昨晩の買い物の約束を実行しようと商業施設への道中
俺こと鈴木悟は、アルベドのご機嫌取りをしようとしていた
「アルベド」
「つーん」
「アルベドさん?」
「つーーん」
「ア、アルベドちゃん?」
「つーーーん」
(どう考えても昨日の事が原因だよなぁこれ…)
そして昨日の事を思い出す
「ちょっとだけです!ほんのちょっとだけ!」
「あ、あわわわわわ……」
「天井の染みの数を数えている間に終わりますから!」
「ちょちょちょっ、ちょっと待った!アッー!」
犯られる!そう思った瞬間、体が勝手に動いた
それは誰が見ても見事だと言わざるを得ない、首への手刀だったという
その効果はすぐに現れ、アルベドはその場にバタリと崩れ落ちた
「ははは… 昔、冗談で武人建御雷さんと、たっちー・みーさん対策に練習した手刀が、まさか本当にできるとは…」
(まあ実際には、たっちー・みーさんには全く意味がなかったけれども…)
取りあえず、アルベドが息をしているのを確認する
「うん、大丈夫みたいだな」
(それにしても防御特化のガチビルドなアルベドに、よく効果があったよなぁ… これは奇跡だな…)
今回はアルベドが油断していたこともあり、もう一回やれと言われても無理だろう
「う~む、今起こすとまた犯られそうだから、このままにしておこう」
この決断が後に、あの場で起こして謝っていれば…と思うことになったのは言うまでもないだろう
ただし、起こしたら起こしたで貞操の危機が続いていたのも間違いなかった
「アルベドよ… どうしたら機嫌を直してくれるのだ…」
威厳のある声を出しながら、威厳のない事を言い、アルベドの機嫌を直そうと必死な鈴木悟だったが、一方のアルベドは
(シャイなモモンガ様のことだから、迫れば当然抵抗されるはず、そして拗ねてみせて、何かしらの妥協案を引き出そうと思っていたけれど、まさか気絶させられてしまうとは… しかし、この状況は神が与えもうたチャンス!何とか活かす方法を考えないと!それにやりすぎは嫌われる原因だってあの本にも書いてあったし、いつまでもこの状態は不味いわね…)
(それに、私がこちらにいるということは、他の守護者達もこちらにいる可能性が大きいわね…あの
などと考えていたらしい
そんな事も露知らず、アルベドの反応にほとほと困った鈴木悟は
「アルベドよ、何でもするから許してはもらえないだろうか…」
その言葉を聞いたアルベドの動きがピタリと止まる
「今… 何でもすると仰いましたね?」
(今、アルベドの目がキランと光ったような…)
「今!何でもすると仰いましたよね!」
あ、これやべぇ!と思った瞬間、どこらか声をかけられた
「ん?そこにいるのは鈴木悟じゃないか?」
そこには会社の同僚である、ガガーラン、ティナ、ティアの双子姉妹、イビルアイ、ラキュースといった仲良しOL5人組がいた
「あ、これはガガーランさん。それに皆さんも。こんな所でどうしたんですか?」
これぞ天の助けと思い、話を逸らすべく全力で会話に乗ろうとした
「チッ、いい所だったのに邪魔しやがって…」
とか聞こえたのは気のせいにしておこう
「ん?いや、たまにはみんなで買い物でもどうよ?って話になってな。商業施設の方に行く途中だったんだよ」
「そうなんですか。それは奇遇ですね」
いよっし!うまく話を逸らせたぞ!と安堵していたら
「それはそうと鈴木、その… 隣にいる女性は誰だ?」
イビルアイがそう尋ねてきた
出会った時から全員アルベドが気になっていたらしく、アルベドの方をチラチラと見ていたのに今更ながらに気が付いた
「ああ、彼女は…」
「妻です」
「は?」×6
間の抜けた声が響いた
「妻です」
「いやいやいや、それ嘘だから!2回も言わないでいいから!」
「はっはっはw 道理でイビルアイの積極的なアタックも相手にされないわけだ」
ガガーランの笑い声が響く
「ちょ、ガガーラン!」
イビルアイが、ガガーランを黙らせようとボディブローを放つも全く効果がないようだった
逆に手を痛めたらしく「痛ったー」と漏らしていた
「なるほどなぁ、こんないい女がいたら、他の女になんて目がいかんわけだ。知ってるか鈴木?お前会社のOL連中にはホモじゃないかと思われてるんだぜ?」
「え、マジですか…?」
「大マジだ」
「「マジマジ」」
「言いにくいけど本当のことよ…」
大変ショックである
「そりゃそうさ、こんなにかわいいイビルアイのアタックにも全く靡かないんだからな。課長のニグンや部長のガゼフとできてるんじゃないか?って話もあるくらいだ。ええっと確か… ガゼフ×悟とかだったか?」
「私は、悟×ニグンと聞いた」
とティナが
「私は、悟×ガゼフと聞いた」
とティアが
「え?私は、悟→ガゼフ→ニグン→悟な三角関係だって聞いたけど…」
とラキュースが言った。なんか色々と派閥があるみたいだった
どれも勘弁してほしいものである
「い、いや、俺は普通に女の子が好きですよ!」
このままではホモォにされてしまうと焦り、全力で否定する
ホモォだけは勘弁してほしい
「ん?じゃあ、何でイビルアイじゃダメだったの?」
「もうやめてくれ…」
ティナの疑問に、イビルアイを除く全員が頷く
「え…? 俺、イビルアイさんのそんな素振り全然気が付かなくて…」
「アタック以前の問題だったのか」
「がはっ…」
仲良し5人組のイビルアイを除く、全員の笑い声が響いた
「もういっそ殺して…」
そして一人、想い人の前で本心を暴露された恥ずかしさや、想いに全く気がついてもらえてなかったことに耐え切れず、プルプルと身を震わせるイビルアイであった
その一方で
(まさかこんな所にもライバルがいるなんて…)
と、一方的にライバル意識をむき出しにしているアルベドがいた
「で?結局彼女とはどういう関係なんだ?」
そのイビルアイの様子を見ながらガガーランが訪ねてきた
「ええっと、彼女は親友の娘で、事情があって一時期預かることになったんですよ」
(うん、嘘は言ってないな)
「ほう、よかったなイビルアイ!お前にもまだチャンスはあるみたいだぞ」
「もう勘弁してくれ…」
恥ずかしそうに俯いて、顔を隠すイビルアイ
「そういや、鈴木。お前さっき奇遇だなとか言ってたな?」
そのイビルアイの様子を、またしても微笑ましく眺めながら、ガガーランがふと思い出したように尋ねる
「ええ、俺達も買い物に行く途中だったんですよ」
「そうか、よかったらお前達も一緒にいかないか?そっちのお嬢さんとも、もっと話をしてみたいし」
「私は大賛成…ジュルリ」
ティアが間髪入れず賛成の意を示す
「私も問題ないわよ」
「私も」
「私もだ」
と、全員が賛成する
「アルベドもいいか?」
「ええ、勿論ですモモンガ様」
(あの新しく出てきた敵を知るいいチャンスだわ…)
こうして各自様々な思いを抱き、商業施設へ向かう一行であった
モモンガ様脱DTルートも同時に書いてみたけど、しっくりこなかったし
前に感想で貰った蒼薔薇の事を思い出してねじ込んでみたら、いい感じになったのでこのままでいきます
誤字の指摘ありがとうございます!大変助かっております
※首に手刀は大変危険なので真似しないでください
そしてついに明日発売だぞ!