「日本の…っ!しかもボンゴレリングですか?!」
ステラをはじめ、ヴァリアー幹部たちはあまりの衝撃に時間が止まったような感覚を覚えた。
「う゛ぉい、クソボスぅ!聞いてねぇぞぉ゛!!」
「…ぅるせぇ、カス。」
「まぁまぁ怒らないで、ボス。あたしたちも驚いてるんだからぁ。」
騒ぐスクアーロに、苛立つザンザス。今にもワインボトルを投げつけそうなザンザスを見かね、ルッスーリアが止めに入る。
「ボス、もしかしてハーフボンゴレリングが届いたのかい?」
その言葉に、全員の視線がマーモンに集まる。
「ですが…マーモン君、確かハーフボンゴレリングの譲渡の権限を持つ九代目と門外顧問の推薦はどちらも日本の候補であったはずです。」
「…ステラ。」
ステラが記憶を辿る中、ザンザスが声を掛けたと思うと、突如何かが投げられた。驚いたものの、持ち前の反射神経で危うげなく受け止めると、
「…?!これ、雲のハーフボンゴレリングですかっ?!」
手の中には、確かに雲が象られた指輪があった。ザンザスは戸惑うステラを横目に他の幹部たちにも指輪を投げつけ、最後に自分の分の一つを指に嵌めた。
「カス共、それぞれの意味は分かってるだろうな?」
ベルフェゴールには嵐のリング。
「「荒々しく吹き荒れる疾風(はやて)」、「常に攻撃の核となり、休むことのない怒濤の嵐」ししっ、分かってるよ、ボス。王子は天才だからなっ!こんなの余裕じゃん。」
スクアーロには雨のリング。
「「全てを洗い流す恵みの村雨」、「戦いを清算し、流れた血を洗い流す鎮魂歌(レクイエム)の雨」当たり前だぁ゛、やってやらぁ。」
ルッスーリアには晴れのリング。
「「明るく大空を照らす日輪」、「ファミリーを襲う逆境を自らの肉体で砕き、明るく照らす日輪」輝くあたしにぴったりねん!任せてちょうだい、ボス。」
レヴィには雷のリング。
「「激しい一撃を秘めた雷電」、「雷電となるだけでなく、ファミリーへのダメージを一手に引き受け、消し去る避雷針」ボスの障害物はこのレヴィがすべて抹殺いたします!」
マーモンには霧のリング。
「「実態のつかめぬ幻影」、「無いものを在るものとし、在るものを無いものとすることで敵を惑わし、ファミリーの実態をつかませないまやかしの幻影」術師の僕にふさわしい役職だね。ボス、金は後で請求するよ。」
そして、ステラには雲のリング。
「「何者にもとらわれず我が道をいく浮雲」、「何ものにもとらわれることなく、独自の立場からファミリーを守護する孤高の浮雲」私は私の目的を果たすために。ボスを、ヴァリアーを、守ってみせましょう。」
ハーフとはいえボンゴレリングはボンゴレリング。敬愛するボスから渡ったそれに、幹部たちの興奮と緊張が増す。目をギラギラとさせ、まだ見ぬ敵を思い描いている。
「いいか、カス共。俺たちは最強の部隊だ。最強しか、許されねぇ。…分かってるな?必ず、勝つぞ。負けた奴は、かっ消す。」
容赦ないザンザスの言葉に全員が不敵に笑った。
ザンザスには大空のリング。
「全てに染まりつつ全てを飲み込み包容する大空」
幹部全員がザンザスがボスに最も相応しいと思っているからこそ、自分たちはその道を作るためにこの人の糧となろうという覚悟がある。
ここは最強の暗殺部隊、ヴァリアー。勝利だけを貪欲に求め続ける者のみが生き残る場所。
そこで生きる幼い1人の少女は笑う。その美しいシルバーブルーの髪をたなびかせ、黄金の瞳を輝かせて。
「我らがボスに、ゆるぎない勝利を。」
貰ったばかりの銃を指でくるりと回し、ステラはもう一度笑った。