これはゾンビですか?──いいえ、弟(笑)です。 作:どらどらおー
突然だが、ヴィリエは女性至上主義と実力主義(物理)の考えを根強く持っている。
これはトップ、女王であるリリアの統治の手法に起因すると思われる。
そんな女王に対して、過去にクーデターが行われた。
主要な参加者は悪魔男爵こと吸血忍者の頭領、クリス、大先生である。
しかしその目的は戦争を止めさせるという事であり、女性至上主義の考えや実力主義の考えを改めようというものではなかったのではなかった気がする。
もしそうだとして、それに関しては一部の、特にヴィリエの男性は思うところはあったとしても、クーデターに参加した女性でさえその思考に対して特に思うところはないように受け取れる。
だが大先生は少し特殊で、女性至上主義であったとしても"評価されるべきものはたとえ男性であっても正当に評価すべき"という考えも持ち合わせている。
つまり、大先生は女性至上主義よりも実力主義に重きを置いているということである。
その中でも、特に戦闘力的な強さを重視する傾向があるようだ。
それは作中で、自分よりも弱い奴に遅れをとったという事実が嫌という名目で自分にセクハラをした歩を不思議空間に連れ込んで特訓させた、という行動からも窺える。
もしその言葉が嘘ではないのなら、大先生が認めるレベルの強さを持っていれば仮にセクハラしても許してくれる。
セクハラでさえ許してもらえるのなら、余程でない限りは色々と肯定的に捉えてくれると考えても良いかもしれないとも思う。
……大先生が認めるレベルの強さを持っていれば。
大先生は圧倒的に強者である。"彼女と出会ったら諦めろ"という格言が冥界中で出回る程度には。
だからこそ大先生に同等か、もしくはそれ以上の強さを持つ人物は非常に限られている。
リリア、クリス、ネネさん、メレンゲ、最終決戦仕様の歩。
ざっと思い付くだけで、たったこれだけ。
加えて、"常時"という条件を加えれば歩は除外されてしまう。
そしてリリアは論外として、クリスは大先生を恨んで復讐しようとしているし、他の2人は立場上敵。要するに全員敵。
故にこの理論は現実的に証明不可能だった。……俺が来るまでは。
俺は大先生が変身前だったとは言え、攻撃を全て避けた挙げ句にワンパンで伸してしまった。
これは認める認めないのレベルではなく、完全に大先生よりも強いことを証明してしまった形となる。
多少の意見の食い違いはあっても明確に敵ではなく、自分よりも強い人物と出会った大先生を、俺は知らない。いや、知らなかったと言うべきか。
と、ここまで長々と続けてきたが、つまりは何が言いたいのかというと。
「あの……近いんですけど……」
「あらあら~、別に良いじゃないですかぁ?減るものでもー、ありませんしぃ」
「いや、確かにそうですけど……真横だと話しづらいと言いますか……他に誰も居ないのにそこまで距離を詰める理由が見当たらないと言いますか……」
「私はぁ、全然大丈夫ですよぉ?」
「……はい」
大先生からのアプローチ的なものが非常に積極的になりました。
現在、ハルナは只今就寝中。セラと歩は吸血忍者のところへ行った。故に、居間には俺と大先生の二人きり。
そこで話し合いを始めるつもりが、二人きりなのにちゃぶ台を向かい合う形ではなく真横で並ぶように座っているという、奇怪な状態に相成った。
いや、嬉しいよ?すごい嬉しいよ?良い香りはするし、可愛いし、時折ボディタッチも挟んでくるし……エロいし。
でもね、大先生本人にそのつもりは無いかもしれないけどさ、俺は女の子にここまで積極的にアプローチされたことってないんだ。
だから非常に心臓に悪い。マラソンから帰ってきた直後位に心臓バクバク鳴ってます。このままだと死ぬんじゃないかな?ってくらいに。
「……大先生、そんなにサービスしてくれてもなにもしませんよ?」
「大先生じゃなくてー、アリエルって呼んでくださっても良いんですよぉ?」
同時に腕を絡ませてくる。
……大先生、当たってます。止めてください。俺はあなたが思っている以上に、簡単にオチます。
とか言いつつも、俺はこんな状況でも変わらずに素面を保っていた。
理由は2つある。
1つ目は大先生が次回のクーデターに向けた戦力増強として、俺を味方に引き入れる為にこんな行動をしているということが容易に想像出来るから。そして俺はそれに応えることは出来ない。
2つ目は仮に大先生が強いからという理由で俺を好いてくれていたとしても、この力は紛い物であり、いずれ消えるものなのでそれを好いてくれているならばその好意を受け取ることは出来ない、という考えがあるからだ。
今の俺はこの2つ理由のお陰でオトされていないと言っても過言ではない。大先生の性格と状況を知らなかったら即オチ不可避だったと思う。
まあそんなことばっかり言ってても始まらないので、本題を切り出すとする。
「大先生、そろそろ「アリエルです~」……はい」
気を取り直してもう一度。
「アリエルさん、そろそろ「アリエルです~」……はい」
さん付けすらNGかよ……。
再び、気を取り直してもう一度。
「アリエル、そろそろ本題に入っても良いですかね?」
「はいー、どうぞぉ」
大先生はニコニコと、満面の笑みで答えた。腕に抱きついたままで。
ヤバイ、オトされる。(確信)
素面が保てるうちに終わらさなければ。
「まず一応大まかには説明しましたけど、京子ちゃんの件に関しては納得してもらえましたかね?」
「そうですねぇ、私が気絶してしまった以上なんともいえませんがぁ、和馬さんが保証すると言ってくださったので~、ちゃんと信用はしてますよぉ?」
「信用してもらってるこっちが聞くのもなんですけど、何でそこまで信用してくれるんです?」
「それはですねぇ、和馬さんが嘘を吐く理由が見当たらないからですよ~。和馬さんでしたらぁ、わざわざ私の魔装錬器を隠す必要なんて無いでしょうしぃ、なにより気絶している私に何もしなかったじゃないですかぁ?私でもー、拘束位はすると思いますよぉ?」
そうか、言われてみればそうかもしれない。確かに俺でも一応は信用するかもな。前提として反抗しても勝てないって言うのはあってもな。
「確かにそうですね。……では話は飛びますけど、俺は明日の夜に魔装錬器とかを返してもらいに行こうと思ってます。出来ればその間、残りの3人を見ててもらいたいんですけど……良いですか?これ以上人質取られるとアレなんで。それとついでに歩達をしごいて貰えると助かります」
「良いですよぉ。それだけで魔装錬器が帰ってくるならぁー、安いものですぅ」
「あ、明日すぐに魔装錬器が戻ってくるとは限らないので数日待ってもらう可能性はありますよ」
「それは仕方ありませんねぇ。私にはぁ、どうすることも出来ませんので~」
「……ありがとうございます」
京子のことも魔装錬器のことも大丈夫となると……他に何かあったっけ。俺の力については少なくとも聞かれるまでは言わなくても良いだろうし……そんなもんか。
重要な事は聞けたので、どうやってこの状況から脱出しようかと考え初めたとき、丁度歩達が帰ってきた。
一瞬、ナイスタイミング!と思ったが、その考えは即座に崩れ去った。
足音が多かったのだ。異様に。
「あー、和馬。何て言うか……お前にお客さんだ」
おいおい、俺に会いに来るのは予想外すぎるぞ──
「貴様が相川和馬だな?私は保守派吸血忍者のサラスバティという。貴様に話がある」
──サラスさんよ。
遅くなってすみません。
理由は何度も書き直したからです。それ以上の言い訳はありません。
その上でこの区切り方、本当に申し訳ないです。文字数的に次にまわしたかったのです。
今後の投稿ペースは一週間に1回から2回を見ています。出来る限り早く書こうとは思いますし、書けた段階でチェックしてすぐに投稿しようとは考えていますが、そんなペースになりそうです。ご了承ください。以上です。