ニセコイ~サンカク関係どころではない話し~   作:通りすがりのぬこ様

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第3話:トモダチの作り方

 

楽のペンダントが見つかった日から3日後。

 

土日をはさんで2日ぶりに教室に入ると、全体が妙にざわついていることに気がついた。

 

 

「おい集。落ち着きのない奴らばかりだけどこれから何かあるのか?」

 

「あぁそうだとも!なんてたってこれからラブラブカップルが登校してくるからなっ!」

 

「ラブラブカップルぅ?」

 

 

このクラスにカップルなんていたか?

 

 

「おい久堂お前知らないのかよ?」

 

「何が?」

 

「一昨日の土曜、一条と桐崎さんがデートしてたんだってよ!」

 

 

佐藤の話を聞いて、耳を疑った。

 

 

「は?あの二人がデート?どっから飛び出したんだよそんなデマ」

 

「デマじゃないって!板野と城ヶ崎が見たっていうんだよ!」

 

「あれは間違いなく一条と桐崎さんだった!見間違えでは断じてない!」

 

「しかも桐崎さんがフリフリのワンピース着ててさ!あれ絶対勝負服だぞ!」

 

 

板野と城ヶ崎がデマではないと力説するがまったく信じる気にはなれない。

 

だってこの間まで顔を合わせる度に言い合いしてた奴らだぞ。そんな二人がいきなりデートだなんて信じられるか。

 

 

そうこうしていると、教室の扉が開いて渦中の二人が入ってくる。

 

次の瞬間、教室を漂っていた空気が爆発した。

 

 

 

 

 

「二人ともおめでとー!」

 

「お前ら付き合うことになったんだってな!」

 

「末永くお幸せにー!」

 

「一条のクソが!孫に囲まれて老衰で死にやがれこの野郎!」

 

「べ、別に羨ましくなんかないんだからね!」

 

「一条コロス一条コロス一条コロス」

 

「爆発しろおおおお!!!」

 

 

 

 

 

祝いの言葉や呪詛の声が聞こえたりツンデレが湧いたりとなかなかカオスなことになった教室。

 

場の流れについていけない俺は自分の席に座り静観することにする。

 

 

「なんなんだよこれ!?一体何の話だよ!?」

 

「とぼけんなよ一条!ネタは上がってるんだ!」

 

「一昨日の土曜、楽と桐崎さんがデートしているところを板野と城ヶ崎が目撃してしまったのだよー!」

 

 

楽しそうだなあいつら………

 

てか、デートというか二人でいるところを板野と城ヶ崎が見ただけだろ?なのに付き合ってるとかいろいろ飛躍してねぇか?

 

 

「ちょっと待てみんな!それ全部誤解なんだって!」

 

「照れんなよ一条~」

 

「いいから俺の話を聞けッ!!」

 

 

 

 

 

力がこもった一声に盛り上がっていた教室が静かになる。

 

 

 

 

 

「いいか?これには深いわけが―――」

 

 

楽が事情を説明しようとしてるようだが、なんか固まったな。桐崎も。

 

 

「なんだよ深いわけって?」

 

「誤解がなんだって?」

 

 

さっきとは違う意味で教室がざわつき始める。

 

そんな空気を壊すかのように楽が言葉を発する。

 

 

 

 

 

「そっ、そーそー誤解なんだよみんな。俺たちはカップルじゃなくて………超ラブラブカップルだっつーの!!!」

 

 

 

 

 

次の瞬間、教室が冷やかしの声で埋まった。

 

完全に場の空気から取り残された俺に、同じく取り残されたであろう女子が声をかけてきた。

 

 

「久堂くん。どう思う?」

 

「宮本か。どう思うもなにも怪しすぎるだろ。みんなバカなんじゃねぇのか?」

 

「私も同じ意見だわ。あんなに言い争いをしてた二人が数日で好き合うなんて考えられないもの」

 

 

さすが宮本。俺と同じように一歩引いた目線であの二人をよく見てる。

 

 

「で、宮本はどう考える?」

 

「“カップルを演じさせられている”と考えるのが妥当じゃない?誰かどういう理由であの二人をカップルに仕立てあげてるのかは分からないけど」

 

「あの二人が進んでカップルを演じるわけねぇしな」

 

 

俺もどこの誰がどういう理由であの二人にカップルを演じさせているのは分からない。

 

でも、この件に楽の家が関わっているのだろうとは思う。そして、楽の家である集英組と小競り合いを繰り返しているギャングも。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数日後。俺と集は休み時間に「相談がある」という楽に呼び出された。

 

 

「で?なんだよ相談って」

 

「どうせ桐崎さんのことだろ」

 

「うっ!」

 

 

図星か。

 

 

「何したんだよおまえ~。いいか?女の子ってのは砂糖菓子みたいに繊細なんだぞ~?」

 

「なんもしてねぇって」

 

 

女が繊細ってのは分からなくもないが、桐崎は正直あまり繊細には見えないよな。お菓子というよりは肉っ!てイメージだ。

 

 

「それで、どうだったのかね?一条クン。彼女の唇の味は」

 

「してねぇよんなこと!」

 

「ほらバカやってないで早く本題に入れ時間ねぇんだから」

 

「お、おう」

 

 

そして、楽が相談したいということを喋り始める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……なるほど。よく分かんないけどその秘密とやらを友達になら言ってもいいんじゃないかと」

 

「大体そんな感じ」

 

「で、それを言ったら桐崎にキレられたと」

 

「まぁそんな感じ」

 

 

なるほどねぇ………

 

 

「俺にはあいつがなんでキレたのかさっぱり分からん。まぁ単純に虫の居所が悪かっただけかもしれねぇが」

 

「虫の居所っつーかよ、たぶん『そんな友達がいたら苦労しねぇーんだよ死ねイ〇ポ野郎』ってことなんじゃねぇの?」

 

「ちょっと待て。今のはたぶんあいつの気持ちの代弁だよな?なんか余計なのが混ざってなかったか?」

 

「気のせいだろ」

 

「悠の今の言葉はあれだけど、大体そんな感じだと思うぞ。桐崎さんってまだ転校して日が浅いんだし」

 

「えっ。あいつ友達いねぇの?」

 

「いや知らんけど」

 

「でも俺、あいつが女子と普通に喋ってるところ見たことあるぞ?」

 

「そりゃ俺も見たことあるけどさ。でも、桐崎さんがお前以外の誰かと仲良くしてるところって見たことないんだよな」

 

「えっ…」

 

「たしかにな。俺も喋ってるところは見たことあるけどよ、誰かと一緒になって遊んだり騒いだりしてるところは見たことねぇわ」

 

 

どちらかといえば社交的な方なんだろうが、まだ仲良くなるきっかけを模索してるみたいな感じなのかね?

 

周りも距離の詰め方がまだ分からないから様子見してるんだろうな。

 

でもまぁ、周りがなにかせんでも自ずとできるだろ桐崎なら。

 

 

 

 

 

キーンコーンカーンコーン

 

 

 

 

 

「やべっ!急いで教室戻らねぇと!」

 

 

次の授業の始まりを告げるチャイムが鳴り、俺たちは慌てて教室へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

放課後。

 

俺は佐々野というクソみたいな先公に捕まったせいで最高に不機嫌だった。

 

あの野郎……俺のことが気に入らねぇからって難癖つけてきやがって。野郎の出っ歯へし折ってやろうか………

 

 

「おっ!いたいた。おーい悠――ってど、どうした!?めっちゃ不機嫌そうだけど」

 

 

廊下の向こうから楽が声をかけてきた。桐崎も一緒だが、なんか怯えてるっぽい。

 

 

「佐々野に絡まれた」

 

「あぁ……どんまい」

 

 

佐々野のクソっぷりは生徒のほとんどが知っている。

 

「何かあったの?」という問いに「佐々野」と答えればそれだけで理解されるぐらいだ。

 

 

「で、どうしたバカップル。惚気ならよそでやれ」

 

「そんなんじゃねえって。お前に頼みがあるんだ」

 

「頼みごと?」

 

「ああ。こいつの友達になってやってくれねぇか?」

 

 

楽がそう言った瞬間、ヤツの側頭部に横から強い圧力がかかり、軽くぶっ飛んだあと壁に激突してそのまま沈黙した。

 

視線を動かすと、そこには右の拳を突き出しながら息を荒げている桐崎の姿が。

 

 

「あんたなに言い出してるのよ!そんないきなり「友達になって」とか言われたら普通困惑するでしょうが!」

 

「しゃーねぇだろ他に良い言葉が思いつかなかったんだよ!!」

 

 

別に口論するのは構わねぇが、俺の前で言い合うのはやめてくれねぇかなぁ………

 

 

「よく分かんねぇけど、友達になるぐらいなら別にいいぞ」

 

『えっ!?』

 

「無駄にハモんな。そしてなぜ驚く」

 

「いやだって……本当にいいのか?」

 

「いいって言ってんだろ。それにお前の時だってそうだったろうが」

 

「……え?俺の時?」

 

「覚えてねぇのか?俺とお前が知り合ったきっかけ」

 

 

覚えてないようなのであの時のことを話すことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

小学1年の頃。昔から明るい性格じゃなかった俺は友達と呼べるやつがいなかった。

 

楽のやつも、実家がヤクザで他のやつらの親が「あの子には関わるな」て言ったのか、友達らしい友達は当時、すでに仲良かった集ぐらいだ。

 

ある日、俺がいつものように一人でいると集が楽を引っ張るように連れてきてこう言った。

 

 

 

 

 

「あのさ、こいつの友達になってくれないか?」

 

 

 

 

 

友達が欲しいとは思ってなかったが、いらないとも思ってなかった俺は「別にいいけど」と答え、俺と楽は一応の友達となった。

 

それから時々二人で、あるいは集を入れて三人で遊ぶようになった俺たちは徐々に仲良くなっていき、今みたいな関係になった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ということがあったわけなんだが、思い出せたか?」

 

「ああ。そんなことあったなぁ」

 

「へぇ。それで仲良くなったんだあんたたち」

 

「それより、桐崎はどうしたいんだ?」

 

「えっ?」

 

「こいつは「友達になってやってくれ」って言ったけどよ、でも桐崎が「友達になりたい」と思ってないと意味ねぇんだよ」

 

 

本気で「友達になりたい」と思ってるならいいが、そう思ってないから楽の言葉はただのはた迷惑なお節介だ。

 

俺としては正直、友達になってもならなくてもどっちでもいい。桐崎の気持ち次第だ。

 

 

「わ、私は………と、友達になってあげても、いいけど………」

 

「あっそ。俺はなって欲しいと思ってないからいいわ。じゃあな」

 

「ちょっ!!さっきはなってもいいって言ったじゃない!」

 

「“なってもいい”とは言ったが”なってほしい”とは一言も言ってねぇよ。てかなんで上から目線なんだよ」

 

「うぅ~!」

 

 

「友達になってほしい」となかなか言い出せず、少し顔を赤くしながら唸りつつこっちを睨んでくる。

 

マジで素直じゃねぇな。

 

 

「ったく……お前ら、今日このあと暇か?」

 

「えっ。特に予定はないけど」

 

「俺も暇だけど、それがどうした?」

 

「じゃぁ今から勝負しにゲーセン行くぞ。総当りで一番負けた奴はファミレスでなんか奢りな」

 

「ハッ?なにをいきなり」

 

「友達っつったら遊んだり騒いだりするもんだろうが。友達になる気がないなら来んな」

 

 

そして、俺は二人に背を向けて歩き始める。

 

 

「ちょっと待ちなさいよ!」

 

 

桐崎と楽が慌ててあとを追うように走ってくる。

 

ゲーセンでの勝負は俺が二勝、桐崎が一勝一敗、楽が二敗という結果になり楽がおごることになった。

 

桐崎のやつ、俺に負けた時はほんと悔しがってたな。こりゃまた近いうちに勝負しそうだ。

 

 

 




【あとがき】

素直じゃないと言いながら主人公も素直じゃない。ふたりはツンデレ

ストーリー序盤でのあの二人のニセコイ関係って冷静に見るとかなり怪しいんですよね

まぁ周りが怪しみすぎると物語が進まなくなるのでみんな信じてたけど

しかし、二人のニセコイ関係は見抜いたが鶫の性別は見抜けなかったクロードは有能なのか無能なのか
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