ニセコイ~サンカク関係どころではない話し~   作:通りすがりのぬこ様

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第2話:落し物のソウサク

今日から俺たちのクラスメイトとなった転校生の桐崎千棘。

 

彼女は転校初日でクラスの男子を殴り飛ばすという、彼女から見ても俺たちから見てもインパクト抜群のデビューを果たした。

 

 

「おーっと!桐崎選手の右ストレートが一条選手の顔面に炸裂ッ!一条選手動けなーいッ!!!」

 

「いや~良いパンチですね。あれは世界を獲れるパンチですよ」

 

「なにしてんだお前ら………」

 

 

楽がぶっ飛んだ直後、佐藤と集がボクシングの実況と解説の真似事をしだした。

 

 

「いやぁ楽しそうだったらつい」

 

「悠も混ざろうぜ~」

 

「断る」

 

 

ほかの生徒がポカーンとしてる中、すぐにふざけるとか無駄に対応力高いなおい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

朝のHRが終わり、教室がまだ賑やかになる。

 

そんな中、あの二人は―――

 

 

「どうしてくれんのよ!恥かいちゃったじゃない!」

 

 

場所を廊下に移して口論の続きをしていた。ほんと飽きねぇなぁ。

 

そんな二人の様子を、俺・集・佐藤の三人が眺めている。

 

 

「あの子が膝蹴りの主?」

 

「そうらしいな」

 

「信じられねぇよなぁ。あんな可愛い子があの塀を飛び越えるんだぜ?」

 

「それで膝蹴りかぁ……でもオレ、可愛い子の膝蹴りなら喰らってみたいかも!」

 

「あ、それ分かるすごく分かる」

 

「そうかそうか。じゃぁ俺がお前らのそのくだらない願望を叶えてやろう」

 

「えっ!?マジで!?」

 

「悠が膝蹴りするのはなしだぞ?」

 

「安心しろ。膝蹴りかは分からんが可愛い子なのは保証してやる」

 

 

そして俺は教室に向かってとある女子生徒の名を呼んだ。

 

 

「おーい宮本。集と佐藤が今日のお前の下着の色を予想し合ってるぞー」

 

 

俺の言葉に反応し、瞬く間に修羅と化した宮本がすぐさま動き出した。

 

 

「待て悠!たしかにるりちゃんは可愛いが―――」

 

 

 

 

 

それが、集の最期の言葉になった………

 

 

 

 

 

「か、勝手に…殺す…な……」

 

 

ちっ。まだ生きてやがったか。

 

しかしあれだな、宮本は一発の威力はそんなでもないが確実に急所を狙ってくる上に連続で決めてくるから、もしかしたら桐崎よりもやばいかもしれん。

 

 

「まったく。なんでバカなことしか考えないのかしらこの人たちは」

 

 

逃げ出した佐藤を仕留め終えたらしく、宮本が戻ってきた。

 

しかし、まさかノータイムで信じるとは。でもあいつらならやりかねないからな。日頃の行いが行いだ。

 

 

 

その後、教子先生の独断で隣同士にされた二人がまた口論するということがあったが、それがすでにこのクラスにおける日常の一つになりつつある時にそれは起こった。

 

 

「ない……ない………」

 

 

後ろの席からそんな声がしたかと思えば―――

 

 

 

 

 

「俺のペンダントがないいいいいいっ!!!」

 

 

 

 

 

そんな叫び声が聞こえた。

 

大分耳に来たから、俺は文句を言うために振り返る。

 

 

「おいうるせぇぞ楽!」

 

「はっ!そうだあの時だ……絶対あの時だ……」

 

 

俺の声は届いてないらしく、力強く隣にいる桐崎を睨む。

 

 

「おい、無くしたペンダント捜すの手伝え」

 

「ハァ?なんで私がそんなもの捜すのを手伝わないといけないわけ?」

 

「お前の膝蹴り喰らったせいで無くしたんだよ。お前も捜すのが筋ってもんだろ」

 

「嫌よ一人で捜せば?」

 

 

飽きもせずまた口論し始めたので、俺はイヤホンを耳につけてスマホから音楽を流し始める。

 

騒がしいのはまだいいが、五月蝿いのはごめんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

放課後。俺と集は失くしたペンダントを捜す手伝いをすることにした。

 

俺たちはあのペンダントがなんなのかは知らないが、あいつが大事にしてるということはよく分かってるからな。

 

俺たち以外にはペンダントの話を聞いた小野寺と渋々といった感じの桐崎が手伝うことになった。なんだかんだ言いつつちゃんと手伝うんだな桐崎のやつ。

 

 

 

 

 

捜索1日目。

 

教子先生が何を考えているのかは知らんが、今度は桐崎を飼育委員にしやがった。楽も飼育委員だからまた口論でもしてんだろうな。

 

今日は楽が膝蹴りを食らったという場所の周辺を捜してみたがペンダントは見つからず。

 

 

 

 

 

捜索2日目。

 

桐崎が国語の授業で苦戦してたのを見かねた楽がノートを貸そうとしたが突っぱねられてまた口論してやがった。代わりというわけじゃないが俺のノートを貸したら小さな声で感謝された。

 

たぶん悪いやつじゃないんだろうな。楽のやつとは出会い方と相性が最悪なだけで。

 

今日は捜す場所を変えてみたがペンダントは見つからず。

 

 

 

 

 

捜索3日目。

 

桐崎が体育の授業で大活躍してた。やはり運動能力は高いようだ。あと負けず嫌いなようで、100m走で俺が桐崎のタイムを抜いたら悔しがってた。

 

今日も捜す場所を変えてみたが見つからず。

 

 

 

 

 

捜索4日目。

 

今日はバイトがあったから手伝えず。バイトが終わって楽に電話してみたら今日も見つからなかったらしい。

 

 

 

 

 

捜索5日目。

 

英語の授業で苦戦してたら、授業が終わったあと桐崎が分からないところを教えてくれた。なんでもこの間のノートのお礼のつもりらしい。やっぱ良いやつじゃん。

 

今日もまた場所を変えたが見つからず。

 

 

 

 

 

捜索6日目。

 

ヤクザとギャングが撃ち合いしてるところに遭遇した。なんかどんどん酷くなってぇか?

 

今日もやっぱり見つからず。ここまで捜しても見つからないとなると、誰かが拾ってる可能性があるな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

楽がペンダントを無くして一週間。

 

今日は口うるさい先生に捕まったため、手伝うのが遅れてしまった。

 

雲行きが怪しいため、朝持ってきた傘を手に校舎の外へ。

 

楽たちが捜してるであろう場所に向かうと、小野寺の後ろ姿が見えた。なんか突っ立ってるようだが、何して―――

 

 

 

 

 

「うるっせぇな!!!だったら捜さなくていいからどっかいけよっ!!!」

 

 

 

 

 

それは、滅多に聞かない一条楽の、本気の怒声だった。

 

ポツリ、ポツリと雨が降り出したので傘を差す。

 

近づいていくと、桐崎がゆっくりと歩きながら小野寺の隣を通り過ぎ、俺の隣も通り過ぎていった。

 

その時の表情は、まるで怒っているかのようだった。

 

 

「あっ、久堂くん」

 

 

小野寺の隣に立つと、雨の向こうで楽が立ち尽くしているのが見える。

 

 

「……小野寺、傘持ってきてるか?」

 

「えっ。うん持ってきてるけど」

 

「じゃぁもう今日は帰れ」

 

 

ただ一言だけ言うと、俺は楽のもとへ向かった。

 

 

 

 

 

「お前があそこまでブチギレるなんて珍しいな」

 

「悠か……見てたのか?」

 

「お前が叫んだところだけな」

 

「そうか………」

 

 

背中しか見えていないからどんな顔をしてるのかは分からないが、こいつが今何を思っているのかはなんとなく分かる。

 

 

「楽。お前も今日は帰れ」

 

「いや、俺は「いいから帰れ。風邪ひいたら捜すどころじゃなくなるぞ」

 

 

 

 

 

「一条くん!」

 

 

 

 

 

楽を呼ぶ声がしたので振り向くと、可愛らしい傘をさした小野寺がいた。その手には、タオルを持っている。

 

 

「……この雨の中で捜すと小野寺を心配させることになるが、それでも捜すか?」

 

「………わーったよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

捜索7日目。

 

今日は、捜索を中止した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

捜索8日目。

 

今日から桐崎が抜けて、俺と楽と小野寺の3人で捜すことに。集は用事があるとかで割と早い段階で抜けている。

 

学校の敷地内はもう大分捜したと思うが、今日もやはり見つからず。

 

 

 

 

 

捜索9日目。

 

今日は念の為に学校に一番近い交番に行ってみた。しかし、ペンダントの落し物は届けられていないという。

 

結局今日も見つからなかった。

 

 

 

 

 

捜索10日目。

 

ここまで捜しても見つからないとなると、誰かに拾われて捨てられてるか私物化されている可能性が高いがここはポジティブに考える。

 

俺は二人に今まで捜した場所にあるが見落としている可能性を指摘し、捜した場所をもう一度手分けして捜すことにした。

 

俺は1日目に捜した、楽が膝蹴りを喰らった現場周辺を訪れたのだが、すでに先客がいた。

 

 

 

 

 

「……なにやってんだ?桐崎」

 

 

 

 

 

それは、すでにペンダントの捜索からは手を引いているはずの桐崎だった。

 

 

「えっ!?あ、あんたは……どうしてここに……」

 

「俺は捜した場所をもう一度捜してみようってことになったから捜しにきたんだが……そういう桐崎はなんでいるんだ?何かを捜してるみたいだけど」

 

「私は……えっと……コンタクト!そうコンタクトを落としちゃったのよ!」

 

「コンタクトねぇ~……」

 

「な、なによ」

 

「別に」

 

 

桐崎がコンタクトを使っているのかは分からないが、態度からしてウソっぽい。

 

でもまぁいいか。コンタクトの話が本当だとしてもこの辺りにペンダントが落ちてれば偶然見つけてしまうこともあるだろうしな。

 

もっとも、コンタクトの話が本当なら「諦めろ」と言いたくなるが。アスファルトの上でも見つけづらいのにこんな雑草生い茂るところから落ちたコンタクトを見つけるなんてまず無理だろ。

 

 

「なぁ桐崎」

 

「なによ?」

 

「桐崎はこの塀を飛び越えたところで楽にぶつかったんだよな?」

 

「そうだけど、それが何?」

 

「だとすると、衝撃は塀とは反対の方向に流れるはずだから塀の方には行かないはず。落ちてるとしたらたぶん反対側だ」

 

「あっ。そっか」

 

 

二人で手分けして塀とは反対側の草むらを捜す。

 

10分、20分と時間は過ぎていき、30分が経とうとしている時―――

 

 

「……あっ。あった!たぶんこれじゃない?」

 

 

視線を向けると、桐崎の手の中には見慣れたデザインの大きめのペンダントがあった。

 

 

「それだそれ。やーっと見つかったかぁ」

 

 

楽のやつ、大事な物のくせに今までに何度も無くしてその度に俺や集が捜したが、10日間は過去最長だぞ。

 

 

「ねぇ」

 

「んっ?」

 

「これ、あんたが渡してやって」

 

 

ぶっきらぼうにそう言うと、ペンダントを俺の方へ投げてきた。

 

 

 

パシッ!

 

 

 

「なんでだよ。見つけたのは桐崎だろ?」

 

「私はこれから用事があるの!じゃぁね」

 

 

スカートをパンパンとはたき、どこかへ行こうとする桐崎。途中、立ち止まったかと思えば振り返り―――

 

 

「あと、私が捜してたってことはあのバカには言わないで。絶対だからね」

 

 

そう言い残し、今度こそどこかへ消えていった。

 

ったく。ほんと素直じゃねぇな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ペンダントをポケットにしまい、楽と小野寺が捜している場所へとやってきた。

 

 

「んっ?悠じゃないか。見つかったのか?」

 

「ああ。ほれ」

 

 

ポケットから取り出し、楽に向かって投げよこす。

 

 

「ペンダント見つかったんだ!良かったね一条くん!」

 

「ああ!ありがとな悠!」

 

「礼なんかいらねぇよ。見つけたの俺じゃなくて桐崎だし」

 

「はっ?」

 

「あいつ曰く、コンタクトを落としてそれを捜してたら偶然それを見つけたんだと」

 

 

桐崎には「捜してた事は言うな」と釘をさされたが、ペンダントを捜していたことは言ってないから問題ない。

 

 

「そうか……あいつが………」

 

「……なぁ楽」

 

「んっ?」

 

「お前が桐崎のことをどう思おうが知ったこっちゃねぇが、あえて一言だけ言わせてもらうと―――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あいつ、結構良いヤツだぞ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




【あとがき】

千棘は好きだけど、あれはさすがに言い過ぎだと原作を読んでて思った

あと、一条はペンダント無くし過ぎだと思う

原作ではペンダント捜索に舞子は関わってないけど、幼馴染で関わらないのは不自然な気がしたので一緒に探させました

まぁ出番ほとんどなかったし途中で消えたけど
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