模型新世紀ガンプラガールズ   作:ひびきすぱいく

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いよいよ開幕です、少女たちの輝き、見守って下さると嬉しいです。
まず最初は、準備段階です。


模型新世紀ガンプラガールズ第1話「出来た!わたしのガンプラ!」

模型新世紀ガンプラガールズ 第1話 「出来た!わたしのガンプラ!」

 

 

あるひとつの玩具屋、ようこう堂。

そこでビンゴイベントが行われていた。

店主の娘の加賀真由(かがまゆ)と言う女性が番号を発表する。

真由は美人で、髪を後ろに束ねているのが特徴だった。

「番号は2です!ビンゴになった人いませんかー?」

真由が番号を発表する度に、ビンゴカードを持った少年、少女達から喜びの声と、落胆の声が同時に上がる。

「ちぇ、オレの番号じゃないや…」

「よし!リーチだ!」

周囲でビンゴカードの穴が次々と開いていく、そんな状況の中、大きな青いリボンをつけたポニーテールの少女が声をあげる。

大きなリボンが特徴だった。

「はい、わたしがビンゴになりました」

声が大きいわけではないが、真由の元へ声が届いた。

周囲がその少女に注目すると、少女は真由の元へ向かう。

その少女の名は星河優(ほしかわゆう)。

可愛らしいけど美少女と言う程でもなく、顔立ちも目立つタイプではなく、あまり注目された事のない少女。

優は昔からようこう堂に通い、真由とは顔見知りだった。

「へえ、優ちゃんかー、おめでとう!

優ちゃんには縁がないと思うけどさ、ガンプラのHG、ガンダムAGE1からAGE3のセットだよ!

オマケにコレクションランチャーストライクとビルドブースターも入れといたよ」

真由は人懐っこい笑みを浮かべて、景品を渡す。

「あ、ありがとうございます」

拍手が起こる中、優は照れ臭くなりながらも、笑いながら答える。

 

 

肌寒い夜の帰り道。

優は妹のために購入した魔法少女の変身玩具と共に、ガンプラが入った袋を持って歩いていた。

がさばるサイズの割りに中身は軽く、女の子の優でも持てる。

優は真由に悪いと思って言い出せなかったが、自分は女の子なのでガンプラを作った事はなかった。

ガンダムAGEは妹の付き合いで観ていたため、ガンプラの存在は理解していた。

けれど自分とは繋がりがない物だから。

「わー!いいなー!いいなー!ガンプラ!」

同じくようこう堂に来ていた優の友人、南澤純子(みなみさわじゅんこ)は賑やかに優の周囲を回っていた。

純子は優のガンプラを、半分程持ってあげている。

笑顔が可愛らしい賑やかな女の子。

背が小さく、髪は短くしているが前髪の一部は伸ばしていた。

純子は女の子にしては珍しく、ガンプラが趣味の一つになっている。

優はそんな純子に対して言う。

「欲しいならあげてもいいよ?里依ちゃんもプラモデルに興味ないって言ってたし

真由さんには悪いけど、部屋で作らないまま置いとくよりはさ

純ちゃんみたいに好きな人に作ってもらった方が…」

純子は優の意外な言葉に驚いた、あっさりと手放そうとしている事に。

純子は少しの間考えたが、自分の考えを優に向けた。

優に向ける目は、どこか真剣だった。

「確かに純子もそれ欲しいけど

「ねえ、これ優ちゃんで作ってみない?

純子もやってるからさ、一緒に作ってみようよ」

純子が笑顔でそう言うと、優は少し考える。

「ガンプラ…かあ…」

優はいとこがガンプラを楽しそうに作っていた事を思い出す。

服にガンプラのシールがついている事を指摘すると、照れくさそうに笑う優しいいとこ。

それを思い出すと、自分でも作ってみたいと言う気持ちが出てくる。

「あの人も、このロボットのプラモ作ってたなあ」

「ロボットじゃないよ?ガンダムの世界では基本的にモビルスーツって言うの!」

純子が優の言葉に対し、さも当然かのように言う。

優は少し考えながら、純子に言う。

「わたし器用じゃないけどさ、せっかくあるんだから、作ってみようかな?」

優も笑い返して、それに答える。

「そーこなくっちゃ!決まりだね!道具は純子が持ってくるから心配しないで!きゃー!楽しみー!」

純子は優の手を取り、ぶんぶんと振りながらはしゃいでいた。

「あはは、痛いよ純ちゃん」

優もそんな純子の様子を見ていると、自分まで楽しい気分になるのを感じていた。

袋の中のガンプラへ目を向けると、気持ちが高ぶるのを感じる。

「どうせなら、綺麗なのが良いよね」

キラキラと煌めくような色で作りたい、優はそう考えていた。

 

翌日、優は部屋の中で純子を待っていた。

優の妹の里依(りい)も優の部屋で変身アイテムの玩具遊びながらくつろいでいた。

里依は小学生で、顔立ちは優に似ている。

一見優を小さくしたみたいな外見だが、短いツインテール。

お気に入りの白い服と眼鏡、優とお揃いの大きなリボンが特徴だった。

そのため、一見優より派手に見える。

可愛らしく笑顔を浮かべている。

「ふふ、里依ちゃん、それ面白い?」

里依もそれにとびきりの笑顔で答える。

「はい!お姉ちゃんありがとうです!里依の好きなアニメです!」

里依が夢中になっているアニメは、「魔法乙女ぷりてぃぽえみぃちゃーみぃ」と言うアニメで。

里依の年齢の女の子が夢中になっているアニメだ。

熱が入り始め、里依はうっとりした顔で語り始める。

「特に里依のオススメは18話です!

あの回はスゴいです!特に作画が良くて!それでいて派手に動き回っててエフェクトが素晴らしくて!

脚本家の細川さんの手腕です!

ちゃーみぃちゃんとぽえみぃちゃんとの友情も」

里衣が目を輝かせて語り始めると、優はそれに圧倒される。

勿論自分が買ってきた玩具を喜んでくれる事は喜ばしいが。

年齢の割りに里依はオタクじみてる、そう優は思っていた。

「そ…そうなんだ…でもそんな所もかわいいよ」

里依の話を聞きながら、里依は優の膝の上に乗る。

そんなやりとりをしていると、予定の時間から大分遅れて、純子が部屋に入ってきた。

「ごめん!遅れちゃった!おっじゃましまーす!」

純子の元気な声が響く。

「やあ、お二人でいちゃいちゃしてる中悪いけど

純子が来たよー!優ちゃん、りーちゃんこんにちは!」

優と里依はお菓子を出して純子を出迎える。

「ちょっと遅いぞー、純ちゃんこんにちは

い、いちゃいちゃなんてしてないよお…

里依ちゃん可愛いけど…」

「純子おねえちゃん、こんにちはです」

純子はお菓子よりも、先日手に入れたガンプラが気になっているようだ。

「二人共シスコンなんだから…お菓子食べた後さ、ガンプラ見せてくれないかな?」

 

お菓子を食べ終わった後、優が先日の袋を取り出す。

そこには

 

・HG ガンダムAGE1ノーマル

・HG ガンダムAGE1タイタス

・HG ガンダムAGE1スパロー

・HGガンダムAGE2ノーマル

・HG ガンダムAGE2ダブルバレット

・HG ガンダムAGE3ノーマル

・HG ガンダムAGE3フォートレス

・HG ガンダムAGE3オービタル

・1/144ランチャーストライク

・ビルドブースター

 

といったキット類が入っていた。

優はガンダムAGE2のキットの蓋を開いて、パーツの多さに困惑していた。

パッケージには、ヒーローを思わせるアンテナとツインアイ。

大きなライフルを構えて、大きな翼を両肩に携えた青いMS、AGE2が描かれていた。

変形機能なども持ち合わせる、合理的なMSだ。

「うーん、どれにしようかな…」

そんな優を後押しするように、里依は言う。

「里依はアセム好きです!Xラウンダーじゃないのに戦い抜くのが男らしくて」

そんな里依の頭を優しく撫る純子。

「そっかそっか」

「むぅ!里依は子供じゃないです!でも気持ち良くて悪い気はしないです」

里依はプラモ自体には興味はあまりないが、姉が新しい事にチャレンジする事には興味があった

「AGE2かあ、パーツ多いね」

優がしばらく考えていると、純子が言う。

「失敗したらさ、純子が直してあげるから、やってみようよ!」

純子の力強い笑みに対し、優も笑みを返す。

「純ちゃんが手伝ってくれるなら!安心だよね!」

優はそう言い、AGE2のキットに手を振れた。

「じゃじゃーん!ニッパーもピンセットも塗料も持ってきたから!

筆や塗料出すのは、いつも授業で使ってる筆やパレットで大丈夫だよ!」

純子がそう言い、道具を取り出す。

里依がそれと同時に自分の部屋に向かい走る。

「里依取ってくるです!お水も」

慌ててる里依の様子が可愛らしくて、二人共笑みを浮かべていた。

「ふふ、お願いね、里依ちゃん」

こうして、優の始めてのガンプラ製作は始まった。

 

優の手が、ニッパーでパーツを切り取る。

「そうそう、上手い上手い!あまり深く入れたらパーツ傷付けちゃうから注意してね」

「上手い?ありがとう」

 

胴体のパーツを組み立て、頭部まで入ると。

優がAGE2の瞳のシールを眺めて、言う。

「わたし上手くシール貼れる自信ないけど、目はキラキラさせたいな…そうだ!」

優は化粧品箱の中から、何かを取り出す。

「それはマニキュアじゃん!ガンプラに使うのは珍しい」

純子は意外そうな顔をしていた、優が取り出したのはメタリックグリーンのマニキュアだった。

「里依もいつかつけたいですねー」

「ねぇねぇ!プラモに定着出来るかな?これで目をさ、塗ってあげようかなって」

優が疑問を訪ねると、純子はそれに答える。

「キラキラしてるし、しばらく乾燥させれば良い感じになると思うよ?」

優はマスキングテープを張りながら、AGE2の目をマニキュアで塗っていた。

苦労していたが、どこか優は嬉しそうだった。

「んっ!えいっ!難しいかも…」

「おねえちゃん、楽しそうです」

 

「本来の色でもいいんだけど、キラキラさせたいよね、本体も」

優がせっかく作るのだから、色にこだわりを見せる。

「そんな時はメタリックカラーだよ!」

そう言い、純子がシルバーとメタリックブルーの塗料を差し出す。

「綺麗ですー」

「ありがとう!純ちゃん!」

優はぎこちない手付きだが、筆で着実に色をつけて行く。

初心者のためにたまに色ムラが出るが、AGE2はきらびやかになって行く。

メタリックカラーによって彩られ、どんどん機体が優だけの機体になって行く。

 

キットを組み立てると、いつの間にか夕方になっていた。

テーブルの上には、ゲート処理もしておらず。

合わせ目が残っていて、塗装にも多少筆ムラがあるが、優のAGE2があった。

ゲート処理や合わせ目処理よりも、早く直したい気持ちが強かったから。

煌めくシルバー、メタリックブルー、マニキュアで塗った目。

女の子の部屋には不釣り合いかもしれない、だけど。

優はそれを見つめると、満足そうに微笑む。

「出来た!わたしのガンプラ!」

優はその出来映えに満足していた、完成度は高くないが、丁寧に作っていて。

友達と妹と共に、自分の想定した通りに作れたガンプラ。

始めてなのにほとんど完全塗装。

それを見ると、優は満足する。

「わあ!かっこいいです!」

里依が感嘆の声で言う。

「うん!かっこいいよ、純子は始めてはそんなに上手くなかったから」

「いやいや!純ちゃんと里依ちゃんのおかげだよ!手伝ってくれてありがとう!二人共!」

優はそう言い、満面の笑みで微笑む。

優は友人と妹と作った機体を眺めて、満たされる気持ちを感じていた。

「ねえねえ、明日出来映えさ、確かめてみようよ」

純子はそう言うが、その言葉の意味は優と里依には理解出来なかった。

今は休みの最中なので、暇があるから良いのだが。

「うん、明日は予定ないからいいよ

そうだ!時間ないから全部は無理だけど、AGE2はウェアチェンジ出来るし、これは作っておくかな?」

優が他のキットを見て、何かを閃いたようだ。

 

翌日、優と里依はようこう堂へ向かった。

優は大事そうにAGE2が入った箱を抱えていた。

「真由さん!おはようございます!」

「おはようです」

優と里依は元気良く挨拶をする。

「おはよう、二人共、お友だちが来てるわよ」

そこには、真由の他に先客がいた。

純子と、同級生の伊佐美瑠花(いさみるか)だった。

「あれ?伊佐美さん?なんでここに?」

優は瑠花とあまり話した事がなく、知り合いぐらいの関係だ。

瑠花は背が高めだが、小柄な純子と並ぶと並ぶと更に大きく見える。

大きなみつあみが瑠花の特徴だった。

「別に深い意味はないわ、あたしはガンプラが好きだからここにいるだけよ

あなたが初めてガンプラ作ったって言うから、どんな感じかと思って興味持っただけ」

瑠花は髪をなびかせて言う。

「えへへ、優ちゃんがガンプラ作ったからるかぴょんに話したの

前からガンプラ仲間欲しかったみたいだしね、るかぴょん」

純子はいたずらっぽく笑う、その様子はどこか憎めなかった。

「そのるかぴょんってのはやめて欲しいわね!」

そうは言うが、瑠花は本心からは嫌がっている様子はなかった。

星河さん、その子は妹さん?可愛いわね、こんにちは、あたしは伊佐美瑠花よ」

瑠花は目線を里依の高さに合わせて言う。

「そうだよ!自慢の妹なの!可愛いでしょ、いつもさ、ねぼすけなわたし起こしに来てくれたりして凄く可愛いんだ

あとね!あとね!」

優は恍惚とした表情で言う、その様子に瑠花は圧倒されていた…

「し…シスコン…」

「星河里依です、瑠花おねえちゃんですか?よろしくです!きれいな人です」

里依が眩しい無垢な笑みを瑠花に向ける、その様子に瑠花は骨抜きにされていた!

「はあ…可愛い…」

瑠花は正直眼鏡は好きではなかったが、里依は可愛く感じていた。

小動物的な可愛さがたまらない、瑠花はそう感じていた。

「り!里依ちゃんは渡さないから!」

優は瑠花に対抗意識を燃やしていた、普段は温厚だが、里依のことになると暴走しがちだ…

間違えても優の前で里依に対して『目ばかり大きくてあまりぼくの好みじゃないけど…もう2、3年もすれば色っぽくなるだろうから』みたいな台詞を言うとどうなるかわかったものではない。

「はいはい…二人共正気に戻って…とりあえずこっちに来なさい」

真由は呆れながらも、皆を店の奥の部屋に誘導する。

 

「うわあ…」

「すごいですー!」

部屋に足を踏み入れると優と里依は驚愕の声を上げる。

そこには巨大モニターがあり、人が一人入れる程のサイズのボックスがあった。

そのボックスは内部にはモニターとコックピットがあり、コックピットの隣にカプセルがあった。

「えへへー、今から楽しみだよー」

純子と瑠花はすでに来ているのか、慣れた様子だった。

「ふふ、知ってるかな?プラモ狂四郎やビルドファイターズ!」

真由は得意気に笑う、優の頭には?が浮かんでいて、対照的に里依は順応していた。

「???わたしはアニメやガンダムに詳しくないから…ガンダムはAGEぐらいしか知らないです」

「はーい!里依知ってるです!両方共!ガンプラでバトルする作品です」

里依はよく理解していた、この年齢とは思えないぐらいオタク知識を身に付けているのが里依だ。

「これはね!ガンプラバトルマシーンって言うの!」

「名前そのままよね、初見でもだいたい名前だけで全部想像出来るわ」

真由はドヤ顔で言うがそれに対し瑠花の突っ込みは辛辣だった。

「ぐっ!キツい突っ込みを…ナマイキ言うならもう瑠花ちゃんにやらせてあげないかなー?」

真由が瑠花に対して反撃をする、ガンプラバカの瑠花にとっては致命的な一撃を…

瑠花の表情が恐怖で一変する。

「!?ご!ごめんなさい!」

真由は瑠花をいなして気が済んだのか、解説を再開する。

「このマシーンはね!こんな事が出来ちゃうの!以前の戦いの記憶よ!」

真由はそう言い、一枚のディスクをバトルマシーンにセットする。

すると大型モニターに、映像が写し出された。

 

映像には、広野が広がり、そこにはガンダムAGEに登場する白くスマートなMS、GバウンサーとGエグゼスが対峙していた。

本来ならばGバウンサーの方が新しく、能力は高い。

二機の白い機体の間に砂ぼこりが舞う。

まずはシグルブレイドを構え、Gバウンサーが突撃する!

Gエグゼスは後ろに下がり、距離を取ろうと試みるが、Gバウンサーはライフルを撃ちながら突撃を始める。

ビームのエネルギーが迸る。

Gエグゼスは盾を構え、ビームを受けるが、直後にシグルブレイドがシールドに炸裂する。

ライフルとシグルブレイドの二段攻撃を耐えきれず、シールドを破壊された直後に左腕もろとも破壊される。

シールドパーツと共に、左腕のパーツも舞う。

咄嗟にGエグゼスは右手でサーベルを抜く、GエグゼスはサーベルでGバウンサーの頭部を破壊する。

Gバウンサーのパイロットは判断を誤った事を後悔するが、Gバウンサーのメインカメラは破壊されている。

Gエグゼスはサーベルを投げつけ、それがGバウンサーの脚を貫く。

Gエグゼスはライフルを取りだし、エネルギーをライフルに集中する。

チャージしたビームが放たれ、ライフルのビームがGバウンサーを貫く!

そして、戦いはGエグゼスの勝利で終わった。

本編では滅多にありない、旧式勝利の展開だ。

 

皆がそのバトルに見とれていた。

「凄い…あれがガンプラ?」

優が驚いた声で言う。

「まさか実在するなんて思わなかったです!」

「まあ、簡単に説明するとガンプラのデータを読み取って、スキャンして戦うゲームって事よ」

壊れたパーツなどを見るに、ガンダムで言うロボットのMSそのものではなく、ガンプラのパーツだった。

ガンプラバトルマシーンはガンプラをカプセルでスキャンして、仮想空間で戦うゲームだ。

「どう?ガンプラ同士で戦うからさ、アニメ本来の性能差はあまりないんだよ?

だから旧式でも量産機でも好きなの使っていいんだよ!

V2やストフリ使えば無敵ってわけじゃないし

出来映えやその人のテクニックで勝負決まるからね」

真由が言う、先程の戦いを見ると、優は自分の力を試してみたい気持ちが大きくなる。

「あの!遊ばせてもらって良いですか?さっきのGバウンサーやGエグゼスに比べたら出来は良くないかもしれないけど」

優が言うと、真由は笑顔で返す。

「もちろん!ガンプラのためにここに来たんでしょ?頑張ってこーい!」

真由が軽く優の背中を叩く。

「わーい!楽しみですー」

「おっけー!チーム分けはどうする?」

純子が訪ねると、瑠花は静かに笑う。

「あたしは自信あるから、二人がかりで良いわ、2対2であたしの僚機はオートパイロットで」

優、純子、瑠花はコックピットへ向かう。

「よし!審判とかは私がやりますか!」

真由が中央に座り、スタンバイをする。

全員使うキットはわからないようにしている。

「やっぱり…凄い…」

優はコックピットの設備に圧倒されていた。

優はAGE2を取りだし、AGE2と共に何かをカプセルにセットする。

「頼むよ!AGE2!」

優はAGE2に語りかけるかのように言う、太陽が反射して、優に返事をするかのようにAGE2は輝く。

「三人共!準備はいい!」

「もちろんです!バトル!れっつごー!かな?」

優は少し照れながら言う。

「おっけー!」

「大丈夫よ」

返事をすると、真由はマシーンを展開する。

「行くよ!バトルスタート!」

すると、優、純子、瑠花のモニターに、青空が広がる…

 

 

優がレバーを動かすと、AGE2もそれに反応する。

優は自分で作成したガンプラが動く事に気持ちが高ぶり。

ワクワクする気持ちを感じ笑顔になっていた。

「す…凄い…本当に動いてる!」

周囲を見渡すと、市街地が広がっていた。

仮想空間の自分達以外誰もいない市街地。

そこに、優のAGE2が降り立つと同時に、

一機のガンダムもあった。

ビームがアンテナになっていて、各部に三角のバーニアが存在する独自のデザインのガンプラ。

ビギニングは最初からガンプラと言う設定なので、一際玩具のようなデザインで、他のガンダムと比較すると異色のデザインだ。

「やっぱりそれで来たんだね」

優は以前にそのビギニングを見せてもらった事があり、純子がそのビギニングに乗っている事に気づいていた。

「やっほー!優ちゃん、純子はビギニングJDで来たよ!」

機体の名前はビギニングガンダムJDと言う。

ベースはビギニングガンダムJだが、ビギニングDのパーツも組み合わせている、ピンク色のビギニングガンダムがあった。

ビギニングJの丸い部分には、ピンクハロが描かれていて。

JUICY DREAMER(ジューシードリーマー)と言うロゴが入ったデカールもあった。

純子は「じゅーしーどりーまー」と言うバンドもしていて、その宣伝のためだった。

機体の名前も、元機体の名前とバンド名の両方から来ていた。

武装もバンドをしている純子らしく、エクストリームのギター型ライフルが装備してあった。

「凄いよね、わたしのと比べると完成度が」

純子のビギニングJDは全体に手が入り、デカールや塗装などもしっかりと行われていた。

「比べるなんて意味ないなーい!まずは楽しく、だよ」

純子は笑いながら言う。

「そっか、それじゃ!わたしなりにやってみる!」

そう二人が話していると、白いボディとゴーグル状のカメラアイが特徴の機体、ジェノアスカスタムが迫ってきた。

「ジェノアスだ!」

優は予想外の敵に対し、ハイパードッズライフルを構える。

ガンダムAGEの量産機を改造した機体、原作の性能だけで言えば優のAGE2の圧勝だが。

先程の映像を見る限り、原作での性能差よりもプラモの出来映えなどで決まるため、優は警戒していた。

プラモの出来は客観的に見ると優のAGE2よりジェノアスカスタムの方が上だった。

ジェノアスカスタムがライフルを構え、ビームを発射する!AGE2のシールドが一撃で破壊される。

AGE2のボディが揺れて、優は予想外の威力に困惑していた。

「こ…ここまでなんて…」

「さすがるかぴょんが作ったガンプラ!」

ジェノアスカスタムは幸いオートパイロットなので、瑠花は乗っていなかった。

「わたしだって!さっきのお返し!」

AGE2がハイパードッズライフルを撃つ、強力なビームはジェノアスカスタムの左腕を破壊する。

僅かにシールドを構えるのが遅れて、腕パーツと共にシールドパーツも落ちる。

「ナイスだよっ!優ちゃんっ!」

そのスキを見て、ビギニングJDがライフルを放つ。

ビームが迸り、周囲に閃光が走る。

ライフルはジェノアスカスタムのライフルを破壊する。

「凄い威力だよ!」

「えっへん!どう?純子頑張ったんだよ!」

純子のライフルの威力はハイパードッズライフルを上回っていた。

これは純子がエクストリームのライフルに手を入れたからだ。

ここで左腕パーツだけではなく、ジェノアスカスタムの射撃武器を奪った事は大きなアドバンテージだ。

ジェノアスカスタムは地面のシールドパーツからサーベルを回収し、AGE2に迫る。

「きゃあっ!」

サーベルはコックピットまで貫通する事はなかったが、AGE2に大きなダメージを残す。

胴体にダメージが残り、AGE2の動きも鈍くなる。

「優ちゃん!向こうからも来るよ」

戦いを繰り広げると、頭部がゴーグルのMS、ジムが実弾ライフルを撃ちながら迫ってくる。

弾幕がビギニングJDの眼前に放たれる。

そのジムは重装甲をまとったジムストライカーと言うMSだった。

カラーリングはキットと異なり、オレンジ色になっていた。

「なかなかやるようね、だけどどこまで持つかしら!」

ジムストライカーはスピードを上げ、優と純子に迫る。

「るかぴょん来ちゃった!早くジェノアスやっつけないと!」

純子が言うが、ジェノアスカスタムは僅かなスキを突き、ビギニングJDに切りかかる!

「きゃー!や!やられた!」

ジェノアスカスタムの攻撃を受け、爆発音と共に、パーツは砕け散る。

「じ!純ちゃん!」

優はあっさりと純子がやられた事に困惑していた。

まさか当たりどころが悪いとは言え一撃とは想像出来なかったから。

対照的に何かを警戒している瑠花。

「いや、あの娘があれぐらいで…」

優は呆然としていたが、上から何かが猛スピードで降りて来る!

それは、シールドを失ったビギニングJDだった!

右手にはシールドから回収した3連サーベルがあり、左手には連結したバーニングJソードがあった。

バーニングJソードとはビギニングガンダムJの必殺の実体剣だ。

「純ちゃん!」

「なーんちゃって!これぐらいで純子やられないよ!」

ジェノアスカスタムはサーベルをガードしようと試みるが。

ビギニングJDの3連サーベルは圧倒的な出力でジェノアスカスタムのサーベルを押し切る!

「でいやあ!純子流炎めったぎりぃ!」

それと同時に左手のJソードを振りかざす、Jソードは炎をまとう。

振りかざすと同時に風も舞う。

炎の剣に切り裂かれ、ジェノアスカスタムは破壊され、爆発が広がる。

瑠花は味方がやられたのに、どこか楽しそうだった。

「なかなかやるわね、褒めてあげるわ」

「あれ?さっき爆発音したのはどうして?」

優が疑問を訪ねる。

「ああ、さっき砕けたのはシールドのパーツだよ

音はね、ギターライフルは音出せるように改造してあるの!」

純子が言う、先程の戦法は改造したライフルがあったからこそ出来た戦法だ。

「す、すごいね…なんか…」

優は次元の違う技術に圧倒されていた。

瑠花は2対1になった事に動じていなかった。

むしろ楽しそうに笑っている。

「どうしたの?向かってきなさい?」

純子が数で押しきろうと、指示を出す。

「今がチャンスだよ!」

「よし!」

AGE2はストライダーに変形し、猛スピードでジムストライカーに迫る。

その後ろからビギニング。

 

「みんな頑張ってですー!」

里依は無邪気にはしゃぎながら、バトルの行方を見守っていた。

「どうなるかな?瑠花ちゃんは一筋縄じゃ行かないわよ」

真由はぼそりと言う。

どちらが勝利するかわからない戦い、それを見守っていた。

 

「甘い!直線的に来ても読める!」

ジムストライカーはライフルをAGE2に向けて放つ、銃弾はAGE2に炸裂する。

それだけではなく、瑠花はライフルを持ち変えて。

もう片方のライフルに込められたペイント弾がAGE2の頭部に当たり。

AGE2の右カメラアイがペイントに覆われる。

「きゃっ!」

AGE2は視界不良でコントロールを崩し、ビルに激突する。

「なっ!?ペイント弾!?

優ちゃん!まだ撃墜されてないよ!」

純子は優に指示を出す。

「わかったよ!今ウェアチェンジを!」

「え!?」

純子は予想外の優の言葉に驚く。

ウェアチェンジなどは補助機がない限り諸刃の剣だった。

一旦カプセルから取り出して、パーツをセットするからスキが生じる。

そのため、AGE2は動けないまま戦場にいるしかない。

「え!?えええええ!?」

一番驚いたのは優だった、無防備のまま戦場にいると撃墜の危険性が高まるから。

初体験なので、無防備になる事は知らなかった。

「優ちゃん!純子が守るから気にせずにチェンジして!」

純子が強く言う、優はそれに答える。

 

優は先程の瑠花の判断力を見るに、今の自分の力なら普通にやっても勝てないと感じていた。

「わかったよ!わたしなりのやり方で!」

優のカプセルには、ダブルバレットのパーツの他に。

AGE1スパロー、AGE1タイタス、ビルドブースターのパーツがあった。

 

「さて、これで終わりかしら?万が一ウェアチェンジしてもダブルバレットやアルティメスよね」

瑠花はAGE2の特性を知り尽くしていた。

AGE2の他の形態、ダブルバレットだろうがアルティメスだろうが倒せる自信があるのだろう。

「させないよっ!」

ジムストライカーはライフルを無防備のAGE2に向けるが、ライフルはビギニングJDのJソードにより破壊される。

「面白いわね、あなた」

ジムストライカーはビームスピアとビームサーベルを構える。

ビギニングJDと同じ二刀流だ。

ビギニングJDは長すぎると不利だと感じ、バーニングソード一本を背中に戻す。

今は3連サーベルとJソード一本の二刀流だ。

お互い二刀流のまま対峙する。

「ふふ、純子はそう簡単にDEADされないよ!」

「せいっ!」

ジムストライカーのビームスピアがビギニングJDに襲い掛かる。

ビギニングJDはそれを3連サーベルで受け止める。

ビギニングJDが左腕のJソードで斬りかかるが、負けじとジムストライカーも受け止める!

互いの剣がぶつかる度に、火花とビームの粒子が飛び散る。

「くうっ!こんな強い相手は久しぶりね!」

「えへへ!嬉しいよ!るかぴょん!」

お互いの力は拮抗していた、お互いにどう転ぶかわからない戦いに酔いしれていた。

ビギニングJDのスカートが開く、瑠花はその様子に警戒し、咄嗟にジムストライカーはビギニングJDを蹴り飛ばす。

僅かに遅かったのか、スカートに仕込まれたビーム砲により、ジムストライカーの胴体にヒビが入る。

だが、その直後に瑠花は動じる事なく、ビギニングJDの左腕をビームスピアで破壊していた。

壮絶な戦いだった。

「面白い、面白いわ!南澤さん!」

「ふふ、純子の強さわかった?」

戦いを繰り広げていると、後方から何かが迫ってきた。

遠目からAGE2だとわかるが、そのシルエットは異質の姿だった。

「ウェアチェンジして来たよ!純ちゃん!」

「それおしゃれだね!優ちゃん!」

「………………………」

AGE2は右腕が太い腕部のタイタス、左腕がビーム砲とサーベルを備えているダブルバレット、脚部が細くスピードが高いスパローと言う無理矢理機動力と攻撃力を上げたバランスが悪い姿だ。

実際に機動はグラついていた。

瑠花は呆然としたが、すかさずビームスピアを構える。

「な!なんの!その程度ガンダムAGEのゲームでも出来るわ!」

だが、予想外にスピードは早い。

「えっ!?」

瑠花はそのスピードに驚愕する。

その理由は、腰に強化ブースター、ビルドブースターを取り付けているからだ。

「えいっ!」

スパローの脚部からニードルが放たれる、それはビームスピアを弾く。

「なっ!?」

「せいっ! 発射しづらいけどっ!」

ダブルバレットとビルドブースターからビームが放たれ、無茶な体制の上に頭部にペイント弾のペイントがあるため狙いは正確ではないが。

直撃ではないが、ビームはジムストライカーの胴体に炸裂する。

装甲が厚いが、先程の純子の一撃で致命傷になっていた。

「そんな無茶な改造っ!」

ジムストライカーは頭部バルカンを放ち、AGE2の左脚を破壊する。

ガンプラの出来はジムストライカーの方が上なので、ダメージは大きい。

だが、その判断は遅かった。

「こ!これでトドメだよ!」

AGE2はタイタスの肩でビームタックルを炸裂させ、その直後に強烈なパンチを炸裂させる!

その瞬間、勝負は決まった。

優と純子の勝利だ。

 

 

バトル終了後、皆はそれぞれのガンプラをテーブルに並べていた。

そこには、AGE2、ビギニングJD、ジムストライカー、ジェノアスカスタムがあった。

シミュレーションなので機体は壊れていない。

「わあ、かっこいいですっ!」

里依が目を輝かせて言う。

瑠花はAGE2を見る。

「作りはまだちょっと荒いわね、だけど懸命に作ってあって良いガンプラだわ」

瑠花は静かに笑う。

「懸命か…ありがと!」

優は瑠花に認められた事に胸が熱くなるのを感じた。

「るかぴょんは趣味渋いよねー」

瑠花の好きなMSは、頭部がゴーグル状になっている、いわゆるジム系のMSだった。

ストライクダガーも、ジェノアスも好きらしい。

女子中学生にしては趣味が渋すぎる。

「いいでしょ!このゴーグルが好きなんだから!」

真由はその様子が微笑ましくて、笑っていた。

「それにしても、ストライダーに咄嗟に攻撃されたのはびっくりした!」

「手加減してくれたんでしょ?いつものダガーじゃないし、仲間はオートパイロットだし」

純子は言う、今回のジムストライカーは瑠花の本来の機体ではない。

優はあれで本気ではない事に、瑠花の底知れなさを感じていた。

「え!?あんなに強かったのに本気じゃないの?」

瑠花は得意気にふふんと笑う。

「びっくりした?本気のあたしはこの程度じゃないわ

愛機が整備中だったのよ」

「びっくりしたけど…ますますやる気出たよ!」

優は逆に壁を感じるどころか、意欲が高まっていた。

「頑張るです!おねえちゃん!」

「ねえ、瑠花ちゃん、アレ見せてあげて?工作がしっかりしてるから参考になるハズよ」

真由に促され、瑠花は箱からオレンジ色の

スローターダガーを取り出す。

「これがあたしの自信作よ!」

ガンダムSEEDスターゲイザーに登場した、ゴーグル状のカメラアイを持つ量産機だ。

別売りのストライカーパックも取り付けられる。

古いキットだが、頭部のカメラアイもシールからクリアパーツになっていて。

可動範囲もHGAGE1やHGアデルに匹敵する程になっている。

脚に追加バーニアもあり、その出来映えは素晴らしかった。

だが、ストライカーはついていなかった。

「ストライカーは整備中だからつけてないけど、これがあたしの愛機よ!」

「いつ見てもすごい出来よね、お姉さんには出来ないわ」

「中身もすごいよね、るかぴょんのは」

「ど!どうやってやったですか!?」

里依が声を漏らすと、瑠花はそれに答える。

「まずは、パーツを選ぶのよ、これとこれを組み合わせて…仮組みも重要ね

オリジナルのカラーリングにするなら色合いとか、その機体に合うかも考えて

色の調合や塗料の質も忘れたらダメ

換気も忘れたらダメよ、下手したら体調悪くなるわ

パーツもただごちゃごちゃつけるだけじゃダメだわ、どれに合うかとかもシミュレートして

武装も機体に上手くマッチするように」

瑠花が長文で語る…その様子に真由は苦笑いを浮かべていた。

「すごい…としか言えない、かっこいい…丁寧に作ってあるし、愛も感じる…」

優はダガーの出来映えに圧倒されたが、いつか自分もこんな改造が出来るようになりたい!そう考えていた。

 

「どう?優ちゃん?ガンプラやってみる?」

純子が訪ねると、優は満面みを返す。

「やってみます、こんな面白いこと!ほっとけないから」

優はガンプラの奥深さに対して、胸が熱くなるのを感じていた。

未知のガンプラ、未知のライバルが待っている。

そう考えると気持ちが熱くなる。

 

続く

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