青き英雄、異世界に来たる   作:波歩

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ゼロは出てこないといったな・・・あれは嘘だ。いやだって番外編だし!いいですよね!
Xシリーズのお話。ロクゼロのエックスからすれば何十年前の思い出でしょうね


番外編:ハンター時代

時代は妖精戦争が終結し、人類の理想郷が創られるよりはるか以前、まだ人類がイレギュラーの起こす事件に怯えつつも平穏に暮らしていた時期。そして街を歩く2人のレプリロイド。

 

その2人とは、第17精鋭部隊隊長エックスと第0特殊部隊隊長ゼロであった。

 

この時代は即ち、あの2人の英雄がイレギュラーハンターとして活動していた頃である。

 

して、この2人は何処へ向かっているのかといえば・・・それは少しばかり時を遡ること数時間前

 

 

 

 

 

 

 

珍しく出動命令もなく普段あまりこういった和やかな空気は滅多にない、イレギュラーハンター達の本拠地ハンターベース。そしてその中でも最高クラスとも言うべき実力者のエックスとゼロ。

先程オペレーターから呼び出されていたエックスがゼロの所へ戻ってきた

 

「なぁゼロ、俺達宛てに依頼が届いてるんだが」

 

「俺達・・・?という事はかなり厄介な事件なのか?」

 

依頼という言葉に反応し、ゼロは自然とハンターとしての毅然とした雰囲気を纏う。

特A級ハンターという肩書きに違わずその姿は一種の畏れすら覚えるものだった。

しかしエックスは親友のやる気に満ち溢れた様子に気づいてか否か、事件性を否定する。

 

「いや、事件が起こった訳じゃないんだ。この近くの人間達の保育所からの依頼で・・・」

 

「保育所だと?」

 

その単語を聞いた途端、先程の気配は霧散し露骨に嫌そうな顔になるゼロ。

 

「ん?ゼロって保育所とか子供が嫌いだったか?」

 

「別に嫌いでも何でもない・・・ガキの扱いが少々苦手なのは認めるがな」

 

「ならいいじゃ「只、俺達ハンターの仕事を遊びか何かと勘違いされるのは気に食わん。どうせ保育所へのゲストの依頼、といった所だろ?」・・・うん、まぁそうなんだけど・・・」

 

少し俯くエックス。だがすぐに顔を上げ、

 

「でも、この依頼で他の人達にハンターの仕事がもっと伝わる良い機会かもしれないだろ?」

 

「ならお前が行ってこい。俺にはそういう役は向かんからな」

 

「この依頼は”2人”で行くのが条件なんだ。それに、俺は・・・人とレプリロイドをもっと近づけさせたいんだ」

 

純粋に理想を求める強靭な意志。

その揺らぐことのない瞳を見たゼロは、観念したようにため息を吐く。

 

「仕方ない・・・そこまで言われちまったからには、俺もついていくさ」

 

「そう言ってくれるか、ゼロ!」

 

「フッ 礼には及ばんさ」

 

 

 

そして時は戻り、今2人は依頼主の保育所の前にいる。

 

「それじゃ、行くかゼロ」

 

「あぁ」

 

短いやり取りを交わし、中へと入る。数分後ゼロは海より深く後悔することになる。

 

 

 

 

 

 

 

「いやーあっという間だったな」

 

「・・・」

 

「ん、どうしたゼロ?」

 

「やらん・・・今後一切こんな任務はやらん」

 

「??」

 

2人が保育所から出てきたのは既に辺りが薄暗くなった頃だった。エックスは笑顔だがどういう訳かゼロの表情は不機嫌を通り超して怒りすら抱いていそうな顔をしていた。いや、案外諦めかも知れない。

 

「お前は何で笑っていられるんだ・・・」

 

「え?俺は別に嫌な事をされた覚えはないけど?」

 

それを聞いたゼロはこれもコイツの可能性か・・・と、親友の秘められた(?)能力の底知れなさに1人溜め息を吐く

 

 

 

ゼロが今の状態になった主な原因は、やはりというか保育所にいた子供達であった。

2人が到着するやその場にいた子供達全員から殺到され、質問やら見た目の感想やらがすさまじい勢いで飛んでくるのだ。

エックスは丁寧かつ笑ってこれに答えていたが、ゼロの方はいきなり大勢から迫られ、そういった経験が無いためかつい反射的にゼットセイバーを取り出しそうになっていた。彼の剣技の1つ、龍炎刃が繰り出される直前に気がついたエックスによってすんでのところで止め、事なきを得る。

 

しばらく揉みくちゃにされた後、保母の注意によってようやく解放されたゼロの顔は、既に何やら死地に赴いている最中のような顔だったとか。

やっとこさ挨拶も終わり、早速ハンター業務に関しての質問がスタートしたかと思いきや・・・

 

「ゼロさんにしつもんがありまーす」

 

「何だ?言ってみろ」

 

1人の園児の質問にゼロは勤めて彼の出来る範囲で丁寧に受ける。

 

「ゼロさんはおんなのひとなんですかー?」

 

ガクッっという擬音が聞こえる程盛大に出鼻を挫かれた。開始早々ド級の質問である。

 

「・・・いや、俺は男だ」

 

「えーでもそのかみとかきれいじゃーん」

 

「そーだそーだ」

 

「綺麗と言うな・・・」

 

納得がいかないのか、その園児と同意見らしい他の園児が騒ぎ出す。

平然と返したように見えるが、若干眉間に皺が寄っているのを見ると本人はかなり気にしていたようである。

そしてゼロとエックスが2人並んでいる様子を見てトドメの一言。

 

「ゼロさんとエックスさんって、こいびとってやつみたいだね!」

 

「!!」

 

その瞬間、ゼロの体全体が石のように灰色に見えた。流石にこの発言には隣にいるエックスも苦笑いである。

 

 

質問が終わった後もゼロの気苦労は絶えない。移動するたびに足元に纏わりつかれるは髪を引っ張られるはと、ゼロに謎の人気があるのか3分の2くらいの子供達がゼロにくっついている。

ちなみにエックスの所に来る子供は別段悪戯等はしない。エックスのオーラか何かだろうか。

 

 

 

 

 

こうして、エックスからすればあっという間に、ゼロからすれば凄まじく長かった時間は過ぎていった。子供達は皆、それぞれの親と共に帰ってゆく。

 

「いやーあっという間だったな」

 

「・・・」

 

「ん、どうしたゼロ?」

 

「やらん・・・今後一切こんな任務はやらん」

 

「??」

 

ゼロの様子をエックスが気に掛けつつ、2人がハンターベースに戻ろうとしていたその時、

 

「ハンターさーん」

 

「あ、君は」

 

「・・・ッ!」

 

2人それぞれ異なる反応を示しながら振り向くと、1人の少女がこちらに駆け寄ってくる。その手には袋のようなものを持っていた。

 

「どうしたのかな?」

 

「あのね、これわたそうとおもって」

 

「これを俺に?」

 

「うん、がんばってつくったの!」

 

先程の保育園で子供にもつくれるような簡単な調理をする時間があった。そのときに一緒につくったのだろうとエックスは納得した。

 

「ありがたく貰っておくよ」

 

(おい、エックス。俺達は・・・)

 

(いいんだよ、少しだけなら大丈夫さ。そんなことよりほら、君にも渡したいみたいだよ?)

 

(何?)

 

ふとゼロが目を下に遣ると、少女が顔を見上げていた。

 

ゼロこの時、少女をあまり直視できなかった。・・・その特徴的な茶色の長髪が、彼にある人物を連想させたのだろう。

 

ゼロがそのまま黙ってままで、少女も渡し辛そうにもじもじしている。

その様子を見かねてエックスが助け舟を出す。

 

「そんな顔しなくてもいいだろ、ゼロ?あぁ、別にゼロは君の事を嫌いな訳じゃないんだ」

 

「そうなの?」

 

「そうさ。だから何も心配はいらないさ。さ、渡してごらん」

 

屈んで少女に話かけるエックスは妙に慣れた様子である。

そして少女はやっとゼロに袋を渡す。

それを貰ったゼロはただ一言返す。

 

「・・・礼を言う」

 

その言葉を聞いて安心したように笑う少女、その笑顔がゼロには一瞬だけ”彼女”と重なって見えた。

 

(・・・)

 

そんなゼロの心情も知らず、少女は再び駆け足で保育所の方へ戻っていく。エックスは手を振り、ゼロは静かにそれを見送った。

 

 

 

 

再び帰路につく。斜陽の光が2人の装甲に反射し鈍く光り、足元から細長い影を伸ばす。

ふとエックスが口を開く。

 

「なぁ、ゼロ」

 

「何だ?」

 

「あの子達は幸せそうだったな」

 

「・・・あぁ」

 

エックスは拳を握り、続ける。

 

「俺達がこの街を、人間を・・・あの子達をこれからも守っていくんだよな」

 

「・・・あぁ、そうだな」

 

ゼロはフッっとシニカルに笑って返す。

 

「明日からまた忙しくなるな、エックス」

 

「あぁ、もちろんだ。この平和を守るために!」

 

こうして2人はまた、戦場へと赴いていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・久しぶりにあの頃の夢を見たな。それにしても懐かしかったなぁ。そういえばあの子もはやても料理ができるのか、僕もちょっとやってみようかな

 

 

---エックスが料理初心者を越える悲惨な失敗をする、ほんの数時間前。この世界でエックスが迎えた2回目の朝での出来事である。

 

 

 

 




ゼロの口調が・・・口調がーッ!
X6のおべんとうイベントと他のXシリーズを比べると、ゼロ先輩の言い回しがキザなのかガサツなのか分からない時があります
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