気分転換する必要性を感じましたので、大分前に思い付いてた『プリヤ』と『ぐだオ』のコラボ作品を書いてみた次第です。暇つぶしにでも読んで頂けたら嬉しく思います。
ここは深山町の一角にある、二階建ての一軒家。
イリヤスフィール家のお隣さん家の居間で二人の美少女たちが全裸のままで、人気ドラマの再放送を視聴しておりました。
ーーピッ。
「なんじゃ、このドラマ。わしが出とらんかったのじゃが」
「いる訳ないじゃないですか、幕末モノですよこれ。・・・と言うか、やっぱり今年の大河でも薩長は殺せそうにありませんねー。土方さん、残念!」
「狸の子孫が悪いよ、古狸の子孫が・・・」
「ノッブがお寺でファイヤーされなければ神君様のご子息が天下を治めることもなかったんでしょうけどねー」
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『『・・・・・・って、うえぇぇぇぇぇっ!? ちょっ、ここってもしかしなくても現世!?
英霊の座とかではなしに!? なんで!? どうして!? Why!?』』
遅れて絶叫するアホ英霊二人。おなじみの人切り英霊おき太&戦国魔王英霊ノッブ降臨! 誰も求めてないし、喚んでもいなかったんだけどね☆
「ちと待て、人切り。ちょっと検索して調べてみるわい。ーーーふむふむ、なるほどな。相わかった、是非もなし」
「わー、聖杯戦争に召還された英霊に与えられてる聖杯からの現世知識供与をウィキ代わりに使ってますよ、この実利第一主義者魔王」
「・・・よし、分かったぞ人切り。どうやらこの世界でも本来とは異なる聖杯戦争が行われようとしておるらしいから、生意気なので少しシバいてきて欲しいとの事じゃった。
依頼人の名は、ペンネーム『魔術師にもなれるよAUO』さんじゃ。本人が来なかったのは「面倒くさいから」とのことだったそうじゃぞ」
「あ~、あの人らしいですねー相変わらず」
うんうんと、あっさりうなずいて納得してしまうピンク髪の(全裸)美少女。
だが、すぐに首を傾げて疑問を口にする。
「でも、なんで私たち? 他にいくらでも抑止に都合良さそうな、無償できたがる英霊さんたちがいっぱいいるでしょうに」
「うむ。その理由はのぅーーーーーー」
大きくうなずき返して一拍おき、黒い軍帽かぶった(全裸の)黒髪ロング美少女が宣言する。
「暇そうなのが、わしらしか居らんかった!!」
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「ーーーからだそうじゃ。他の連中、新シリーズとかで色々忙しそうじゃから、是非もないよね」
「いやいや、それ言い出したら私たちの方がよっぽどーーーーあ、そっか。私たちのこのノリからしてFGOではなく『ぐだオ』の方から喚ばれた私たちでしたか。じゃあ、しょうがないですね。シリーズ終わってだいぶ経っちゃってますから」
またしても納得して受け入れてしまう、顔だけ生真面目アーサー王だけど、中身は不意打ち大好きマンな人切り集団一番隊組長さん。
武士道を重んじてる割に、騎士道にこだわりすぎてるソックリさんとは別人過ぎるけど、他人の空似だから是非もないよね♪
「で、どうやらこの家は拠点として好きに使ってよいそうじゃ。
平凡な住宅街にある一軒家だそうじゃが、いるはずの両親が電話で連絡してくるだけで帰ってくる気配のまるでない、年頃の美少女だけが住んでる家屋なんて珍しくない時代じゃから気にしなくても良いと言っておった」
「ふむ? 私たち幕府側を倒したクソ薩長が男女平等の建前を戦に利用してたのは知ってましたが、まさか当世の女人たちがここまで自由と権利を与えられた存在になるとは想像すらしていませんでした。やはり世の中は広かったって事ですかね~。
あー、私も人生の終わりぐらい、庭から出て外見てから死にたかったなー」
「うむ。人生五十年、夢幻の如くなりじゃ。諸行無常とはこのことかの~」
気楽そうに自らの死について語り合える、『最後まで戦い抜くこと』が叶えてもらいたい望みのサーヴァントと、生前にやりたいことやり尽くしたから望みを持たない『しいて言えば乱丸と茶でもしばいてゆっくりしたいのー』な、存在自体が聖杯戦争の根底ぶちこわしサーヴァントの二人組。・・・・・・もう少しマシなの送ってくれよAUO・・・。
「あれ? なんか私たちの体、サイズちぢんでません? まぁ、いつも二等身だったから気にしませんけど、なにか理由とかあったりするんですか? この現象って」
「ああ、それはな。依頼主君が依頼料として『褒美を取らそう』と前払いで若返りの秘薬を、わしらの意見は聞くことなしに有無をいわさず強制的に飲まされた状態で召還されたからだそうじゃ。
彼奴にとっての褒美って、これ以外にないのかのぅ?
わし、こんなのより茶器の方が欲しかったんじゃけど」
「まぁ、あの人の場合、アレ欲しさに国ほったらかしにして宝探しの旅に出たぐらいですからね。仕方ないですって。
ほら、13代将軍の家定様だって幼少のころより不老長寿の薬を塗った乳母たちに育てられてたぐらいですから、やはり権力者にとって長寿と若さは重要なものだったんでしょう、たぶん。
若くして死んだ病弱おき太さんにはいまいち理解しがたい考え方ではありますけどねー」
「あー・・・、バテレンたちが探させてくれって許可求めにきた辰紗なー。明とか南蛮の王たちが喜んで便宜を図ってくれるから欲しいとか言ってた、アレ」
「そうそう、それです。若い女子たちが胸元に塗りたくってた白粉の原料になってたアレ」
「今さっき聖杯で調べてみたんじゃけど、アレの正体って猛毒だったそうじゃぞ? 水銀とかいう名前の。
狸の子孫が狂っとったのは童のころから毒を口に含み続けてきたからとかゆう、どっかの愛情ファイヤーなローマ皇帝みたいな理由だったかもしれぬとのことじゃった」
「な、なんだってぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっっ!!!!!????」
「今の世に生まれておれば長生きできたかもしれぬのにのぉー・・・これもまた諸行無常か・・・。ふぅ、世知辛すぎてやれやれじゃよ、まったく」
ショックのあまり床に手をついて打ちひしがれてしまう、全裸の四つん這いピンクのポニーテール美少女(外見年齢10才前後)。
そんな彼女を背後から見下ろし(目線の高さ的にケツしか見えそうにないけど)思慮深そうに肩をすくめてみせる、全裸に軍帽かぶってるだけの美少女(外見年齢10才前後)
・・・・・・なんかもう、色々とどうしようもなかった!
「さて、と。どうやらこの世界での聖杯戦争がはじまるのは今日の夜からみたいじゃし、それまでは暇じゃから寺にいって篤盛り踊ってから寝るかのー」
「・・・何を言っているんですか、ノッブ。あのような悲劇を二度と繰り返させないためにも、私たち歴史を知る者には寝るより先に成すべき事があるでしょう? ーー走るんですよ!」
「ええっ!? 前回もそうじゃったけど、一体ぜんたい何故に!?」
「新しい物語がはじまった最初の日の終わりには、主人公が先頭に立って逃げながら、出会ったばかりの仲間たちに追いかけられると言うのが、この時代における英雄たちの基本。
英霊たるもの時代に合わせた英雄らしい行動は必要不可欠! 知名度を上げて補正を得るためにも、戦いの物語がはじまったらまず最初に走るべきなのです!」
「ーーーなるほど! 相分かった了解じゃ。
では、皆の者。わしに続けーっ! 道はわしの通った後に出来るものなのであーる!」
「あ! フライングとは卑怯ですよノッブ!
ふっ、しかしこの絶対最速無敵の縮地を持つおき太さんに走る早さで勝てる者など一人たりとも―――ごふっ!? ま、またしても私の病弱スキルがぁぁ・・・・・・。
黒猫がぁぁ・・・・・・斬れない、斬れないよ~・・・・・・」
「ふははははははっ! では、さらばじゃ人切り! 生きて自宅で再会できることを祈ってわしは一人でも行く! 金ヶ崎や姉川のように!」
「―――うわっ!? な、なんだ今のは・・・? い、家の前を笑いながら裸で駆けていく女の子がいたような気が・・・白昼夢でも見たのかな俺?」
「お兄ちゃん! 何見てたの!?」
「い、イリヤ!? これは違う! 違うぞ! あれは事故だったんだ! そして幻だ! 白昼夢だ! 実在しない夢幻を俺は幻視しただけなんだ!
そんな非現実的で魔術じみたことが本当におきるわけがなーーーーー」
「問答無用! エッチなお兄ちゃんは反省しなさい! 昨日の夜に手に入れたばかりのルビーアタック!」
「ごふぅっ!? い、イリヤ・・・素手の相手にどこからか取り出した杖を使うのは卑怯だ・・・ぞ・・・ガクッ」
「エッチな人を裁くのに卑怯もヘチマもないの! エッチなのは悪だと思います!」