学園アイドル   作:茜寧々

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第三話 夢に向かって

眠い。とにかく眠い。眠すぎる。

私、緑川星奈はアイドルになったのはいいが、レッスン続きの日々に疲れているのです…。あ、それと、同じユニットのメンバーになった戸塚姫子さんとの人付き合いかな?

 

「じゃあこの問題を…、緑川!」

あ、やばっ。ほとんど居眠り状態に近かった私は、勿論先生の話を聞いていなかった。あせった。

「え、えっと、……分かりません」

「しばらく立ってろ」

後ろから刺さるクラスメートの視線。ああ恥ずかしい。

「今度は秋月、答えて見ろ」

「はい、『アヘン戦争』です」

「正解」

おおーっと言うクラスメート達の声がする。

やっぱり、真純は凄い。大変な日々でも、ちゃんと勉強しているんだなあ。出来る人とできない人の差を、改めて実感した。私も見習わなくちゃ。

 

ちなみに、今日はクラスの三分の一が学校を休んでいる。理由は、撮影といった芸能の仕事があるからだ。私達は、まだ仕事がないので、学校に行っている。

私も、皆みたいに有名になりたい。

 

オーディションを受けようとして、奮闘した日々を今でも覚えている。

書類審査の時は、真純の家に集まって、一緒に書いたりした。

「真純ー、書類って、どう書いたらいいのー?」

「はあ……、ここに名前書いて! それから、ここに生年月日!」

「『あなたがこのオーディションを受けた動機は何ですか』だって! 『舞台で踊っている様子がかっこよさそうだから』でいいんじゃない?」 

「詩織、字はもうちょっときれいに書いて。何だったら、もう少し下書きする?」

「う、うう…。伊織、大丈夫だよ、きっと」

「ほんと?」

「まあ…」

何やかんやで書類を送って数週間後。私達のところに通知が来た。それを見て、驚きと喜びが混ざったような感情になり、思わず真純のところに電話をした。

「やった! 書類審査合格した!」

「星奈も!? 私も一緒だよ! 伊織と詩織も受かったって!」

友達も受かっていたことに、私はさらに驚いた。

 

今度は、事務所へ行って面接を受けることになった。

「次、緑川星奈さん」

「はい!」

 

「失礼します。緑川星奈です」

「貴方の趣味は何ですか?」

「えっと、漫画を読むこと、テレビを見る事、それから、歌うことです」

「将来の夢は何ですか?」

「芸能界デビューをして、皆を喜ばせることです」

前の日に皆で必死になって考えた台詞を、何とかいうことが出来た。

 

面接合格者が張り出されている掲示板を見て、全員合格していることを知って、皆抱き合って喜んだ。後は、ダンス・歌唱力審査を残すだけとなった。オーディション会場で、力を出し切ることを約束した。

「皆、頑張ろうね!」

「絶対合格しよう!」

「うん!」

そう言いながらも、皆の顔からは緊張が伝わっていた。

私たちは、ずっと前から練習していたポップスを歌うことにした。

 

合格しないといけない。そう思うと、心臓のあたりが苦しくなる。でも頑張らなくちゃ、そう思った。

(ついにここまできた…。あと少し…)

「それでは14番、緑川星奈さん、お願いします!」

「はいっ!」

ドキドキする胸を押さえながら、舞台へ上がった。

私は、精一杯歌って踊った。

真純も、伊織も詩織も一緒だったと思う。

皆で、夢にまで見たアイドルになるために―――。

 

「合格者を発表します! 2番、春日伊織さん! 3番、春日詩織さん! 8番、秋月真純さん! 11番、戸塚姫子さん! 14番、緑川星奈さんです! おめでとうございます!」

それを聞いた瞬間、わたしはとても嬉しかった。みんな一緒に合格できたことが。あのときのうれしさは、今でも忘れられない。

 

やっと休み時間になり、私は席に着くように告げられた。

「ねえ、星奈」

真純が振り向く。

「勉強も芸能活動も頑張ろうよ。一度やろうって決めたんだからさ」

笑顔なのと、上から目線なのが真純らしい。

でも、言うとおりだと思う。

一度やろうって決めたんだからさ、か…。

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