ポケットモンスター 「闇」   作:紙袋18

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土日は番外編のショートでも書くかな、と思い立ったのでとりあえず。


【番外編】マサキの一日

「ぬあああああああああ!!!!なんででけへんねん!!この機械ぶっ壊れとるんちゃうんか!!まちごうとるわけないやろ!!天才やぞわい!!!!ぬあああ!」

 

 

 朝六時。

 散歩する老人も通らないハナダシティの北東の端。

 

 一軒だけ寂しく佇んでいる世界的に活躍中のエンジニア、マサキの家から絶叫が響き渡る。

 

 いつものことであり、その声で毎日のように驚くのは木々に止まって囀っている鳥ポケモンくらいである。

 

 

 

 マサキ。

 ポケモン預かりシステムを一人で構築し、一人で運用している化け物エンジニアである。

 過去システムが止まったことは一度も無く、大規模な停電が起きたとしても自己発電や副電源、副副電源など、個人でそこまで持ってるの頭おかしいとまで言われる程の設備。

 さらに、世界中のポケモンを管理するだけの処理能力を持つスーパーコンピュータに、保存するだけの容量を持つサーバ、万が一の時のためのバックアップ。

 

 

 仕事でやれと言われても絶対にやりたくない。

 ここまでいくと仕事ではなく「趣味」と言い切らないと継続できるものではない。

 朝の絶叫からするとストレスの塊のような気はするが、それでもマサキは延々と趣味に没頭する。

 

 

 

 

「くっそ、あれがこーであーでそーで、あかん。おうてるようにしか見えん。あーもうようやく組みあがったプログラムやのに、肝心のところでエラー吐きよって。腹立つわ~、なんで言うこときかんねん、このプログラム。くっそ、条件変えてステップ実行せなわからんか~何時やいま、六時!?もうそんな時間かいな!寝とらん!今日も寝とらん!!」

 

 

 

 どうやら修羅場のようである。

 マサキの一日は大体修羅場から始まることが多いようだ。

 加えて一人暮らしのため独り言も非常に多い。

 いくら大きい声で叫ぼうが喚こうが誰にも迷惑をかけないのが利点ではあるが。

 日中に偶然近くまで来たトレーナーがびっくりするくらいだ。

 

 

 

 

「あーー、朝までやっとったけど、全然眠うないで。とりあえず飯くおか。」

 

 

 

 睡眠時間など無い。絶対早死にするだろうという認識がありつつ、眠くないものは眠くないのだ。

 仕方がない。大人しく早死にするとしようと本気で考えているマサキ。

 

 逆に眠くなりやすい体質でなくてよかったとすら思っているくらいだ。

 

 

 

 ――――――――――――――

 

 

 

「あーっと、ここがこうで、ああああああ!ここ変えるとこっちにも影響するやないか!誰やこんな雑なプログラム組んだん!?ワイや!!!!ぬがああ!!!!」

 

 

 朝食を食べ、三時間ほどパソコンの前でプログラムと格闘する。

 殴って治るならいいのだが、残念ながら自分との争いである。

 

 

 

 コンコン

 申し訳なさそうに扉を叩く音がする。

 しかし、マサキには聞こえていない。

 

 

 

「あーと、この変数にこれが代入されて、関数が―――」

 

 

 

 コンコンコン

 先ほどよりも強めに扉が叩かれる。

 

 

 

「誰やあああああ!ワイは今大絶賛デバッグ中やああああ!!!邪魔しとるんやないぞアホンダラァァァ!!!」

 イスを蹴とばしてドタドタと大股で扉まで行き、勢いよく開ける。

 

 

 

 

「ど、どうも。」

 

「なんや、お前か。今日なんかあったか?」

 

「十時から打ち合わせです。例の、新しいシステムについて。」

 

「ああ、せやった。忘れとったわ。入ってええで。」

 

 

 

 システムが世界中で利用されているおかげで、マサキの元には次々と改修案件、提携案件、開発案件が入り込んでくる。

 

 夜通しマサキがプログラム開発に追われているのも、昼間はこういった打ち合わせが入ることが非常に多いためである。

 

 

 

 こうして、マサキは打ち合わせとプログラムに追われる日々を送っている。

 

 そして、たまにサトシのようなイレギュラーが舞い込んでくると、気分転換としていじり倒すのである。

 

 

 

 マサキなりに、日々を楽しんでいるのであった。

 

 

 

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