ここからは目線が語り部ごコロコロ変わると思いますが、きちんと分かるように書いていくのでご安心下さい。
ザン兄様がハーフボンゴレリングを掛けて決闘すると宣言してから3日。
現在、スク兄様が情報収集も兼ねて日本の候補者のもとへと訪れている。
幹部がそれぞれ調整を進める中、私はザン兄様の部屋へと歩いている。
この時期に緊急の呼び出しなんて何かあったのでしょうか…?任務まで取り消しになったのですし…。(代わりはマモ兄様らしい。お金を貰ったなら仕方ないと言っていた。)
すれ違う隊員たちの挨拶に返事をしながら廊下を歩く。幹部とはいえど隊員の方々よりも年下なので、少しいたたまれない。様付けも敬語もなかなか慣れないです…。
以前と同じようにステラちゃんとかステラさんでいいですのに!
そんなことを考えていると、屋敷の最奥にあるザン兄様の部屋の前に辿り着いた。少し緊張しながら扉をノックする。
「ザン兄様、いらっしゃいますか?ステラです。入ってもよろしいでしょうか?」
「入れ。」
了承の返事を得られたようです。
当たり前ですね。ザン兄様からの呼び出しで入るなと言う方がおかしいですもの。されていたらキャラを忘れて「なんでやねん」とツッコもうと思っていましたが。
あ、余計なことを考えてしまいました。
「失礼します。」
扉を開いて中へ入る。
「ザン兄様?それともボスとお呼びした方が?」
「……好きにしろ。」
「ではザン兄様、用件はなんでしょうか?」
ボスと呼ばなくていいのならば任務ではないのでしょう。けれどいったいどんな……
「ボンゴレリングが幾つあるか知ってるか。」
とても基本的なことを聞かれました。
「大空、嵐、雨、雷、霧、雲の6つです。」
現にザン兄様が私たちに配ったのは6つのハーフボンゴレリング。ついこないだの出来事なのですが、それがどうしたのでしょう?
「言い伝えられているのは確かに6つだ。そして現在ボンゴレが管理しているのも6つだ。だがこれは正確な数じゃねぇ。本当は7つだ。」
「7…?!」
「残る1つの属性は『流星』。ステラ、お前には心当たりがあるはずだ。」
『流星』に心当たり…?確かに私の名はステラ(星)ですが、それぐらいしか思い浮かびません。
「言い方を変えればいいか?お前は既にそれを、『流星』のボンゴレリングを持っているはずだ。」
「?!!」
私が所持している…?!そんなことあるはずがっ
ーー思い出してーー
え……?今、どこからか声が。
ーー思い出して、巫女様ーー
ーーあなたのあるべき姿を、果たすべき役目をーー
?!?!
万全のセキュリティを誇るヴァリアーの屋敷のいったいどこから?!
ーー巫女様ーー
ーー大空に祈りを捧げし愛し子ーー
「巫女…?愛し子…?いったい誰のことを言っているの……?」
「おい、何言ってやがる。」
ーーあなたのことだよ、巫女様ーー
ーーこの声が届いているのはあなただけなんだからーー
「私が…?巫女…?あなたは誰なの…?」
「ステラ?ステラっ!!」
ーー思い出す時が遂に来たんだーー
ーー今こそ封印されし記憶をーー
「封印、記憶………。……ぅ゛ああっ!」
「ステラっ?!」
段々と近付いてくる声は直接頭に響いているようで、無意識に頭に手を添えると、突然激しい頭痛が襲った。
ーー巫女様ーー
ーー早く、早く、思い出してーー
声はさらに大きく響き、頭痛もどんどん増していく。険しい顔をしたザン兄様が何か言っているが、よく聞こえない。
「ぅ゛う、あ゛…あぁ゛っ!」
両手で頭を抱え、固く目を閉じると、ぼやけた映像が流れ出した。
「ーーー、すまない。ーーーーーを。」
「大丈夫よ。私はーーーーよ。ーーーもーーーー。」
「ーーー。」
男の人と女の人…?
「ーーーーね!ーー。だからーーーー!」
「ーーー。でもーーーーー。
「もうっ!ーーー!ーーーーっ。」
あなたたちは誰なの…?
「ーーーっ!」
「ごめんね、ーー、ーーー。ーーーをーーーー。」
「っ!!ーーー、ーーー!」
よく聞こえないよ…、よく見えないよ…っ!!
「ーーーーー?」
「ーー。だって、」
頭痛がふと軽くなったと思うと、女の顔と声が突如クリアになった。私とよく似た彼女は涙を浮かべて儚く笑い、けれど凛とした声で向かい合う男に言った。
「私は、ーーーーーだもの。」
その言葉が終わるのを合図に、頭痛が激しさを増して再び私を襲った。
ーー巫女様ーー
ーー今のあなたなら分かるはずだよーー
ーーあなたは、だぁれ?ーー
「わたし、は。」
何も分からないはずなのに、自然と出る言葉。何も知らないけれど、それが必然なのだと、どこかで認識している自分がいた。
「『流星の祈り人』」
言うと同時に部屋一面に眩い光が満ちる。
視界が真っ白になり、私は意識を失った。