Fate/Doll Story   作:フロッグマソ

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未プレイの方でも解りやすい様にほとんどゲームの台詞です。面倒だった訳では無いですホントです。
駄文ですので気を強く保てる方、ジャンヌ、子ギル、孔明など耐久面で心強い仲間が居る方以外はブラウザバック推奨です。


prolog

『ふむ。君も駄目か。』

 

声が聞こえる。

 

『そろそろ刻限だ。君を最後の候補とし、その落選をもって今回の予選を終了しよう。』

 

『さらばだ。安らかに消滅したまえ。』

 

声はそう言い放った。

 

否定する力も無く、ぼんやりと床を見つめることしかできない。

……このまま死んでいくのだろうか。

 

突然、霞んだ視界に、

土色の塊がいくつも浮かび上がった。

 

いや、今になって見えただけで、元からそこにあったかもしれない。

 

それは、その塊は幾重にも重なり果てた月海原学園の生徒たちだった。

 

先ほどの彼だけでは無かったのだ。

ここまでたどり着き、しかしどうにもできず果てていった者たちは。

 

……そして間もなく、自分もその仲間入りするのだろう。

 

---このまま目を閉じてしまおうか。

やれることはやった。

もう終わりにしてもいいのかもしれない。

 

---------------------------

      終わりにする

ANSWER →あきらめない

---------------------------

 

諦めたくない……

そう思って、起き上がろうと力を入れた。

 

しかし体中に激痛が走り、まったく動かない。

 

それならば……

いや、それでも---

 

---------------------------

      もう、終わりにする

ANSWER →まだ、あきらめない

---------------------------

 

このまま終わるのは、許されない。

全身に駆けめぐる痛みは、もう許容外の感覚だ。

あまりに痛すぎて、目から火が出るどころの話じゃない。

痛覚だけで眼球が燃えている。

五感は指先から断裁されていく。

 

恐い。

痛みが恐い。

感覚の消失が恐い。

先ほど見た死体と同じになる事が恐い。

 

……そして。

無意味に消える事が、何よりも恐ろしい。

 

ここで消えるのはおかしい。

 

おかしいと、ノイズにまみれた意識が訴える。

 

ここで消えるなら、あの頭痛は何のために。

 

ここで消えるなら、彼等は何のために。

 

-----立て。

恐いままでいい。

痛いままでいい。

その上で、もう一度、考えないと。

 

だってこの手は、まだ一度も、

自分の意志で戦ってすらいないのだから--!

 

「-----!---!!」

 

 

誰かが叫んでいる。

目を開けた先に居たのは……

 

----------------------

Extra Choice!

 

      剣を携えた男装の少女

      赤い外装に身を包んだ武人

      妖艶な半獣の女性

 

 

ANSWER →無機質な白い人形

----------------------

 

「------!!」

 

 

ガラスの砕ける音がして、共に部屋に光がともった。

軋む体をどうにか起こし、

頭痛に耐えながらあたりを眺める。

 

部屋の中央には、いつの間にか、

ぼうっと何かが浮かび上がりつつあった。

 

その姿は---

 

外見は先ほどまで一緒に居た人形と変わらない。

だが違う。明らかに。

 

先の人形、ここへ来るまでに出会った敵などとは

比べ物にならぬほどの、

人間を超越した力。

 

触れただけで蒸発しそうな、

圧倒的なまでの力の滾り、

それが体の内に渦巻くのが、嫌でも感じ取れる。

 

「------、----?」

 

ソレは自分に質問するように、まるで親かと確認するように首を傾げた。

 

--------------------

 

ANSWER →はい

      いいえ

 

--------------------

 

「-----、----。-----!-----!!」

 

ソレに手を引かれ、立ち上がる。

 

と、触れられた方の手がわずかに発熱した。

……鈍い痛みだ。

何かを刻まれたような。

 

そこには、三つの模様が組み合わさった紋章に見える奇妙な印があった。

刺青のように皮膚に染み込んでいる。

 

あっけにとられて、

その模様と目の前の人形を交互に見る。

何が起こったのかさっぱりわからない。

 

と。

 

背後の物音で我に返った。

振り向くとそこには先程戦い、そして敗れたあの人形が身構えていた。

惨敗を思い出し、思わずたじろぐ。

 

「----。----。」

 

味方と思われる方の人形は静かに、身構えた人形に向けて歩いて行く。

 

「----。----?」

 

立ち止まり、右腕を空へ突き出す。

 

「----。……----!!」

 

突き出した腕を振り下ろし、敵へ向けた。

 

途端、敵はこちらへ向かってくる。

急なことに戸惑う自分に人形は訴えたような目で見てくる。

『指示を出せ』と言うような目で。

 

「ま…守れ!」

 

自分のその言葉に反応したように、人形は腕で壁を作る。

しかし、敵が攻撃したとき、壁が割れるようにガードを突き破った。

 

人形がふらつく。

 

「うぁ…こ、攻撃をしろ!」

 

人形はすぐに体勢を立て直し、敵に向けて腕を振り下ろす。

敵の振り下ろした腕とぶつかり、両方がふらついた。

 

「駄目だ!もっと強く!思い切り蹴飛ばせ!」

 

人形はこちらを向き頷くと、敵に向けて足を出した。

敵は守るように腕を構えるが、こちらの蹴りを受け、守りを崩した。

確実にダメージが入っている。

 

「もう一度蹴飛ばせ!」

 

人形は敵に向けて足を出す。

が、敵は攻撃を躱し、人形を殴った。

もろにダメージが入る。

すかさず敵はふらついた人形に向けて拳を突き出す。

 

「どうにかして守ってくれ!」

 

駄目だ。守りは通じない。また先程のように攻撃が入る。

 

 

しかし、人形は敵の攻撃を防いだ。敵はふらつく。

 

「今だ!思い切り、殴ってくれ!!」

 

人形は踏み込み、思い切り敵をぶん殴る。

敵の体に罅が入った。

 

もろに入ったようだ。敵の人形は動かなくなった。

……ここまで粉々に破壊されては動きようも無いが。

 

「-----……----。」

 

味方の人形はこちらを向き、足を動かした。

 

閉じる。

 

前後に開く。

 

左右に開く。

 

その動きを繰り返す。

どこかで見たことがある動きだ。

そう、まるで……そういうことか。

この戦いはジャンケンなのか。三すくみで出来ているのか。

腕を突き出す攻撃…アタックとしよう。

アタックは強い、溜める必要のある攻撃…ブレイクとする。ブレイクに強く、

守り、ガードに弱い。

だから最後のガードが成功したのだ。

この戦いは観察が大事なのだな。

 

「---。----。」

 

人形が満足したように頷いている。

...が

左手に刻まれた印の発熱。

それは戦いの最中も徐々に強まり、

今や耐えがたい激痛となって、意識を白く炊き焦がす。

 

 

 

 

 

『手に刻まれたそれは令呪。

サーヴァントの主人となった証だ。

使い方によってサーヴァントの力を強め、

あるいは束縛する、三つの絶対命令権。

まあ使い捨ての強化装置とでも思えば良い。

ただしそれは同時に、聖杯戦争本戦の参加証でもある。

令呪を全て失えばマスターは死ぬ。

注意することだ。』

 

再度あの声が聞こえてきた。

どうにか痛みを堪えつつ、言葉に耳を傾ける。

 

『困惑していることだろう。

しかし、まずは……おめでとう。

傷つき、迷い、辿り着いた者よ。

主の名の下に休息を与えよう。

とりあえずはここがゴールという事になる。

随分と未熟な行軍だったが、だからこそ見応えあふれるものだった。

いや、私も長くこの任に着いているが、君ほど無防備なマスター候補は初めてだ

誇りたまえ。

君の機転は臆病ではあったが蛮勇だった。』

 

……改めて注意を傾けると、声はどことなく癪に障る。

厚みをもった声は三十代半ばの男だろうか。

 

場所が場所なだけに重苦しい神父服と地獄の様な麻婆豆腐をイメージさせる。

 

『おや、私の素性が気になるかね?

光栄だが大した者ではない。

なにしろただのシステムだ。

私は案内役に過ぎない。かつてこの戦いに関与した、とある人物の人となりを元にした定型文というやつだ。

私は言葉であり、君が今超えた峰であり、かつて在った記録に過ぎない。』

 

記録-----

では、この声に文句を言っても何の答えも返ってこないという事だろうか?

 

『そうだ。だが、これもまた異例だな。

君に何者からか祝辞が届いている。

"光あれ"と。』

 

どこの誰かも分からない何者かから送られた言葉。

 

たった一言のソレが胸を衝くのは込められた気持ちが真実だからだ。

ただ"君に期待する"と。

それは短くても祈りのような言葉だった。

 

『それでは洗礼を始めよう。

君にはその資格がある。

変わらずに繰り返し、飽くなき回り続ける日常。まさにエンドレスエイト。

そこに背を向けて踏み出した君の決断は生き残るにたる資格を得た。

しかしこれはまだ一歩目に過ぎない。何処かの高校生も出来た事だからな。

が、歓びたまえ若き兵士よ。

君の聖杯戦争はここから始まるのだ。』

 

声の語る内容は全く意味が分からない。

聖杯戦争……?

生き残る資格……?

 

『然り。かつて地上には全ての望みを叶える万能の願望機が存在した。

人々はその奇跡を聖杯と呼称し、多くの欲望が無限を求め争い、しかして至れる者は一人のみ。

この戦い…このシステムはその形を継承したもの。

聖杯を手にする唯一人になる為の、魔術師たちの命を賭した戦争。

君は今その入り口に立ったのだ。

聞け、数多の魔術師よ。

己が欲望で地上を照らさんと、

諸君らは救世主たる罪人となった。

ならば殺し合え。

熾天の玉座は最も強い願いのみを迎えよう…。』

 

その声はまさしく主の御言葉のように、不視の伽藍に響き渡った。

 

殺し合い…?

魔術師…?

願いを叶える聖杯…?

 

そんな、頭に渦巻く多くの疑問の全てをこの体に刻み込む様に。

 

『戦いには剣が必要だ。

それは主人に仕える従者。

敵を貫く槍にして、牙を阻む盾。

これからの戦いを切り開く為に用意された英霊。

それが君の隣に居る者だよ。』

 

隣に浮かび、たたずむ人形を見る。

ソレは特にこちらに顔を向けるでも無く、ただ上方を見上げていた。

この人形がサーヴァント……。

 

『君の決断は既に見せてもらった。

もはや疑うまい。その決意を代価とし、聖杯戦争への扉を開こう。』

 

その時だった。

印…令呪と呼ばれていたそれが再び痛みを増してきた。

 

駄目だ。もう耐えることは出来ない。

 

限界が来て思考がホワイトアウトしていく。

そのまま気を失う一瞬前にあの声の、最後の言葉が聞こえた。

 

『では、これより聖杯戦争を始めよう。

いかなる時代、いかなる歳月が流れようと、戦いをもって頂点を決するのは人の摂理。

月に招かれた電子の世界の魔術師たちよ。

汝、自らを以て最強を証明せよ…。」

 

その時、意識は途絶えた。




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