とある妖刀使いの物語   作:遊妙精進

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最初に言っておきますと、主人公は最強ではありません。ですが、完璧人間です。



2話 入学式 前篇

小さい頃から時々、変なものを見た。他の人には見えないらしいそれらはおそらく妖怪や幽霊と呼ばれるものの類。

 

 

 

 

「まちやがれ! おとなしく俺様に喰われろー!」

「うっせぇ! 今なら見逃してやるからさっさと消えろ!」

 俺と道端で偶然会った鬼が追いかけっこを初めて早三分。俺もいい加減飽きてきた。

 鬼とはいっても、二年と半年ほど前に戦った鬼ではなく、また別の妖怪だ。違いがあるとすれば、身長、体格、もっとも違うのは妖力のだ。

 妖力(霊力ともいう)とは、人、妖怪、幽霊が誰でも必ず持っている力のことで、人間の場合、妖力が高ければ、妖怪や幽霊を見たり、その妖怪や幽霊を追っ払うための術ができる(修行次第だが)。妖怪や幽霊は妖力の高さで身体能力、様々な術ができる。妖力の高さが身体能力に影響する人間も少なからずいる。俺もその一人で、筋肉があんまり付いていないのに身体能力の高さが異常だったり、傷の回復速度が速かったりする。

 まぁ、言っちゃえば、今追いかけっこをしている鬼は、前に戦った鬼よりもずいぶん妖力が低い。たとえ刀がなくても余裕で倒せるレベルだ。

「おっ!」

 走っていると、路地裏を見つけた。あそこに入れば俺の勝ちだ。

 俺は小さなビルを曲がり、路地裏に入る。

 奥まで進むと壁で行き止まりになっていた。

 走るのを止め、鬼に方を見る。

「くくく、もう逃げられんぞ。ゆっくり味わってやる」

 鬼は笑い、口からはよだれを垂らしている。

「はぁ」

 俺はため息をつく。

 あの日、俺が神様から救われた日からすべてが変わった。

 身体能力、回復速度が異常に上がるメリット、妖怪や幽霊から付け狙われるデメリットが発生した。

 妖怪、幽霊にとっては、妖力が高い人間=美味い、ということらしい。俺の妖力が高いせいで、度々この鬼のようなバカな低級妖怪に追いかけられている。

 この路地裏に呼び込んだ理由もちゃんとある。

「鬼さん、最後の警告だ。今すぐ消えてくれ」

「ふっ、いやに決まっておるだろう。おまえはここで俺様に喰われるんだ!」

 鬼は俺にすかさず手を伸ばしてきた。

「……はぁ」

 再度ため息をつく。

 伸ばしてきた鬼の手を左手で払う。

「なっ!?」

 いや、手を払われただけで驚くなよ。

 俺は右手で鬼の腹にストレートをぶちこむ。

「がぁっ!?」

 鬼は、そんなに腹が痛いのか、お腹を抑えてうずくまった。

「次に襲ってきたら殺すからな」

 路地裏で戦う理由、それは今の戦いを見られたくないからだ。

 人がいきなり空中を殴りだしたらどう思う? 完全に変人扱いだ。みんなにも妖怪が見えればそんなことは気にせずに済むのだが……

 俺は路地裏を出て、学校へと歩いて向かう。

 

 

 

 

                      ☆

 

 

 

 俺、黒瀬涼は、条東商業高校へと首席で合格した。

 条東商は、就職に関しては実績のある高校だ。寮もある。いや、あった、というべきか。ついさっき電車で新聞を読んでて知ったのだが、俺が中学校を卒業した次の日の昼頃に火事で全焼してしまったらしい。建て直すまでに半年はかかると書かれてあった。俺は中学を卒業した日から修行に向かったので、そのニュースは知らなかった。

 親父もおふくろも大手企業の会社の社長をやっている。二歳年上の姉と双子の弟、1歳下の妹がいるが、俺と一緒には暮らしてはおらず、親父の父、俺からしてみれば祖父の家に三人は暮らしている。なぜかというと、祖父が他人に世話をされるのがいやだったからというしょうもない理由があったからである。親父もおふくろも会社が忙しく、家にはほとんど帰って来ない。会社に近いところにあるマンションに住んでいる。

 実質、俺はバカみたいにでかい家に一人暮らしというわけである。

 執事がいてもいいレベルの家なのだが、俺がそういうのは嫌いなため、家事はほとんど一人でやっている。ほとんどというのは、二週間に一回、家政婦を呼んでいるからだ。

 ちなみに弟も今日が入学式だ。弟が通う高校は東京で、いや日本で一番頭が良い名門エリート進学校だ。そこで、首席合格したらしい。

 俺もそこに行かされる予定だったが、双子として比べられるのが大嫌いだったため、別々の高校に行くことにした。俺が条東商に来たのは、たんに俺のほうが近かったからだ。

 あれ? 新入生代表の挨拶って誰がするんだろう? 普通に考えれば首席で入学する俺だよな? 何も聞かされてねえや。

 

 

 

                      

                      ☆

 

 

 

 

 駅から歩くこと十分、俺は六時間かけてやっと目的地に着くことができた。

「ふぅ、やっとかよ」

 校門の前には、先生らしき人が三人おり、車の出入りも激しい。

「君は新入生だね。校門入って真っ直ぐ進むと体育館の壁にクラス発表の紙が貼られているから、確認して、自分の組の立札を持っている先輩に案内させてもらってくれ。車には気を付けてね」

 という、先生の丁寧すぎる説明を聞き、校門をくぐろうとしたその時、

『行ってらっしゃいませ!! 坊ちゃん!!』

 と背後から男たちの野太い声が聞こえた。

 振り向くと、いかつい男たちの列を通っている少年がいた。

 紺色の髪にバレッタをつけているやせ気味の少年だ。

 周りの生徒や親はおびえたように距離を取り、先生方もたじたじである。

「……はぁ」

 本日三度目のため息だ。

「そこの紺色! おまえも新入生だろ? 一緒に行こうぜ」

 俺は紺色に近づき、話しかける。

「いや、俺は……」

「さあ、行こー」

 紺色の少年の手をつかみ、半ば強引に校門を通り抜ける。

 全く、あのヤクザどもはこいつのことを考えてねぇのか?

 明らかに公開処刑だ。いや、逆にヤクザの子ってことを見せびらかしてるのか?

 ある程度進み、紺色の少年の手を放す。

「引っ張って悪かったな。俺は黒瀬リョウ。おまえは?」

「ん? ああ、俺は一条楽だ」

「じゃあ、一条、よろしくな!」

 フレンドリー大作戦だ。結構便利なんだよ?

 俺は一条の前に手を差し出す。

「ああ、こちらこそよろしくな、リョウ」

 会って一分ほど、俺たちはすんなりと握手を交わした。

 さすがフレンドリー大作戦だ。効果抜群!

「クラス表を見に行こうぜ。すぐそこだ」

 一条と一緒に体育館に向かう。すでに人がたくさん集まっており、みな自分のクラスを見るのに必死だ。

 ちなみにこの高校のクラスは十組もあり、すべての組がアルファベット表記だ。

 俺は商業科で商業科はA組、B組、C組の三つなので左から見れば、簡単に見つかる。

 ふむ。自分はC組のようだ。そして同じクラスに一条もいる。

「一条、見つけたか?」

「…………………………」

「おい、一条?」

「小野寺と一緒……」

 何言ってんだこいつ?

 

 

 

 

 

 

 




はい、すいません。完全な嘘タイトルです。入学式と書いておりながら、入学式はまだ始まっておりません。タイトルが思いつきませんでした。許してくださいm(__)m 
そして楽のコレジャナイ感もすごいですね。 



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