Fateプリズマ☆ロード   作:ひきがやもとまち

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長すぎる期間お待たせしまくって申し訳ございませんでした。再開です。
一応久しぶりという事もあって、原作尊重(?)の展開でイリヤ視点がメインです。

美遊ちゃんが穗群原に転校してくる回であり、ロードまでもが転校してくる回でもあります。
それから、美遊に新たなサーヴァントが憑依します。今現在の彼女にはこの上なく相応しい英霊です。愛でて頂けましたら、彼女たち二人のファンでもある作者として嬉しく思います。


6話「ガール・ミーツ・ガールズラブ」

「・・・・・・ったく、今夜はヒドい目にあったわね」

 

 真夜中の冬木市、その路上で愚痴をこぼして見せたのは黒髪をツインテールにしたつり目がちの美少女で、着ているのは真っ赤な色したタートルネックセーターと丈が極端に短いミニスカートに黒ストッキング。

 どこのエロゲキャラだよとツッコまれても文句は言えない格好だったが、今の状態は輪をかけてヒドくなっている。ボロボロなのだ。服は破れて柔肌が覗き、少しでも屈めば見えちゃうレベルのミニスカートすら切れ目が入ってしまっている。

 

 ーーこんな格好で町中を歩く女子高生が居たら即座に補導されること間違いなしだったが、幸運なことに今の今まで警邏中のお巡りさんには遭遇しなくてすんでいた。

 誤魔化すための催眠魔術にさえ宝石を使用する遠坂凜にとって、それは少なからずありがたい事実ではあった。

 ・・・もっとも、感謝するには不幸の方が大きすぎて掻き消され、嬉しさなど欠片ほどもない凱旋であるのだが・・・。

 

「・・・・・・ホントだよ・・・できれば二度とやりたくないかも」

 

 彼女と並んで歩く少女が、同じように疲れた声で嘆息とともに愚痴をこぼす。

 カレイドステッキ・マジカルルビーによって魔法少女に(拒否権は与えられずに)変身して、遠坂凜によって自らのサーヴァント(奴隷)になることを強制された(拒否権などと言う単語自体、凜の頭には存在していない)私立穂群原学園小等部の女子生徒イリヤスフィール・フォン・アインツベルンである。

 

 銀髪紅眼白磁の様に真白い肌と、如何にもオタク受けしそうな容姿に違わず男子からの人気はそこそこ高い。まぁ、あまりにもオタク向けすぎる要素を凝縮しすぎちゃってるせいでマニアックな男子ばかりが寄ってきているが、そこはご愛敬と言うべきポイントだろう。

 

 

 つい先ほどまで二人の姿は穂群原学園グラウンド上にあり、本来であれば凜が大師父より依頼されていた(正確にはルヴィアにもだが)クラスカード回収任務を遂行中であったのだが、突如として乱入してきたおかしなサーヴァントたちによって有耶無耶のうちに中断させられ無かったことにされ、今は疲れ切った身体を押して帰路に就いているところであった。

 

 ーーちなみにだが、もう一人の回収者ルヴィア・ゼリッタ・エーデルフェルトは恐れ知らずにも金色のサーヴァント相手に回収したクラスカードの所有権を主張して半殺しにされ気絶してしまった。

 一応、隣で見ていた(見ているだけで助ける素振りは微塵も見せなかったが)黒い鎧を纏った英霊に何事かをささやかれて「ちっ」と舌打ちしながら空間を歪ませ、中から取り出した怪しげな薬瓶を口に突っ込んでから勝手に二人だけで帰ってしまった。

 

 後に残され放置されていた四人だったが、やがて目を覚ましたルヴィアが機械的な口調で何事もなかったかのように凱旋することを告げて去っていったので、イリヤと凜の二人もすこぶる不完全燃焼であることを抑えながら家路につくより他なかったのである。

 

「あいつら、殺す。いつか殺す。絶対に殺してやるんだから・・・!!!」

「・・・・・・」

 

 生来のプライドの高さと負けず嫌いを刺激された遠坂凜が気炎を上げる傍らで、別に負けず嫌いじゃないし私そもそもい関係ないしと他人事を装っていたイリヤに見えないプレッシャーをかけまくる。

 

(ホントお願いだから、勘弁してよー・・・)

 

 そう願ってやまないイリヤであったが、その胸に去来するのは隠れオタクであるが故の本能的に思い起こせざるを得ない王道展開。

 

「さっきの戦いで介入してきたあの子たち二人ってさ、わたしと同じくらいの歳だったわよね」

『ですね。それがなにか?』

 

 フワフワ飛んでるカレイドステッキ・ルビーが疑問系で応じるが、実際にはイリヤがなにを心配しているか把握している。ただ単にこう言った方が面白い展開になりそうだから併せてやってるだけなのだった。

 

「このパターンでいくと、これってさ・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「美遊・エーデルフェルトです」

「・・・・・・・・・・・・はじめまして。ヴェルベット・ウェーバーです。よろしく」

「はーい、みんな仲良くしてあげてねー」

『はーーっい!』

(うん、やっぱりこうなるよね・・・)

 

 三者三様と言うべきか、もしくは四者以上四者以上様と言うべきなのかは定かでないが、とにかくそれぞれがそれぞれの思惑と事情と止むに止まれぬ深い事情があって一堂に会した三人の魔法少女たちは、穂群原学園小等部にある5年1組の教室で運命の出会いの朝を迎えることになったのだった。

 

 

 抱えている事情はダントツでヘビーではあるが一応実年齢的に問題のない異世界の聖杯少女美遊はまだしもマシなレベルだが、本業が時計塔の一級講師で三十路のロード・エルメロイⅡ世を正体に持つヴェルベットの悲嘆と絶望は言語に絶するものがある。

 

「帰りたい・・・イギリスに帰りたい・・・」

 

 と、思わず誰かがどこかで言っていた言葉を十年越しにつぶやき直すぐらいには絶望の淵に追いつめられていた。

 出来ることなら家に直行直帰して、頭から布団かぶって三日三晩引き籠もっていたい心持ちではあるのだが。それを許してくれるほど我が家の暴君たちは優しくなければ、慈悲の心すら持ち合わせていなかった。

 

 小学校の存在を聞いた瞬間「面白そうではないか。疾く行け」と、ソファの上に寝転がりながら宝具取り出して脅してくる金ピカ英雄王に、女子児童用の制服着たマスターを見て「うわー、かわいいかわいい! ボクもそれ着たい!着させて着させてーっ!」と、目を輝かせて着た直後の服を力付くで強奪していくアホ女装騎士。

 

「貴様等いったい何を騒いでいる。食事中は静かにするものだと教わらなかったのか?

 度し難い連中だな。見るに耐えん。もっきゅもっきゅ・・・」

 

 働きもしないでひたすら食ってるだけのエンゲル計数過多な腹ぺこ騎士王は、この際置いておこう。はっきり言ってアイツが一番面倒くさいから。

 金ピカは色々買うが全部自腹だし、アホ騎士は欲しい物こそ多いが値が張らない物ばかり。

 結果、食いまくってるだけで何もしてない墜ちた騎士王様が一番家計を圧迫する事となる。買うのは毎回ジャンクフードばかりとは言え、一度に食べる量が多いから地味にお財布には響いているのだ。

 

(もしかして私は、サーヴァントに金銭的負担をかけさせられる運命の星の元に生まれ落ちてでもいるのだろうか・・・?)

 

 安くはないが高くもない時計塔の一級魔術講師の給料でエルメロイ家が抱え込んでる多額の負債と、義妹に移植された亡き師の破損した魔術刻印の修復と、出来るのならば現代魔術科の校舎を玄関ホール以外も新しくするための費用を捻出しなければならない彼女としては考え込まざるを得なかった。

 

 なんとしてでも、食って寝ないで食い続けてる自宅警備員な騎士王様を働かせる方法を。腹ぺこ王にかける食費の減額を。働かないで家にばかり引き籠もってるニート騎士王に外へ目を向けさせる手段を!

 

 ・・・・・・狙ってもいないのに騎士王を召喚してしまったマスターの通弊なのか、どこかの平行世界では行き過ぎた自己犠牲精神の持ち主と酷似した魔術使いの少年と全く同じ悩みを抱いて胃を痛めるロード・エルメロイⅡ世ことヴェルベット・ウェーバー。

 

 やはり英雄や神様と人間は、根本的に相性が悪いんじゃないのかなと私は思う。

 

 

 

 

 閑話休題。

 

 結果論に過ぎずとも、同じ場所で同じ様な能力を持った者たちが集まったのは偶然ではあるまい。おそらくは人間を玩弄して楽しむ異次元の邪神たちがクトゥルーなイタズラした必然に違いないのだから、連中の思惑通りに乗ってやる義務など自分たちにはない。

 せっかく第二の小学校生活をゲームだけは大好きな日本(ゲーム以外は嫌いだ。大嫌いだ)で送れるのだから楽しまなければ勿体ない。

 

 そう自分の心に無理矢理言い聞かせて強引に納得させたヴェルベットは、さっそく壁にぶち当たる羽目になる。

 

 

 日本のと言うか、普通の小学校の授業風景に彼女は美遊と異なる意味合いにおいて合わな過ぎたのだ。

 

「えーと・・・。ヴェルベットちゃん? この問題の答えは一体なにが書かれているのかしら・・・?」

「??? 確率論に基づいて大雑把に試算してみた敵ユニットカードに与えるダメージの総量ですが、それが何か?」

「知らん!そんなゲームの理屈を私は知らない! 外国人だから日本の算数とか判り辛いだろうなーと思って、とりあえず普段からやってる計算書いてみてって言っただけだコンチクショーーっ!」

「日本の子供たちにも大人気のカードゲーム『英雄史大戦』で勝つには必須の計算式なのですが・・・」

「絵に釣られて買って自爆した私への当てつけかコラーーーッ!!!」

 

 1時間目、算数。担任教師との相性もあって失敗に終わる。

 

 

「なんだかよくわからないけど・・・ゲーム愛はすごいらしい・・・!」

 

 尚、本編主人公の好感度を微妙に上昇させることには成功していたようだった。

 

 

 

「こ、これは・・・・・・!!!」

「日本の小学校と英国の学校では芸術の感性が違うのだろうと予測しまして。

 とりあえずは無難に絵は描かず、三角定規を使って正方形を描き出し黄金比を再現してみました」

「地味にすげぇぇぇぇぇぇぇっ!!!

 でも、小学生が自由に書けと言われて書くものではなーーーっい!!!」

「フリーメーソンに参画すれば基礎として教え込まれる程度の、稚拙なものですが?」

「世界を破壊しようと画策している秘密結社の教育理念なんか知るかーーーーっ!!」

 

 二時間目、図工。歴史知識の有無もあって失敗。

 この後ロード・エルメロイⅡ世先生から5年1組担任藤村大河先生への為になる歴史講座が開かれるのですが、それはまた別の機会にと言うことで。

 

 

 

「全然意味がわからないけど・・・魔法陣とかの話にはドキッとした!

 後で詳しく聞きに行こう!」

 

 尚、隠れオタクな本編主人公に興味を持ってもらえる事には成功していたらしい。

 

 

 

「こ、これは・・・・・・!!!」

「・・・・・・・・・目玉焼きです。一人暮らしでゲームが友達の生活が長いと、ごくごく自然にこう言った物しか作れなくなってしまいまして・・・」

「お前はいったい何者だぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

 

 

 3時間目、家庭科。内弟子に世話焼いてもらい続けてるうちに料理技能が低下していたらしく失敗。

 義妹は美味しいと言ってくれたのに・・・。

 

 

 

「完璧超人・・・じゃなかった! スゴい共感できる部分を見つけたわ! もしかしたら、お友達になれるかも!」

 

 尚、料理できないし家事スキルも持ってない本編主人公の好感度を大幅に上昇させることには成功していた。

 

 

 

 そして、なんやかんやあった末に本編主人公最大にして最高の取り柄たる逃げ足の早さを競う競技(多大な語弊あり)体育の短距離走が開始されたのだった!

 

「よーい、ドンッ!」

 

 パァッンッ!

 

 ガシャ、ダッ!

 

 バァァァァァッンッ!!!

 

「ろ・・・6秒9ぅぅぅ!?」

「スッゲー!!」

「イリヤが負けた!?」

「無敵キャラだーーッ!!」

(あ・・・ありえないーーーーッ!?)

 

 本編ヒロインにして正真正銘の完璧超人美少女でもある美遊ちゃんによって完敗を喫し、落ち込みかけてた本編主人公イリヤスフィールの鼓膜に別の声が届く。

 

 

「せんせー。ヴェルベットちゃんが死んじゃったんですけど、どうしましょうかー?」

「ぎゃーーーーっ!? 保健室! 早く保健室へ連れて行って!

 生徒が授業中に死んだりしたら私の責任問題が大変なことにーーーっ!?」

「・・・・・・(返事がない。ただの屍のようだ)」

 

 

 転校初日最後の授業、体育。

 弟子相手にアイアンクローかけてるだけじゃ上がらなかった持久力が原因で死亡。

 この後ロードは、保険の先生に手厚く看護されて一命を取り留めました。

 保険の先生は大変満足そうな表情で「ふぅ・・・久しぶりに良い汗かいたわ・・・」と爽やかに呟いていたそうです。まる。

 

 

 

 

『いつまでイジケてるんですかイリヤさん。早く家に帰りましょうよ』

「別にイジケる程には至ってないけどさぁー。才能の壁ってのを見せつけられたって言うか。居るところにはいるもんなんだねー。

 まぁ、偏ってはいたけども」

『ですねー。お一人は超ハイスペックでしたが、もう一方はバランスの悪すぎる天才児でしたからねー。あれは色々と大変そうでした』

 

 変なところで変な風に影響した結果、本来イリヤが受けるダメージの軽減に成功していたらしいヴェルベット。

 始まりから終わりまですべてが結果論でしかない、本人の預かり知らぬ出来事に過ぎないのだが、人の縁とはそういう物だろう。たぶんだが。

 

「・・・なにしてるの?」

『おや、美遊さん』

「こ、これはお恥ずかしいところを・・・。ミユさんにあられましては今お帰りで?」

「ーーあなたも・・・ステッキに巻き込まれてカード回収を?」

「う、うん。成り行き上仕方なくって言うか、騙されて魔法少女にさせられたと言うか・・・」

 

 恥ずかしそうに頭をかきながらも内心では(わー・・・確かに美人さんかも、この子・・・)と、自分でも気づかぬうちにオタク魂のスイッチを押せるようセーフティ解除してしまいながらイリヤは美遊と見つめ合い、しばらくの間は沈黙が場を支配する。

 

 

 

 やがて時が経ち、イリヤが(か、会話が続かない・・・!)と焦りだした丁度そのとき、美遊・エーデルフェルトは今日一日を振り返って感じていた想いの丈をイリヤに全力でぶつけることを決意した。

 

 

 

 

 

 

 

「そう・・・・・・それじゃあなたは、どうして『私とヴェルベットの仲を邪魔しようとするの』・・・?」

 

 

 

 

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・・・・はい?」

 

 イリヤ、全力で疑問を覚えて小首を傾げる。

 だって分からないんだもん、しょうがないじゃない。つか、ヴェルベットってウェーバーの事だよね? なんで美遊さんがアイツのことなんかーー

 

 

 

 

「ストーキング!!!」

 

 ボォォォォォォォッ!!!

 

 

 イリヤの顔の傍らを、真っ白なのに滅茶苦茶熱い何かが通り過ぎていった。

 恐る恐る視線を向けた先にあったのは、燃え尽きて黒こげになった一本のーー電信柱であった。

 

「ちょっ・・・え、えええええええええええええええっ!?」

 

 最高位の幻想種たる竜の血を引いていなくとも、嫉妬の炎と愛さえあれば竜に転身できるのが女の子。

 恋に生きる聖杯少女美遊ちゃんにとってはいつもの事である。

 

 そう、すべては愛のため。

 愛さえあれば何もいらない。愛のためなら全てを焼き滅ぼせる。

 ああ! 私の愛でヴェルベットを燃え上がらせて、鐘の中に閉じこめて独り占めできたらどんなに素敵なのかしら!!

 

 

 ーーどこぞの世界で『旦那様』から恐れられてるヤンデレ竜美少女みたいな思考に至っている美遊ちゃんだが、実は今日一日ずっとイリヤの後ろの席から、一部始終を見ておりました。

 

 その結果がコレです。

 

 恋に生き、恋に死に、恋で相手を焼き殺せるヤンデレ少女に急成長していたのです! 怖いですよねヤンデレって。

 

 次元の壁を越えて時代区分さえ超越し、東洋の英霊は喚べないと言う聖杯戦争の根底にあるルールさえぶち壊しながら美遊ちゃんの愛は燃えて、燃えて、燃えて燃えて燃えて燃えて燃えて燃えて燃えてーー嗚呼、これこそまさに真実の恋い! わず! らい!

 

 

 ・・・今日一日でぶっ壊れ具合が凄まじい域に達してしまった美遊さんであった。ハイそこ、いや元からだろとか言わない。

 

 

「あなたは戦わなくていい。カードの回収は全部わたしとヴェルベットでやる。

 だからせめてーーいいえ、絶対に『私とヴェルベットの仲』を邪魔だけはしないで」

「は・・・はい!わかりました美遊様! わたしことイリヤスフィールは、今後一切お二人の仲を邪魔することだけは致しません!」

「・・・ん。だったら、いい。別に戦いに加わることまでは止めないから好きにして。

 わたしはヴェルベットの妻であり、家内であり家族であり恋人でもある地位を守れさえすればそれで良いから」

「え? あの~、美遊さん? カード回収任務の方は・・・」

「・・・・・・・・・」

「い、いえいえ!何にも言ってないですよ私!? 本当です本当!マジマジです!」

「・・・・・・・・・・・・」

 

 スタスタスタと。小学生が背中を見せて去っていくのだから、この効果音こそ妥当なはずなのに、何故だか美遊の後ろ姿を見送るイリヤの耳には「ザッ、ザッ、ザッ・・・」という軍隊の行進みたいな音が聞こえる気がするのだった。

 

 

 

 

 

「な・・・なんで嫉妬されてるのかな・・・? 私がいったい何をした・・・?」

『わかりませんが・・・なーんか、めっちゃくちゃ面白そうな展開になる予感で胸がトキメいてる私が居ます! ドキドキハラハラですよイリヤさん!』

「面白がられてる!? え、なに? 今の私と美遊さんのやりとり見ていたコメントがそれってヒドくない!? 結構本気で命の危機が迫ってた気がしたよ私!?」

『はい!まさにその通りですイリヤさん!

 あの美遊さんって子は超ヤバいです。ヤバすぎです。完全に凶化してバーサーカーになっちゃってますからね。

 言語によるコミュニケーションが取れるからって油断しちゃダメですよ? バーサーカーの中には、言葉を話せるだけで意志疎通は不可能な英霊も沢山いるんですから』

「今の話は美遊さんのこと教えてくれてたんじゃなかったの!?

 なんで私の新しいクラスメイトが、敵であるサーヴァントと比較されなくちゃいけないわけ!?

 ものすっごく不安になるから止めてよ、そう言う心臓に悪い冗談は!」

『・・・・・・あー・・・、そうきましたか~。・・・どうしましょうかねコレ?

 教えてあげて面白い方に持って行くか、はたまた放っておいてイリヤさんが面白い展開に翻弄させられるのを見て悦しむか・・・。

 う~ん、これは非常に難しい選択かもしれませんなぁ』

「なんか私、出会った翌日から変身ステッキにオモチャ扱いされてる気がするんですけど!? 確か契約の条件に恋の魔法でラブラブになったりとかで釣られた記憶があるんですけど!?

 私の魔法少女人生は、これから先いったいどうなっちゃうのーーーーっ!?」

 

 

 蛙は鳴かずとも、イリヤさんが泣いたらお家へ帰ろう~♪

 お兄ちゃんが作った、あったかご飯が待っている~♪

 

「それなんか違う! 変なのが混ざってる気がする!

 あと、なんで変身ステッキにステレオ機能とスピーカーが!?」

 

 

 

 

本編主人公は今作でも振り回される役所だと判明したので続きます。

 

 

 

 

美遊・エーデルフェルトのステータスが更新されました。

 憑依させている英霊の真名は清姫。出典は『清姫伝説』

 

 クラスはバーサーカーのはずだが既にして絆レベルが上限突破しちゃっているので、パラメーターはランサー時の物が適用されている。

 ただし、季節的には夏にはほど遠い春のため自らの温もりでヴェルベットを暖めてあげたいからと言う理由だけで、宝具ランクはバーサーカー時の物が適用されている。

 その結果として、気苦労が二倍どころじゃすまなくなった。

 

属性:混沌・悪。愛こそ全てな愛に生きる少女(言うまでもなく自称)

狂っているので理屈とか言っても無駄無駄無駄な女の子である。

 

 筋力:D

 敏捷:B

 幸運:A+

 耐久:D

 魔力:E

 宝具:EX

 

スキル:『ストーキングA』

 口から青白い炎を吐く。人体の構造上、人間のままでは再現不可能な能力だったが、愛の力でなんとかした。愛の力は異常・・・もとい偉大である。

 とは言え胃の府が竜の物と混同されちゃっているので、下手したら食べられます。いろんな意味で。

 

狂化スキル:EX

 理性を失わせることでパラメーターをランクアップさせる為のスキルだったはずだが、最近では割とネタに使われがちなので今作でもそうしている。

 言葉は通じるし会話も出来るが、すべての思考が「ヴェルベットに愛されている」と言う思いこみに端を発しているため、それを否定するような言動をする際には要注意。

 自らの意志で英霊を憑依させたデミ・サーヴァントなので、令呪による絶対命令権が通用しない。最悪、自らが作った令呪によってマスターを支配してくる可能性もあるので本気でヤバいサーヴァント。

 

 それを除けば彼女もまた清姫本人と同じく、気立てが良くて料理も上手い、良くできた嫁であると言う事実に変わりはない。

 がしかし。あくまで狂った英霊を憑依させた少女であることを忘れてはならない。でなければ焼け死ぬ。物理的に。

 

 

 自分と同じ匂いを感じて、喚ばれて飛び出してきちゃった清姫ちゃんです。

 思いこみだけで竜に変身した能力はそのままに、聖杯少女の力でさらにパワーアップ。狂化スキルも大幅にパワーアップしている。

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