模型新世紀ガンプラガールズ   作:ひびきすぱいく

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今回はシリアスの割合強い話です、チーム戦の上で避けられない話なので、今回の話を描きました。
まだチーム組んだばかりだからこそ、描くべきエピソードだと思いましたので。


模型新世紀ガンプラガールズ 第3話 「信じるよ」

模型新世紀ガンプラガールズ 第3話 「信じるよ」

 

広野が広がるバトルフィールド、そこには幾多のガンプラのパーツが散乱し。

フィールドに立っていたのは純子のビギニングJD、瑠花のLOダガー。

相手の狙撃型MS、ジムスナイパーK9だ。

優のAGE2は敗北し、優は撤退していた。

仲間の純子と瑠花も相手を一機にまで追い詰めたが、武器もほとんど失い、満身創痍だった。

「むっ!?」

瑠花が何かに気付き、LOダガーを機動させ、ビギニングJDからJソードを抜き去り、K9に突進する。

Jソードからは炎は発生していないが、相手にトドメを刺すには十分だろう。

「るかぴょん!それ純子の!?」

LOダガーは高く飛び上がり、K9を貫く。

その刹那、閃光が走り、バトルは決着した。

 

バトルを終えると、見慣れたようこう堂の景色が広がる。

「ふう、勝てて良かったよー!」

ほっとした表情で笑う優とは対照的に、複雑な表情を浮かべる純子。

「るかぴょん、どうして何も言わずに、純子の剣取ったの?」

純子が瑠花に詰め寄る、普段の明るい彼女からは考えられない表情。

「そ、それは…」

瑠花が何かを言おうとしたが、純子がそれを遮る。

「るかぴょんは確かに強いけどさ!自己中だよ!言ったら貸してあげたのに!一人で突っ走って!るかぴょんも純子の気持ちわかるよね!」

自分に非があるため、瑠花は純子の言葉を黙って訊いていたが、流石に頭に来たようだ。

瑠花も純子に言い返す。

「な!何よそれ!確かに黙って武器取ったのは悪かったけど

あたしと星河さんだってあなたが時間にルーズなのをカバーするのに苦労してるの知らないの!?」

冷たい雰囲気の言い争い、些細な事で小さなコミュニティが崩壊する空気。

今までは別に気にしていなかった事まで引き合いに出してしまう。

優はそんな空気を感じていた。

「ま、まあまあ…二人とも…」

優は必死で場を収めようとするが、二人の険悪な雰囲気は止まらない。

優はそんな光景を見ていると悲しくなってしまう。

 

真由も純子と瑠花を説得したが、二人の仲はこじれたままだった。

逃げるように純子と瑠花が去ると、その場には寂しさを感じる。

「真由さん…」

「うん?」

「もしかして、ずってこのままなのかな…?」

優は泣き出しそうな表情で言うが、真由は優しく頭を撫でる。

「いや、まだそこまでこじれてないし、二人とも若いんだから大丈夫でしょ?」

真由に頭を撫でられると、優は安心する。

「真由さん…ありがとう…」

真由の言葉は優を支えてくれる、優にとっては幼い頃から知ってる、姉のような存在だった。

「優ちゃんさ、リタイアした人はアドバイス禁止だから言わなかっただけで気付いたんでしょ?『アレ』の事」

「うん、それに言ったら傷つけちゃうかもしれないし…」

優と真由は、ガンプラバトル中に何かがある事に感づいていた。

「これ、大切な物忘れてる」

瑠花と純子が急いで去ったために、その表しに外れた一本のJソードと、一本のソードライフルがあった。

それは優の目には、どこか悲しげに見えた…

 

帰宅後、優は自分の部屋で頭を抱えていた。

「あう…どうしよう…」

自分は今まで人間関係に悩んでいる事がなかったから、どうすれば良いのかわからない。

余計な事を言ってしまって、火に油を注いでしまったらどうしよう。

更に険悪になったらどうしよう、そんな考えが頭の中でぐるぐると巡っていた。

そんな事を考えていると、部屋に里依が入ってきた。

手にはレンタルしたガンダムシリーズの一つ、ガンダムZZのDVDがあった。

「お姉ちゃん、ガンダムZZ、いっしょに観るです」

優はぎこちない表情だが、里依に対し笑顔を返す。

「うん、一緒に観よっか」

なんとなくだが、里依も優の変化に気付き、心配そうな顔を浮かべる。

「お姉ちゃん、どうかしましたか?」

優は里依には容易に隠し事を出来ないと察し、部分的にだが悩みを打ち明けた。

「やっばり…隠し事出来ないか

実はね、友達がケンカしちゃって、わたしどうすれば良いのか…」

里依はまだ幼いため、合理的な考えは出来ない、だが、優に対して答える。

「そうですねー、みんな仲良くした方が、楽しいですよ」

優は里依にそう言われて、安堵した表情を浮かべる。

「そうだね、みんな楽しくが一番だよね、ありがと

里依ちゃんの好きなゼリー、一緒に食べよっか?」

里依にかける声は、優しかった。

優はゼリーを部屋に持ってきて、里依を膝の上に乗せて、一緒にガンダムZZを視聴していた。

膝に里依の暖かさを感じる。

「このゼリー美味しいね、さて、どんな最終回になるかな?」

「えへへ、美味しいです、里依楽しいですよ

ジュドーとハマーンがどうなるか気になるです!」

クライマックスに向けて盛り上がる物語、主人公のジュドーが最後の敵、ハマーンに言う。

「憎しみは憎しみを呼ぶだけだって!わかれ!」

優はその台詞を訊いた瞬間、衝撃が走った。

人間の本質を表現した名台詞。

「憎しみ…かあ…」

まだ、純子と瑠花は憎しみとは程遠いが、

どこか他人事とは思えなかった。

 

「星河さん、ちょっといいかしら?」

翌日の休み時間、優は瑠花に声をかけられた。

「え?うん」

昨日の今日なので、どう反応して良いのか、優はわからなかった。

なので、返事も曖昧になる。

瑠花が優の髪に手を触れる、優は突然の行為に驚く。

「ひゃっ!?ど、どうしたの?」

「髪、乱れてるわよ、可愛いんだからきちんとしないとね

結んであげるわ」

優は瑠花に言われるまで自分の髪が乱れている事に気が付かなかった。

気が散っていまのか、ポニーテールがきちんと結ばれておらず、髪の一部がポニーテールからずれて飛び出してしまっていた。

「それじゃ、直してもらおっかな、お姉ちゃん」

優は軽い調子で瑠花に言う、髪を直してもらう時、瑠花の優しさを感じた。

「ふふ、お姉ちゃんはあなたでしょ?妹さんいるんだし」

優の髪は丁寧に結ばれて行き、いつものようになっていた。

「ありがと、伊佐美さん」

瑠花は昨日の出来事が原因で、優の様子がおかしかった事を感じていた。

「星河さん、あなたちょっと妙だったわ…髪乱れてるだけじゃなくて

数学の時間に何故か織田信長の話をしたり、筆記用具とどう間違えたか知らないけど、ビームサーベル(のプラモ)で字を書こうとしたり…」

優は昨日の事がまだ気になっていたのか、妙な行動を取っていた。

「え…ええっとね…」

優は気まずいので理由を詳しく瑠花には話せなかったが、瑠花はなんとなく察したようだ。

「屋上、行こうか」

瑠花はそう言い、優を屋上に誘う。

 

屋上に移動して、二人きりになると、瑠花は語り始める。

「あのさ、あたしちょっと近寄りづらい感じするでしょ?」

瑠花の言葉に優は首を傾げる。

「そうかな?伊佐美さん親切だし、わたしはそうは思わないけど?

ガンプラの作り方教えてくれたし」

優がそう言うと、瑠花は照れてしまい、動揺する。

「あ!あたしは別にそんな!ただ当然の事しただけだから…」

優はそんな瑠花の様子を見て、ほほえましく感じていた。

瑠花は気をとりなおして、続ける。

「あたしね、ちょっと近寄りがたい感じするから、ダンスイベントの時、相手見つからなかったの

その時、南澤さんが誘ってくれたの、一緒に踊らないかって、あの時…嬉しかったな…

それから仲良くなって…」

今は気まずいはずなのに、優は瑠花が突然純子の話題を出した事に多少驚いた。

優はすぐに、無垢な笑顔で手を差し出す純子が想像出来た。

「純ちゃんは、明るい娘だよ」

明るく人見知りしない純子だから出来た事を。

お互いに嫌悪しているわけではないが、気まずくて話かけずらいのはよくわかる。

なんとなく、引きずってしまう事。

優は気付いた事があるので、話を続ける。

「ああ、あのね…わたし弱っちいし

バトル始めた時も純ちゃんが庇ってくれなかったらあなたに負けてたし

この前だってやられちゃった

伊佐美さんがいなかったら千乃さんにやられてたかもしれないし

あなたと純ちゃんがいなかったら会長さんにやられてたと思う」

瑠花は優の話を訊く、だが、優が弱いと言っているのには多少照れながらも訂正を入れる。

「別に、初めては誰だってそうよ?弱くなんてないわ

デタラメなやり方とは言え一度はあたしを倒したんだから自信を持ちなさいよ」

優は瑠花のそんな気遣いが嬉しかった。

「ふふ、やっぱり親切だ…

あったんでしょ?この前のバトルで純ちゃんの近くにドッグパックが

純ちゃんがやられるって言ったら、プライド傷つけちゃうから言えなかったんだよね?

やられるのを見るのもイヤだし」

ドッグパックとは、先日戦ったジムスナイパーK9の自走型兵器の事だ。

自走しつつ、相手を攻撃する優れた兵器。

優は先日のバトルでドッグパックに最初にやられてしまったため、その驚異は理解していた。

瑠花は、こくりと頷く、その優の言う事は正解だ。

「え、えとね…わたしに偉そうな事言えないけど…とりあえず楽しんでみようよ!バトル!」

優は瑠花に向かって力強く言う、その言葉に、瑠花は返す。

「ええ、あたしなりに、やってみるわ

…」

 

 

昼時、優は調子がまだ戻っておらず、相変わらず妙な行動を繰り広げていた。

純子が弁当を広げて、優の近くに座る。

「優ちゃん朝から様子が変だったよー

歴史の時間に教科書と間違えてガンダムの三国伝の本持ってくるし

書道の時間じゃないのに筆記用具に墨汁つけた筆を使おうとしたり

野球の授業で送りバントでホームラン打とうとするし」

優は純子の話を黙って訊くが、そんな優も純子の様子がどこかおかしい事に気付いた。

「うん、そうかもしれないね

純ちゃんだって、お弁当一つとパン二個とじゃ足りないでしょ?」

純子は指摘されて、ハッとした表情を浮かべた。

普通の女子中学生なら十分な量だが、大食いの純子にとっては少なかった。

「う、うん…ちょっと食欲なくてさ」

純子は珍しく戸惑っていた。

優は、瑠花にも事情を話したし、引き伸ばしても仕方ないと感じ、用件を切り出す事にした。

「あ、あのさ…伊佐美さんと…時間あったら話してみて…何か事情が…」

優は明らかに戸惑っていた、話す事に勇気がいる事を切り出しているのだから。

「うーん…」

純子はしばし悩んでいたが、純子の脳裏に、瑠花との思い出がよぎる。

 

 

「同じ早さでー、歩こうよー♪」

音楽室に、一人の歌声が響く。

「出来ないよ!どうしても!」

純子一人しかいない音楽室で、悲しい声が聞こえる。

純子の顔は悲しみを浮かべていた。

床にはシールで彩られた一冊の楽譜が落ちていた。

「もったいないじゃない、可愛いシール貼ってるのに」

そこに訪れたのは、瑠花だった。

「瑠花!」

「あたしで良ければ、アドバイスするわよ、素人で良いならね」

瑠花が柔和に笑い、言う。

瑠花は歌詞を眺めて言う。

「そうね、ここはもっと切なく行った方が良いかもしれないわ」

「じゃあじゃあ!ここは力強く行こうと思ってるんだけど!」

「うん、良いと思うわ」

純子はバンドの曲が上手く行かなかったが、瑠花がアドバイスなどをしてくれた。

純子は練習を続けていたが…

「う…っ!ううっ…」

突然純子が泣き出してしまったため、瑠花は混乱してしまう。

「な、いくら難しいからって泣かなくても…」

「ち!違うの!瑠花が一緒に付き合ってくれたらから!嬉しくて!」

瑠花は純子の言葉に顔を赤くして、続ける。

「ま、まあ、あたしはヒマだったからよ

練習、続けるんでしょ?」

「うん!」

瑠花は素直じゃなかったが、純子は瑠花の気持ちを感じていた。

「同じ早さでー、歩こうよー♪皆と一緒ならー、何でも出来るから♪」

純子の歌声は、先程よりもずっと洗練されていて、楽しんでいる歌声が音楽室に響いていた。

 

 

純子はしばらく考えた後、言葉を紡ぐ。

「うん、信じるよ、るかぴょんは考えなしに、人の気持ちを踏みにじるような娘じゃないって!」

純子はぐっと手を握って言う。

純子もJソードを一本忘れた事に気付いていたようだ。

「剣ひとつないとさ、ビギニングも寂しがるし、バトルの約束あるし」

純子が続けて言うと、優は先日の騒動で忘れていたが、バトルの約束がある事を思い出していた。

「あっ!?」

ガンプラバトルの女子人口が少ないので、優たちがバトルを行っている事は貴重だった。

そのため、バトルをするために約束を取り付ける必要がある場合が多い。

「ふふ、うっかりさん、治さないとね」

純子は優がぼんやりとしていた事に対し、軽口を叩く。

 

 

純子が自分の部屋でぼんやりしていると、意外な相手から電話がかかってきた。

その相手は、瑠花だった。

「え、ええと…るかぴょん?」

純子は戸惑いながらも、電話に出る。

「その…この前はごめんなさいね…」

瑠花は戸惑っていたが、純子は事を大事にさせないように考えていた。

「いや!いーよいーよ!お互い様!」

瑠花は純子が予想以上にあっけからんと言ったため、呆然としていた。

「え…ええ…あ…ありがとう…」

当然こじれるよりは良いが、瑠花は混乱していた。

だが、純子の気遣いを感じ、笑顔を浮かべていた。

「優ちゃんがボケかましまくって心配だし、バトルの約束もあるからそろそろ仲直りかなって」

瑠花は純子の言葉に胸が熱くなるのを感じた。

建前の理由だけで、本音は別にある事を感じていた。

「ありがと、もう良い時間よね、お休みなさい」

「うん、おやすみー♪」

 

後日、優と瑠花はようこう堂に訪れていた。

真由は瑠花が訪れた事で安堵した様子を浮かべる。

「良かった…無事解決したみたいで」

「うん、これ、忘れ物だよ?」

優は柔和に微笑み、瑠花の忘れたライフルを差し出す。

「あ!」

瑠花は以前の出来事でようこう堂に近寄れなかったため、ようこう堂に武器を忘れた事に気が付いていなかった。

「ありがとう、大切なのよ、これ」

瑠花は大切そうに胸に抱いていた。

真由に案内されると、目の前には、3人の少女たちがいた。

「あ、あの…水野春(みずのはる)です…よろしくお願いいたします…」

気が弱そうな少女は、多少おどおどした様子で言う。

「木村比呂子(きむらひろこ)、よろしく」

大人びた少女が冷静に語る、優たちと同い年なのに、落ち着いていた。

「姫野美祢(ひめのみや)ですわ、よろしく

どこか高貴な雰囲気を漂わせる少女がいた、彼女だけリムジンでやってきて、特異な雰囲気を漂わせていた。

「よ!よろしくお願いたしますっ!」

優は初めて身内以外とやるので、緊張して固まっていた。

真由が周囲を見渡すと、純子の姿が見当たらない事に気づく。

「あら、人数足りないわね…また私が」

真由が何かを言おうとすると、勢い良く入り口が開かれた。

「ぜえ…ぜえ…ちょっとまったまったー!純子!参上っ!」

その声の主は純子だった。

息を切らせている事から、必死で駆け付けて来た事がわかる。

瑠花は微笑を浮かべて、純子に何かを手渡す。

「遅いわよ、これ、忘れ物」

軽口を叩くが、内心は感謝していた。

「うん!るかぴょんありがとう!大切な物だから!」

瑠花が手渡したのは、Jソードだった。

純子の大切な物。

「この前はごめんなさいね」

瑠花は頭を下げる。

「いーっていーって!友達でしょ?純子は早くバトりたいよー!」

真由はいつもの調子の純子に苦笑するが、安心していた。

Jソードとライフルが戻ると、二人の気持ちが繋がった気がする。

 

「バトル!行くよ!」

真由がバトルマシンを起動する。

「バトル!れっつごー!」

それと共に、優は気合いを高める。

目の前には、市街地が広がる。

優の機体はAGE2だが、両肩にビーム砲を携えた姿、ダブルバレットになっていた。

優が空を見上げると、空に戦闘機が飛んでいるのが確認出来た。

すると、上空からビームが飛来する!

「うわ!」

「よく避けましたわね!」

その声の主は美弥だった。

優は間一髪で、その攻撃を回避した、だが…その戦闘機は変形し、AGE2に向けてビームサーベルを起動する。

優は咄嗟にそれを受け止める。

そのMSは、Gのレコンギスタのピンク色のガンダム型MS、Gアルケインだった。

細身の体躯に、大型のライフルが目を引く。

アニメでは変形していなかったが、変形機能を持ち合わせている。

「いいですわ!その判断力!」

「ふう!危なかったよ!」

美弥は優の判断力を買っていた、ガンプラの作りも荒く、パイロットとしてそこまで優れているわけでもない。

だが、何かを持ち合わせているから。

「行きますわ!」

アルケインはAGE2から距離を取り、ライフルを放つ。

「なんのなんのっ!」

優もそれに対し、ダブルバレットの肩のキャノンを放つ。

美弥はAGE2の攻撃を回避するが、AGE2は左腕にビームが直撃し、左腕が動かなくなる。

「ありゃ…これは危ないかな…」

優が冷や汗をかいていると、更なる驚異が訪れた。

「な!何!?」

何かがAGE2の横を通りすぎ、斧でAGE2を切りつけ、ダメージを与える。

「お待たせ、美弥」

薄緑色の機体から、静かな比呂子の声が聞こえてくる。

その薄緑色の細身の機体は鉄血のオルフェンズに登場した量産型MS、グレイズリッターだった。

「比呂子さん、良い行動ですわ」

比呂子は落ち着いた様子で、斧をブーメランのようにAGE2に向けて投げつける。

「ひゃあっ!?」

優は混乱していたが、斧にビームが直撃し、打ち落とされる。

背後から、LOブースターが現れる。

先程ビームを放ったのは、瑠花だった。

「伊佐美さん!た、助かったー…」

「大丈夫、みたいね」

優はそっと胸を撫で下ろす。

「おまたせ!純子もいるよー!」

その直後に、純子のビギニングJDもやってくる。

「純ちゃん!」

優は仲間が訪れた事に安堵していたが、一つ予感がしていた。

相手のチームメイトの一人、春はどこに行ったのかと。

すると、強力なビームが素早い速度で迸る!

幾多のビルをもなぎ倒して、純子に向かう。

そのビームを放ったのは、間違いなく春だろう。

「あぶないっ!」

優が声をかけるが、一足遅く、ビギニングJDの脚に直撃し、ビギニングJDは片足が動かなくなり、大きなダメージを受け、爆風が広がる。

「まだだよっ!」

だがその直後にビギニングJDはバーニアを全快にし、炎の剣でアルケインを切る。

「あたしも続くわ!」

それと同時に瑠花も飛び込み、ビームサーベルを2本展開する!ビームの粒子は、炎と共にアルケインを切り裂く!

「な、なかなか…ですわ…」

美弥の言葉と共に、アルケインは爆発する。

「せえいっ!」

AGE2がビームサーベルでグレイズリッターを切りつけるも、比呂子は平然とそれを盾で受け止める。

ビームと実剣が交差し、異なる剣劇の音が響き渡る。

「なかなか筋は良い、みたい」

「純子も援護を!」

純子もJソードを構えてグレイズリッターへ向かうも、先程脚が負傷したために。

グレイズリッターに追い付く事が出来ない。

「追い付けないの、イヤだなー」

「どんまいよ…むっ!?」

純子が悔しげに言う。

瑠花が勘で、空気が変わる事を感じる。

「危ない!」

瑠花はとっさに、純子のビギニングJDを突き飛ばす。

するとその位置に、強烈なビームが駆け抜けた。

遠距離からぬビームの砲撃が瑠花に向かって走る、瑠花は回避しきれず、LOダガーのバックパックは破壊された。

「るかぴょん!」

「大丈夫、バックパックがやられただけよ」

瑠花は冷静な様子で言う。

機動力を減らすような形でパーツが破壊され、優以外は機動力が落ちていた。

「ふ、二人共、大丈夫?」

「これがチャンス」

比呂子は優がスキを見せると同時に、グレイズリッターの剣を振りかざす。

一筋の閃光が、優の眼前に走る。

「きゃあっ!」

優はコックピットの直撃だけは避けるように回避したが、左肩のキャノンは剣により切り裂かれる。

「強い!だけどただじゃ!終わんないっ!」

優の咄嗟の判断で、AGE2はダブルバレット右肩のサーベルを起動し、右手でサーベルを持つ。

右手と右肩の二刀流だ。

AGE2はカウンターにビームサーベルを振りかぶる!その一撃はグレイズリッターを真っ二つにしていた。

どちらが勝ってもおかしくない戦いに勝利出来た事に、優は安堵していた。

「ちょっと悔しい、かな…」

比呂子は冷静に言ったが、その声色はどこか先程までと違っていた。

優は自分の心臓が高鳴るのを感じる。

「ふう…でも安心してるヒマ、ないよね…」

優は瑠花と純子の機体を見て、機動力を持ち合わせているのは自分だけだと気づいた。

「うん、悪いけど優ちゃん、最後の一人引っ張り出してもらっていい?無理しないでね」

「あたし達は機動力が大幅に落ちてるから、のんびり行くわ」

LOブースターは、片足を破損したビギニングJDを庇う形になっていた。

「わかった!頑張ってみるよ!」

 

優はAGE2を変形させ、上空から偵察する。

すると、高台に一つのMSが見えた。

大きなビーム砲を二つ所持しているようだ。

AGE2は先制攻撃にミサイルを打ち込むが、相手のMSもカウンターにミサイルを打ち込み、AGE2のミサイルを破壊していた。

優が見たのは、ZガンダムのGディフェンサーと言う戦闘機と合体したガンダムマーク2、通称スーパーガンダムだった。

巨大なライフル、ロングライフルが特徴だ。

だが、通常のスーパーガンダムと違うのは、ロングライフルを二つ備えている事だった。

「き、来ましたね!このダブルスーパーガンダムが相手です…」

春の口調は戸惑っていたが、冷静に戦局を見据えていた。

「よし!接近すればっ!」

優はビームサーベルで切りつける、鈍いダブルスーパーガンダムだが、ステップを踏み、ギリギリの距離でサーベルを回避する。

優は春のテクニックに驚きを感じた。

「が!ガンダムキック!」

「ら…ライフルパンチ…」

お互いに武器を取り出してるヒマがないため、肉弾戦を繰り広げていた。

AGE2は蹴りを炸裂させ、そのカウンターにロングライフルで殴られ、AGE2は吹き飛ぶ。

優が苦戦しているところに、純子と瑠花が近づいてきた。

「星河さんありがとう!」

「純子!あのスーパーガンダム倒す方法思い付いたよ!」

純子が、優と瑠花に作戦を話す。

「も、申し訳ないですが、これで最後ですっ」

ダブルスーパーガンダムがミサイルとダブルロングライフルを優たちに向けて放つ!その一撃は、強力無比だった。

優は右肩のビーム砲とドッズライフルを構え。

瑠花も両肩のビーム砲と二丁のソードライフルを構え。

純子はビギニングJのロングライフルとギター型ライフルを構える。

そして、優たちもビームのエネルギーを炸裂させる!

「「「いっけー!三人の力!!!」」」

「ま、負けませんっ!」

強烈なビーム砲同士が炸裂し、強烈な光が迸る!

直接的な熱さは本人には感じないが、気持ちが熱くなる。

ビームはお互いに押し合っていて、ビームが戦場を覆う。

次第にダブルスーパーガンダムが押されて行く。

巨大なビームにダブルスーパーガンダムは飲まれて行き。

「よくやって…くれました…ダブルスーパーガンダム…」

春の呟きと共に、ダブルスーパーガンダムは敗れた。

 

バトルを終えると、優たちは手を取り合い、勝利を喜んでいた。

もちろん、純子と瑠花が仲直り出来た事の喜びもある。

「楽しかったよ、またバトルし…」

優は柔和な表情で春たちに言うと、いきなり倒れてしまった。

「ち!ちょっと!寝ないでよ!」

地面に倒れる前に、真由が優を受け止める。

優は純子と瑠花の事が原因で、今までロクに眠れなかったため、最後におだやかな表情で寝っていた。

「ほら、あなた達が喧嘩したおかげで優ちゃん苦労したんだよ?

お礼言いなさい、優ちゃんに」

真由が純子と瑠花に言う。

純子は笑顔で言い、瑠花は優しく優にコートをかけ、頭を撫でてやる。

「ありがとう、優ちゃん」

「星河さん、感謝するわ」

その様子を見て、春たちは何かを感じていた。

「おもしろい人たちですわね、リムジンでお送りしましょうか?」

「突然寝るのは非常識だけど、楽しそう」

「うん、ま、また…バトルして欲しい!です!」

一同は穏やかに眠る優を見守っていた。

 

 

 

 

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