良い朝だ、素晴らしい床だったぜ、皮膚が凍って張り付くくらいな!途中から観念して袋からベッド出して寝たわ!石畳舐めんな!今は竃を出して朝食の準備中である。
「卵とベーコンとパンにレタス!朝はゆっくり食いたいもんだ。あ、コーヒー出さねえと。」
「ケケケ!ウマソウナモンツクッテンナ!アアン!?」
「アレ?エヴァンジェリンは?」
「ゴシュジン?ゴシュジンナラオマエノベッドデネテンゾ?」
「マジ?」
「マジダ。」
「そんな、さっきまで俺だけ寝てた筈なのに、幼女様が寝ていらっしゃる!」
と、大袈裟に言ったが娘持ちのパパはあまり動揺しないぞ!
「まあ、そんなことより「「そんなことより!?」」ああ、起きてたの?」
ツッコミを入れるエヴァンジェリンとびおきる。何故か全裸。
「へ、あ、ああ。」
(マサカ、ソンナコト、デスマサレルトワ!)
「食うか?簡単な男料理だけど。」
「クウゾ!」
「お前食うんか!?・・・そう言えば食ってたか。どうぞ。」
「ワーイ。」
「わ、私もっ!その・・・食べたい、です。」
「ハイ、どーぞ。」
何故か家主が一番緊張している朝食も無事終わり、出発の準備をする。
「オ?モウイクノカ、ハヤイナ。」
「まあ、結局昨日は家主を倒して泊まったような物だし、俺は旅人だからな。んっ?」
なんだかエヴァンジェリンさんが泣きそうだー!
「ええ?倒されたのが悔しいのか?それとも俺が出て行くとダメなのか?」
エヴァンジェリンは顔を拭きながら言った。
「少し、話したいことが、あるのです。良いですか?」
初対面の時の育ちが良い感じの喋りが出ている。断ることも無いので話を聞くことにした。
「実は貴方が去ったあの日の夜、吸血鬼に、不死身にされてしまったのです。もう五十年も前のことです。そして、私はこの『吸血鬼』の力が制御できず、人、を・・・家族を・・・」
要約するとこんな感じだった。
「俺が去った後か。家族も、知り合いもなくこの城で生きてきたのか、そして、いつの間にか賞金首・・・嫌な話だな、だが妙だ、なんのためにお前さんを吸血鬼に?」
「実験、だそうだ。」
「復讐相手ももうこの世にいなさそうだな。」
しばし、沈黙。
「そうだな、でも話して、だいぶすっきりした、この五十年で間違いなく嬉しいよ、貴方に会えて。」
「しかしだ。」
「?」
「お前さんは俺に何をして欲しいんだ?」
「何とは、話を聞いて貰「そうじゃ無いな。」!」
その、小さな、震えている体を少し強引に抱き寄せた。
「一体何を!」
少し抵抗したが観念したようだ。
「泣けよ。」
「ハッ!涙なんてもう枯れたわ!もう流す涙も「でも、悲しいんだろう、憎いんだろ?ピンチに駆けつけてこず五十年も遅れてやってきた御伽噺や、死ねない体、いりもしない力、殺してしまった家族、あっさりと死んだ復讐相手も。全部が辛いんだろう?」ッ!」
顔を背けるエヴァンジェリン。
「そんな、こと、無「嘘だな、良いんだぜ、俺は旅人だからな、誰かに憎まれたまま何処かに行くのに慣れてるから。」クッ!い、いの?」
「ああ。」
目を見開きそして叫ぶ。悲痛に、哀しく。
「そうだよ!なんであの時来てくれなかったんだ!なんでこんな体にされたんだ!どうして・・・・全部、無くなったんだ!そんな全てが嫌だよ!辛いよ!誰か殺してくれよ!」
「分かった。」
「え?」
まだ、涙の出ていない目を見つめて言う。
「殺して欲しいんだな。」
「うん。早く、みんなの所へ逝きたいでも・・・「俺ならできる、それに、お前さんは吸血鬼じゃないからな、もっと簡単に殺せる。」え?」
「実際のところ、お前さんには『吸血鬼っぽくなる』魔法が掛けられてるだけだ。適合者の少ない身体強化魔法をかけられてる感じかな?」
「じゃ、じゃあ!私は死ねるのか!それじゃあ「だが断る!」ハア?如何してだ!なんでなんだ!」
「俺が、殺したく無いからだ。」
「じゃあ、何をしてくれるんだ!?貴方は!」
希望を見せられそこから突き落とされたような、そんな顔をしている少女。
(だから、俺はお前に憎まれることにする。)
少し強めに抱きしめ、頭を撫でる。
「い、一体何をするつもりなんだ!」
「まあ、今は泣いとけ。それが一番だ、それに、久しぶりの再会だ感動的なものにしたいじゃ無いか。」
「ぐ、う、泣かないぞ!じぇ、絶対に。」
そう言いながらも顔をガシガシ俺の胸マントにこすりつけ涙目になっている少女。ああ、多分俺は悪い奴なんだろうな。
「おやすみ、『スリプガIII』」
「ふに、ムニャ」カクン
「マ、マサカ、オレマデヤラレルトハ。」パタリ
そして、二人の記憶を少し改変する。主に俺にヘイトが向くように、そして、この少女が心を壊さずに居られるように。
「これで、よし。」
そう言って、俺はまた出発する。
原作まで、何年かな?よく年表知らないんだよね。