ニセコイ~サンカク関係どころではない話し~   作:通りすがりのぬこ様

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第5話:みんなでベンキョウ会1

 

分からない……本当に分からない。

 

自慢ではないが、俺は頭のキレも勘の良さも良い方だと思う。でも分からない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今日、私たちあなたの部屋で勉強会開きたいんだけど、構わない?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

宮本がなんでこんなことを言いだしたのか、本当に分からない。

 

試験前ならまだしも、試験は7月だから2ヶ月も先だ。にも関わらず、しかも俺の家で勉強会をしたいという宮本の意図が全く分からない。

 

まぁ、勉強会を開くこと自体は別にいいから承諾したが、ほんと何を企んでるんだ宮本は………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、俺は勉強会に参加する奴らを連れて自宅へと向かう。メンバーは主催者の宮本とあの場にいた小野寺、楽、集の3人、あとは楽の誘いで付いてきた桐崎の5人だ。

 

俺の住んでる家があるのは凡矢理市の中でも日本家屋が多いエリアで、塀に囲まれていたり蔵があったりする家がたくさんある。

 

集英組の事務所にもなっている一条家もこのエリアにあり、もっとも広くて大きい家がそれだ。

 

一条家と比べるとそれほどでもないが、今の住宅事情に当てはめるとうちもかなりでかいと思う。うちの場合は代々、久堂神天流という剣術を継いでいる家系であるがゆえに敷地内に剣道場があるからでかいというのもある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ただいまー」

 

『おじゃましまーす』

 

 

普段は俺以外誰もいないはずだから挨拶しても返事はないはずなのだが、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おかえりー」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なぜか返事が家の奥の方から聞こえてきた。

 

いやなぜってほどでもないか。聞き覚えのある声だし、連絡もなしに突然帰ってくる人だからな“あの人”は。

 

 

「あっ!らっくんにしゅーくんじゃない!久しぶりー!」

 

 

返事の主がふすまの向こうから姿を現した。

 

黒いセミロングの髪の女性。名前は久堂早苗といい、俺の5歳上の姉貴だ。

 

普段は東京の大学に通っているから都内で一人暮らししているのだが、時々フラッと連絡もなしに帰ってきたりする。

 

もちろん楽と集とは顔なじみだ。

 

 

「お久しぶりです早苗さん。戻ってきたんですね」

 

「まぁね。弟が高校生になったばかりだからお姉ちゃん心配で心配で」

 

「様子を見に来るのがいいけどよ、連絡ぐらいよこせっていつも言ってるだろが」

 

「それじゃぁつまらないじゃない。サプライズは人生の栄養剤なんだもの。ねぇーしゅーくん♪」

 

「ねぇー早苗さぐぼらっ!!」

 

 

クソメガネの顔に一発ぶちこんでおく。

 

この二人は性格とか考え方が似てるだけあってほんと仲が良い。俺としてはできるだけ一緒にさせたくない二人なのだが、今日はついていない日らしい。

 

 

「で、その子達は?ゆーくんの恋人と愛人ふたり?」

 

「んなわけあるかッ!ただのクラスメイトだっての」

 

 

 

「え、えっとその……お、小野寺小咲っていいます!」

 

「宮本るりです」

 

「き、桐崎千棘です!」

 

「さきちゃんとるりちゃんとちーちゃんね。私は久堂早苗。気軽に早苗おねーちゃんって呼んでね♪」

 

「馴れ馴れしすぎてウザいと思ったら無視していいから。あと姉貴、今から俺の部屋で勉強会やるけど邪魔するなよ」

 

「あら勉強会?この時期に?」

 

「ああ。この時期に」

 

 

そう言い残し、俺はみんなを自分の部屋へと案内する。

 

 

 

 

 

「しかし、悠が自分の部屋に人入れるなんて珍しいこともあるもんだなぁ」

 

「本当にねぇ~。俺や楽ですら今まで一度も入ったことないのに」

 

「えっ!?そうなの?」

 

「ああ。なんでか分からないけど悠の家で遊ぶ時はいつも居間で、悠の部屋で遊んだことは一度もないんだよなぁ」

 

「にも関わらず、るりちゃんの「あのね、私たち…悠くんの家でお勉強会したいんだけど……ダメ、かな?」というお願いには快くしょうだ〈グシャッ〉どびゅっしーッ!」

 

「そんな言い方してないでしょ」

 

「言っておくけどな、宮本が言ったから入れるわけじゃねぇぞ。今はもう部屋に入れたくない理由がないだけだ」

 

「入れたくない理由がないって、部屋の掃除でもしたのか?」

 

「まぁそんなとこだ」

 

 

実際は違うんだけどな。でもまぁ“見られたくないモノを片付けた”という意味では掃除をしたと言えなくもない。

 

 

「ところで、なんで舞子くんがついてきてるの?」

 

「冷たいこと言うなよー。同じメガネのよしみなんだからさー」

 

「嫌なカテゴリーね」

 

「おい集そういうこと言うなよ、世界中のメガネ着用者が自殺し出すだろ」

 

「えっ!?俺と同じなのはそこまで嫌なことなの!?」

 

「当たり前だろ何言ってるんだ」

 

「当たり前よ何言ってるの」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2階にある俺の部屋は8畳の広さがある和室だが、壁には白い壁紙が、床にはフローリングマットが敷かれているため一見すると和室らしくない。押入れはPCデスクに改造してある。

 

部屋にあるテーブルでは小さいから1階にある足が折りたためるタイプの大きめのテーブルを運び入れる。

 

テーブルの周りに全員が座ったところで、俺は飲み物を取りに台所へ行こうとする。

 

 

「んじゃ、飲み物取ってくるから先に勉強しててくれ」

 

「あっ!私も手伝うよ!」

 

「ん?いやいいって別に―――」

 

 

と、小野寺の申し出を断ろうとしたら宮本がものすごい目つきで睨んできた。まるでゴゴゴゴゴゴッという音が聞こえそうな勢いで。

 

 

「あぁー……やっぱお願いするかな。うん」

 

「う、うん任せて!」

 

 

それから俺は小野寺と二人で台所へ向かうことになった。

しっかしなんなんだよ今日の宮本は。何考えてるのかホント分かんねぇ。

 

 

「あ、あの、久堂くん」

 

「ん?」

 

「その…今日はごめんね。るりちゃんが迷惑かけちゃってるみたいで」

 

「いや。何がしたいのか分からねぇけど、迷惑だとは思ってねぇから」

 

「そ、そっか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

台所へ着くと、姉貴がこの時間からビールを飲んでた。

 

 

「んっ?どうした二人とも?イチャラブできるとこでも探してた?」

 

「ちげーっつの。飲み物取りに来ただけだ」

 

 

冷蔵庫を開け、中からペットボトルの烏龍茶を取り出し、人数分のコップに注いでいく。

 

 

「ねぇねぇ。さきちゃんのお家って本海苔商店街で和菓子屋さんやってる?」

 

「えっ。やってますけど……」

 

「やっぱり!小野寺って苗字でまさかとは思ったけど、あそこの子かぁ」

 

「小野寺の実家って和菓子屋やってんだ」

 

「う、うん。お母さんが経営してて、お父さんは職人さんやってるんだ」

 

「あそこの和菓子ってすごく美味しいの。東京戻った時のお土産で友達に上げたら「どこのお店!?」てすごい勢いで訊ねられるぐらいに」

 

「へぇ~そんなにうめぇのか」

 

「何言ってるの。ゆーくんも食べてたじゃない。去年の夏に買ってきた羊羹」

 

「えっ!?あれ小野寺の家のだったのか。たしかにすごくうまかったのは覚えてるけど」

 

「あぁーそんな話してたら和菓子食べたくなってきたー。……買ってくるか!」

 

 

即断即決という言葉を体現しているかのような性格の姉貴は、残りのビールを一気に飲み干すと立ち上がった。しかし―――

 

 

「あっ。でもたしか今日は定休日………」

 

「えっ!?そんなぁ~」

 

 

さっきの勢いが一気に削がれた姉貴はへなへなと着席する。

 

 

「明日買ってくればいいだろ」

 

「いーまーたーべーたーいーのー!」バンバンッ

 

「テーブル叩きながら駄々こねんな!子供じゃねぇんだから我慢しろ」

 

「ブーブー」

 

「これでよしっと。大きい子供は放っといて戻るぞ小野寺」

 

「う、うん」

 

 

人数分のコップをお盆に乗せて台所を後にしようとすると―――

 

 

「あっ、そうだゆーくん」

 

「あん?」

 

「戻るなら早くした方がいいんじゃない?しゅーくん辺りが探ってるわよたぶん」

 

「ああ。それなら手は打ってあるから」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

悠と小野寺の二人が出て行ってすぐ後、集がメガネをキラリと光らせた。

 

 

「よーし行ったな。それじゃぁ………定番の部屋漁りといこう!」

 

「部屋漁りってお前……あとで絶対にぶっ飛ばされるぞ」

 

「たしかに、俺はこのあと悠に殴られるだろう……しかし俺は!理不尽な暴力には屈しな〈バキッ〉ぐぼっ!」

 

「理不尽な暴力じゃなくて正当な制裁よ。あなたがバカなことをしなければ私も久堂くんも手を出したりはしないわ」

 

「バカなことか……たしかに、君たちからすれば僕の日々の行いはバカなことかもしれない。しかし!今回に関してはるりちゃん!君から見ればバカなことと言い捨てることはできないはずだ」

 

「……どういうこと?」

 

「悠の部屋を漁るということ……それはすなわち、滅多に好みのタイプを口にしない悠がどういう女の子が好きなのかと言う秘密に迫るということ!今のるりちゃんの立場なら、この情報は喉から手が出るほど欲しいのでは?」

 

「そこまでではないけど……たしかに気にはなるわね」

 

「なるのかよ」

 

 

でもまぁたしかに、悠って好きな女の子の話とか全然しないからなぁ。

 

 

「ではさっそく、悠の秘密を探っていくとしよう。まずはベッドの下だ」

 

 

そう言うと、集は体勢を低くしてベッドの下を覗き込む。てか、いきなりベッドの下とか明らかにアレを探してるよな。

 

 

「ねぇねぇ」

 

 

アレを探している集を横目に見ていると、桐崎が肘でつついてくる。

 

 

「なんだよ」

 

「舞子くん、さっきから何してんの?何か探してるみたいだけど」

 

「悠がどんな女の子が好きなのか探るためにアレを探してるんだよ」

 

「アレって?」

 

「えっ!?あ、アレはアレだろ」

 

 

 

「えっちな本よね」

 

 

 

「ブッ!宮本…お前結構はっきり言うのな」

 

「えっ、えええっ、えっちな本とか何考えてんのよ!この変態!」

 

「俺に言うな!」

 

 

 

「ベッドの下には何もないか。となると………」

 

 

それから、集は定番の隠し場所を探していくがアレが見つかる気配はない。

 

悠のことだから簡単に見つかる場所には隠してないだろうな。あるいは実物はなくて、そういうのは全部パソコンの中に入ってるとか。

 

 

「ここまで探しても見つからないとすると、表紙を変えて本棚に置いてある可能性があるな………」

 

 

 

 

 

ススーッ

 

 

 

 

 

「やっぱり探ってやがったか」

 

 

集が本棚を探そうとしていると、ちょうど悠と小野寺が戻ってきた。

 

 

「おかえりーお二人さん」

 

「ただいま。で?探し物は見つかったのか?クソメガネくん」

 

「いやそれがさぁ。どこ探しても全然見つからなくて」

 

「そうかそうか。なら特別に教えてやろう」

 

「えっ!マジでっ!?」

 

「ただし―――」

 

 

悠が小野寺にコップの乗ったお盆を手渡したあと、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「テメェを地獄へ送ッたあとでなァ!!!」

 

 

「ぎゃあああああああああああああ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鬼による鉄拳制裁が始まった。

 

安らかに眠れよ集。自業自得だから骨は拾ってやらないが。

 

 

「一条くん。はいこれ」

 

「え。さ、サンキュー小野寺」

 

 

すぐそばで地獄絵図が広がる中、天使が俺に烏龍茶を手渡ししてくれた。

 

やべぇ。コップを手渡しされる瞬間、一瞬だけど小野寺の手に触れちまった。ちょっとラッキー。

 

 

「よしっ。掃除も済んだことだし勉強会やるか」

 

 

悠のその一言で、本来の目的である勉強会が始まった。

 

ボロ雑巾のようになった集がそれに混ざるのは、始まって5分後のことだった。

 

 

 




【あとがき】

主人公の親友補正により、舞子集の回復力は人外レベルにまで達しているのだッ!

というわけで、勉強会のお話はまだ続きますがここで一区切り

今回で久堂姉が出てきましたが、ニセコイのファンブックを読んだ方はご存知でしょう

ベースになっているのは古味先生のインタビューで出てきた小野寺姉です

ファンブックを買う前から久堂姉を出すことは考えてたんですが、購入後に小野寺姉のことを知り、そのまま久堂姉の設定に使ったという感じです

見た目に関してはファンブックに載ってる設定画のままですが、キャラクターは当たり前ですがオリジナルです

出番はあまり多くはないと思いますが、今後もちょくちょく出てくると思います
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