伏せ三百回をこなしてしまった。やることがなくなってしまった。中学生の頃はこういうことも無かったんだけどな。

 時間は十時ちょうど。外へ出掛けるならちょうど良い時間帯だが、外に出ても何もすることがない。買い物に行こうにも必要なものは全てあるしな。銀行に金を下ろしに行くぐらいか。

 俺はスポーツドリンクを飲みながら、設置されているテレビをつける。

 テレビには、ニュースキャスターとともに有名なアメリカ人の写真が映し出されていた。

〈速報です。アメリカのスターク・インダストリアル社のトニー・スターク社長ことアイアンマンがまたもやテロリストグループを壊滅させました。スターク氏に壊滅させれたテロリストグループは既に十を越えており、アメリカ政府では、アイアンマンは兵器だと言う声も上がっています。アメリカ政府はスターク氏にアーマーの引き渡しを要求しており――〉

「…………」

 アメリカ政府もスタークさんも色々と大変だな。テロリストが居なくなってくれるのは良いことだが。 

 しばらくニュースを見ていると、誰かの気配が近づいていることに気付いた。

「お兄ちゃ~ん、いる~?」

 よく聞き慣れた妹の声だ。 

「トレーニングルームにいるぞー!」

 大きな声でそう言うと、妹は走ってトレーニングルームまで入ってきた。

「よお、久しぶりだな、しおり」

 妹の名前はしおり。黒髪のボブカットの髪型で、身長は百五十センチメートルほどで中学三年生の中でも低い部類に入るだろう。

「お兄ちゃん……」

 しおりは下を向いてプルプル震え出した。

「おい!? もしかしてどっか悪いのか!?」

 しおりに駆け寄る。

「バカバカバカ! 二週間も連絡しないでとっても心配したんだからね!? お兄ちゃんは危なっかしいから遠くに行くときは連絡ぐらいしてよ!」

 しおりは顔を真っ赤にして泣き目で俺を睨んだ。

「そ、そんな危なっかしくないだろ!?」

「危なっかしいよ!! ただでさえお兄ちゃんは巻き込まれ体質なんだから! 前にも連絡しないでアメリカに行って、テロに巻き込まれたし、日本でもよく銃撃戦に巻き込まれるじゃない! それに昨日も殺人犯に人質にされたんでしょ!? 高木刑事から聞いてるんだからね!」

 高木刑事め、余計なことを。てか俺って確かに不自然なほど犯罪に巻き込まれやすいよな。どっかの名探偵よりかはマシだけど。

「ごめんな、しおり。今度遠くに行くときは必ず連絡するよ。約束だ」

「ほんと?」

「ああ、本当だ。ゴールデンウィークにはアメリカに行く予定だからさ。その前には詳しい行き先とかも教えるよ」

 ちなみにゴールデンウィークにアメリカに行くのは、射撃大会に出場するためである。

「悪いと思うなら私の言うこと、一つだけ聞いて……」

「ああ、いいぞ。何でも聞いてやる。お兄ちゃんだからな」

 

 

 

                    ☆

 

 

 

「お兄ちゃん、次はこっち!」

「………」

 ただいま俺は、大型ショッピングモールでしおりに買い物に付き合わされている。

 既に両手は買い物袋でいっぱいだ。まあ、暇だったからいいが。

「しおり、一旦車に戻ろうぜ。もう持てんぞ」

 袋の中は、主に衣料品だ。買ったほとんどの服はお袋に会社の商品だが。

「あと一つ!」

 そう言ってしおりは、有名な化粧品店へと入っていった。有名な化粧品店と言っても、お袋の会社の店だけど。

「化粧を買うのか?」

「うん、しおりはもう大人なんだし」

 中学三年生で大人ですか……

「でもしおりは化粧しなくても綺麗だぞ」

 そう言うと、しおりの顔はみるみるうちに顔が赤くなっていった。

「お兄ちゃんのバカ! そんなセリフ、簡単に言うもののじゃないよ!?」

「? そうなのか?」

「ほんと、レントお兄ちゃんもこっちのお兄ちゃんもそういうところが欠けてるよね……」

「そういうところって?」

「なんでもない!」

 う~ん、しおりのことがよくわからんなぁ。俺のことどう思ってるんだろう。もしかして都合の良いパシリとか? 事実、今も荷物を全部持たされてるわけだし。

「あ、レントお兄ちゃんで思い出したんだけど、この間大怪我して帰ってきたの。不良に絡まれたって言ってたんだけどお兄ちゃん、何か知らない?」

 レントのやつが大怪我? 

「知らないなぁ。大怪我ってどんくらい?」

「もう重症って言っていいほどよ。左手に包帯巻いてるし、顔も傷だらけだし、一緒にお風呂に入ったメグルくんが言うには、体中に打撲や切り傷があるって」

 メグルというのは従弟のことだ。   

「ふうん」

 多分、不良に絡まれたってのは嘘だな。レントなら、かすり傷なしで不良が五人だろうが十人だろうが相手に出来るし、元軍人とも戦えてた。大怪我を負うだなんて相当ヤバいやつと戦ったんだな。

 

 

 

                    ☆

 

 

 

 一日中、しおりに買い物に付き合わされ、もう時間はすっかりになっていた。結局あの後は、車に荷物を載せて買い物は再開し、恋愛映画を見たり本屋に行ったりしおりにバックやらアクセサリーを買ってあげた。

「しおり、すまん。銀行に行ってくる」

 レストランで夜飯を食べ、しおりを車で家に送る途中俺は銀行を見つけた。車を運転しているのは俺だ。もちろん無免許ではないし、ちゃんと合法で手に入れた。少しばかり特殊なルートで、この歳で誰でも手に入れられるわけではない。

 今日の買い物は全部俺のおごりだったので財布に入っていた二十万円はなくなってしまった。クレジットカードの存在を毎回忘れている俺はバカなのか? 

 家にも大体五百万円ほど貯金しているが、そろそろなくなりそうだしな。

「じゃあしおりも行くよ」

「つまらんぞ?」

「車に乗ってる方がよっぽどつまらないよ」

 俺は車を銀行の近くの駐車場に停め、しおりと歩いて銀行へ向かった。

 別にコンビニのATMでも良いが、卸す金額が三桁にのぼる予定なので、ATMだと気が引けてくる。

 銀行に入り、人が多めだったので銀行員に整理券を貰ってソファーに座る。

 しおりと話していると、いきなり背後からバンバン! と二発の銃声が店内に轟いた。

「静かにしろや!! てめえら動くなよ!!」

 恐る恐る後ろを向くと、自動ドアの前には銃を持った覆面の人間が四人いた。

「…………」

 俺は本当に運がないな!

 

 




日曜に銀行の窓口が開いていることに疑問を持つ方もいらっしゃると思いますが、この世界ではそうなっていると思いください。
それと、主人公の双子の弟、レントが怪我をしている理由は、『二重人格のプロデューサー』の7話、8話を見ていただければわかります。

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