守護者が家(リアル)にやってきた   作:へっぽこタン

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ウルベルト・アレイン・オードルは葛藤していた


ウルベルトさん家の場合

「最後だし、お会いしませんか?」

 

ユグドラシル終了の1時間前

ウルベルト・アレイン・オードルは、数週間前に来たモモンガ(鈴木悟)からのメールを見ていた

 

「今更、どんな顔で会いに行けばいいのやら…」

 

長らくインをしていなかったせいで

アップデートには多少時間はかかったものの、いつでもインできる準備は整っていた

しかし、ウルベルトは踏ん切りのつかない様子で、ヘルメット型のデータロガーを両手に胸に抱え途方に暮れていた

理由は、明確だ。あの日、たっち・みー(あいつ)と衝突した時にみんなの前で言ってしまった『あの』言葉が原因だ

 

「みんなには、悪いことをしたよなぁ…」

 

そう思いつつ、たっち・みーとの日々を思い出す…

 

 

 

俺が初めてたっち・みーと会った時に抱いた感想は、『上流階級(勝ち組)にも、俺達(負け組)を理解しようとする奴がいるのか』だった。だが、行動を共にする内にそれは間違いなのでは?と段々と思うようになっていった。そしてそれは、クランメンバーの一人が、たっち・みーについていけなくなり、クランを辞めた時に

 

(ああ…、やっぱりこいつは、俺達を理解しようとしてるのではなくて、現実ではできないヒーローごっこ(正義の味方)がしたかっただけなのか…)

 

そう思うようになった

 

それ以来、現実での嫉妬も合わさり、衝突が始まった…

だが、ある日たっち・みーが一人の男を連れてきたのを境にそれも減ることになった

彼の名前は『モモンガ』といい、話をしてみると俺と同じ境遇なのにも関わらず、大変温厚であり常に仲間の和を考える人物だった。俺と同じような環境で育ったにも関わらず、俺とは正反対であったことに、俺は少なからず驚きを隠せなかった。しかし、お互いに『似たような趣味(厨二病)』だったこともありすぐに打ち解け、この時俺は、初めて対等の友人が出来たことに心から喜んだ。

 

ナザリック外で彼と「そんな装備で大丈夫か?大丈夫だ問題ない」ごっこをしてたら、PK(不意打ち)にあって本当に死んだのはいい思い出だ。あれは遊びに夢中になりすぎて完全に油断していた。その後に、そういうことをやるならナザリックの中でやりなさいと、二人してぷにっと萌えに怒られたのも忘れられない…

 

彼が来て以来、たっち・みー(あいつ)との衝突は幾度とあったものの、彼の執り成しによって、以前より遥かに穏便に収まるようになった

 

そんなある日のことだった

ナザリックを発見し、人数も増えたのでクランを解散し、ギルドを結成しようという話が出たときは、当然俺はモモンガさんをギルド長に推した。たっちみーなんて冗談じゃない。モモンガさんは、ガラじゃないとえらく嫌がったのをよく覚えている

 

当然の如く満場一致でモモンガさんが選ばれることになった。それはそうだろう、彼の内面を知っている者なら、彼以上の適任なんていなことは分かっているはずだ

だが、たっち・みーにも一つだけ評価できることがあるとすれば、それはピンク色をした肉棒(ぶくぶく茶釜)に声をかけたことだけは、誰もが評価するだろう…

 

その後、ナザリック(拠点)を手に入れ、(モモンガ)の頑張りもあり、順調にメンバーも増え、ギルドも強く大きくなっていった

ナザリックを手に入れてしばらくは、拠点の改造やらNPCの制作やら問題児(るし☆ふぁー)が巻き起こす騒動やらで、楽しくも忙しい日々が過ぎていった

まさにこの時期がギルド・アインズ・ウール・ゴウンの全盛期だった

 

 

 

それが起きたのは、ある寒い冬のことだった

あの日、俺は現実での嫌なことを忘れるために、みんなとゲームで遊んで鬱憤を晴らそうと急いで家に帰り、ユグドラシルにインをした

しかし運悪くたっち・みーと俺の二人しかいなく、何かの弾みで喧嘩になった。喧嘩の理由は覚えていないが、大事な事だったような気もするが、覚えてないのならそうじゃないのかもしれない。途中から他のギルメンも何人か来たが、「いつものことか」と思ったらしくスルーしていた。そしてこの時の俺らやギルメンにとって『不幸』だったのが、いつも間に立って仲裁してくれていた、モモンガさん()がその時には不在だったということだった

 

最初は、売り言葉に買い言葉程度であった。それが段々とエスカレートしていき、ついにはお互いに、言ってはならない言葉(禁句)を言ってしまった…

 

「                       !」

 

「                       !」

 

お互いにその言葉(禁句)を言った瞬間の、静まり返ったギルドの様子を思い出すだけで、震えがくる

隣にいたたっち・みーも、他のギルドメンバーの様子を見て呆然としていたのは、雰囲気で分かった

その後、お互いに逃げ出すようにログアウトをし、それ以来俺もあいつもインすることが大幅に減った

途中、モモンガさんから「仲直りしないか?」と色々説得を受けたものの、彼には悪いと思ったが、たっち・みーと仲直りする気には全くなれなかった

 

そして今でも俺はこう思っている

あの時、たっち・みー(あいつ)に言った『あの』言葉だけは決して間違っては(後悔しては)いない…と

 

 

 

 

「そういえばあの野郎(るし☆ふぁー)、ゴ○型ゴーレムのことは忘れてないからな!今度会ったらどうしてくれよう」

 

ウルベルトもまた、るし☆ふぁーの被害者であった…

シリアスな回想だったはずが、るし☆ふぁーのせいで色々台無しであった

 

 

みんなに会いたい気持ちは勿論ある。モモンガさんなら笑って「お久しぶりです。また会えて嬉しいです」と言ってくれるのは間違いないだろう。彼はそういう人だ。彼だけなら、謝罪しに行く勇気は出た。だが、他のメンバーはどうだろうか?

風の噂で聞いたのだが、あの喧嘩の後、メンバーがどんどん減っていったらしい

当然、リアルでの事情もあるだろう。だが、俺達の喧嘩のせいも多少なりともあるだろう

もし顔を合わせて「お前達のせいで、あの楽しい時間が終わってしまった」とか言われでもしたら、そんなのは俺には耐えられない… しかし、絶対に謝罪しなければならない。そうじゃないと俺達は一生許されないのだから…

 

 

「本当にどんな顔して会いに行けばいいんだ…」

 

ため息をつくと、残り時間を確かめようと時計を見た

しかし時計は、彼が思い悩む前の時間と同じ時刻を指していた

 

「おかしいな?確か用意が終わった時も同じ時刻だったような…」

 

慌てて他の時計を確認すると、既に0時を回っていたことにショックを受けた

 

「ああ… 俺はまたみんなから逃げ出したことになるのか…」

 

しかし、安心している自分もどこかにいることに驚きながら、その日は眠ることにした

 

 

 

 

翌朝目が覚めると、寝ぼけ眼の視界に、椅子に座っているスーツを着た一人の男の後姿が目に入った

 

(誰だよ… 泥棒か?それにしてもスーツ着てる泥棒とか聞いたこともないな)

 

部屋に大した物も置いてないので泥棒に入られた所で何ともないのだが…と思いつつ声をかけた

 

「おい、誰だお前」

 

「申し訳ありませんウルベルト様。起こしてしまいましたか」

 

そこには、尻尾もなく目も普通だが、確かに俺がかつて創造したデミウルゴス(NPC)がいた

 

 

 

 

それから3日、デミウルゴスと話し合い、一緒に生活することで、こいつは絶対に自分を裏切らない(忠誠心MAXな)存在だという事が分かった

どうしてこちらに来たか、何故魔法がこちらでも使えるのなんてこの際どうでもいい

自分を裏切らない(全肯定)してくれる奴がいてくれることに比べれば些細なことだ

 

デミウルゴスはスポンジが水を吸うが如く、こちらの知識を吸収し、やってはならない事(犯罪行為)を教えるとそれを守り(ここだけは命令する羽目になったが)、こちらの生活にもすぐ慣れていった

本当にこいつは俺が作ったNPCなのか?全然俺に似てないじゃん… 確かにナザリック一の知恵者とか設定したけどさ

 

最近では俺の行動パターンも分かってきたらしく、こちらが何かしようとする度に、先を読んでその手伝いをしようとするまでになった。お前は俺の母ちゃんか…

 

俺に至っては、家族が増えたみたいで少し嬉しかった

(でも、何で俺は♂の守護者なんて作ったんだろうな… カワイイ♀にしときゃ、今頃ウハウハな生活だったのに…)

などと思ったのはデミウルゴスには内緒である

 

ある日、デミウルゴスに今後の方針(これからどうするのか)を聞かれた。それに対し俺は

 

「(この前謝ることができなかったし)いつでもみんなが(たっち・みー除く)集まれる場所を作りたい」と答えた

 

するとデミウルゴスは

 

「なるほど、さすがウルベルト様… このデミウルゴス感服しました」

 

とか言い出したけど、ちょっとデミウルゴスさんや?何か誤解していませんか?

俺はただ、再びみんなで集まって(たっち・みー除く)楽しくやりたいなーと思っただけなんですよ?

実際その時デミウルゴスは『そのような(魔法の使えない)お体になっても、至高の方々を集めて世界征服をしようというのを諦めていないのか…』と感動していた

そんな俺の心情そっちのけで、デミウルゴスは再び俺にこう言った

 

「では、ウルベルト様。その計画を遂行するためにも、現実で何か仕事を紹介していただけないでしょうか?多少元手が欲しいので」

 

待て、デミウルゴス。お前は一体何を考えたんだ?

元手?なんのこっちゃ。それでお前は何を始める気なんだ?

確かにこの世界には選ばなければ仕事は腐るほどある。ただ、全てがブラックというだけで…

まあ、デミウルゴスには、スキルや魔法、リング・オブ・サステナンスがあるから平気だろうが

でも、こいつに何か不測の事態があったら嫌だしなぁ…と思い、「多少なら用立てするぞ?」と言ったら

 

「創造主のお力を借りるなんてとんでもない!」

 

と全力で拒否されてしまった

仕方がないので、比較的安全かつ収入がいいのを探して紹介した

 

 

一週間後、デミウルゴスが元手が出来たので、PCを貸してくれと言ってきた

ネットをするだけならナノマシンもいらないので

 

「構わないが、何をするんだ?」

 

と尋ねたら

 

「株で資金を増やそうと思います」

 

とか言い出した

普通そんな発想しねーよ、お前本当に俺が作ったNPCか?何か自信がなくなってきた…

そんな俺の気持ちとは裏腹に、それ以来デミウルゴスの仕事場は俺のPC前となり、奴の快進撃が始まることとなった…

 

 

 

一週間もしないうちに、我が家の経済状況は、今までと比べるとかなり向上した…

お前、どんだけ万能なんだよ…

だが、『金持ち(たっち・みー)みたいにはなりたくない』という思いもあった俺は、今までと変わらない生活をしていた

え、『この小市民!』だって?うるせぇ!冒険なんてゲーム内だけでいいんだよ!俺は厨二病だけど、堅実派なんだ!

 

 

一度、デミウルゴスが画面を見ながら笑っていたのを見て

 

「何がそんなに楽しいんだ?」

 

と尋ねたところ

 

「知らないうちに裏からじわじわ会社を乗っ取られ、気が付いた時には、既に手遅れだと理解した経営者の絶望した顔を想像すると大変愉快ですよ?まるで悪魔のようですね。フフフフフ…」

 

と、返ってきた

いや、まるで悪魔のようですねって、お前悪魔そのものじゃん。まあ、楽しそうだからいいか

 

 

 

それからしばらくたった時のことだった

 

「ふむ、これくらいあれば十分でしょうか?」

 

そうデミウルゴスが呟くのが聞こえたかと思うと

 

「では、ウルベルト様。この資金で、至高の方々が集まれる場所を作ってはいかがでしょうか?」

 

とか言い出した。何を言ってるんだこいつは?と思ったので

 

「何を言ってるんだデミウルゴス。それはお前が稼いだ金だろう?それはお前が使うべきだ」

 

と返したら

 

「何をおっしゃいますか!私は私を想像されたウルベルト様の物、その私の物はウルベルト様の物です!」

 

などというやり取りを一晩中やる羽目になった

結局半額だけという話で、何とか勘弁してもらうことにした。ホント俺に似ず頑固だよなぁ…

 

 

 

そして次の日、俺はデミウルゴスの提案に乗り、計画を実行しようと、今より広い部屋を探す為に早速下見に出かけた

 

「うん、ここなら20人くらいなら大丈夫だろう」

 

色々探すうちに、ちょっとした安くて広い物件を見つけた。曰くつきであったが…

まあ、住むのは俺だし問題ないだろう。俺はそんな軒にしないし

それにみんなにも言わなければ、誰も気がつかないだろうし大丈夫だろう

そう考えていたら

 

「もし、資金が足りなければ御申しつけください。追加で集めてまいります 次はどの会社を…

 

と、デミウルゴスが笑顔で物騒なことを言ってきた。株式運用が結構気に入ったのね…

 

「まあ、何にせよ拠点もできたことだし、ここからが始まりだ!」

 

そう気合を入れ、『今度こそみんなに謝罪をするんだ』と気持ちを新たにするも

いきなり全員に会うのは心情的に厳しいので

まずはギルド長であり、友であったモモンガさんに謝罪し、その後どうすればいいのかを話し合おうと、俺は彼に連絡を取ることに決めた




何も書いていない「」内は、皆それぞれの意見があると思うので
ご自由にご想像ください


「お前、俺が取っておいたプリンを食べただろう!この馬鹿!」
「うるせぇ!大事な物なら名前くらい書いておけ!このアホ!」

などとご自由にお楽しみください



デミさんボケにくいよ!
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