これはゾンビですか?──いいえ、弟(笑)です。 作:どらどらおー
俺は昨日、歩、ユー、ハルナ、セラの四人にオーラの力についてだけ話した。最近急に使えるようになった、ということにして。
そして、制御出来るようになりたいから何か知ってそうな人がいれば教えてくれ、と尋ねた。
セラは他の吸血忍者なら何か知っているかもしれないが、情報が少なすぎて聞くにも聞けない、とのこと。
ハルナは大先生なら何か知ってるかもと言っていたが、リリアと関わってしまってる以上、今接触するのはまずいと判断したのでやんわりと断った。
本命であるユーはその場ではノーコメントを貫いたが、皆がいなくなった後でとある人物存在を教えてくれた。
曰く、ユーのガントレットを作った。
曰く、信頼出来る。
曰く、その人物の名は──ネグレリア・ネビロス。
しかし残念、現在の居場所は教えてくれなかった……というより、知らないようだった。
……やっぱり、何事もそう簡単にはいかないようだ。
▽▼▽▼▽▼
というわけで行ってきました、ラーメン「めれんげ」。
織戸が通い詰める理由を垣間見た気がする。
メレンゲは……うん、忙しく働いてたから邪魔する気になれなくて、普通にラーメン食って出てきた。接触はまたの機会かな。
で、そのまま帰る気にもなれないので、どこか寄るとこないかなーと探しながらぶらぶらしていた。
まだ3時か……他にすることあるかな?
歩達とは話がついたし、メレンゲも確認した。夜の王は会いに行ったら色々言及されそうだし、リリアは──
──あれ、そう言えばリリアってまだ俺のこと尾行してるのかな?ああ見えて結構能動的に動くからな、また何処かで俺のこと見てても不思議ではない。
「いや、無いな。流石に自意識過剰だよな……」
とか言いつつも気になって振り向いてみたが、やっぱりリリアは居なかった。
そう、電柱の影からこっそりとこちらの様子を窺っている少女はリリアではなく──きっと、ただの通りすがりの少女だ。
ポシェットから顔を覗かせているライオンのぬいぐるみも、時折動いているような気はするが──あれもきっとただのぬいぐるみで、ふうりんかにゃんではない。
………………はぁ。
またあの程度の尾行に気付けなかったかー。まじかー。ヘコむわー。
こういうときは、甘いものでも食べて気分を紛らわすのが一番だ。
「……なあリリア、ちょっと甘いものでも食べに行くか」
▽▼▽▼▽▼
「いきなり連れてきちゃって今更だけど、リリアって甘いものとかって好き?」
「は、はい。好きです。ごめんなさい」
「そっか、なら良かった」
リリアを連れてやって来たのは、駅前に新しく出来たらしい、人気の……喫茶店?みたいなところ。○○専門店とかじゃないから喫茶店としか表現出来ない。
「お待たせしました、ストロベリーパフェとハニーワッフルアイスになります。ご注文は以上でお揃いでしょうか?」
「はい、ありがとうございます」
出たな、ファミコン言葉。と、どうでもいいことを考えながらワッフルを受け取る。
さて。
「リリア、なんとなく予想はついてるけどさ、なんで尾行してたの?」
「それは……ごめんなさい」
「そっか。じゃあ俺の予想を言うけど、俺の予想では俺の力が気になったから、じゃないか?そんで、それが自分に降りかかる可能性があるか、対処法があるかとかを知りたかったんだろ?」
「……はい。その通りです」
「んー、流石に俺の力について言うつもりは無いけどさ……前も言ったけど、俺は敵じゃないぞ。……そりゃあ意見が食い違うことくらいはあるだろうけどさ」
主に戦争の事とかな。
「本当ですか?」
「ああ、もちろん。だからこれからは未確認生物を観察するようにおっかなびっくり接するんじゃなくて、普通に友達として接してくれない?運が良かったら俺の力が分かるかもよ?」
「……」
無言、か。まあ断られなかっただけマシだな。……話、変えるか。
「ところで──」
▽▼▽▼▽▼
その後はリリアと、たまに夜の王とかの話もしたが基本的にはずっと普通のお喋りをしていた。
解散するときには俺の連絡先を渡しておいたから、もう尾行される心配はないだろう。ヴィリエの女王もそこまで暇じゃないだろうし。
家に着いたのは夕方、家にはユーだけしか居なかった。セラさんとハルナちゃんは?と聞いたら、メガロを倒しに行ったと教えてくれた。
そして歩達が帰ってくるまでの間、二人でバラエティ番組を観て帰りを待っていた。
「あ、お疲れ~」
『おかえりなさい』
「おう、今日は大丈夫だったか?」
歩はユーに言いながら、俺の隣に腰を下ろす。
ユーはそれに対し、頷くことで答えとした。
「ユー、聞きたいことがあるんだが?」
歩から、少しばかり威圧的な声が発せられる。
「俺達が出会った日、ユーは俺を助けてくれたんだよな?」
その問いに、俺は何が言いたいんだ?と感じたが、思い出す。そう言えばこの時の歩は、まだユーの事を詳しく知らないんだったか、と。
「本当にか?俺を殺そうとしたのはユーなんじゃないのか?」
「じゃあ、俺を助けたあと、俺が意識を取り戻すまで時間があったよな?その間何をしていたんだ?」
『歩の傍にいた』
「本当に?……お前に家族を殺されたって情報を得たんだ。おかしいだろ?被害者の人間と、訳のわからない力を持った人間と、どっちの証言を信じる?ユー、頼むから真相を説明してくれ!」
京子か……。分かっちゃいるが、この時の歩は好きになれそうにない。全てを知ってるからこそ言える言葉だとしてもな。
「歩、少し口調が強すぎませんか?ヘルサイズ殿は嘘を言うようなお人ではない」
「そうだな、少し強く追及してしまった。それは謝るさ。……すまんかった。──じゃあセラ、お前が判断してくれ。和馬でも良い。被害者の人間がユーの姿を指摘できる理由はなんだ?さあ、答えてくれよ。どっちの言葉に信憑性がある?」
「歩、少し落ち着いて下さい」
「俺は冷静だ。冷静に、真実を聞きたいんだ」
『嘘は言っていない』
「信じてやりたいさ。だから、そういう言葉じゃなくて、もっと簡単で確実な証拠は無いのか?お前が人殺──」
「──いい加減にしろ」
つい、手を出してしまった。
けど、やっぱりこれだけは見逃せなかった。
「……泣かせてんじゃねぇよ」
そう言い残して、家を出る。
「ああ、こんなことで怒ってたら、この先やっていけるのかね」
静かな住宅街の街灯に照らされながら、俺は独り、他人事のように呟くのだった。
投稿、遅れちゃいました。
今回ちょっと急ぎすぎた感は拭えないのですが、大目に見てもらえると助かります。
そして、何故か気付いたらいつでもリリアルートに突入出来そうな不思議。見切り発車って怖いですね。
それではまた次話で。ノシ