とある妖刀使いの物語   作:遊妙精進

9 / 23
ひさしぶりの投稿なので前回の内容を大雑把にまとめると、

腹減った
妖怪アパートに行こう!
同じクラスの稲葉と仲良くなった




7話 穂むら

 俺が条東商に入学して三日。特に何の問題もなく、時間は昼休みとなっていた。

「へぇ、長谷と友達だったのか」

「ああ、小学校が同じで、それからずっと友達だ」

 俺と稲葉は、学校の屋上で弁当を食べながら話す。

 屋上ということもあって、太陽の日差しが直撃しているが、季節は春。日差しは心地良いくらいだ。

 ちなみに稲葉の弁当は、るり子さんのお手製だ。とってもうまそうだ。俺の弁当は、中学一年生の頃から自分で作っているので、今までと何も変わらない。

「長谷と友達になるなんてすげえな。あいつは頭が良いくせに、裏の顔があるからな。稲葉は普通な感じなのに」

 しかも、長谷は中学で裏番もやっていたようだ。

「さらっとひどいこと言うなよ。まあ、その通りなんだけどさ」

 今、俺たちで話題になっている人物は、長谷 泉貴(はせ みずき)。長谷は、俺の双子の弟、レントと同じ高校に通っている。入学式の日、レントから聞いた話によれば、同じクラスになったらしい。

 長谷の親父は、大会社の重役をやっている。

「黒瀬はどうやって長谷と知り合ったんだ? 俺たち同じ小学校でも中学校でもなかったよな?」

 そういえば昨日、妖怪アパートで稲葉とたっぷり話したが、自分の家のことについては言ってなかったな。

「親の関係でな」

「え? じゃあ黒瀬の親父も長谷の親父と同じところで?」

「いや、会社は違うよ。別会社だけど、その会社同士が仲が良いから、合同企画とかで、いっしょに仕事をすることが多いんだ」

 そう、俺の両親はどちらとも会社の社長なので仕事の関係上、会社のお偉方やその子供たちとの付き合いが多い。

 それに、ときどき、会社の手伝いをすることもあるので、色んな会社の社員や芸能人と仲良くなったりもする。

「じゃあ黒瀬の親父も重役みたいなのやってんのか?」

「まあそんな感じ」

 重役ってか社長だけどな。

 色々話していると、予鈴が鳴り、俺と稲葉は教室へと戻った。

 教室に入ると、中から強い妖力を感じた。

 夏目 貴志(なつめ たかし)だ。入学して三日になるが、彼の正体はわかっていない。妖怪祓い関係ならあまり関わりたくないが。嫌な思い出がたくさんあるので。

 しかし、妖怪や幽霊が見えるというだけで貴重な仲間だ。無視ということはできない。

 夏目を見ると、同じクラスの茶髪の生徒と話していた。

 確か……西村 悟(にしむら さとる)だったか。普通に話しているが、あの二人は友達なのだろうか?

 ……気になるなぁ。

 西村からは一般人レベルの妖力しか感じないから妖怪のことは知らないだろうが、夏目に関して、色々と知っているかもしれない。

 そんなこんな放課後、西村と、同じクラスの北本 篤史(きたもと あつし)が帰ろうとしているところを呼び止めた。もちろん、夏目がいないことを確認して。

「ん? どうしたんだ? 黒瀬さん」

「ああ、お前さ、夏目と話してたろ? 夏目のことを教えてくれないか?」

 ……これ、言ってから気づいたけど直球すぎじゃん。

「夏目か? ん~、悪いけどあんま知らないんだ。最近、俺と北本が住んでる町に来て、親戚の家で暮らしていることぐらいかなぁ?」

「そ、そうか。ありがとな」

 良い情報なんだけど、あんまり手がかりがないな。

「もしかして、黒瀬さんも夏目と友達になりたいのか?」

 うわ、嫌な質問がきたよ。でも違うと言ったら、じゃあなんで聞いてきたという話になるからそうしておくか。

「ああ、そうなんだよ。夏目とも友達になってみたいなって」

「やっぱり!? 俺と北本もそう思ってたんだよ。俺たちの町からここに通う生徒が少なくてなぁ。それに夏目も最近来たばかりだからさ。色んな場所を紹介しようと思ってたんだよ」

「へえ」

 西村ってはっちゃけてそうな感じがするけど、良いやつなんだな。

 

 

 

                      ☆

 

 

 

「あ~、暇だ~」

 俺は、リビングのソファーに寝っ転がったままつぶやく。

 時刻は十七時だが、何もやることがない。

 テレビもニュースぐらいしかあっておらず、しかも時間が時間なので今は食べ歩きコーナーやら旅コーナーがあっている。

 俺は今日あった出来事を見たいのだ。まぁ、朝に新聞を読むから別に見なくてもいいのだが。

 いや、しかし本当に暇だ。

 中学生の頃は、放課後に妖怪つながりの友達たちとワイワイやっていたんだが、別々の高校になってしまったので、学校が終わって、みんなわざわざ集まってワイワイなんかできないだろう。

 あ~なつかしいなぁ。みんなとまた戦いたいなぁ。

 昔のことをしみじみと思い出す。

「よっし! 体動かすか!」

 こっちに帰ってきてから、体を動かしていない。三日分あいつらに遅れちまったってことだ。あいつらに会うときにはもっと強くなっておかないと。

 俺は制服を脱ぎ捨て、愛用のジャージを着る。

 俺は黒色が好きなので、ジャージも黒がメインで、黄色のラインが入っているくらいだ。

「外で走るか」

 家のトレーニングルームのランニングマシーンを使ってやってもいいのだが、ほら、景色がずっといっしょだとつまらないじゃん?

 そんなわけで、ポケットに千円札三枚、クレカ、ケータイ、それと今日もらったばっかりの生徒手帳も入れる。

 生徒手帳はやっぱ、身分を明かすものなので色々と便利だからな。

 玄関まで行くと、俺は刀を持ってきていないことに気が付いた。

 いつもなら玄関の近くに投げ捨てているが、昨日は買い物をした帰りで、手が離せなかったので二階のリビングに置いてある。

 たかがランニングで刀は不必要と思うかもしれないが、東京でも夜になると妖怪の数は、昼間よりもたくさん増えるし、昔みたいに、あの鬼レベルのやつが出てくるかもしれない。

 でも、わざわざ階段を上って遠いリビングまで行くのはめんどくさいな。

 ま、大丈夫だろ。

 俺は外に出て、走り出した。

 

 

 

                      ☆

 

 

 

 グゥゥゥゥゥ!

 走っているとお腹が鳴った。

「腹減ったな」

 走るのをやめ、ゆっくりと歩く。空を見ると、既に月が出ていた。

 時刻は十九時だ。二時間も走っていたことになる。走った距離は大体三十キロメートルぐらいか。

 コンビニか食堂に寄って何かを食べたいところだが、適当に走ったため、今いる住宅街から店にどう行けばいいのかわからない。途中で秋葉原を通ったからここは千代田区かその辺りだと思うが。

 ここからまっすぐ走って家に帰れば、一時間ほどで着くと思うが、それまでに腹がもつかどうか。

 やっぱり今日は外で食べるか。

 よし、まずは住宅街から抜けよう。

 俺は来た道を戻ろうとすると、

「ん?」

 風に乗ってどこかから甘い香りが漂ってきた。

 甘い香りは様々で、あんこやきなこ、みたらし団子などなど。

 近くに和菓子屋があるのだろう。

 まだ店が開いているのならば、お菓子を買い食いして家に帰ればいい。

 俺は、香りにつられるように進むと、明かりがついている店を見つけた。

 『穂むら』

 看板にはそう書かれていた。

 十九時を過ぎているが、電気がついているということはまだ開いているのだろうか?

 俺は引き戸を開け、中に入る。しかし、誰もいない。

 やっぱ、もう閉めてんのかな?

「すみませ~ん。誰かいますか~?」

 そう言うと、数秒後、店の奥から女性が走ってきた。

「は~い」

 出てきたのは茶髪でサイドテールの髪型。普通に見て高校生だろうか?

「店はもう閉めたのか?」

「いえいえ、まだ大丈夫ですよ!」

「そうか」

「お客さん、何にしますか?」

「う~ん、そうだな」

 どの和菓子もおいしそうだが、あいにく金をそれほど持ってきていないため、

「みたらし団子とあんこ大福を二つずつ」

 合計四つ頼んだ。まぁ、このぐらいでも家に帰るまで腹はもつだろ。

「わかりました~」

 会計を済ませ、外に出た。

 俺は歩きながら、大福を食べる。

「うん、うまい」

 また来てもいいかもな。

 

 

 

 

 

 

 




感想、誤字・脱字は気軽にどうぞ
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。