これはゾンビですか?──いいえ、弟(笑)です。 作:どらどらおー
《最後の晩餐》 読み方は"ダ・ヴィンチ"、簡単に言うと時を止める能力。使ってる間は自分の体温が上昇していく。
フィクション 特殊能力みたいなもの
端的に事実だけを述べよう。
俺は何の拍子か、自称神様と出会った。もちろん信じちゃいない俺は証拠を見せてくれとそいつに言ったんだ。
するとそいつは転生させてやろうと言った。同時に希望する世界はあるかと聞かれた。
そこで俺は『これはゾンビですか?』の世界が良いと答えた。追加で行った先でのポジションだとか、持っていきたい能力とかも聞かれたのでそれぞれ主人公の相川歩の弟、能力は《最後の晩餐》のフィクションと答えた。
俺はこれはゾンビですか?に登場するキャラクター達はどのキャラクターも魅力的だと思っている。なので元々居るキャラクターに成り代わりたいとは思わないし、そもそも俺みたいなのが成り代われるとも思っていない。
なので結局最後まで登場しなかった弟の枠を、歩の弟となると次作品で登場した、同じく主人公の『行雲流水 和馬』しか思い浮かばなかったのでそれを使わせて貰うことにした。
全てを決め終えるまで5分とかからなかった。
最後に、
「君が入ることによってちょっと原作と解離させ……解離するだろうけど頑張ってね」
と言われた。なんか心配。
そして今、羽田空港のターミナルに一人ぽつんと突っ立っている。
意識が覚醒して直ぐにキャリーケースとか財布とかを調べまくって状況を確認したお陰で両親から歩への手紙を見つけ、俺が帰ってくることを歩は知らないということ、相川家の場所、自分の名前が相川和馬、現在15才であることなどを知ることができた。
なお、所持金は5万円。少なくとも中学二年生に持たせる額ではないだろうとは思ったが、ありがたく頂いておく。
ところで、俺はどういう社会的身分なのだろうか。
原作によれば歩の両親は海外を転々としていて、弟はそれに付いていってたとかいう設定だったはず。……どうなってるんだろうね。まあ、どうにかなるか。中学生の俺が歩の学校に通う訳じゃないし。
まだまだ疑問はある。今はいったいどのタイミングなんだろうか。流石に原作終了直前とかは無いだろうし、普通に考えて開始前か、開始して少し経った位が順当か。
やはり、この辺りを全て解決するには相川家に突撃するのが一番早いだろう。てなわけで相川家に行ってきます。
▽▼▽▼▽▼
成田から家までは寄り道含めて一時間半くらいかかった。
ついに原作キャラ達と、少なくとも歩とのご対面。緊張でインターホンを押そうとする手震えてが止まらないが、久しぶりとは言え弟が兄に会うのに緊張してるのもおかしな話だと思うので一旦心を落ち着かせる。……よし、いこう。
思いきってインターホンのボタンを押した。
「はーい、今出まーす」
すぐに兄である歩の気だるげな声が聞こえてきた。この声って確か緋弾のアリアのキンジとか、とらドラの竜児とかの声と同じだった気がする。声優に詳しくないから合ってるかは覚えてないけど。
「はーい、どちら……っげ!」
「久しぶりに会った弟に対して第一声がそれって酷すぎないか?」
俺はニヒルな笑みを浮かべつつ、歩に文句を言う。
……ふむ、この狼狽えようだともう既に、最低でもユーは居るってことかな?
「ちょっと待ってろ、絶対入ってくんなよ!!」
歩はそう言ってダッシュで家に入っていった。……押すなよのパターンですね、わかります。
空気の読める俺は颯爽と家の中に入ろうとドアノブに手をかけた。しかし、俺はそこで動きを止めた。
確か原作の相川家には玄関にパックンフラワーみたいなのが仕掛けられていた時期もあったはず。ということは時期がはっきりしない以上、軽率な行動は身を滅ぼすのではないか?という思考が頭を過ったからだ。
珍しく俺の危機察知能力的なナニカが発動したので、俺はそれに従ってまずは中を確認しようという発想に至った。
そして、《最後の晩餐》を発動させる。
当たり前のように時が止まり、じわじわと体温が上がっているのが分かる。制限時間は約10秒、10秒使いきると色々と不味かったと思うので実質8秒を限界と定めておいて良いだろう。
思考を整理して、迅速に事を運ぶ。
まずは玄関。見た目、不審な物は無い。なんならミストルティン先生も居ない。エクスカリバーマサムネも。クリア。
廊下、何もない。クリア。
最後に居間。予想通りユーと歩が話していた。歩はユーを隠そうとしてるみたいだが、ユーは動こうとしないって感じか。まあ、クリア。
総合的にゾンビなりたてでハルナにすら会ってないってところか。それなら家は魔改造されてないだろうしさしたる問題も無い。なんだよ、俺の危機察知能力あてになんねぇな。と毒づきながらも、ささっと元の場所に戻って《最後の晩餐》を解除する。
……いざ、突撃ぃぃぃぃ!
心の中で叫びつつ、表面上平静を保ったままやや速足で居間へ直行する。
「……誘拐は立派な犯罪だぞ」
「和馬、違う!誤解なんだ!」
おお、焦ってる焦ってる。さすが、良い反応を見せてくれる。そしてやっぱりユーはかわいい。うん、知ってた。
『誰?』
歩の抗議を適当に聞き流しつつユーの方を見ているとユーから質問が飛んできた。……ていうかそれ、普通はこっちの台詞なんだけどな。
「俺はコレの弟、和馬だ。今日海外から帰ってきた。一応ここの住人だから、今日からここに住むことになる。よろしく」
「ちょ、聞いてないぞ!」
「はい、これ手紙。後は知らん」
無難な自己紹介&詳しいことはマジで知らんから丸投げ。隣で歩が怨み節言ってるけどそれも含めて俺は知らん。
『ユークリウッド・ヘルサイズ』
「はいよ、ユーちゃんね。俺のことは適当に呼んで良いから」
……っふぅ、緊張した。歩はともかくユーと会話するのは緊張するな。かわいいから特に。
「……はあ。それにしてもお前、何か変わったな」
手紙を読み終えたのであろう歩は一番触れて欲しくない部分を突いてきた。
まあ、はい。何かと言われましても……全部変わったんですけどね。キャラ的にはどこにでもいるちょっと生意気な中学二年生(厨二に非ず)をイメージしてロールプレイしてます。
「そうか?歩も大概じゃねえの?」
皮肉を籠めつつユーの方を示すと、それはもう良いだろうとばかりに溜め息を吐かれた。
「あ、そうそう。二人とももう晩飯食った?」
この話題を続けられるとまずいので、事前にサクッと話を変える。
「いや、まだ作ってすらない。何が良い?」
『スティーブン・セガール』
よかった、乗ってくれた。ユーが一番警戒心強いと思ってたんだが、当の本人は間髪入れずにメモを見せてくる。これは……あれだな。
「豚キムチ」
「豚キムチか……ユーもそれで良いか?」
『素敵』
こんな感じで1日目は幕を閉じた。話をする感じ、やっぱりまだハルナとは出会ってないようだった。だからと言って俺が何をする訳でも無いんだけども。
……そうなんだよ、何をする訳でも無いのは物語に関してだけじゃないんだよな。
俺、学校辞めてたらしいです。
つまり、現代社会出身の俺からすれば高学歴社会に対して喧嘩を売ったということである。
一言、言わせてほしい。
……豚キムチ、美味しかったです。(現実逃避)
はじめまして、どらどらおーです。
まずは最後まで読んでくださった方に感謝を。
この作品は、急によくある神様転生オリ主もの書きたくなり、前々から書きたいなと思っていたこれゾンを手に取って書き初めたものです。
故に見切り発車、書き溜めなしの状態でございます。
ゆっくり行くと思いますが、よろしくお願いします。