暗く湿った洞窟をヒタヒタと歩いていく。
サトシは靴を履いてるからいいとしても、ピカチュウの足はもうびしゃびしゃではないだろうか。そんなことを心配するくらいに長い間この闇の中を歩いている。
「・・・・長い。」
「ピッカピ」
トンネル、と言われているのだから一本道かと思いきゃそんなことは無い。
曲がりくねった道に、多くの行き止まり。ほとんど何も見えないので気を付けないと頭をぶつけそうになったり躓いて転びそうになったり。
やまおとこの例もあるのでトレーナーはなるべく避けて静かに歩き、だだっ広い空間に出たと思ったら人ひとり通るのに精いっぱいな細道になったり。
天然の洞窟。クチバシティから道沿いにいけたらと今更ながらに思う。
あの時は言われるがままに回り道してしまったが、見るだけでも十三番道路を進んでみるべきだったかと後悔する。
当時は考えることすら億劫だったので致し方ない、と自分を納得させつつも、こう足場が悪いと疲労も早い。暗闇の中ではあるが、一旦休憩することにした。
「ピカチュウ、少し休もう。」
そう言うと、腰かけるのに適当な岩を見つけ、トコトコと近づく。
リュックを降ろし、ふう、と一息つく。
「ピカチュウも休みなよ。」
そういいつつ、岩に腰かける。
ぐにゃり
「ぐにゃ?」
岩とは思えない質感に、サトシは首を傾げる。
腰かけた部分がサトシの身体に沿って凹み、手をついた部分の手触りも、冷たい岩ではなく、すこしひんやりする餅のような感じ。
ねばねばはしていないが、プニプニしている。
「うわああ!」
前につんのめる形でサトシはその岩から離れる。
世界広しといえど、座った途端にぐにゃりと変形する岩というものは存在しないだろう。おまけにプニプニと気持ちのいい触感。
目をつむって触っただけであれば良いのかもしれないが、懐中電灯で照らした見た目は完全に岩。
その岩が、今はうねうねぐにぐにと波打っている。
「・・・・何、これ。」
うねうねしている岩が、徐々にその色を変え、岩のようなゴツゴツした質感も、滑らかになる。
ちょうどサトシが座った部分に、二つの点と線が一本引かれた。
「・・・顔?って、あ、これもしかして――――」
ふと思い立って、ポケットに突っ込んでいたポケモン図鑑を手に取り、その謎の岩に向ける。
ポケモン図鑑が反応し、赤いランプをピコピコと点滅させた。
「――――メタモン。イワヤマトンネルにいるなんて。」
メタモン。へんしんポケモン。
その生態は謎に包まれており、細胞のつくりを自分で変化させて、他の生物のように変身できる。