東方裏方物語    作:星の屑鉄

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 この作品は、東方Projectの二次創作です。
 また、この作品は息抜きに書いているため、基本的に不定期更新です。ご理解とご了承の方をお願いいたします。



第一話 八咫烏の導き

 

 

 珍しく霧に覆われた森の中には、いくつもの鳥居と、よく手入れされた神社がある。参拝の道は塗装もされていない土砂、自然の産物だ。来訪者のことを考慮した様子もなく、ここに至るまでの道は獣道が続くばかり。何処からが境内で、何処からが敷地外かもわからない。それでも神社は綺麗で、その周りはよく掃除されている。

 

 枯れ葉の山がある。その隣には二十歳ばかりの男が、白黒を基調とした厚めの生地を使った神主服を着て、箒で周りの枯葉を掃いている。葉のついていない木々に囲まれ、霧の中に閉じ込められて掃除をするその姿は、さながら幻想の守り手として落ち着いている。

 

「今日も異常なし。霧も、昼には晴れるでしょう。名月を肴に、月見酒でもしますか?」

 

 あまり風流ではありませんけどね、と冗談めかした風に男は振り向きざまに笑った。彼の先には、ただ拝殿があるのみ。他に誰の姿も無い。当然、返事も無い。

 

「あれ、珍しいな。誰も居ないのかな」

 

 掃除を途中でやめて、箒を持ったまま拝殿に近づいた。何かを確認するように賽銭箱の周り、そして建物の中を不敬のも覗くが、影も姿も見当たらない。

 

「まぁ、いずれお越しになるでしょう」

 

 気にした風もなく、すぐさま彼は掃除に務めた。枯葉を集め終わると、それを塵取りで集めて、本殿の中にある調理場で、薪と一緒にかまどの二つの焚口の中に放り込んだ。塵取りをすぐさま片付け、洗っておいた釜の中に洗米三合を一粒も落とさない様に細心の注意を払って入れる。次いで水を適量入れると、かまどにセットして、火を起こす。もう1つの味噌汁鍋が設置されている焚口の火も起こす。

 

 いつ激化するとも分からない火に注意をしながらも、彼はお膳を一客、茶碗を一口(いっこう)、中鉢を三口、汁椀を一口、箸を一膳取り出して手際よくお膳に並べる。

 

 火が弾ける音がした。思わず振り返ると、ただ火の粉が飛んだだけだった。何ら変哲もない。今日は大丈夫らしい、と彼は溜息を吐く。

 

 焚口から天に昇る煙を眺めながら、最近暇だな、と何時の間にか愚痴を吐いた。

 

「おっと」

 

 味噌汁鍋が先に煙を上げた。焚口の火を消して、手元にあった布巾を手に、その蓋を開けた。中からは湯気が溢れ出し、昆布と削り節の芳しい香りが鼻につく。蓋を味噌汁鍋に逆さに立てかけ、すぐに汁椀とお玉を持ってきて、その中に注ぐ。

 

 次いで、置いてあったぬか漬けを中鉢の中に盛り付ける。続けざまに作り置きしておいた金平ごぼうを中鉢の中に。そして、作り貯めておいた豆腐を崩れないように中鉢に入れ、余り物の刻み葱を振り掛け、最後に醤油を垂らした。

 

 見栄えに満足そうにうなずいた後、味噌汁鍋の蓋を元に戻した。その時、隣から煙を上げる釜を見て、焚火の火を消す。そして、布巾越しに、迂闊にも釜の真上から見下ろして蓋を開ける。

 

 刹那、炊き立ての米特有の、無に近くも豊かな香りが熱気と共に顔に直撃する。思わず目を瞑り、後ろに退いた。すぐさま顔を触って確認するが、火傷などの傷は無い。

 

 ほっと一息ついて、すぐに思い出したかのように必死な形相で、しゃもじを手に取り一つの形を作った米を混ぜる。今度は湯気を顔に直撃させるような過ちは犯さなかった。速さが命とばかりに、素早く、そして混ぜ終わるや否や、茶碗一杯にご飯を盛り、釜の蓋を元に戻した。それが終わると、待ちきれない、とばかりに口元を緩めてお膳を運ぶ。

 

 本殿の中にある居間にお膳を置く。

 

「いただきます」

 

 箸を持つ。炊き立ての米を口の中に放り込む。それを何度も、米本来の甘味が染み出るまで噛み続ける。

 

「うん、今日も美味しい」

 

 満足そうに綻んで、彼は箸を進めるのであった。

 

 

 

 彼は手入れしていた刀の輝きを太陽に照らして確認すると、それを納刀して隣に置いた。

 

 本殿、そこにある縁側から、空を見上げる。この周囲一帯の木々は葉をつけていないため、太陽はしっかりと頂点に差し掛かるのを確認した。

 

 ふと、太陽に黒点が現れる。それは次第に大きくなっていき、ついには太陽を呑み込んで、ついでに彼の視界を覆ってしまった。

 

「カア!」

 

「痛い、痛い!」

 

 顔を歪めながら、黒いものを顔から引っ剥がす。見てみると、それは三本の脚を持つ烏だった。歪められた顔は困ったように引き攣り、しばらくの沈黙が訪れる。

 

「アホー!」

 

「よし、歯を食いしばれ」

 

 迷わず烏の首を引っ掴み、右の拳を固めた。烏は翼を交差させるように振って訴える。必死な姿に、毒気を抜かれたかのように彼は脱力し、烏を手放した。

 

「何で、お前みたいなヤツが御神の遣いなのか、いつも甚だ疑問に思うよ」

 

 毒は口から抜けた。三本脚の烏はそれを否定するわけでもなく、むしろ同調するように首を傾げた。太陽の光が翼に当たると光沢が現れる。心なしか、光り輝いている様にも見える。

 

「待て。そこで爆発しようとするな。景観がめちゃくちゃになる!」

 

 慌てた様子で烏の首を絞める。烏は翼で何度も地面をタップする。既に烏から光は失われていた。仕方なく、彼は烏を放した。

 

「はぁ。お前、やって良いこと悪い事、ちゃんと見分けてくれよ。この前、直すのにどれだけ時間が掛かったと……」

 

 烏は翼をはためかせ飛び立った。これに一瞬、彼は霊力を手に集めて撃墜の構えを見せるが、それも困ると気づいて止める。

 

「はぁ……」

 

 手入れしたばかりの刀を腰に差す。

 

 導きの象徴の後を、彼はとぼとぼと歩きながら追うのであった。

 

 

 

 ◆

 

 

 

「来ないなぁ……」

 

 霊夢、魔理沙、どっちでも良い。来ない、来ない、全然来ない。退屈な時間はとっても長い。

 

「つまんない」

 

 お姉様は言ってた。「あと数日もすれば面白いことになるわよ」って。妙に自慢気な顔だったことも加えて、何も起きないことに腹が立つ。

 

「コインいっこで、来ないかしら」

 

 特に紅白とか、腋巫女とか。うん、どっちも霊夢だけど、気にしない。

 

「でも、お外に出られないから、お家に呼べない」

 

 咲夜に遣いでも頼もうかしら。それとも美鈴が良いかしら。お姉様と本の虫はダメ。絶対に行ってくれないから。コインをいくら賭けてもいいわ。

 

 あ、そうだ。本の虫を囮にして、魔理沙を呼び出したら良いわ。早速、図書館を見張ろうかしら。

 

「……あれ、誰も居ない」

 

 いつも居る筈の本の虫も居ない。珍しい。本当に珍しいわ。でも、屋敷内には居る筈ね。そうそう、こういう時に限って、魔理沙が来るの。この前来た時だって、侵入防止のための結界が緩んでいた時だったの。

 

 間の良い魔理沙のことだから、すぐに来るはず。……あれ、でもこれって私が居るから、間が悪いってことになるのかしら?

 

「うーん……わかんない」

 

 とりあえず、見張っておけばいいと思う。何だか今日は、霊夢や魔理沙が来た時と、同じ感じがするから。

 

「早く、誰か来ないかしら」

 

 お外はとっても、眩しかった。

 

 

 

 






悲報:フランドールがパチュリーのことをどう呼ぶか分からない件について。

 あの呼び方は私がパチュリー嫌いというわけではなく、フランドールなら純粋にこう呼びそうだな、という私の勝手な想像のもと書いています。おそらく、このあたりが妥当ではないか、などと思っていますが、詳細は不明。

 出来るだけ原作に近い魅力を、キャラごとに引き出していきたいと思っているので、節々に、こうした一部ご不快な点があるかもしれませんが、どうか温かい目で見守ってくださればと思います。

 余談ですが、私の東方の腕前は風神録までのex、妖々夢はphをギリギリでクリアできる程度です。安定したクリア見込めない点から、よくミスもやらかします。通常モードはハードまでならいけますが、ルナとかは無理です。紅魔郷のルナティックは針霊夢で残機とボムを設定できる最大数にして、3コンしてようやくクリア可能です。

 以上、私のへっぽこ履歴でした。


 
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