傷だらけのマーメイド   作:シママシタ

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千歌がスクールアイドルを始めたと聞いた果南は、複眼な思いになるが、出来れば応援したいと思い、ファーストライブを見に行くことにした。
しかし、そこでインベスが現れ、思わぬ事態に!


エピソード4

あの惨劇以降、果南はダイヤと鞠莉とは縁を切り、他人との関わりも徐々に薄れていった。最初の頃は鞠莉とダイヤも納得出来ず、求めたが、果南が一方的に拒否したため、進展はしなかった。

さらに、途中で鞠莉が両親の都合で海外に行くことになり、3人はいよいよバラバラになってしまったのだ。その結果、埋めることの出来ない溝が出来てしまった。

それからというもの、果南はずっとインベスと戦い続け、影ながら人々を救っていた。

 

「ねぇ、果南ちゃん?」

 

「どうしたの、千歌?」

 

ある日の放課後、ダイビングショップにみかん色の髪の天真爛漫な少女、高海千歌が遊びに来ていた。果南と千歌は幼馴染であり、一人っ子である果南にとって世話の焼ける千歌は妹のようで大切な存在である。

しかし、千歌は気づいていないが、あの時から果南は千歌との距離も取っている。

 

「今度ね、ライブやるんだ!」

 

「ライブ……ね。」

 

「だからね、見に来てよ!」

 

そう言って千歌は、時間だと言って、船の方へと帰って行った。

既に千歌がスクールアイドルを始めていたことは知っていたので特に驚きはなかった。

だが、過去にあんなことがらあったため純粋に喜べると言えば嘘になる。しかし、本気でやるなら応援したいと思っていた。

 

♢♢♢

そして、ライブ当日。台風が迫っていて、雨風共に強く吹き荒れ、天候は最悪であった。そんな中でも果南は複雑な思いを抱きながらもライブを行う浦の星女学院の体育館に向かっていた。

しかし、浦の星の正門で招かれざる客と出会ってしまう。

 

「こんな時に……。」

 

突然、クラックが開き、そこから初級インベスが複数現れ、さらに、大きな角を持った青いインベス、シカインベスも現れた。

そんな状況に果南は黙ってドライバーとオレンジロックシードを取り出す。

 

「変身!」

 

《オレンジアームズ 花道 on stage》

 

そして、仮面ライダー鎧武に変身、インベスへと斬りかかる。複数のインベスと上級インベスを同時に相手にするのは、鎧武でも流石にきついが、それでも着実に初級インベスを倒していく。

 

「はぁ!」

 

最後の初級インベスを倒し、残るはシカインベスのみとなり、鎧武は無双セイバーと大橙丸を構える。

 

「グギャア!」

 

そして、シカインベスが身震いをし、勢いよく、鎧武に飛びかかる。その攻撃を鎧武は軽々と避け、後ろからシカインベスを斬りつける。シカインベスの背中からは勢いよく緑色の鮮血が吹き出し、のたうちまわる。

その隙に鎧武はカッティングブレードを下げ、必殺技を決めようとした時、ある重要なことに気づく。

シカインベスの傍に、グロテスクな色をした果実、ヘルヘイムの実が落ちていたのだ。鎧武は咄嗟にヘルヘイムの実を回収しようと駆け出すが時は既に遅く、シカインベスの手に渡ってしまった。

 

「しまった!」

 

傷だらけのシカインベスは無我夢中で果実を貪り食い、グチャグチャと下品な音を立てる。

そして、食べ終わると、すぐにシカインベスの体が筋肉隆々となり、大きさも倍以上となり、角も鋭利になり、強化してしまった。さらに、性格もさらに凶暴に獰猛になっていた。

 

「グオォォォォォォ!」

 

凄まじい雄叫びと共にシカインベスは鎧武に先ほどとは比べ物にならないほどのスピードで迫り、強烈なパンチをくらわせる。

 

「くあっ!」

 

その威力に鎧武は吹っ飛ばされるが、無双セイバーと大橙丸を地面に突き刺し、踏ん張って何とか堪える。だが、すぐさまシカインベスは鎧武に襲いかかり、強烈な蹴りをいれる。

 

「ガァッ!」

 

仮面の奥で血反吐を吐き、鎧武は地面に叩きつけられる。鎧武はそんな衝撃を受けながらもヨロヨロと立ち上がる。

その時、思わぬことが起きしまう。シカインベスが突然、暴れて周りにある木や信号機を壊し始め、さらに送電線まで引きちぎってしまった。

 

「は……あ!」

 

鎧武はぶら下がった送電線を見て、心の奥からドス黒い何が湧き上がる。あの送電線は浦の星女学院に繋がっており、それが切れるということは浦の星に電気が供給されなくなる。

今、浦の星では千歌達がライブを行っている。ライブの最中に停電してしまえば、まともに続けることは不可能となり、ライブは失敗に終わるだろう。

デビューライブが失敗に終わる。それも身勝手なインベスのせいで。

 

「ハァァァァ!」

 

インベスは何もないただ人間たちの幸せを喰らっていく。そんな理不尽さが許せず、鎧武は激しい怒りに襲われる。

そして、サイドのホルダーからパイナップルを象ったロックシード、パインロックシードを取り出す。

 

《パインアームズ》

 

パインを開け、ベルトにセットされていたオレンジを外す。すると、今まで纏っていたオレンジアームズは粒子となって消えた。

そして、代わりにパインをセットすると頭上にパインアームズが現れた。最後にブレードを下げ、パインを切る。

 

《パインアームズ 粉砕 DESTROY》

 

鎧武にパインアームズが装着され、黄色の鎧を纏った戦士へと変わる。

そして、装着されるやいな、手に持っていたパイナップル型の鎖鉄球、パインアイアンを大きく振り回し、シカインベスを殴りつける。

 

「グギャア!」

 

シカインベスが苦しそうに喚いても、鎧武に緑色の鮮血がかかっても鎧武は攻撃は止めず、殴りつける。そこには情も慈悲も何もなく、殺意しかない。まるでその姿は鬼神。

 

「絶対に……許さない!」

 

《パインスカッシュ》

 

ブレードを下ろし、鎧武は一気に跳び上がる。パインアイアンをシカインベスに投げつけ、そして鎧武は右脚を突き出し、「無頼キック」を決める。

 

「セイハァァァァァ!」

 

無頼キックが直撃したシカインベスはそのまますぐに爆散する。

戦いを終え、鎧武は雨の中、呆然と立ち尽くす。返り血は雨によって既に流さていた。

そして、鎧武はおもむろに上を向く。仮面にあたる雨は複眼を伝い、まるで涙のように流れていった。

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