ようこう堂で優が純子と瑠花に切り出す。
「セツさん達に勝ちたいの!どうすれば強くなれるかな?」
優の言葉に純子と瑠花は言う。
「うーん…ゲームとガンプラの腕前を上げるしか無いんじゃない?」
「そんなの簡単よ、ゲームしまくれば良いじゃない
至らなかった点の反省とかしながら」
二人の言葉はいたってシンプルだった、続けていれば上手くなると。
「そうだよね、まずはあのリリービットだったっけ?
あれと槍の対抗手段を考えないと」
優は前回セツに完敗した事で対策を考えていた。
「うーん…上っ面の対策するぐらいで勝てるほど甘い相手じゃないし、考え甘いカモ?」
「付け焼き刃よね」
優は二人の言葉に困惑する。
「二人ともしんらつー……」
瑠花が案を切り出す。
「でも、やらないよりはマシよね
星河さんは顔に似合わず攻撃力は申し分ないけど回避力に難があるわ
そこの訓練をしないと」
「顔に似合わないって…どんな意味…」
「ところで、優ちゃんの動きが良くなる事あるけど、あれって何かな?特殊能力?スーパーパイロット?」
純子が疑問をぶつける、優のAGE2の動きが突然良くなった事が疑問だった。
「現実なんだからそんな力あるわけないでしょ…
集中力高まってゾーンに入ったんだと思うわ」
優は瑠花の言葉に頷く。
「うん、周囲の事が目に入らないで、目標の事しか考えられなくなったんだよ」
優の急激なパワーアップは物事に集中するゾーン状態だった。
「狙ってあの状態になれる訳じゃないんだよね?
ゾーン状態を使いこなせれば大分違うけどさ
優ちゃんは普段からゾーンに入れるタイプじゃないし」
「頼もしいけど、星河さんだけがゾーンに入れる訳じゃないわ
一応誰かがゾーンに入る可能性あるのも考慮しておくべきよね…
集中力ゼロの南澤さんにはムリだろうけど」
瑠花が複雑そうな顔で言う。
「ーっっ!!」
純子が怒りながら瑠花の一部分を固執に触れていた。
「ちょ!?どの触って…!あんっ!」
「ほらほらー、ここが良いんでしょ!」
「ちょ…そこは…ああっ!あはははは!!」
純子は瑠花の脇腹をくすぐっていた。
優は赤面しながら複雑な顔でそれを眺めていた。
「ま、まあ…頼りすぎるのも危険そうだし…使えたら良いなぐらいの気分で…」
優が操るガンプラ、赤いのモノアイの可変MS、バウが広野のバトルフィールドに降り立つ。
そのバウは素組みの状態で、ある敵に追い回されていた。
それは白いやや大柄なガンダム、νガンダムでフィンファンネルと言う遠隔兵器を装備している。
しかもバウと違って作り込まれていて、バウも攻撃を避けるのがやっとだった。
「うわ!このバウなんて動きが鈍いの!
作り込まれたνガンダムとじゃ比較にならないよ!
純ちゃんは作り込まれたガンプラでずるいー!」
純子の操るνガンダムは容赦ない攻撃を続けていた。
二人のガンプラはレンタルガンプラだ。
「だってさー、武器攻撃ならともかく
純子は遠隔攻撃をセツっちほど上手く扱えないもん!
だからその分優ちゃんの機体の性能を下げてさ」
優がしぶしぶながらも純子の言葉に頷く。
自分より明確に格上な相手との戦いだ。
「サーベルも槍みたいに使うから、この応用で槍をかわす訓練もしてよ
最低限の性能で回避出来るようになったら腕前も上がるよ」
優が苦い顔で同意する。
「わ、わかったよ…ファンネルよりも純ちゃん得意の格闘攻撃で地獄を見そう…」
「あと、ことりんも刀で切りかかって来るかもだし
鈴りんも拳で殴りかかって来るかもだから」
純子が容赦なくフィンファンネルを機動し、ビームライフルをバウに向かって放つ。
1回目 フィンファンネルを回避しきれずバウ撃墜。
2回目 フィンファンネルをある程度見切るも、フィンファンネル回避後のサーベルを回避できずにバウ撃墜。
3回目 フィンファンネルをある程度回避し、νガンダムのサーベルも盾を犠牲にして防御に成功するも。
直後にテンションが上がった純子の「なんとか流星拳!なんとかふーふー拳!」の叫び声と共に
νガンダムの拳がバウに炸裂し撃墜。
4回目 フィンファンネルをある程度ビームライフルで打ち落とすも。
フィンファンネルに気を取られてた隙にνガンダムのバズーカでバウ撃墜。
そして、5回目…
「フィン!ファンネルっ!」
νガンダムがバウに向けてフィンファンネルを放つ。
「見えたっ!」
優は意識を集中しゾーン状態になり。
バウを上半身、下半身に分けて分離変形させ、自分に降り注ぐビームの隙間を見て回避する。
意識が研ぎ澄まされて、フィンファンネルの軌道がはっきりと見える。
「わ、わかった!そこだ!」
鈍重な機体を機動させ、最低限の動きでビームを回避する。
バウが変形合体してMSに戻り。
持ち手も黄色のビームサーベルを構えνガンダムの懐に飛び込もうとすると。
「せいやっ!」
νが長いビームサーベルを槍のように使いバウをなぎ払う。
とっさにバウは体制を低くし、盾に仕込まれたメガ粒子砲をνガンダムに放つ。
「そこだね!」
「げっ!?サーベルはフェイント!?」
νガンダムは直撃こそ免れたが、頭部が破壊される。
「たかがメインカメラをやられただけだ!って言いたいけどお見事♪優ちゃんの勝ちだよ」
5回目で勝利を手にして、必死に回避していた優も、休まずに攻撃を続けていた純子も汗だくだった。
ゲームを辞めた二人に真由が水を持って来て笑いかける。
「2人ともお疲れ様、で…3回目の無意味な叫び声は何!?」
真由は純子の叫びに驚愕していて、瑠花は呆れていた。
「えへへー、テンション上がってついねー♡」
「あたしも何事かと思ったわよ…」
瑠花は二人が訓練している最中、瑠花が新たなガンプラを製作していた。
「どう?このガンプラ!」
瑠花はドヤ顔でほぼ完成したガンプラを見せる。
細身のジムのガンプラ、GM/GMを改造していて、LC/GM(通称ルカジム)と言うガンプラだ。
頭部はジムコマンドベースでハイメガキャノンが付いていて。
腹部にはストライクフリーダムの武装でおなじみのカリドゥス複相ビーム砲付きだ。
まだ塗装前のために色がバラバラで不統一だった。
「わあ!新しいガンプラだね」
「ジェガンブラストマスターを参考にしたの
それよりは火力は劣るけど、機動力を取ってね」
「すごい...細身だけどムダが無くて強そう」
それぞれ感想を言う、優と純子にとっては自分たちの頼れる新たな相棒だった。
「弱点は防御力が前より落ちる事と、燃費の悪さかしら…
機動力と最大攻撃力は上がってるけど」
ルカジムの用途は短期決戦型のガンプラと言う用途だ。
上手く相手に最大火力を叩き出込めるかが課題だ。
「あのさ、そのガンプラはバトル用だよね?」
優が訪ねると瑠花は「もちろんよ」と返す。
「新しいガンプラか…頼りになるね
あのさ、セツさん達に勝ちたいけど
たぶんあの人たちは言えば何度でもバトルしてくれると思うんだ」
純子と瑠花が優の言葉に頷く。
純子は連絡先も知っているし、その気になれば連絡も取れる。
「でもさ、何度もチャンスあるって考えると決意が鈍くなるじゃん
今回ダメでも次があるって思って
だからね、終わりのつもりで全力で行こうと思うの!」
優は拳を握り、珍しく力強く言う。
その言葉は自分に言い聞かせているかの様だった。
「わたしは勝ちたい!純ちゃん、伊佐美さん!力を貸して!」
優が拳を握る、純子と瑠花が笑いかけ、三人で拳を合わせる。
「愚問ね、あんな面白い相手と戦わない選択肢なんてあり得ないわ」
「純子もしっかり白黒付けたいよ、どんな戦いでもね」
3人はそのままお互いを見据えて、声を合わせる。
「「「勝つよ!!」」」
ある1つの屋敷、その屋敷の一室にロングドレス姿の少女と。
少女の母がいた、少女が歳を取れば母と瓜二つになるだろう。
少女が母に向かい、力強く言う。
「お母様!私はガンダムのプラモデル、ガンプラを極めたいのです!」
母は少女の言葉を受け、タブレットで芸能人制作のガンプラの写真を眺めていた。
「この模型はそのまま組んだ物と出来が段違いですね
模型制作で生活している方もいらっしゃいます
子供の遊びと無粋な事は口にしません
ガンプラを嗜むと仰るなら、とことん極めなさい
高円寺家は結果を出す事が全てです、雪さん」
母は娘、セツ…もとい高園寺雪(こうえんじゆき)に向かい言う。
「は!はい!お母様!」
雪の顔が明るくなり、母も釣られて笑ってしまう。
「あなたなら一流になれます、私とお父様の娘ですから」
雪は母の目の前で、決意を固めていた。
「お母様…」
母の言葉に胸が熱くなるのを感じる。
認めてくれる母のためも結果を出したい、そう感じていた。
雪が部屋から出た所でエプロン姿の鈴が歩いていた。
鈴の家系は家事手伝い等をしているが。
鈴はまだ雪や優と大して歳が離れていない学生のため。
将来のために修行はしているがメイド服などを着ていない。
母が高円寺家に仕えている為。
母と同じ様に高円寺家を支えたいと考えていた。
「認めて下さったのですか?お母様」
鈴が言うと、雪は静かに笑う。
「はい、結果を出す事が大前提ですけどね」
雪の言葉に鈴は胸を撫で下ろす。
「それは何よりです…私も手助けしますから」
「鈴さん…」
雪が鈴の手に触れて笑う、鈴もその華奢な手を握り返し、二人でお互いを見据える。
「お嬢様にお仕えするのが、私の生き甲斐ですから」
二人は、お互いの手のぬくもりを感じていた。
小鳥は、病室にいて、ベッドの主の目の前にいた。
その主は、身体の調子が悪い小鳥の姉、透子(とうこ)だった。
顔の作りは小鳥と似ているが、小鳥はツリ目で、透子はたれ目。
小鳥はショートカットで透子はロングヘアー。
小鳥と違って落ち着いていると言う相違点があった。
「小鳥、今日はお姉ちゃん調子が良いの」
「それは良かったー!ぜっこーちょーだね!」
透子が工具を持って微笑む。
「ところで、天零王のメンテナンスしようか?」
小鳥が天零王を手渡すと、透子は自分が必要とされていた事が嬉しくて。
早速メンテナンスに取りかかる。
天零王は小鳥も手伝いはしたが、ほとんど透子が作ったガンプラだ。
「うん、お姉ちゃんと一緒に戦いたいから!」
小鳥が手を握る。
「ところでさ、純子ちゃんだけじゃなくてあのジム頭やピカピカのガンダムとも戦うかもしれないんだよね?大変ね」
透子が小鳥のバトルの記録を見て言う。
一対一の戦いでは済まないかもしれないと。
純子は勿論、優と瑠花とも戦う事になると厄介だと。
「確かにね、でも、お姉ちゃんと一緒に作ったガンプラだから、どんな相手とでも戦うよ
お姉ちゃんのガンプラがさいきょーだって所を見せてやる!」
小鳥が自分に言うかの様に力強く言う。
「それでこそ小鳥ちゃんだ!お姉ちゃんの分まで遊んでね!」
透子は力強い妹の声に、胸が熱くなるのを感じていま。
「それにさ、純子だけじゃなくてアイツらも面白そうだしね」
小鳥が病院を出て歩いてると、自然と笑顔になっている自分に気付く。
町を歩いてると、変装した雪、制服姿の鈴と会い、挨拶を交わす。
雪と鈴はニコリと笑い、小鳥はニヤリと笑う
「楽しそうな顔ですね、何か収穫ありましたか?」
鈴が訪ねると、小鳥は機嫌の良い声で言う。
「べっつにー♪あんたらこそ何か一皮むけた感じがするけど」
「やるからには何事も全力で取り組まないといけない、そう感じただけです」
雪はそう言い、通りすぎたようこう堂を見つめる。
数日後…日曜日の朝8時に優たちとハイリトルベルの面々は集まっていた、真由が証人だ。
「良いわね…みんな…」
真由が言うと皆が頷く。
それぞれの服装は中学の思い出として優が制服。
純子が長袖のTシャツとスカート、瑠花が秋物のクリーム色のワンピースだ。
対するハイリトルベルは雪がお嬢様学校の制服。
鈴が貸してもらったシックなメイド服、小鳥が秋物のブレザー制服だ。
雪が頭を下げ、優たちに向き合う。
「セツ改め、高円寺雪です」
瑠花は雪の制服を見て驚愕する。
「マジ!?それ良いトコのお嬢様学校の制服じゃない!」
「ああ、この服だって事はさ、セツっちもマジなんだよ…」
純子は雪の決意が深い事を感じていた。
飾らない本当の雪の力…
「雪さん…綺麗…」
「ふふっ、ありがとうございます」
雪は嬉しそうに笑う
「あたしは深く訊かないけど、そのメイド服も深い意味がありそうね
そもそもなんで玩具店にメイド服があるか疑問だけど…」
瑠花の言葉に真由が苦い顔をする。
「男性客を釣るために買ったのよ…それ…」
真由の言葉に瑠花は苦笑する、ああ、だから不釣り合いな物があるんだ…と。
「メイド服ですか?ただの趣味かもしれないですよ?」
鈴は将来雪に仕えたい…そんな決意を込めたメイドの格好だった。
お嬢様のため、自分のために戦う、それが信念だ。
「あたしは…相手が何者で何を背負ってても、全力で戦うわ」
「先日のスローターダガーは厄介でしたからね、でも楽しい戦いでした」
瑠花と鈴は火花を散らしているが、どこか楽しそうだった。
「純子…今日はチームバトルで決着をつけるよ」
小鳥がそう言うが、純子は姉の事を理解しているため一瞬苦い顔をする。
透子の事は優と瑠花の決心を鈍らせるから秘密にしていた。
「うん、ことりんの本気受け止めるから!」
純子は透子の事を考えない様に軽く言うけれど、ポケットの中では強く拳を握っていた。
「血気盛んで何よりだけど、あんたらでさらっとチームバトルだって決めてる!!」
瑠花がツッコミを入れる。
場の流れで純子と小鳥に勢い任せで決められていた…
「何かご不満なの?」
「いや、あたしもしたかったから別に良いけど…」
瑠花が頭をポリポリかきながら言う。
「セツ…いや、雪さん、負けないから!実力の差を補って見せるよ!」
雪が雪に向かって言う、その言葉が嬉しくて、雪も笑顔で返す。
「はい、楽しみにしています」
真由が笑顔で彼女たちのためにバトルマシーンをセッティングをする。
「バトル!れっつごー!」
「純子行くよ!」
「Ready」
優、純子、瑠花は自分を奮い立たせるために出撃時に言葉を紡いでいた。
そして、三人のガンプラ。
AGE2ダブルバレット、ビギニングJD、ルカジムはバトルフィールドに降り立つ。
「こ、このフィールドは…!?」
優は驚愕の表情を浮かべていた。
最終回につづく
何年ぶりの更新だろ…今回は終わらせる事を最優先にしたので。
ハイリトルベル(雪たち)以外の伏線は全カットしました。
使えそうなネタもある程度温存したので。
展開は結構変わってますね。
複雑なストーリーラインじゃないのに思わせぶりな事(伏線いろいろ)言わなきゃ良かった…
絶賛閑散中の小説ですが。
ライバル対決終わらせたら完結出来るので。完結編を書きました。
リアルで換算すると優ちゃん二十歳超え!!
打ち切りですが、もう最終回出来てるので。
よろしければお付き合い下さい。