ソードアート・オンライン The road   作:light.SAO

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ウェッドの隠された技

俺のレベル上げは順調にいった。

最初に出た草原から猛ダッシュで入った森林でレベルの低い「フォレスト トレント」という安易すぎるネーミングの木人型モンスターをどんどん倒していった。安定して、HPもそれ程減ることなく危険にもさらされなかった。レベリングには成功したが、モンスター名はやはり安易すぎるのが俺的には気になる…

上の階に行けばオリジナリティ溢れる名前になることを個人的に期待したいのだが…

レベリングに成功した俺は1度アイテムの買出しの為に始まりの街へ戻ったが、その時の街の様子といえば少し悲惨なものであった…

街中で人たちが怒声を、悲鳴を上げ、他の人達といたるところで喧騒を広げている。

やはり1日やそこらで楽観的な気持ちになれるヤツなど到底いやしないだろう。むしろ、その怒りや悲しみをどこにぶちまけるか迷った挙句、街中でこんな事になったのだろう。大体の人たちはあの茅場晶彦の話を信じる気になったのは1日たっても強制的に外部からのログアウトが試しみられてないことで、デスゲームの始まりをβテスター達より1日遅く知ったのだろう。そして、その1日の間にβテスターが新規プレイヤーよりも多い人数がもう死んだと聞いている。βテスター同士での争い、もしくはβテスト時との敵の攻撃パターンの変更によって対応できず死んだものもいたのだろう。ここにいると、あらゆる負の情報が流れ込むような気がして俺は素早く準備を済ませ、また街から出ていくことにした。なんとなく、走って街から出ようとしたのだが、途中で何者かに話しかけられた。

「おめぇ、βテスターだよな。キリトってやつにあったら、仲良くしてやってくれ。同じテスター同士なら分かり合えることもあるんだろうから…」

話しかけてきたやつは相当なお人好しのようにみえた。だが、それより名前を言わずにそのような事を言ってきたので、警戒心がまだあった俺は少しきつく言ってしまった…

「まず、お前は誰なんだ?俺がβテスターであるのは確かだし、キリトとは言われなくても仲良くしていくつもりだ。そのうち攻略組というものが出来るだろうからな。」

冷たく言ってしまったのだが、やつは気にかけてはいなかったようだ。むしろ、安堵したような表情を浮かべていた。

「そうか、それなら良かった… 俺はクラインだ。いきなり話しかけて悪かったな。」

彼はそう言って、足早にその場を去っていった。

 

俺はその少し後に、狙ったかのようにキリトと会った。この時点で第1層の迷宮区を見つけるヒントになるキークエストがあったのでそのクエストのある場所に一緒に探索しないかと誘ってみた。迷宮区へのキークエストでは稀にその層には有り得ないようなレベルのモンスターが出現する時がある。勿論、倒せば報酬は美味しいのだが1人だと大抵厳しい戦闘を強いられる。それを考えた上でキリトを誘ったのだが、キリトはニヤッと笑いながら、俺の誘いを承諾した。

「なんで、ニヤニヤしてるんだ?変なやつだな。」

正直な感想を直球でぶつけてやった。

「それは、お前がβ時から変わらず俺の心配をやたらしてくるからだろ」

とキリトも直球によるカウンターをしてきた。確かに、心配だったのは心配だったのだがクラインの言った意図がまだ分からないせいで余計に心配になったのは言うまでも無いだろう。

 

第1層のモンスターは俺達のレベル的にはそんなに苦労することが無く、途中まで進めたのだが1つボス部屋と違った異様な雰囲気のある扉を見つけてしまった。

「キリト、入ってみるか?レアアイテムがあるかもしれない。お前のアニールブレードもいいものだが、更にいいのがあるかもしれないぜ。」

「お前の槍にも同じ言葉を返すよ」

アニールブレードは3層程度まで使えるほどいい武器であるが、俺が今使っているアニールスピアは同種のクエストで、あのネーミングが安易すぎる木人型モンスターの中で一際大きいヤツを倒すと報酬として貰えるのだが、剣よりも人気のない槍なのに何故か剣よりもクエスト内容が鬼畜なのである。大きいトレントが出る確率は1%以下という、何故こんなことをしたのか、GMに直接聞きたいところだ。しかも、普通のトレントを倒したところで確率は上がるわけでもないのだ。剣のクエストでは敵を倒すと確率は上がっていくのに…

こんなにも苦労したものよりも、更に強いものがあるのではないかと考えて行ってしまうのが、ゲーマーの性ってやつなのだろうか。2人して苦笑いしながら、扉を開けた。

部屋の中にはモンスターが何匹かいただけで、ものの数分で片付いてしまった。異様な雰囲気のあるドアだっただけに拍子抜けだったなと思い、キリトに話しかけようとした時、モンスターの出現する音がキリトと俺の耳に聞こえた。

 

突如現れたそのモンスターは第1層迷宮区ボスのイルファング・ザ・コボルド・ロードと同じ形をしているが、色が全体的に黒く、名前も違う。俺とキリトは瞬時にそのモンスター<イルファング・ザ・コボルド・サブスピーシーズ>つまり亜種型を倒さなければならないことを悟った。キリトと俺はやつの行動パターンがβテスト時の迷宮区ボスと同じであるか、様子を見ながら戦っていった。

「キリト、もうコイツはβテスト時と同じ行動しかしないな。総攻撃行くぞ!」

俺は今までの情報から、そう判断した。

「了解!ウェッド次のタイミングでスイッチいくぞ!」

キリトも俺と同じように判断し、すぐさま総攻撃が開始した。

 

HPが残り僅かになった時キリトが視線でトドメをさせと訴えてきた。視線で了解と答えるとキリトはソードスキル《バーチカル》を炸裂させ、敵が怯んだところに俺のトドメのソードスキル《スリーコンセクティブ》という三連続技を打ち込んだ…がボスのHPは非情にも俺のソードスキルあと2発分程度残っていた…

どうやら、やつの防御力はHPが残り数パーセントになると大きく上がるらしい。勿論、β時にはこんなモンスターはいなかったから知らないのだが…

 

ボスのソードスキルが来る事は分かっていたが、ソードスキル後の技後硬直によって俺達はモロにその攻撃を受けた。しかも、キリトの方には敵の武器に付与されていた麻痺属性というものによって麻痺状態になっているため、キリトは攻撃も立ち上がることさえもできない。逃げようにも動けない状態でメニューを開く事は不可能なので転移結晶はキリトは使えないとなると逃げる訳には行かない…

俺は確率による麻痺を避けたようでどうやら攻撃は可能だがあと1発攻撃を食らえば、キリトも俺もHPは全損する。回復は俺1人しか動けない状態で出来るわけもない。だとすると、ソードスキル2発分をやつに1回の攻撃で与えなきゃいけないことになる。俺のソードスキルは最高火力でもあの三連続の攻撃であり、それではボスのHPを全損させる事は不可能だろう。だとしたら、俺の中で使える技は一つしかない。

そこまで、起き上がるまでの間に考えた上で、ソードスキルによる技後硬直はボスにも有効だということを思い出した。だとしたら今この時しかやるチャンスはない!迷っていられる余裕なんてあるわけがない!

俺は再びボスにソードスキル《スリーコンセクティブ》を打ち込む…最後の一撃が打ち終わった瞬間に槍を左側へ投げ、右手の意識を無くすようなイメージで左手だけに集中する。左手に槍が移った瞬間、左手による第2のソードスキル《ダブル スラスト》をボスに打ち込んだ。これこそβテスト時に延々と練習したシステム外スキル《スキルコーパレーション》…

ボスのHPが全損し、死亡音が響いた。その後にクリアの文字が現れ、ファンファーレが鳴り響いた。宝箱が破壊されたボスのエフェクトの中から現れたのは確認したが、今すぐに見ることの出来ないほどに俺とキリトは疲れ果てていた…

「今の2連ソードスキルはなんだよ?なんかのチート技か?俺はもう死んだと思ったよ。ウェッド…」

キリトは驚いたような呆れたような顔をしながら俺に話してきた。

「スキルコーパレーションっていう技さ。コツがあってな、これを使えるようになるのにβテストの期間ほとんど費やしちまったよ。今度、一緒に練習してみるか?」

俺は苦笑いしながら、言葉を返した。

裏技であるが、難易度は最上級でこの技にβテスト時に気づいたのは俺だけだったようだ。勿論、俺も2回のソードスキルが限界でそれより連続で出来たことは無いのだが…

 

回復も済み、一旦落ち着いたところで宝箱の中身を確認した。やはり、ボスが強かったからか、レアアイテムが沢山入っていた。それらはキリトと山分けにしたのだが、1つ、その中でもレアそうな槍が入っていた。名前は<ハルバート>というらしい。外観は槍と戦斧の合わせたような武器である。ステータスを見ると3層まで使えるアニールスピアをゆうに上回る攻撃力を持ち合わせていた。

「おい、この槍の攻撃力からするに強化すれば5か6層までは必ず持つぞ」

俺は笑いながらキリトに言った。

「そうだな、使いこなせればの話だがな。」

キリトも軽口を叩きながらステータスの強さを見て俺の言ったことに頷いた。

 

このハルバートは切る、突く、断つ、払うという攻撃方法が可能なようでSAOに登場する武器ほぼ全ての特色を掴んでいた。たしか、現実世界でも万能武器と言われ、熟練兵士にしか扱えないものだったとか…その分、扱えるまでに時間はかかるのだろう…

扱えるようになれば、少なからず強くなれる。第1層攻略の時までに使いこなせるようにしてやる…新規プレイヤーが死なないようにするためにも、自身を守るためにも…

To be continued.

 

 

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