模型新世紀ガンプラガールズ   作:ひびきすぱいく

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今回は二回目の水着回ですね、女の子の可愛さを出したいのでこうしました。
今回はとにかく楽しい話を目指しました。
努力もテーマです。

ガンプラガールズの反省点の一つは。
女の子が本来男の趣味であるガンプラに打ち込む理由とかもっと上手く出来たかな?と思ってます。
そこら辺の理由は今期の某アニメで上手くやってましたし、僕の力不足でした。

次回で仮最終回なので、もう少しお付き合いして頂けると嬉しいです。


模型新世紀ガンプラガールズ 第7話 「なんでも出来るようになると、楽しいよね」

・模型新世紀ガンプラガールズ 第7話 「なんでも出来るようになると、楽しいよね」

 

 

優たちは学校のプールにいた。

プールには独特の消毒液の匂いがする。

暑い日なので多数の生徒たちが学校指定の水着で賑やかにプールで遊んでいる。

「すぅ…すぅ…」

そんな騒がしい状況の中、優は泳ぎの練習に疲れたのか。

小さい寝息を立てながら純子の膝で眠っていた。

「よくプールで寝れるわよね…」

瑠花は呆れて優を見る。

「まーまー、泳ぎの練習だけじゃなくガンプラ作りもしてるから疲れたんだよー」

純子が優しく頭を撫でる。

優はどことなく嬉しそうな様子を見せているように見える。

「慣れてるわね」

純子は優が不意に寝る事に慣れているのか、手慣れた様子だった。

「うん、だって昔からの姉妹みたいなもんだもん」

瑠花はそんな優を見ていた。

「星河さんと関係ないんだけど、ちょっと疑問があるのよね」

瑠花が遠い目をして純子に言う。

「ぎもん?」

「そう、なんだかこの前に市民プールで大騒ぎして

その後あの変なMS軍団とバトルしたのが一年前ぐらいの気がするのよ…なんとなく…

あと、ビギニングJDが相討ちになってからあたしがGセルフと戦うまで半年以上待ってた気がするし…」

瑠花が疑問を口にする。

「最近将棋流行ってるけど将棋もいつ流行ったのかしら…

見覚えのないガンプラがいきなり沢山出た気もするわ…バーザムとかトリスタンとか……

あれ?GMの逆襲やバトローグっていつだったかしら…」

瑠花の疑問に、純子はすぐさま答える。

「きのせーきのせー!何か悪い夢を見てたんだよ!きっと!だいいちるかぴょんと優ちゃんが仲良くなってから一年も経ってないじゃん!それに一年も経ったら進級してるし!クリスマスもお正月もまだしてないじゃん!どっかの歳を取らない嵐を呼ぶ五歳児やサイフを忘れて愉快な超有名家族じゃないんだから!!」

純子が瑠花の言葉を慌てて必死に死に物狂いで否定をする、何かを知られると不味いかのように!

瑠花はあまりの気迫に押されていた、そのため強引に純子に主張をかきけされていた!

「あ、あたしの気のせいね…うん…」

純子が大声を出した影響か、優は目を覚ます。

目をこすり、寝ぼけた様子だった。

「 あ…な…た…お…しょく…じ…」

いきなり起き上がり、優の頭は純子の顎に直撃した。

「ふぇっ!?」

純子から悲鳴が上がる。

「ふわぁ…はう…」

優はまた倒れこみ、瑠花の胸に顔をうずめる。

「ち!ちょっと!?人前で何してるのよ!?あたしは恥じらいがない南澤さんじゃないんだから!!」

優が瑠花にセクハラ?行動をしていると、周囲の視線を集めてしまう。

「あ…あ…」

瑠花は内心悪い気がしないような気もしたが。

この状況を打破するために、発泡スチロールよりやや柔らかい発泡ウレタンのビート板を手に取り…

「いい加減に!しなさいっ!!」

優に突っ込みを入れていた!スチロールじゃなくウレタンなのが瑠花の優しさかもしれない。

「!?純ちゃん!?伊佐美さん!?ここどこ!?」

優はビート板アタックの衝撃ですっかり意識が覚醒していた。

「いやー、大変だったよー!いろんな意味で!」

 

 

優の暴走が収まると、一香と千乃の姿が見えた。

千乃は学校指定ではない、イチゴの模様がついた可愛らしい水着を持って、一香を見ていた。

「あ…あの…せっかく水着買ったのですが…海の予定ががダメになってしまって…」

どうやら一香は海に行く予定が中止になってしまって。

せっかくの可愛い水着を見せる事が出来なくなったのを嘆いているようだった。

学校指定だから、ルール違反ではあるけど着たい。

だけど生徒会の自分がルールを破っては示しがつかない。

千乃はそんな気持ちだった。

一香はあっけからんと答える。

「いーよいーよ、ボクが責任取るから、着てき着てき

千乃可愛いから皆ちょっとは許してくれるヨ

ただし、他の人に示し付かないから20分だ けねー」

「か!会長っ、ありがとうございます!」

普段あまり表情を表に出さない千乃も珍しく表情を表に出し、感動していた。

すぐさま千乃は更衣室へ向かう。

そんな一香の様子を見て、優も感動してた。

「会長!スゴいですっ、優しいですっ、思いやりを感じますっ」

優が素直に感動して一香を見る。

一香は得意気に胸を張る。

「みんな楽しくっ!がボクのモットーだからね!」

優がぱちぱちと拍手をする。

「へえ…優しい所あるじゃない」

「だから生徒会長なのかもしれないよ、いいっちゃん先輩」

純子と瑠花は一香が生徒会長に選ばれた理由がわかった気がしていた。

千乃が戻ってくると、イチゴ模様の水着を着ていて、眼鏡を外していた。

「可愛いねそれ、似合ってるよ」

その姿は可愛らしく、歓声を集める。

「あ、ありがとう…ございます…」

千乃は照れていたが、悪い気はしていなかった。

 

「ねー、優ちゃん泳ぎの練習してるんだけど上手い方法ないかな?」

純子が一香たちに訪ねる、瑠花も身体で感覚的に覚えたので、泳ぐ方法を上手く説明出来なかった。

「うーん…ボクは泳げないわけじゃないけど割りと無茶するよー?教えるのはムリっ!」

一香が言うと、瑠花は納得した様子だった。

(ああ…ストライクフリーダム自由ガンダムとか無茶な代物作っちゃう人だから…)

「私は人に教えられるほど泳ぎに対しては器用ではありませんので」

千乃は静かに言う。

「そーだ!あの娘が良いんじゃないかな?」

一香が指を指すと、一人の女子生徒がクロールで泳いでいた。

瑠花と似たようなスリムな体型だが、瑠花よりも少し力強く見える。

スピードは早く、他の生徒と圧倒的なスピードの差がついていた。

プールから上がり、水泳帽を外すと短い髪がなびく。

彼女の名は上江沢古都子(かみえさわことこ)、水泳部のエースだ。

「ふぅ…あれ?南澤どうしたの?」

古都子が純子の方を見ると、純子は事情を説明する。

「あのね!こーちゃん!優ちゃん泳げなくてさ!今泳ぐ練習してるんだこーちゃんしっかりしてるし」

純子に褒められて、古都子は悪い気はしていなかった。

「あ、あのっ、良かったらわたしに、泳ぐの教えてくれないかな?」

優はあまり古都子と交遊がないので、多少緊張するけれども。

勇気を出して声をかけた。

「うん、泳ぐ楽しみ知って欲しいし、構わない」

古都子は優の提案を気さくに受け入れていた。

 

「あぶっ!あばばばっ!」

優は古都子に泳ぎ方を教えてもらっていたが、あまり成果は上がっていなかった。

「うーん…どうしてダメなのかな?」

純子が言うと、古都子が答える。

「身体固くないし、脚の動きがややぎこちないけど悪くはないんだけどね」

古都子がゴーグルをつけて、水中の優の様子を見る。

すると、優が目をつぶっているのがわかった。

「星河は水中で目を開けられないみたいだね」

古都子が言うと、純子は何かを閃いていた。

「目が開けられない…そうだ!」

純子は先日のガンプラバトルの事を思い出していた。

あの時はシミュレーションで自分がショックを与えたとは言え、優が水中で目を開けていた事を。

「ねえ、あとでようこう堂寄ってもらって良いかな?シミュレーションで水に慣れる手もあるし」

純子がポンと手を叩いて言う、それに瑠花は反応する。

「もちろんよ、丁度あたしも試したい事あったのよね」

瑠花の目は心なしかキラキラしているように見えた、早く遊びたい!そう言ってるかのように。

「もちろんいいよ

それに、この前のバトル完敗しちゃったけど、なんだか熱入っちゃった

奥深いし、強い人沢山いるんだなぁって」

優も乗り気で答えていた、先日の敗北はあまり気にしておらず、むしろ熱意は高まっていた。

「優ちゃんさっすが!」

純子は強く優の背中を叩く、優は楽しげに笑っていた。

「あははっ、痛いよ純ちゃん」

ガンプラバトルの事を話していると、予想外の人物が反応する。

「あら?あんた達もガンプラバトルするの?」

その人物は古都子だった。

「うん!やるよ!いろいろやるよー!ようこう堂でいつもやってるよ!」

純子が無邪気にはしゃいでいた、無邪気で明るいのが純子の長所だ。

「『も』って事は…あなたもガンプラバトルやるのね」

瑠花は古都子がガンプラバトルをやると知って。

彼女がどんなガンプラを使うのか、それを楽しみにしていた。

「それならバトル楽しもうか、ようこう堂でいいんだよね?

キット取ってくるから先にようこう堂行ってて」

古都子が言うと、優たちはこれからを期待して、どこか楽しそうな様子で頷く。

「と…バトルの前に…伊佐美は短距離なら早いんだよね?

行く前に一回対決してみる?」

古都子がプールを指差す。

前に瑠花が早いスピードで泳いでいた話を訊いて瑠花の実力に興味を持った。

それが理由だ。

「ええ、それも一興ね、長距離なら体力なくなるけど、短距離なら…」

瑠花と古都子がプールサイドに待機する、

「じゃー行くよ!よーいどーん!」

純子が合図をすると、一斉に瑠花と古都子はプールに飛び出す。

プールは水しぶきを散らし、二人の少女がゴールに向かって泳ぎ出す。

水面下から見える腕や脚の動きは激しく、二人で全力を尽くしゴールを目指しているのがわかる。

激しい攻防戦が繰り広げられ、結果は僅差で古都子の勝利だった。

古都子はあまり体力を消耗していないが、瑠花は疲れきっている様子だった。

「わ、二人ともすっごい!」

優は二人のスピードに圧倒されていた。

「伊佐美、想像以上だね驚いたよ」

古都子は勝利こそしたが、瑠花が予想以上の実力を持っていた事に驚きを感じていた。

「昔、ちょっとね…」

瑠花は息を乱しながらも古都子の言葉に答える。

その瑠花の表情はどこか憂いを帯びていた。

どこかその顔は切なく見える。

 

 

優達がようこう堂にたどり着き、いつものシミュレーションルームに向かうと、そこには先客がいた。

シミュレーションのモニターには、ガンプラ二機の戦闘が映し出されていた。

海賊のガンダムであり、優が使うAGE2の最終形態、ガンダムAGE2ダークハウンドがモニターに映し出されている。

そのダークハウンドは原典の黒いカラーではなく、全身が対照的な派手なシルバーで塗装されていた。

対峙しているのはグリーンのガイアガンダムだった。

ダークハウンドガイアガンダムにダークハウンドの主力武器である槍、ドッズランサーでの一撃を加えていた。

荒さはあるが、その一撃は素早かった。

ガイアガンダムはその槍の一撃を盾で受け止める。

まるでボクサーのトレーナーが特訓でパンチを受け止めるかのように。

ダークハウンドは何度もドッズランサーを放つが、それを的確に盾で受け止め続けていた。

 

 

「へえ、先に来てる人がいたんだ」

「あのガイアガンダムは真由さんだよね?ダークハウンドは?」

優と純子がモニターを見いる中、瑠花は何かに気づいていた。

「AGE2…メタリック塗装…」

しばらくモニターを見ていると、シミュレーションは終了し。

真由ともう一人、予想外の人物が姿を見せた。

「りーちゃん!」

その人物は、里依だった、優に言わずにようこう堂に訪れていた。

「あれ?皆さん来ていたですか?」

「やっ、皆さんお揃いのようね」

真由が軽い調子で言う。

「里依ちゃん!来てたんだ、と言う事はさっきのダークハウンドは…」

優は先程のダークハウンドを見て、里依が作った物だと言う事を察していた。

「ふふん、あたしは一目見た時から妹さんが作ったってわかってたわ」

瑠花は胸を張り、ドヤ顔で言う。

「はいです!里依が作ったです!」

里依は可愛らしい顔でニコニコと微笑み、

ダークハウンドを見せる。

ダークハウンドは光が当たると優のAGE2と同じようにピカリと輝く。

「良く出来てるわね素質を感じるわ、頑張ってるわね」

瑠花が里依のホワイトハウンドを見て褒める、歳の割に器用なため、合わせ目は消えておらず、ヤスリかけも全くしていないが。

塗装のはみ出しはほとんどなかった。

優のガンプラを見た時には割りと辛辣な評価をした事があるが。

里依の歳を考慮したのか、柔らかな言い方だった。

「へー!うまいねー」

「ありがとうです!シルバーハウンドって名前にしたですよ」

里依が無邪気に微笑むと、皆も楽しげに笑う。

「里依ちゃん、いつの間に作ったの?」

始めはガンプラに興味がないと言っていたが、優たちの影響でガンプラを始めたのだろう。

優はそれを嬉しく思っていた。

里依はイタズラっぽく笑う。

「えへへ、みんなをびっくりさせようと思ってこっそり作ったですよ!」

「こっそりかあ、そういうのも面白いよね」

純子がシルバーハウンドを見つめていた。

「二人ともシスコンだからねー、だからりーちゃんは優ちゃんと同じAGE2にしたんでしょ?」

「し、シスコンだからって…」

「です…」

シルバーハウンドがあの塗装をされている理由を純子は理解した。

「あのさ、優ちゃんのAGE2がキラキラしてるから、りーちゃんもそーしたんでしょ?」

純子が言うと、里依の大きな目がパッと見開いてキラキラしていた。

「そうです!シルバーにしたのはお姉ちゃんのAGE2に憧れて…」

里依の言葉を聞くと、優の胸は満たされていた。

「里依ちゃん!」

優が里依に抱きつく、里依は少し苦しかったが、まんざらでもない様子だった。

「お、お姉ちゃん…苦しいです…でもイヤじゃないです…」

二人の間に甘いような、どこか危険な空気が広がる。

「仲良いねー、二人ともー」

「あー…いろいろ危ないから離れなさいっての…」

瑠花は強引に二人をひっぺがした。

「あ…」

「あ…」

その瞬間、優と里依が顔を真っ赤にして、正気に戻る。

「あんたら、何してんの?」

ふと声がした方向を見ると、そこには古都子がいた。

「あら、古都子ちゃんいらっしゃい、何の用かしら?」

「ウチさ、この三人とガンプラバトルする約束したんだ、いいでしょ?真由さん」

古都子は真由に事情を説明する、事情を訊くと、真由は断る理由もないので許可を出していた。

「こーちゃんとははじめてだねー♪楽しみだー♪」

古都子の方を見ると、目を引くのは古都子が持った巨大な箱だった。

「な、何入ってるのよ?それ…?」

瑠花は古都子の持っている箱の大きさに目を奪われた。

先程の話の流れからして、ガンプラには間違いないとは思っていたが。

相当巨大なサイズだと推測出来る。

「ウチは一人でいいから、ガンプラ大きくても良いよね?」

「いいよ、それぐらいまっかせなさい!」

真由がドヤ顔で言う。

「どんなガンプラなんだろ、たのし…」

優が自分のAGE2を確認した時、異変に気づく。

「あれ?」

優のAGE2にはある筈の物がなかった。

「どうしたの?優ちゃん?」

そのAGE2にない物は、ハイパードッズライフルだった。

優はハイパードッズライフルを塗装中のため、家に置いてきてしまっていた。

しかもAGE2は今の状態はダブルバレットではなく、ノーマルのため武装には乏しい。

「あっちゃー…こりゃ不味いかもね」

純子が箱を除き込む、純子が持ち込んでいる武装は自分が扱いやすいようにしているため、AGE2との相性も悪い。

「お姉ちゃん、里依のドッズランサー使うです!」

その時、里依が声をかけて、優にドッズランサーを手渡す。

「え?里依ちゃん?」

優は一瞬戸惑うが、優はすぐに里依からドッズランサーを受けとる。

「ありがとう!里依ちゃんっ」

「えへへ、里依はお姉ちゃんが楽しく戦う所、見たいですよ」

皆は優がドッズランサーを受けとる所を微笑ましく感じ、それを見守っていた。

「確かに同じ機体同士だから相性は良いわね」

瑠花はガンプラには詳しいので、AGE2の金型の事は理解していた。

武器の流用は里依がダークハウンドを選んだから出来た事だろう。

元を辿れば里依がダークハウンドを選んだ理由は優も絡んでいる、ある種の絆かもしれない。

 

 

優、純子、瑠花、古都子の三人はバトルシミュレーションを開始する。

使用ガンプラは優はAGE2、純子はビギニングJDだ。

フィールドは海中で、実際の海と見間違えるほどのリアルな映像が写し出されていた。

透明感があり、岩場も見える。

ガンプラが海中に降りると、泡が出て、水面がゆらぐ。

「シミュレーションなら見えるし苦しくないし、目開けられてるかな?」

優は目を見開いて海の景色に見とれていた。

以前のバトルの経験もあるから、そのおかげでもある。

ビギニングJDはAGE2の背中をばんばんと叩く。

「やったじゃん!一歩前進かな?」

「うん、ちょっとは自信ついて来たよ」

優と純子かはしゃいでいる中、瑠花は何かを言いたげな様子だった。

「あ…あの…一歩進んではしゃぐのもわかるけど…あたしの方見てくれない…?」

珍しくしおらしく、どこか寂しげな声で瑠花は言う。

瑠花の言葉の通り、瑠花のガンプラの方に目を向けると、そこには見覚えのないガンプラがあった。

「へえ、スパローなんだ!」

AGE2使いの優は瑠花のガンプラに目を奪われる。

瑠花のダガーはエールストライカーを装備していたが、目を引くのは手足のパーツだった。

手足はAGE1スパローのパーツに置き換えられて、スピードと接近戦の強さを重視した形態だと言う事がわかる。

ただスパローのパーツを使っただけではなく、パーツの合いもディティールもダガーと合わせている。

「癖の強い装備だけど、あたしの自信作よ、名付けて!スロータースパローダガーよ!」

瑠花は得意気に言う、遠距離戦は苦手だが、接近戦での強さは保証されている。

「特化型ってのも、ロマンがあるよねー」

純子がそう言った瞬間、一瞬だがフィールドに異質な空気が走るのを感じる。

「来るわ!左に避けて!」

瑠花が言った瞬間、全てを溶解させそうな程に強力なメガ粒子砲が飛来する!

「えっ!?」

ギリギリの所でAGE2は回避する、水中で運動性も落ちているため本当に危険な状況だ。

事実、AGEの装甲もわずかに溶けている。

岩場を溶解させ、フィールドの外まで行く程の強烈な威力だった。

その巨大な影は姿を見せる…それは…

「で!!でっかあああああああああっっっ!!!」

純子は驚愕の声をあげる。

それは、両面がシンプルな水陸両用MS、ゾックだった。

両面に大量のメガ粒子砲が付いていて、唯一無二の特殊過ぎる外見が特徴のMSだ。

本家の機動戦士ガンダムでは瞬殺され、良い所はなかったが。

メディアミックス作品の一つである連邦愚連隊ではコーラの精が醜い人間に裁きを与えに来たと勘違いされたが連邦軍に大打撃を与え。

PS2のガンダムのゲームでは強力なラスボスとしての役割すら担っている。

ゾックは通常のMSより巨大だが、優達が対峙するゾックは巨大過ぎた…

優達のガンプラが赤子に見える程のサイズ差で。

そのゾックは1/60のサイズで、内部構造はHGのようにシンプルな物だった。

だがシンプル故に丈夫でもある、そのサイズ差と、水中と言う事でアドバンテージを稼いでいた。

「ああ…ようこう堂にあったね…それ…」

優は以前にようこう堂に積まれていた1/60ゾックのキットを思い出す。

「どう!この破壊力!水泳部の力!」

ゾックから古都子の声が聞こえる、優はゾックのサイズ差に圧倒されて、それどころではなかった。

「な、なにアレ?」

瑠花は予想外過ぎる敵に呆然としていた。

「しっかりして!るかぴょんっ!」

ビギニングJDが瑠花が呆然としているため棒立ちになっているスパローダガーに近づきビシビシと何発もビンタを炸裂させる。

瑠花は正気に戻った。

「はっ!?あ、ありがとう南澤さん…」

そうこうしている内に、優のAGE2にゾックが迫って来ていた。

水中なので、その巨体からは想像が付かないスピードを出していた。

ゾックが動くだけで水圧が襲いかかる。

「ゾックパーンチ!」

ゾックのクローがAGE2に炸裂する!その巨体から繰り出される拳は恐ろしい破壊力だった。

「え…きゃっ!」

その質量によりAGE2が水中だとは思えない程の距離を派手に吹き飛び。

フィールドから引き離されてしまう。

「ゆ、優ちゃん!」

純子が優の身を案じる、メガ粒子砲が撃てない距離でも侮れない力を持つ相手だと改めて感じていた。

「なんの!純子も負けないよ!」

そう純子は言い、ビギニングJDは予想外の武器を取り出す。

それは旧1/100ガンダムのキットに付いていたアニメには影も形もない武器で。

バネが入っていて実際に発射出来る謎のロケット砲だった。

「え!?それ!?」

古都子が予想外の武装に困惑する、純子がロケット砲の引き金を引く。

「いっけえええ!」

ロケットは水中でも勢いを落とさずにゾックへ向かう!

玩具らしくシンプルな構造だが、それ故に威力は高い。

「よ!避けきれないっ!」

派手な音と共にロケットはゾックに炸裂する!ゾックのピンク色のパーツは砕ける。

そのパーツはメガ粒子砲のパーツだった。

ゾックのメガ粒子砲8門のうち、2つが破壊される。

「ナイスよ!南澤さん!」

スパローダガーはその隙にゾックの懐に飛び込む。

「せいっ!」

スパローダガーはシグルブレイドをゾックに炸裂させる。

その鋭い一撃は次々と装甲に傷を刻んで行き、ダメージを蓄積して行く。

流石にスピードと接近戦に特化した形態と言うべきだろう。

「こ!このおっ!」

ゾックはメガ粒子砲をスパローダガーに放つが、スパローダガーは持ち前の運動力で回避する。

「上手い射撃だけど!あたしならかわせるっ!」

スパローダガーに目を奪われていると。

スパローダガーの背後から、AGE2とビギニングJDが現れる。

AGE2はドッズランサーを構え。

ビギニングJDは水の中だから炎の勢いこそ小さくなっているが、Jソードを構えていた。

「いっくよー!三人どーじ斬りだぁ!!」

「うんっ」

「わかったわ!」

AGE2、ビギニングJD、スパローダガーは一気にゾックの懐に飛び込む。

「行くよ、ドッズランサー!」

AGE2のドッズランサーが炸裂し、ゾックのボディに小さくない穴を開ける。

ビームサーベルでは水中で出力が落ちてしまうため、実体武器を装備したのが功を奏したのかもしれない。

初めて使う武器だが、元々同じ機体のダークハウンドの武器のため、相性は良かった。

まだ優達の攻撃は止まらなかった、ビギニングJDとスパローダガーが飛び出す。

「るかぴょん!」

「ええ!わかってるわ!」

ビギニングJDはJソードを構え、スパローダガーはシグルブレイドを構える。

「せいっやあっ!」

Jソードは左手のゾックのクローを切り落と す。

炎の勢いが弱まっても、巨大なゾックのクローを切り落とせる辺りにビギニングJDの作り込みが現れていた。

「はあっ!」

スパローダガーはゾックのある一定の方向に向けて武器を振りかぶる。

その場所は、メガ粒子砲が破壊された左側の部分だった。

ゾックの左腕に飛び込み、一気に刃の一撃を加える!全てを切り裂く程の鋭い斬撃!

シグルブレイドが巨大なゾックの左腕を切り落とす!

「スゴいガンプラだね、それ」

古都子は不利な状況になっているが、どこか余裕の表情だった。

ガンプラバトル開始から5分が経過する。

直後に、フィールドが海中から、宇宙へ変化する。

フィールドが漆黒に包まれ、その中で星が輝く。

 

真由はバトルの前にこう言っていた。

「そうそう、試したいシステムあるんだけど、皆で実験してもらって良いかな?

途中で宇宙になっちゃうけど」

と。

ガンダムBFARの時間ごとにフィールドが変化する地形変更バトルの実験をしたかったのだろう。

 

「さて、俄然あたし達が有利になったわね」

一部の作品ではゾックが宇宙で活躍する作品もあるが。

ゾックは水陸両用MSなので宇宙では力を発揮出来ない。

瑠花の言う事は当然でもある。

だが、直後にゾックは予想外の行動を取る。

「確かに宇宙なら弱くなるよね、だけど!奥の手がある!」

古都子はそう言い、ビギニングJDとスパローダガーに向かって巨体を活かした体当たりを行う!

シンプル過ぎる攻撃だが、その破壊力と質量は圧倒的で、普通のガンプラならば直撃すれば粉々に砕けてしまいそうな程だった。

「っ!?あぶなっ!」

スパローダガーは水中ではなく宇宙ならば本来の運動性を発揮出来る。

そのため、寸前の所で高速機動を発揮し、体当たりを回避する。

「の!のおおお!」

だがビギニングJDは回避しきれず、大きく吹き飛ぶ。

盾も破壊され、ボディにも大きなダメージを負う。

たちまちビギニングJDの姿は見えなくなってしまった…

「純ちゃん!」

優がビギニングJDの事を気にかけるが、まだゾックの攻撃は止まらなかった。

ゾックはおもむろにゆっくりと回転し…

「ローリングメガ粒子砲!ファイアッ!!」

なんと!回転しながらメガ粒子砲を放射し続けた!ゾックを起点にする破壊のエネルギーは止まらない!

周囲の隕石、デブリも跡形もなく消滅する。

「っ!」

AGE2は寸前でGストライダーフォームに変形し、寸前の所で回避する。

だが、かすったウイングの一部分は完全に溶けてしまった。

「もしも直撃したら…」

優はゾックの圧倒的な攻撃力に畏怖すら感じていた。

「甘いわっ!」

スパローダガーは宇宙で本来の運動性を取り戻したため、あまり苦労せずにメガ粒子砲を回避していた。

エールストライカーのバーニアも、本体のバーニアも駆使し、攻撃を回避していた。

優と瑠花が回避する中、純子は自分が攻撃を加える隙を伺っていた。

攻撃するならば、自分が隙を作った左部…

回転するゾックのメガ粒子砲の隙間を見つけ、そこに降り立つ。

ビギニングJDはJソードを背中から瞬時に抜き取り、炎のエネルギーを全力でチャージする。

Jソードにまとう炎が燃え盛る!

ビギニングJDは振りかぶり、炎の剣を全力を込めて投擲する!

「純子流必殺!炎投げ投げ撃っ!」

その剣の勢いは、目を見張る物があった。

一筋の剣は宇宙を切り裂く!

「ああっ!」

古都子は思わず悲鳴をあげる。

炎をまとった剣はゾックに深く炸裂し、大きな傷跡を残す。

だが、誤算があった…

コックピットを目掛けたが、古都子が回避運動を行ったため、コックピットから僅かにずれてしまった。

そのため、大きなダメージを与えたが、撃墜までは行かなかった。

古都子が当然黙っている筈がない。

「ふう…びっくりした…お返し!」

ゾックからメガ粒子砲が放たれ、ビギニングJDは回避しきれず、光に包まれ、爆発する。

サイズ差が激しいため、防ぐ事も出来ない。

「優ちゃん、るかぴょん、あとはお願いッ!」

純子は戦線から離脱した。

「純ちゃん!」

優は友人が撃墜された事に動揺する。

瑠花から通信が入る。

「星河さん、ゾックの両面をよく見て」

瑠花の言葉に従い、ゾックをよく観察すると、前面、後面のいずれにもダメージによってヒビが入っている事がわかる。

後面は三人で一斉攻撃を行った時に、前面は先程のJソードの投擲により発生した。

「ヒビ、入ってるね」

「そうよ、そこを狙うのよ

あたしのスパローダガーとストライダーフォームの運動性なら、二人でかく乱すれば…」

瑠花の作戦はこうだった。

AGE2とスパローダガーの運動性でお互いにかく乱し。

ヒビの部分を優か瑠花、どちらかたどり着いた方が打ち砕くと言う作戦だ。

「それいいね、一斉に行こうか…」

「ええ…」

「よーい…」

「「どん!」」

AGE2とスパローダガーが一斉に飛び出す!

だが、古都子も黙っているつもりはなかった。

「なんの!ウチはそれぐらいじゃ!」

ゾックがメガ粒子砲をAGE2とスパローダガーに向けて放つ!

スパローダガーは持ち前の運動性で回避し、AGE2は咄嗟にストライダーフォームに変形し回避する。

「なんの!あたしはこっちだよ!」

瑠花はゾックの視線をスパローダガーに向けさせる事に成功した。

「早い…だけど!」

ゾックは多大な火力をスパローダガーに集中する。

「っ!」

スパローダガーの装甲なら一発直撃すれば撃墜されるため、回避するのに精一杯だった。

だが、その背後からAGE2が迫る。

モノアイの向きはスパローダガーから、AGE2へと向かう。

ゾックが前後対称ならではの利点が生きた形だろう。

「やっぱり!そう来ると思ってた!」

ゾックの右腕のクローが飛び出し、AGE2に襲いかかる。

原典にはない改造で、相手に予想外の攻撃を放つテクニックだ。

ゾックの右腕の中にアンカーが仕込まれていて、クローは投げ縄のようにAGE2に迫る。

「あ!あぶないっ!」

AGE2はクローの攻撃をストライダーフォームの機動性を活かし、回避を試みる。

だが脚に直撃し、右脚が破壊されてしまう。

それでもAGE2は飛行を止めない!

「が!がんばるっ!」

スピードを落とさずに、上空からゾックの懐へと迫る。

ゾックの頭部のメガ粒子砲がAGE2に迫るが、優はそれを寸前で回避した。

メガ粒子砲の段幕も、何故かどの方向から飛来するのかも理解出来る。

「な!なんで!?当たらないの!?」

どこか優は違う何かが見えた気がしていた。

未知のスピードで、どこか違う感覚を感じる。

まるで自分がどこか別の世界にいるような感覚を…

(あれ…わたし…どうしたんだろ…)

優はしばらくすると、平常を取り戻した。

意識がしっかりと覚醒する。

ゾックのメガ粒子砲の波を掻い潜り、AGE2はゾックのコックピット周辺にいた。

ヒビに狙いを定めて、ビームサーベルとドッズランサーを構える。

「よし!これで!」

ドッズランサーの鋭い突きと、ビームの粒子が迸る。

ゾックのボディは破壊され、バトルの決着はついた。

 

「皆さんすごかったです!」

バトルが終了し、里依は優に駆け寄る。

「あ、あり…がとう…」

バトル終了後の優の姿は疲労しきっていて、明らかにいつもと様子が違っていた。

優は息を切らせて汗を大量に流しながら、姿を見せる。

だけど、笑みを浮かべていて、優の表情は満足している。

心地良い疲労感を感じていた。

それだけ先程のシミレーションは気を張っていて、必死に行っていたのだろう。

自分の力を必死に引き出した証だった。

「みんな良く頑張った!良いバトルだったね」

真由が穏やかな表情で言った。

周囲が暖かな空気に包まれる。

「星河、伊佐美、次は負けないからね」

「うん!」

「純子もまた遊ぶの楽しみにしてるよー」

「あたしは負けないからいつでも良いわよ」

優、純子、瑠花、古都子はそれぞれ握手を交わす。

熱い、友情の握手を。

「里依もいつか…」

里依は楽しそうに握手をしている光景を見て、どこか羨ましい気持ちになっていた。

 

 

 

後日…優達は学校のプールにいた。

優は古都子の指導を受け、泳ぎの練習をしていた。

「あの時の星河さん、凄い疲れてたわね、あたしも体力ないから人の事言えないけど」

瑠花がプールサイドで純子に疑問をぶつける。

純子はいつもの元気な様子とは違い、どこか物思いにふけったような表情をしていた。

「優ちゃんはさ、どうしても勝ちたかったんだと思うよ

だからさ、この前、トルで負けちゃったから気が引き締まったんじゃないかな?」

純子が言った「この前」とはセツとのバトルの事だ。

セツに完敗してしまったから、それがきっかけでよりガンプラバトルに真摯に打ち込むようになったと言う事。

その敗北が優の意識を良い意味で変えたのだろう。

「出来るようになったよ!なんとか!」

純子と瑠花が話していると、プールの中の優から声が聞こえる。

優の方を見ると、速度は遅いがきちんと泳げている様子だった。

「すごいじゃん優ちゃん!」

「頑張った甲斐があったじゃない」

古都子は優が泳いでいる所を見て、やりとげた表情をしていた。

「ウチの教え方が上手かったからかな?」

古都子は冗談めかして言うも、古都子の教え方が上手いのは本当だった。

「ありがとう!上江沢さん、みんな」

優は穏やかに笑う。

「泳ぎでもガンプラバトルでも、なんでも出来るようになると、楽しいよね」

 

つづく

 

 

 

 

 




1/60ゾックは創作なので、実在しません、探さないように!
ゾックの設定について文中で詳しく説明しようと思いましたが、勢い出したいのであえて説明しませんでした!
ゾックがボスになったのは冒険王版ガンダムとPS2のガンダムのゲームからです。
宇宙ゾックも冒険王とクロボンdustが元ネタです。
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