それはユグドラシル終了日の次の日のことだった
「何で昨日じゃなくて、今日が休みなのかしら…」
先日はユグドラシルのサービス終了日であり、ギルドマスターのモモンガさんから最後だから集まりませんか?とのお誘いのメールもあった
しかし、声優の仕事が忙しく、帰宅したのも日が代わってからであり、とても行ける状況ではなかったのだ
「あんのエロプロデューサーが、下心満載で飲み会しましょうとか言わなければ…」
仮にもプロデューサーだし、誘いを断る訳にもいかなかったからなぁ… と愚痴りながら自室でコーヒーを飲んでいると、廊下から慌ただしい音をさせながら「大変だ姉ちゃ~ん」と私を呼ぶ声が聞こえた
(ああ、また
弟がこうやって来るときは大抵面倒ごとである。そう思いつつも、椅子から立ち上がりドアの前で、先日覚えたばかりのある構えを取る
その瞬間、ノックもせずにドアが急に開かれた
「たたた大変だ姉ちゃ…げふぅ!」
いつまでたってもノックするという事を覚えない弟の顎に
「まったく… 何時になったらノックをするという単純な行為を覚えるのかしら… それに私の爽やかな朝を壊した罪は重い」
「そ、そんなことより姉ちゃん… どこでガ○ルパンチなんかを…」
「ああこれ?実は今度の新作ゲームの主人公がボクサーでさ?なんかその流れでスタッフさんに教えてもらって遊んでたら、偶然出来るようになった」
プロがいたら確実に嫉妬する、恐ろしいまでの天賦の才と身体能力であった
「ど、どんだけだよ姉ちゃん… え、今ボクサーが主人公の新作って言った?」
「言った」
「ま、まさか… 8月発売の…あの超大作のことだったりする?」
「うん、ヒロイン役」
「き、期待の新作だったのに…」
真っ白に燃え尽きる弟。期待の新作と言われる物が発売される度に、似たようなやり取りをしているのだから、いい加減学んでもよさそうなのだが…
「それで、何が大変なの?お金なら前の分を返してからにしてよね。そんなんだから、いつまでたっても彼女の一人も出来なくて、童○なのよ」
「どどどどどど童○ちゃうもん!それにそれを言うなら姉ちゃんだって」
「私?私はいいのよ。あなたと違って相手を選んでる側だし」
「くっそ、確かに姉ちゃんモテるもんなぁ…」
悔しいが
「う~ん、そういえば姉ちゃん…」
「何?」
「ずっと聞いてみたかったことなんだけど、姉ちゃんのタイプってどんなのよ?」
いずれピンと来る人がいれば…という感じだったから、そんなことは考えたこともなかった
「んーそうねぇ。あえて言うなら… そうね、モモンガさんみたいな人とかいいわよねぇ」
これは結構本心であった
「あーモモンガさんかー。確かにあの人なら俺も兄ちゃんって呼んでいいなぁ…」
「で?そんなことを聞きに来た訳じゃないんでしょ?何があったの?」
「そうだった!大変なんだよ姉ちゃん!」
「いいから落ち着いて話しなさい」
「あ…ありのまま今起こった事を話すぜ!俺は、自分のベッドで寝ていたと思ったら、いつのまにか隣にシャルティアが寝てたんだよ!」
『ドドドドドド』とかいう効果音が出ていそうな、不思議なポーズで語りだす弟
「は?」
「な… 何を言っているのかわからねーと思うが、俺もどうしてこうなったか分からなかった… 頭がどうにかなりそうだった… 催眠術だとか幻覚だとかそんなチャチなもんじゃあ断じてねえ!もっと不可解なものの片鱗を味わったぜ…」
「この
「酷!って、そんなのはどうでもいいから、部屋に来てくれって!」
そう言うと腕を掴まれ弟の部屋まで連れていかれて…目を疑った
「え…?ペロロンチーノ様!ぶくぶく茶釜様!お会いしたかったでありんす!」
そこには本当に、再開の感動に目を潤ませる銀髪のロリBBA吸血鬼が目の前にいた
「え…これ幻覚じゃないの?」
確かに久しぶりだよな~と思いつつ、横にいた
「ちょ、痛いって姉ちゃん!夢じゃねーって!」
どうやら本当に夢ではないらしい
「ねぇ、弟…」
「何だよ姉ちゃん」
「何で
「そんなの知る訳ないじゃん」
「で、これ一体どうすればいいの?」
「俺に聞かれてもなぁ…」
「お二人ともどうしたでありんすか?」
二人でボソボソと相談していると、シャルティアが何をしてるんだ?と不思議そうに尋ねてきた
「イ、イヤ、ナンデモナイヨ?え~っと、そうだシャルティア、どうしてここに?」
「それが… ナザリックの円形闘技場で
((最後だからって、何やってたんだモモンガさん…))
完全に濡れ衣である
「そういえばここはどこでありんしょうか?」
「え?弟や、何も説明してないの?」
「だって、朝起きたらいきなり横に寝ているシャルティアがいて、驚いてすぐに姉ちゃんのとこに行ったし…」
「あ~確かに同じ目にあったら私でもそうなるかも…」
「ペロロンチーノ様?」
「おっとすまないシャルティア。ここは…」
シャルティアに説明をしようとした、その瞬間
「お、お姉ちゃんここどこだろうね…」
「マーレ、あんたちょっと外に出て確かめてきなさい」
聞き覚えのない声と聞いたことのある名前を呼ぶ聞こえたので、後ろを振り返ると
「「…は?」」
開け放たれたドアの向こうから、とても見覚えのある双子の姿が見えた
次回へ続く
ペロさん、実はがっかりイケメン説
姉ちゃんはしっかりしていそう