Fateプリズマ☆ロード   作:ひきがやもとまち

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更新です。中途半端なところで終わる話の内容ですが、対セイバー戦は今回で終了です。次回からは勝利した後の話にいきなり飛びます。
要するに戦闘内容そのものは原作と全く同じだと解釈してください。あれだけで十分すぎるほど圧勝してましたのでね。


12話「最悪の選択肢を選ばれていたルート・プリズマロード編」

「リンさん!!」

 

 突如として響いてきた刃音に振り向いた先で鍔迫り合ってる転校生と、倒れている二人の知人の姿とを視認した素人少女イリヤスフィールは思わず考えなしに飛び出してしまっていた。

 

 全ては彼女たちを心配するあまりの行動。素人に確認作業してからでないと二重遭難の危険性あるからダメとかの理屈は通用しない。とにかく目の前で人が倒れていたら急いで駆け寄るのが模範的日本人の行動です。

 

 ただし―――

 

「ま、待ってイリヤスフィール!!」

「はヴァッ!?」

 

 ・・・平行世界で一定年齢に達するまで隔離して育てられてきた一応は日本人少女に、同じ日本人基準を求めるのは無理である。

 彼女の中で人助けは、冷静に、確実に、助けたい人を絶対に助け出すこと最優先で行われるべき事。先走っての暴走は一番ダメな行為なのである。

 

「な・・・なにするの美遊さん!? 私いま、鼻の辺りがこう、ぐっと来たんですけど!? 何かこう、嫌な感じのがスゴくいたかったよ!?」

「ご・・・ごめん・・・」

 

 いきなり一人で突っ走っていこうとしたイリヤスフィールの動きを制止しようと、自分の右手で相手の右足掴んだところ、振り子の原理により地面へと顔面から激突させられたイリヤスフィールは猛烈抗議し、美遊もさすがに拙い行動だったと反省の色を見せて謝罪する。

 

「でも闇雲に近づいちゃダメ・・・! まずはよく観察してからじゃないと、かえって危ない!」

「で、でもリンさんとルヴィアさんが・・・っ!」

 

 切羽詰まった声で心配そうに声を出すイリヤ。

 そこに待ったを掛ける声が入った。彼女の持つ魔法のステッキ『カレイド・ルビー』からのものである。

 

『落ち着いてくださいイリヤさん! 生体反応あり! 大丈夫、お二人は生きてます!』

「本当に!? だったらなおさら早く助け出して安全な場所へところへ移動させないと・・・!」

『・・・いえ、それがそのー・・・。どうもよく見ると“全くの無傷”っぽいんですよね、お二人とも。それこそ自力で安全圏まで問題なく逃げ切れるぐらいには』

「・・・・・・・・・は?」

『ですから無傷です無傷。リンさんもルヴィアさんも突き飛ばされて倒れてるだけで、かすり傷ぐらいしか負っていません。

 まぁ、普段から格闘技とかやって怪我にも痛みにも慣れてる人たちですからね。放っておいてもそのうち勝手に帰ってきそうなぐらいには元気な状態ですよ本当に』

「・・・・・・・・・・・・え~・・・・・・」

 

 イリヤスフィール、ゲンナリ。それだと自分一人が怪我し損である。というか助けようとした本人が一番大怪我負っただけな気がするのは世界の意思だけなのか?

 

『とは言え、救出するのが早いに越したことはありませんので、私はミユさんの状況確認してから救出作戦に賛成ですよ? それが誰も被害を受けることなく安全に避難出来る一番の方法のような気がしますしね』

「う、うーん・・・そういうものなの・・・かなぁ~・・・?」

「・・・そういうもの。何かを助けたいという気持ちは大切だけど、その気持ちだけで突っ走っちゃダメ。大切なのは観察すること。

 人や物には常に意味がついて回るもの。生きる意味じゃなくて、今ここに居る意味が。その意味を考えた上で行動しないと、必ず選択を選び間違えるときがきっと来る・・・っ!」

「いやあの・・・美遊さん? それ本当に人助けの論理なのかな・・・? なんとなくなんだけど私には逆の立場にいる人の意見みたいな気がするんだけど・・・」

 

 イリヤスフィール、弱々しい反論なれど正解。

 実は美遊は最近、推理小説にはまっていた。理由は当然、ヴェルベット・ウェーバー。好きな人と同じ趣味を持とうとするのは恋する乙女なら当然の事。

 その中で美遊は、なぜだか自分でも理由はわからなかったが『シャーロック・ホームズ』シリーズの敵役『モリアーティ教授』に強く惹かれるものを感じていた。

 

 

『ここまで一人の人を想えるのって、ひとつの愛の形だと思うんだけど、どうかなサファイア!?』

 

 

 そのような事を訊かれたサファイアは、完全黙秘権を行使して他人に情報を漏らさなかったため真相は闇の中である。完全犯罪はこうして知らぬ間に成立されていた・・・・・・。

 出来れば美遊にもロードにも、ライヘンバッハらない未来が待っていることを切に願う。

 

「それじゃ、いくよ。・・・いい?」

「わ、わかった!」

「じゃあ・・・・・・作戦開始!」

 

 ドンッ! 二人は飛び立ち、状況は動き始める。

 劣化量産型とは言え、7騎中『最優』と呼び名も高いステータスを誇るセイバーのサーヴァント相手に、さしものイスカンダル・ロードも疑似憑依英霊の限界として経験不足が仇となり、やや押され気味。

 そこに空から美遊による魔法の援護射撃が加わり、イリヤスフィールが凜たちの救出に成功できれば『ゴルディアス・ホイール』による被害を無視した蹂躙走行も可能となり戦局は一気に有利になる! ・・・かもしれない。

 

 戦場を包む、濃い霧によって先が見通せなくなった深遠川での戦闘。

 その最中。戦況を空から見下ろし、冷静に状況を観察しながら援護していた美遊がポツリとつぶやきを発した。

 

「・・・よし。これでイリヤスフィールがヴェルベットを助けて二人が恋に落ちる可能性はグッと下がったわ」

『美遊様。大変失礼ですが、鬼かと思われます』

 

 サファイアからの冷静で客観的な指摘。

 だが、美遊としては心外の極みである。

 

 彼女としてもルヴィアたちを救うことを念頭に置いた作戦立案だったし、カードの連続使用ができそうにない現状で取り得る最も成功率の高い、安全で確実な作戦を考え出したつもりである。

 ただ、別に一つの作戦が別の意図も持っていてはいけないと言う決まりはなかったし、最善の選択が自分の個人的目的とも矛盾なく並走できるなら、それを選ぶのが悪い道理があるはずない。――そう考えただけである。

 

 恋は駆け引き。恋愛は戦争。戦争は勝って終わらなければ意味がない。

 ・・・恋する聖杯少女は順調に聖杯戦争に毒されつつあったが、その事実に気づいているのは世界中の全存在中、『遍く未来を見通す目』を持つ黄金の超俺様主義英霊ただ一人だけだったので意味がなかった・・・・・・。

 

 

 

 

「何ともはや、醜矮なる眺めよ・・・・・・」

 

 その、当の本人である『世界は我の庭』男は、川を一望している美遊よりさらに高高度に泊めてある黄金の船『ヴィマータ』の上で踏ん反り返りながら下界を見下ろし、神様気取りでワインを片手に論評し、冷笑していた。

 

「いかに雑種とはいえ、少しばかりは名を馳せた猛者どもの使っていた逸話を武具として扱える者たちであろうに・・・・・・それが揃いも揃ってあのような贋作ごとき汚物の始末に明け暮れるとは。嘆かわしいにも程があるというものだ」

 

 まぁ、よいか。と黄金の英雄王は庭の木についた羽虫退治は庭師どもの仕事と割り切って、ただ道化どもの座興と見下しながら見下ろすだけで今宵は満足してやろうと鷹揚な心地で出来損ないの庭師の不手際を許してやる決定を下した。

 

「なにやら我が友と同じく生半可な願望器を造ろうとした魔術師どもの欠陥品も混じってはいるようだが・・・所詮はまがい物の台座に過ぎん。あのような贋作に引き寄せられた有象無象などたかが知れておろうし、そんなものにいくら裁きを下そうが無聊の慰めにもならぬ。放っておくか」

 

 児戯には児戯らしく戯れ程度に相手をしてやればよく、友の形を偽造した偽物が自分以外の誰かに従っているわけでもない以上は、一々本気で怒る理由もない。

 

「もし仮に、我が本気を出すに値する敵が出てくるならばそれも由。賊として誅するまでのこと。そのような輩が現れるまで高みから見下ろし見物していてやるとしよ・・・・・・む?」

 

 ふと、英雄王の視線が森の中を一瞥したとき、妙な違和感を感じて言葉を止めた。

 銀色の髪、紅玉の瞳、幼き矮躯。

 

 この世界においては、イリヤスフィール・アインツベルンと言う名の小学生として普通に生きている少女。

 ただし、その中身。内側にある本来の造られた目的は魔術による万能の願望器の再現――即ち、聖杯。

 

 その事実を『遍く未来を見通す目』を持って、この時点で知ってしまった英雄王は哀れみとともに彼女を評して呟きを賜わす。

 

「・・・魔術師どもも学ばぬな・・・道具に人の心を付けるなと言うに。

 所詮、人間ではお前たちの純粋さに報いられ・・・・・・んん?」

 

 そして、先に内側にあるモノと、その先に待つ未来のそれが至る姿まで見つめた瞬間、評価を一変させる。

 

「まさか・・・貴様か? 貴様なのか『贋作使い』よ・・・? ――はは、ははは、ははははははははははっ!!! そうか、貴様か! 貴様もまたこの世界では別の生き物として生きておるのか!

 ならば由、友を相手に広場で決闘を楽しめるのを待つつもりであったが、その前に我手ずから彼の地での非礼を罰してくれよう。

 王自らの手で未来永劫その身を魂ごと滅ぼされるのだ。名誉であろう。這いつくばり感涙の海に沈みながら逝くがよい。

 贋作使いぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっっ!!!!!!!!!!! ・・・・・・むむ?」

 

 いきなり前言翻して、思わず対界宝具『エア』を抜いて世界まるごと『エヌマ・エリシュ』で吹き飛ばしてやろうとした寸前。・・・再び妙な違和感を感じて英雄王は手を止めた。

 

「・・・・・・。・・・・・・ざぶーん・・・これは違うな・・・。釣り・・・・・・いや・・・・・・」

 

 今度の先程のと違ってなんと言うかこう・・・己の位相がずれてると言うか、見えているのに変な泥が邪魔して見えなくなってると言うべきなのか。

 

 少し悩んでから、不思議そうに首をかしげて結論を口に出す。

 

「妙だな、あの娘の中にある贋作使いの気配を感じ取った途端、冬木とやらに喚ばれた前後の位相がよく見えなくなった。何時かの昼に見た『泥』が目をかすめおる」

 

 不思議そうにしながらも、だが特に気にする事でもなかろうと座り直した英雄王は、ワインを一口飲んだ後に肩をすくめてこう呟いた。

 

「まぁ良い。あの娘の内に宿った可能性の光が本物ならば、それに注がれた魔力を持ってその無粋な戒めを解き放ってやるとするか。

 せいぜい我を愉しませるため、存分に踊り狂えよ道化。

 薄汚い贋作者に至る小娘らしく仮初めの実体を与えられ、もう一人の己と向き合い、その身を以て真偽の違いを知るがいい」

 

 

「礼呪を以て命じる。名もなき英霊よ。

 サーヴァント アーチャーとしてクラスカードとやらを依代に現界し、聖杯娘の内に眠るもう一つの可能性を引き摺り出してやるがよい!

 インストール(夢幻召喚)!!!!」

 

 

 

「がっ!? ・・・うっ・・・あ・・・ぁ・・・」

『イリヤさん!?』

「イリヤスフィール!? どうしたの!? もしかして恋のハートに弓矢を受けてしまったの!?」

『美遊様、そのようなボケを本気でかましていられる状態ではないと思われますが!?』

 

 

 

「倒さなきゃ・・・倒さなきゃ・・・倒さなきゃ・・・・・・殺さなきゃ・・・・・・っ!」

 

 

「どうやって・・・?

 手段・・・? 方法・・・? 力・・・?

 力なら、ここにある。ここにあった」

 

 

「喜べ少女よ。

 君の、みんなを助けたいという願いは、今ここに叶う・・・・・・インストール(夢幻召喚)」

 

つづく

 

 

オマケ

 

凜・ルヴィ『私たちの活躍は!?』

ロード「お前ら・・・あの格好をそんなに見せたかったのか・・・? ビッチだな」

凜・ルヴィ『うぐぅっ!?』




遅まきながら説明しておいた方が良いと思ったので補足です:
美遊がヴェルベットの趣味を推理小説だと思っているのは普段の言動と『事件簿』つながりのネタです。本当に二世が推理小説好きとかいうつもりはありません。あくまで彼女がそのように推理しただけと言う設定です。

あとついでに、微妙に当っていて大きく外れている推理がニワカな今の美遊ちゃんにはピッタリかなと思ったから採用した次第です。
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