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序章
1 未知の敵
東京中央議会
東京中央議会の廊下を2人の男女が歩いていた。
「下らんな」
「もーいっちゃんたらー」
2人の名前は朱雀一弥と宇多良カナリア。
防衛首都東京の主席と次席である。
今日は同時期に東京と千葉の主席と次席が変わった為、三都市の顔合わせが行われることとなった。
「今はこの様な事に時間を使うのでは無く訓練と調査に時間を掛けるのが合理的だろ」
「それもそうかもしれないけど。それでも仲間との交流は大切だとお姉ちゃんは思うわけだよ」
「弟扱いは止めろ。今じゃ同い年だろうが」
「むーもう少し早くコールドスリープから目が覚めてたらお姉ちゃんのままだったのにー」
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コールドスリープ
30年前に現れたアンノウンから子供を守る為、子供たちを安全な場所で成長を止めたままアンノウンとの戦争が終わるまで寝かせていたこと。
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カナリアはコールドスリープ前は朱雀よりも年上だったのだが朱雀よりも後に目覚めた為に2人とも同い年になってしまったのだ。
「まあ仕方ないか。急ぐぞカナリア」
「了解!」
「(どんな奴が仲間になろうと関係ない。俺だけいれば十分だ)」
朱雀はそう思いながら立ち止まり、外を見た。
半年前まではここから埼玉の方が少し見えていた。
だが今では大きな壁によって見えなくなっている。
半年前に突如現れた大きな壁。
それは防衛都市をすっぽりと囲み三都市からでれなくなっていたのだ。
海の方から越えようとすればちょうど侵入禁止区域に入っており、壁を乗り越えようとすればある程度のところで透明な壁に阻まれて壁の向こう側はどうなっているのか全く分からないのだ。
この壁についても調査を進めていきたいのが上の考えなのだがアンノウンの襲撃もある為全く調査が出来ていないのが現状だ。
「いっちゃんいくよー」
「分かった」
会議室
「おーやっときたね〜」
「遅いぞ」
そこで待っていたのは神奈川の主席と次席、天河舞姫と凛堂ほたるだ。
「すいませーん」
「でもまだ千葉の奴らが来てないようだが」
「それでもだ。14時が集合の時間だったはず。それならその時間までに来るのが普通だ」
「(この2人が神奈川の主席と次席か。主席は前から知ってはいたが次席は初めて見る顔だ。どうやら変わっていたみたいだな)」
「それじゃ千葉の人たちが来るまでのんびり待とっか」
天河がそう言った時それは起こった。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
「っ!なんだこの音は」
「アンノウンの襲撃?」
「違う!外を見ろ」
4人の眼の前で有り得ない事が起こったのだ。
半年間壊れもせず存在していた壁が地面の中へと消えていったのだ。