とある妖刀使いの物語   作:遊妙精進

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前後編にするつもりが予定よりも長くなってしましました


15話 休日の災難 中編

 俺は本当に運がない。つい昨日殺人犯に人質にされたばかりなのに、今日は強盗に人質にされるとは……バカじゃねえの?

 銀行強盗は銃を発砲し、俺たちは銀行強盗であること、銃は本物であることを俺たちに見せつけた。

 今は銀行員数人に大きめのバッグの中に金をつめさせており、俺たち客と残りの銀行員は一ヶ所に集められ床に座らせられた。 

 銀行強盗四人組は全員覆面を着けていて顔はわからないが、体格からして全員男であることは間違いない。そして四人とも銃を持っているが、ハンドガン、ショットガン、アサルトライフル、サブマシンガンと見事に全員バラバラだ。腰には共通して、刃渡り二十センチほどのナイフ鞘に納めて付けている。

「リョウくんにしおりちゃん!?」 

 同じ人質の中から聞き覚えのある声がした。

「どうもご無沙汰してます、佐藤さん」 

 彼女は佐藤 美和子(さとう みわこ)。警視庁の捜査一課の警察だ。いつもは佐藤刑事と呼んでいるが、強盗に佐藤刑事が警察だとバレると、ヤバそうなのでさん付けで今は呼んでいる。

 彼女がここにいることは正直驚きだ。それに頼もしくもある。

「互いに不幸ですね」

「全くよ、今日は高木くんと食事をする予定だったのに」

「はは、そりゃまた……」

 高木刑事と佐藤刑事は付き合っているのだ。

「ねえ、お兄ちゃん。大丈夫よね? あの人たちすぐ居なくなるよね?」

 しおりの声は震えていて怖がっていることが伺える。

 ここはうんと言いたいが、この強盗たち、焦っているという様子がない。まるで警察が来るのを待っているかのようだ。

「さて、お前ら」

 ハンドガンの男は銃を俺たちに向けた。

「今からこの袋の中に財布と携帯を入れてもらう。バッグのやつはバッグごと入れろ。抵抗するやつは撃つ」

 男の声は至って冷静だ。

 ショットガンを持っている男は袋を出し、次々に客の財布や携帯、バッグを入れさせていく。   

「リョウくんもしおりちゃんもここはあいつらに従って」

「はあ」

 と言っても、俺のケータイって市販されてないからな。これを取られると色々と不味いことになりそうだが。

「さあ入れろ」

 ついに俺たちのところまで来た。

 俺はポケットから財布だけを取りだし、袋へ入れる。

「お前、携帯は?」

 当然の質問である。

「持ってない。確認すれば?」

「そうか、なら良い」

 俺の勘は当たり、ショットガンの男は確認せずに別の客に渡すよう要求し始めた。

(お兄ちゃん、どうして渡さなかったの?)

(ああ、こいつらは多分ここに立て籠るつもりだ。だから外部と連絡手段が取れるように渡さなかったんだ)

 とは言っても俺も冷や冷やしたが。まあケータイが見つかっても光学迷彩を使っているのでケータイなので普通に見ればただのガラスだからな。誤魔化すことは出来るだろう。USB接続端子を見られれば終わりだが。 

(リョウくんも立て籠ると思うのね)

(はい、普通なら金をつめさせてすぐにトンズラすりゃいいのに、こんなにモタモタして。明らかに逃げる気はないようです)

 立て籠って警察に金や逃走ルートの要求をするか、それともこの状況を楽しんでいるだけか。

「ボス、終わりました」

「こっちも札束で袋パンパンにしたぜ」

「そうか、おい、シャッターをしめろ」 

 ボスと呼ばれたハンドガンの男は銀行員に指示し、シャッターを閉じさせる。やはり籠城するつもりだ。

「ねえ、ボス~。ヤっちゃいましょうよ~。こんなに女がいるんだから一人や二人くらいさぁ」

 と、アサルトライフルを持った男。

「がっつくな。警察と話してからだ」

「へいへい」 

 ……こいつら。

 十数分後、銀行の固定電話が鳴った。

 ボスが電話を取り、応答する。

「ああ、ああそうだ。人質は全部で二十五人。まずは二十時三十分までに三億円を用意しろ。準備が出来たら電話をよこせ。時間までに用意が出来なかったら人質を一人殺す」

 ボスはそう言って電話を切った。時間まではあと四十分ほどしかない。

 明日、学校なんだがなぁ。明日までに帰れるといいけど。

「これは大スクープよ」

 後ろから女性の声が聞こえた。

 見てみると、茶髪で頭にサングラスをかけた女性が、手帳に何かを書き走っていた。

「う~ん、カメラさえがあればもっと良かったのに……今すぐ返してほしいわ」

 俺と佐藤刑事以外にも心強い人がいたもんだな。

「ねえ君、今の感想を教えてくれない?」

「え、俺?」

「そうよ。やっぱり実際の被害者の感想を聞きたいじゃない」

 それならあんたも被害者だがな。

「運がない。それだけですね。さっさと家に帰りたいです」

「まあいえてるわね。ってあれ? あなた、どこかで見たような……」

「そうか? 俺はあんたのこと見たないですけど」

「う~ん、つい最近見たような……昨日だったかしら」

 それなら俺が昨日行ったデパートにいたのかな?

 話していると、強盗一人、アサルトライフルの男が口を開いた。

「なあボス。もう警察と話したんですからヤっちゃいいですよね」

「ああ、一人だけならな」

 ボスがそう言った瞬間、俺たち人質に衝撃が走った。

「やったぜ。さぁ、どの女にしようかな~」

 アサルトライフルの男は、人質の女をなめ回すようにして見る。

「お前も、お前も良いなぁ。誰にするか迷っちまうぜ」 

「…………」

 ちきしょう。こいつらを今すぐにぶっ飛ばしてえ。その気になりゃ十秒で終わらせることも出来るが…… 

 アサルトライフルの男が、誰にするか選んでいるとその両手に持っているアサルトライフルの銃口がチラッと一瞬だけ見えた。

「……え?」

 男が持っているアサルトライフルの銃口の中には、普通ならあるはずのライフリング(銃の銃身内に施された螺旋状の溝)がなかったのだ。つまりは、男が持っているアサルトライフルは本物ではなく偽物、モデルガンということになる。

 ここで一つの推測が生まれた。ボスの拳銃は、最初に天井に撃ったので本物だが、残りの二人の銃は偽物なんじゃないか? 

 残り二人の銃を見る。当然だが、外見だけでは本物かどうかはわからない。サブマシンガンの方は銃口を見ればわかると思うが、ショットガンの場合はライフリングがないので判断するのは難しい。

 まあ偽物とわかったところでどうにも出来ないが。強盗は全員ナイフを持ってるからな。このまま何もしなければ誰も殺されることはない……と思う。

「よし、こいつに決めた」

 アサルトライフルの男が女の手を引っ張って連れていこうとする。

「いや! いや!」

「やめてくれ! 彼女は私の妻なんだ!」

 スーツの男は立ち上がり震え声でそう言った。

「ひゃは、夫の前でヤるなんて興奮するな」

「な!? お願いだ、やめてくれ!」

 スーツの男は強盗の肩を掴む。

 これはやばい。

「ああん? てめえ今の立場わかってんのか? その気になりゃ殺すこともできんだよ!」

 強盗は男の腹を蹴りあげ、アサルトライフルのバットプレートで頭を殴り付けた。

「うっ!?」

 スーツの男は倒れるが、強盗は追い討ちをかけるように腹を何度も蹴りあげた。

「ちっ、萎えちまったぜ。もういいわ」

 アサルトライフルの男はボスのもとへと戻っていった。

「大丈夫!?」

 佐藤刑事はスーツの男のもとへと駆け寄る。

「はい、すみません。ご迷惑をおかけてして」

 そう言うが、男の頭からは血が流れていた。

「この程度大丈夫ですよ。すぐに止まりますし」

 男の中の男だな。

 

 

 

                    ☆

 

 

 

 時間は二十時二十五分となり、残り時間は五分となっていた。

 電話が鳴りボスが取る。

「ああ、ほう。用意が出来ないと……。それは残念だ」

 ボスはそう言って立ち上がり銃口を俺たち人質に向けた。

 まさか――!?

 パンパン! と乾いた音が二発、銀行内に響いた。

「あ……あ……」

 放たれた弾丸が二発とも男の銀行員に当たり、ゆっくりと倒れた。

「キャー!!」

「うるせえ!」

 ボスは天井に銃を撃つ。

 人質は口を押さえ、涙目で震えていた。

「あと十五分、時間をやる。それまでに三億用意しろ。できない場合は十五分ごとに一人ずつ殺す」

 ボスはそう言って電話を切った。

 俺と佐藤刑事は銀行員に駆け寄る。

 右肩と右胸に弾丸を喰らっており出血がひどい。このままじゃ死ぬことは明らかだ。

 ポケットからハンカチを出して傷口を抑える。

「ボス、いいんですかい?」

「ほっとけ」

 佐藤刑事もハンカチを出して傷口を抑えるが、

「ダメだわ、血が止まらない!」

 くそ、早く病院に行かせないと、死んでしまう。

「おい、こいつを解放させろ!」

 俺はボスに言った。

「殺す気で撃ったんだ。それに誰も解放させる気はない。人質の数が減ると不利になるからな」

 じゃあ撃つなよ!

「これ以上誰がお前なんかに従うか! 世間のゴミどもめ!!」

 老人が立ち上がり強盗へ向かって言った。

「おい、じいさ――」

 パン! と一発、ボスが放った弾丸が老人の胸に抉りこみ、老人は一言も発さずに倒れた。

 こいつら、人の命を何だと思って…… 

「ヒュー、ボスやる~♪」

 アサルトライフルの男は軽口を放つ。

 あと十五分、あと十五分で警察が金を用意出来なかったら人がまた撃たれる。人が死んでしまう。

 こいつらを何とか出来れば……

 人質の中で戦えるのは、俺が知る限り俺と佐藤刑事だけだ。しおりも合気道が出来るが、戦えるのは状態ではない。 アサルトライフルの男は、単なる興味か、近づいて撃たれた二人を見る。こいつの銃は偽物。

 奥の方にはボス、こいつの銃は本物。そこから右に五メートルほど離れたところにはショットガンの男、ボスから左に三メートルほど離れたところにはサブマシンガンの男、この二人の銃は本物かどうかは不明だ。

 俺が今立てている作戦は、俺が気配を消して一番危険度の高いボスに近づき、攻撃すると同時に佐藤刑事にはアサルトライフルの男の相手をしてもらう。そして俺がボスを含め三人倒せば作戦完了だ。

 だが、この作戦に百%はない。俺がボスに近づく前に気づかれたり、ショットガン、サブマシンガンが本物で、俺には撃たずに、他の人質を狙うかもしれない。俺は撃たれても構わないが、他の人質に被害が及ぶのだけは絶対に駄目だ。しかし、あと十分以内に決着をつけないとスーツの男も老人も死んでしまう。

(リョウくん、何か作戦があるんでしょ?)

 佐藤刑事が小声で話す。

(あることにはありますが、絶対ではありません)

(いいわ、言って)

 俺は作戦内容を佐藤刑事に話した。

(なるほどね。その作戦でいくわよ。子供を危険に晒すのは不本意だけど)

(だけど失敗すれば……) 

(大丈夫、責任は全部私が取るわ。もう時間がないの)

 佐藤刑事は撃たれた二人の命のことを言っている。

 全く、簡単に責任を取るとか言って。だが、ほっとけば人が死ぬことは明らかだ。

(では行きます)

 俺は気配を消して壁側からボスの方へと向かう。

 気配を消しても直視されればバレてしまう。その時点で作戦は失敗に終わってしまう。

 慎重に、かつ迅速に移動し、ボスの後ろまで回った。

 この時点で心臓が爆発しそうだ。

 ボスは椅子に座り右手にハンドガンを持っている。それほど強くは握っていないし、油断している。

 今!

 俺はボスの手から銃を一瞬で奪い、足で体を蹴って椅子から落とす。

「なっ!?」

 その声に全員が注目する。

 俺は銃のマガジンキャッチを押し、銃から分離されたマガジンが床へと落ちて行く。

「せい!」

 落ちて行くマガジンを右足で蹴ってショットガンの男の顔に当て、マガジンがなくなった銃をすぐ近くにいるサブマシンガンの男に手首だけを動かして投げる。

「がっ!」

「ぎゃ!?」

 上手く命中。男二人は後ろによろめいて顔を押さえている。

「お前……」

 ボスは立ち上がり、ナイフを腰から取って俺に斬りかかってきた。

「くっ!」

 少し反応が遅れ、右の二の腕が斬られた。

 こいつらには手加減はいらない! まずはナイフを離させる!

 ボスの右手と右手首少し前をを掴む。手首少し前をしっかりと握り、右手をグリッと回す。

「ぎゃあ!!」 

 ポキッと軽い音が手首から鳴り、ボスはナイフを床に落とす。

 そのまま胸ぐらを掴み、サブマシンガンの男へとぶん投げる。

「ぐわ!?」

 男二人はどしゃーんと倒れた。

 あと一人!

 一番離れているショットガン男にダッシュで駆け寄り、顔面を思いっきり殴る。

「ふぼあ!?」

 男は吹っ飛びゴロゴロと転がって壁にぶつかり動かなくなった。

「く、くそ……」

 サブマシンガンの男は立ち上がろうとするが、俺は腹を蹴りあげる。

「うごお!?」

 男は空中二メートルほどあがり、落ちて動かなくなった。

 ボスも気絶している。

「制圧完了!」

「こっちもよ!」

 佐藤刑事も倒したようだ。俺は佐藤刑事を見る。

「え?」

 俺に目には、佐藤刑事の背後にナイフを持った女が突進していくのが見えた。

 まさか、人の中に強盗の仲間が潜んでいたとは……

「危な――」

 俺の声は佐藤刑事には届かなかった。      

 

 

     

   

    

 




ほんと、文章下手ですね。戦闘シーンのアドバイスとかもらえたらうれしいです

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