艦隊これくしょん 横須賀鎮守府の話 特別編短編集   作:しゅーがく

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※他の企画との関連はありません。


特別編企画 第4回目 『超絶怒涛の空前絶後のキャラ崩壊をさせてみた』
鳳翔、頑張ります! その1


 

 皆さん、どうもこんにちは。鳳翔です。

 最近、私には悩みがあります。

それは……。

行っても……。

 

「ヘーイ、紅提督ぅー! ティータイムしようヨー!」

 

「あぁ」

 

 行っても……。

 

「紅提督ぅ~、鈴谷と一緒にゲームしない?」

 

「いつの間にゲームなんて買ったんだよ……」

 

「門兵さんに頼んで即日配達!」

 

「おい。……ったく、後でお礼言いに行くぞ」

 

 行っても……。

 

「おい赤城」

 

「はい……」

 

「今度は何やらかした」

 

「そのぉ……ですね……」

 

 行ってもこんな感じです。

 私の悩みというのは、足繁く紅提督にお会いしに行っても誰かしら先約がいるということです。

 艦娘の皆さんから人気のある御方ですから、仕方ないと言えば仕方ないとは思うんですけどね。ちゃんと付き合う紅提督も紅提督ですけど……。

 

「今日も失敗ですね……。秘書艦のクジも当たりませんし」

 

 そんなことを呟きながら歩きます。

 この頃、そういう艦娘が集まって作戦会議なんかしたりしていますが、全然戦果は得られていません。これまでで一番戦果だったと言えるのは、加賀さんです。

赤城さんしかやっていない『特務』を任されるようになったとか。これも作戦会議に参加しつつ、方針を決めて、丹念に作戦を練った結果です。秘書艦を引けたのは運でしょう。

 

ーーーーー

 

ーーー

 

 

 私のこと、紅提督は覚えていらっしゃるのでしょうか。

とか誰かに言おうものなら、龍驤ちゃんにシバかれてしまいます。龍驤ちゃんも私同様、紅提督と話したくてもタイミングを掴めない艦娘の1人ですからね。

 私はあることを考えつきました。

これまで色々失敗してきています。ですが今回は自信があるんです。このことはまだ誰にも話していません。『お互い秘密は無しっこやで』と龍驤ちゃんに言われていますが、これは私にとっての加賀さんに次ぐ、作戦会議参加艦娘の中の成功者になってみせます!!

あぁ、でも、皆さんを騙すようなのは気が引けますね。

 私は思いつきはしたものの、確認を怠っていたことに気が付きました。ですので、資料室に来ています。

資料室に勉強に来ている皆さんが行く本棚は、戦術指南書が置かれているところばかりです。私もまだやっていないところがあるので、勉強しなければいけません。ですが、それは後回しです。

 戦術指南書の棚を通り過ぎ、物語等が置かれている文庫本コーナーや漫画コーナーも通り過ぎます。

 

「あった……」

 

 私が探していた本。それは、『私について書かれている本』です。

つまり『航空母艦 鳳翔』についてです。

これが、私の作戦に必要なんです。

 

「よしっ! 早速、コレを借りて行きましょう」

 

 それをその場で開き、目次を見ます。そして裏表紙の方にある索引を見て本を閉じました。

確認にはちゃんと中身を見ないと分かりません。

 私はそれを長い袖で隠しつつ、カウンターに向かいます。

ここで本を借りることが出来るんです。ですけど問題があります。

 

「あ、鳳翔ちゃん。本を借りますか?」

 

「はい」

 

 比叡さんです。今日のカウンターの当番は比叡さんと瑞鳳ちゃんなんのですが、正直当たりです。ですが、どうして自分のことを書かれた本を借りるのかを聞かれたら困ります。

ですがそれも可能性は低いですね。なにせ相手は比叡さんです。

 比叡さんは年上の方に失礼ではありますが、ちょっとおバカさんなのです。その分、身体はよく動くみたいです。いわゆる体育会系ってやつですね。テレビでこの前言っていました。

それに、紅提督にも結構気に入られていますね。『気の合う友だちみたいだー』とか言われていました。本人は不服そうでしたけど。

一方、瑞鳳ちゃんだと外れです。絶対、借りる本に違和感があると理由を聞いてきますからね。

実は一時流行った、『艦載機に関する知識があれば話せるんじゃないか』説が一気に広まったのは、この資料室で借りる時に明るみになってしまったことでした。

 そんな比叡さんに、私は本を渡します。

 

「はーい。ポンッと」

 

「あ、ありがとうございましゅ」

 

 あう……噛んでしまいました。思っていたよりも、かなり私は緊張してしまっていたようです。

もしかしたら比叡さんにバレてしまうんじゃないか、そんな風に考えたら緊張してしまいました。

 もし、比叡さんにバレたら、比叡さんは当番はちゃんとこなす人ですから、交代の時に呼び出されることになるでしょう。

その時に…………

 

『これ、どういうこと?』

 

『そのっ……』

 

『自分のことだから、知らないことは無いと思うんだけど?』

 

 私は壁際に追いやられます。

そして、私の背中が壁にひっつきます。刹那、比叡さんの腕が私の耳元を掠めて、音を立てます。

 

『ま さ か 、結構前に流行った『あの』再来かな? 私にも詳しく教えてくれないかな?』

 

『ひええぇぇぇぇぇ!!!』

 

 …………なんてことになり兼ねません!!

というか、私は何を比叡さんで想像しているんですかっ!!

 本を受け取って動かなくなった私を、比叡さんは不思議そうに見ていました。

私の目の前で手を振り、『おーい』と声を掛けています。

 

「おーい、大丈夫?」

 

「ひゃい!! 失礼します!!」

 

 私はそのまま資料室を飛び出しました。

多分、あそこに居た人たちに変な風に思われました。

それは良いです。一応、本を手に入れることが出来ました。

このまま寮まで持ち帰り、私物のところに隠しておけば持っていることはバレないはずです。

 

ーーーーー

 

ーーー

 

 

 寮の私室に到着しました。

扉の前で、私は祈ります。

 

(どうか中に龍驤ちゃんが居ませんように!!)

 

 そう、私は龍驤ちゃんと相部屋なのです。初代一航戦というのと、元から仲が良かったこともあり、進水からずっと一緒の部屋に住んでいます。

部屋の中は共同スペースと個室に分かれており、それぞれは独立した部屋になっています。

ですから、龍驤ちゃんが居たとしても個室にいれば問題ないです。

 私はノブに手を掛け、部屋へと入っていきます。

共同スペースまでの短い廊下を歩き、共同スペースに入ります。

 

「ただいま……ふぅ」

 

 どうやら共同スペースには居ないみたいですね。それに、個室にも『空き』という看板が立ててあります。

これはつまり、個室にも居ないということです。

 そそくさと私は自分の個室に入り、すぐに借りてきた本を隠します。机の上に置いておいても、龍驤ちゃんは入ってきても勝手に見ることはありませんが、それでも念のためです。他の娘が遊びに来たら分かりませんからね。

 私はそのままベッドに寝転がりました。

和室と洋室で選べましたが、洋室になってしまいました。本当ならば和室が良かったんですが、2人部屋の和室は埋まっていたんですよね。

 軽空母の艦娘がドロップ・進水で寮に入る際、幾つか部屋割りに規定があります。

まず、個室が選べない。そして4人部屋も選べない。つまり相部屋以外は選べないんです。そして、私が入ってきた時点では寮もそこまで大きくなかった上に、2人部屋の和室は埋まっていました。

それ以来、寮の増設工事はありましたが、お引っ越しする訳にもいかずに、ズルズルとこのまま……。

 そんな洋室でしたが、一応この個室には畳を敷いてあります。

紅提督の計らいで酒保が大きくなった時、暇な時に中を見て回っていたら畳のコーナーがあったのを発見。則、預金を確認して買いました。部屋の採寸を一度取った後、数日で畳が届きます。

何やら高級畳らしいですが、値段はそこまで高くなかったと思います。

そんな風に畳を敷いたので、畳部屋にベッドがあるという謎の光景が出来上がっています。ベッドも出してしまえば完璧なんですけど、それは出来ないみたいです。というか、誰もやったことないとか。酒保にもベッドは売っていませんし、あるものを使えということですね。

 

「……よしっ!! 作戦の詳細を考えなくちゃ」

 

 そんな風に気合を入れつつ、私は考えます。

私が考えた作戦、新たな一面を全面に押し出してギャップに惹く作戦です。その為の確認資料は、さっき資料室で借りてきましたからね。

 

「ふふふっ」

 

 考えただけで笑いが止まりません。

全てに於いて全艦娘をリードしているが何処か思惑と違う方向に進んでいる赤城さんや、『提督への執着』の影響で接触回数の多い金剛さんや鈴谷さん。前々から『提督への執着』が発現せず、紅提督から何かと心配してもらっていた大井さん。緊急時や大規模作戦の際には必ず紅提督の身辺警護をする『番犬艦隊』の皆さん。

その人たちを全員追い越し、私がその座を手に入れるんです。

 

「うふふふっ」

 

 紅提督のことは、正直に言ってしまえば一生付いていく所存です。

どんな形にせよ、私はそれを曲げるつもりは全くありません。できれば隣を歩きたいですが、後ろでも良いです。何番でも構いません。

 そう考えていた時期がありました。ですが、今では違います。

この作戦が成功した暁には、私は将を取ります。今まで歩であった私ですが、この作戦では私は何よりも強い駒。将を囲む駒を尽く排し、私がその将を討ち取るんです!!

 

「あははははっ!!」

 

 そう考えただけで笑いが止まりません。

 

ーーーーー

 

ーーー

 

 

 なんや帰ってきたら、隣がうるさいなぁと思った。

なんでやろうかと思ったけど、それはすぐに分かる。

 

『あははははっ!!』

 

あの笑い声は鳳翔や。間違いなく。

いつもなら『うふふっ』って笑うんに、今日はおかしいで。

どうしたんやろうか。悪いものでも食ったんかな?

 





 前回の企画からかなりスパンが短いですが、早々に特別編短編集を投稿しようと思います。
 今回の内容に関してですが、企画名からしてみれば分かると思います。
ある日、ふと思ったんですよ。はい。
そういった内容となっております。

 今回の企画は全5話で完結ですので、少し長くお楽しみ頂けるかと思います(作者も執筆をかなり楽しんでいた)。

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