「エリー!ロン!起きなさい!」
階下からママの声が聞こえる。
もう3月とはいえ、春の陽気は遠く、暖かい毛布から起き上がるのが億劫だ。
そこに人肌があるのなら尚さら。
「...う、ん」
その人肌君が先にベッドから出たことにより、益々起きたくなくなる。
もぞもぞと、毛布を身体に巻き付けてミノムシ状態になる。
「エリー、起きなよ」
人肌君が肩を揺すってくるけど、嫌なものは嫌だ。
「ぃやぁ。にぃに、先に行ってよ」
毛布を肩まで引っ張り兄に先に降りるように言うと、その毛布をがしっと掴まれる。
「エリー、今日は僕らの誕生日何だぞ?」
「そぅですねー」
そっか、今日は誕生日。
誕生日...
誕生日!?
ガバリ、と一気に起き上がるのと同時に額に激痛。
「痛っ!」
「うぅ、...痛い」
どうやら兄と額がごっつんこしたらしい。
「誕生日おめでとう、エリー」
「...誕生日おめでとう、にぃに」
今のですっきりと頭がはっきりとして、目を開けるとわたしとお揃いのパジャマで赤くなったおでこを涙目で押さえる兄が、誕生日を祝ってくれた。
私と兄は何時も一緒なので、お互いに誕生日は1番初めに祝ってくれる人となっていた。
「エリー!ロン!早く降りてらっしゃい!」
「ママがそろそろ上がってくるよ」
「ん、...早く行こう」
「エリーがなかなか起きなかったんじゃないか」
ぺしっ
「うるさぃ...」
だって、人肌が暖かくて、気持ちよかったから。
それなのに、早く起きるとか勿体ない。
今日は誕生日。私エリシア・ウィーズリーと兄ロナルド・ウィーズリーの11歳の誕生日。
普段なら、ゆったりと朝の時間を過ごすが、今日だけは違う。
手早くパジャマからママ手作りのセーターに着替えて階下に兄と手を繋いで降りる。
こうしないと、背がちっちゃくて、ふらふらなわたしは階段や廊下ですぐコケる。
それ以外にも、わたしが兄の手を離さないこともあるけれど。
人の手って、暖かい。自分より大きな手って安心する。
「おはようママ」
「おはよ...」
「おはよう、エリー、ロン。手紙が来てるわよ」
「やったね!」
兄と一緒に一階の食卓に降りてママに挨拶した。ほっぺたに挨拶のキスを貰ってわたしもかえす。
手紙...ママが指した方向を見ると、確かにテーブルに用意された朝食の脇にあった。
と言っても、わたしの席の所にはいつもの様に10数通あるけれど。
「わぉ、僕宛のホグワーツからの手紙だ!」
兄は、これまで上の兄たちに届いてきたホグワーツ魔法魔術学校からの手紙が自分に来たことに喜んでいる。
かく言うわたしも、何時もの手紙達に埋もれている羊皮紙の、裏に紫色の印籠がしてある手紙を見て、口角が上がった。
「貴方達ももう11歳ねぇ、誕生日おめでとう!」
「「ありがとう、ママ!」」
そんなやり取りをしているとお手洗いからパパこと、アーサー・ウィーズリーが出てきた。
直ぐに兄がホグワーツからの手紙を持ってパパの所に行く。
夏休みなら、他の兄弟がいてパパを独り占めする事は出来ないが、今は3月。その兄弟達は今ホグワーツにいる。更に上の兄たちは家を出てそれぞれ働いている。
「パパ!見て見て!僕にもホグワーツから手紙が来たよ!」
「...ん、来たよ」
わたしも兄と並んで手紙を見せる。
やはり、嬉しいものは嬉しい。
「おやおや、二人ともパパに朝の挨拶は無いのかな?」
「おはよう!」
「おはよ」
「おはよう。そして誕生日おめでとう、エリー、ロン」
パパは、わたしと兄を抱きしめてほっぺたにキスしてくれた。
それに、兄と両側からパパのほっぺたにキスして返した。
魔法省の何とか部所に配属されてるパパの朝は早い。人数が少ないのに、仕事は増える一方だから忙しいんだ。
そんなパパが食卓に居るという事は、相当早い時間なんだろう。妹のジニーも降りてきてないし。
先に朝食を食べた様子のパパは、コーヒー片手に『日刊預言者新聞』を読み始めた。
わたしと兄は朝食そっちのけで手紙を開封する。
少し黄ばんだ羊皮紙の手紙には、こう書いてあった。
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ホグワーツ魔法魔術学校
校長 アルバス・ダンブルドア
マーリン勲章、勲一等、大魔法使い、魔法戦士隊長、最上級独立魔法使い、国際魔法使い連盟会員
親愛なるウィーズリー殿
この度ホグワーツ魔法魔術学校にめでたく入学を許可されましたこと、心よりお喜び申し上げます。
教科書並びに必要な教材のリストを同封致します。
新学期は9月1日に始まります。
ふくろう便にてのお返事をお待ちしております。
敬具
副校長 ミネルバ・マクゴナガル
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