戦姫絶唱シンフォギア×仮面ライダーゴースト・歌姫を守る魂 作:にゃはっふー
それを知り、仮面ライダーハーツは新たな奇跡を起こす。
その代価は・・・
黒煙が立ち上る中、静かにたたずむ。
キャロルはその様子に顔を歪める。狂気に満ちた悲しみと歓喜が混ざり合う。
「なに、が・・・」
「なにかしたんだろう、彼奴が、亡霊が・・・」
その言葉通りなのか、眼魂がそこにある。響は急いでそれを手に取るものの、絶句する。
いままで感じたこともないくらい、まるでそこに何もないように、存在感がない。
「ああ、ああ、ああ、ああそうか・・・彼奴が、亡霊が奇跡を起こしたか。あっは、あっははははははっ」
狂ったように笑うキャロルは、その眼から涙が流れる。
「なにが救うだ、何が奇跡だッ。お前達もまた、奇跡によって、大事なものを失ったじゃないか!?」
もう分からなくなった少女の叫び、悲しい叫びが、世界に響く。
「・・・ここはどこだ・・・身体が動かない・・・」
何もない空間、身体が動かない。
あの時とっさにオメガドライブを発動させたのだけは思い出せる。だがその後、自分はどうなった?
分からない、ここはどこだ。
「・・・ざっけるな」
まだ消えたくない、死にたくない。
空間の中にもがく中、その時、光が差し込む。
「なんっ」
知らない場所に出た。中世の町並みのようだが、人だかりが出来ていた。
そして、
「パパっ」
一人の少女が叫び、いままさに一人の男性が処刑されようとしている。
なんだと思いながら、駆けだそうとするが、身体が動かない。
少女は泣き叫ぶ、男性は穏やかな顔で微笑み、静かにしている。
炎が点けられ、男が処刑される。炎に包まれる中でも、彼は娘の身しか考えずに、
「世界を知れ、キャロル」
「パパぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
誰も助けないその光景の中、手を伸ばす。
届かないのは分かっている。変わらないことは分かっている。
だからどうした!?
「俺の命は、魂が爆ぜる瞬間は、ここだろうがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
その瞬間、身体が動く。人混みを駆け分けて、火の海の中に飛び込む。
周りにはそれを防ぐ者もいるが、それを蹴り飛ばし、炎の中の男を助け出す。
「君は・・・ダメだ、こんなことをすれば」
「なんで助けちゃ、いけないんだッ、俺は助けたいッ」
「君は」
「助けたいと思った、世界だろうが、なんだろうか関係ない。偽善も何も関係ない。助けたいから助けるッ。それが」
その時、巡るのは世界、命だった。
「俺の魂だ!!」
『それが答えか、ならばその望み、叶えよう』
「!?」
突然光の柱が現れる、五つのゴーストパーカーと、15の英雄が現れる。
彼らはその光を見つめ、そして、
『君の望みはなんだい?』
そう世界に響く。少しの間、そして静かに、
『君の答え、命の可能性を見せよ』
光から現れるのは、一人の戦士。
戸惑いながらも、すぐに周りを見て把握する。
「言われなくても」
その姿は神代ハヤトだった。それに静まりかえる戦場。ノイズがあふれ、装者達が戦う中である。
「・・・お前はまた奇跡を」
「奇跡なんてもん、俺は起こしてない」
キャロルは虚空の瞳で認める中、シンフォギアを纏う装者達は、エクスドライブでノイズを倒していた。
自分の姿を見て、みんなが喜ぶ中、彼は、
「奇跡なんてもんに頼っている余裕なんてないんだね」
「ならお前はなんでいる!? なんで在り続ける!!? パパは炎で焼かれたのにッ、どうして、どうしてお前だけはッ」
「・・・それでも、あの人の魂の、繋がっている命の可能性のために、俺は、お前を止めるッ」
「!?」
五つの光から、五行眼魂の力が現れ、五行眼魂が一つになり、手の形になる。
『カモン・アイ・キャッチ!!』
ベルトになった五行眼魂は、月光眼魂を捕まえ、静かに構える。
「世界の力、俺は世界と共に、この命の可能性を、お前に伝える・・・力を貸せッ、俺と共に歩んだ力、俺の命、世界と繋がった魂ッ。命、爆ぜ駆け続けるッ」
『森羅万象大回転!!』
「変身」
『ソウル爆発!! ヒーロー披露!! レッツゴーカメンライダー!!』
黄金に輝くパーカーを纏い、現れる。
「俺の命は、まだ消えないッ」
「なら散りすら残さず消してやるよ、亡霊がッ」
炎を始めとした全ての元素と元素がぶつかり合う。
その様子に舌打ちして、世界を壊す歌を歌うキャロル。
英雄達の力を借りながら、奏と目が合い、巨大な機体を創り出すキャロル。その両腕へと武器を構える。
「はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
「貫けぇぇぇぇぇぇぇぇぇ」
両腕破壊され、頭部へとシンフォギア、アームドギアが放たれる。
だが一手足りないはずが、そこに響の拳が放たれる。
「やったか」
そんな中、長い束ねた髪がちぎれたキャロルが落ちてくる。だがそれに手を伸ばす響を見て、それに安堵する。
(響なら届く、なら俺は)
その背後、膨大なエネルギーの固まりが爆発しかかっている。
それに向かって、ハンドルを引く。
『セカイヒロウ・オメガマワル!!』
手のように眼魂を掴むベルトの一部が周り、それと共に飛び上がる。
すれ違いざま、響がキャロルを助けたのを見て安堵して、静かに、
「これが俺の、ライダーキックッ!!」
火、水、風、雷、土が回転して混ざり合う。その力と共に、爆発する力を空へと蹴り上げた。
爆炎の中、響は気絶している。キャロルは意識はあるが、抵抗せず、彼女を抱き上げて響を見る。
「な、にを・・・」
「・・・ごめんな響、まだかかる」
そう呟き、眼の模様が浮かび上がり、キャロルを連れて、その中へと消える。
白い空間だった。
何もなく、雲の中にような世界。
そこに双子の男女がいたが、一人になり、またいまの彼と同じ、黄金のパーカーを着込む戦士へと変わる。
『願いは、先ほどのものでいいのか? 神代ハヤト』
「問題ない」
『君は面白い、その願いを叶えよう』
「・・・ああ」
そして光が辺りを包む、キャロルは何がなんだか分からなかった。
だが、光が晴れた先、そこで、
「・・・」
奇跡を越えた、偽善の我が儘が、現れた。
魔法少女事件、その後、神代ハヤト、仮面ライダーハーツの姿は見せず、錬金術師キャロルの行方も分からないままだった。
だが、
「ここでいいはずです」
「本当なの? エルフナインちゃん?」
いまのエルフナインの身体は、キャロルの物だった。
重傷を負い、ホムンクルスである身体は消えるはずだったが、キャロルがいま使っている身体を渡してくれた。
そして、
「!?」
装者達を始め、周りに控える者達も顔がこわばる。
此度の事件、首謀者、キャロルが現れた。エルフナインの記憶では、あれもまた、キャロルが予備で用意しておいた、肉体である。
「キャロル!!」
「うるさいぞエルフナイン・・・これでも記憶のインストールでまだ不調なんだ。だから戦えないから殺気を解け装者」
そう言うと、響がまあまあと言うが、他の装者達は武器、もとい聖遺物のペンダントを握り、静かに動作一つ一つ見ている。
死者がいないのが良いことだが、やったことは消えない。
その様子にふんと不機嫌そうにしているが、
「エルフナインから話は聞いてないのか? あの亡霊のこと」
「・・・ハヤトが」
『我が名はグレートアイ、さあ、願いを言え、神代ハヤト』
「願いは一つ、キャロルとその父親と会わせてくれ」
「あっははは、もうハヤトは・・・まぁた自分が生き返る機会、捨てて・・・」
苦笑する響だが、それが痛々しく思い、切歌と調は顔を背け、翼達は黙り込む。
そして魂の状態で会話したキャロルは、いまに至る。
どんな会話をしたのか、それだけはエルフナインには伝えていない。それでもエルフナインは満足そうに微笑んでいた。
自分がその後どうするかなどは全部伝えている。少なくとも、死にかけていたエルフナインを助け出したのは事実であり、エルフナインのことも、父親に話したらしい。その辺りのことはエルフナインも記憶にある。
魂の父親、その会話にエルフナインもキャロルを捕まえる際、出来る限り穏便にして欲しいと言うほどであり、こうしてキャロルは逮捕と言う名の保護下に置かれた。
そして、
「ハヤトは・・・」
「・・・グレートアイとどこかかに消えた、俺の旋律で大分ダメージも受けていたからな、どうなったか分からない」
そっかと悲しそうに呟く中、静かに冷たい風が吹く。
誰もなにも言わず、だけど響は、
「けどま、ハヤトのことだから、生き返って帰ってくるよ」
「いいのか立花、それで」
「平気ですよ翼さんっ、平気、へっちゃらですっ」
そう笑顔で答える。それにみんな黙り込み、そしてキャロルは手錠をされ、エルフナインはおろおろしているが、静かにしてろと怒られ、落ち込む。
その双子の姉妹のような様子に微笑んでいると、アラームが入る。
「!? なんだ!?」
キャロルも驚く中、空間の一部が歪み、そこから見たこともない怪物達が現れる。
それに驚きながらも、なにあれと響が驚く。
「いたぞ、立花響っ、その命もらう!!」
「えっ、わ、私!?」
名指しで呼ばれ、無数の怪物達が向かった来る。
装者達が全員武器を纏う中、戦いが始まるが、
「こいつら、全員響のもとに!?」
「私達は無視デスか!?」
「くっ」
攻撃を受けようと、全員が響の元に流れ込む。
そんな中、司令官のような怪物が叫ぶ。
「殺せ殺せッ!! その女を殺せば、この世界の奇跡が潰えるッ」
「!?」
爪が迫る中、響はまずいと思いながら、後ろを見る。後ろには装者じゃない人達がいる。そう思ったとき、
「間に合ったッ」
光の目が、それを阻む。
「・・・えっ」
光から人の姿が現れ、それが肉を得るように姿を現す。
人の姿、パーカーみたいなコートを羽織った、一人のパーカーを着込む男性。聞き覚えのある声の男性。
「貴様!? あの軍勢は」
「先輩ライダー達が受け持ってくれたぜなんたらショッカーさん達。異世界侵略とか、悪いがグレートアイの頼みじゃなくても、なんであろうと、させないぜ・・・」
そして五つの光がベルトになり、その手に月光眼魂をセットする。
「まして俺の世界なら、いや・・・響に手を出すなら、俺が許さない」
『森羅万象大回転!!』
「変身」
『ソウル爆発!! ヒーロー披露!! レッツゴーカメンライダー!!』
金色の五つの光を纏う、一人の戦士。ハーツが現れ、高らかに宣言する。
「俺の命はまだ燃え爆ぜ無いぜ、駆け抜けるッ」
無数に武器を振るい、怪物達を倒すそれは、まさに駆け抜けていく。
司令官らしき怪物が己と叫びながら突撃するが、
「命、爆ぜるぜッ」
『セカイヒロウ・オメガマワル!!』
五つの力が跳び蹴りと共に纏われ、司令官の怪物ごと、全て討ち倒す。
その光景を唖然と成りながら見る装者達。
それに気づき、少し息を吐いた後、
「みんな」
「ハヤト・・・」
「悪い、まだ帰れない」
「えっ」
「帰ってくるから、少し待っててくれ。んじゃ」
そう言って、輝く紋章の中に消えようとしたが、その手を握る響。
「待って」
「響」
「・・・」
響は心の中で何を言うべきか、ただ静かにしている。
その様子を見て、ハヤトは変身を解き、静かに、
「生き返って戻ってくる、文句はその後聞く」
「・・・ハヤト」
「信じろ響、俺は必ず、戻ってくる」
「・・・ずるいよ、ハヤト」
「・・・悪い」
「・・・」
困った顔をして微笑むハヤト。それに響は、静かに近づき、唇を重ねた。
「「なっ!?」」
「デス!?」
「「!?」」
「「!?!?!?!?!?!!」」
その場にいた少女達が各々似たり寄ったりのリアクションをし、響は少し頬を赤く染めて離れ、ハヤトは呆然となっている。
「・・・ひびき?」
「いままで黙って決めたお返し、必ず、帰ってきてね」
そう言われ、その手が一度強く握りしめられた後、離れる。
それを感じながら、ハヤトはすぐに気を取り戻し、
「ああ、行ってきゅる」
舌をかんで紋章をくぐった。
響はぷっと笑い出すが、装者達他は、唖然となっていた・・・
怪物達が蠢き、集まる中、先輩ライダー達が揃っていた。
「来たか、異世界、ifのライダーよ」
一号と呼ばれた男がそう言いながら、ハーツは静かに、
「・・・あっははは」
「? どうした」
「いえ少し・・・私情で暴れたくなりました」
「そうか、だが」
「分かってます、さあ」
『行くぞッ』
異世界の戦いを終えて、速攻戻る。
そう決めた一人の戦士は、
「命、駆けるぜっ!!」
そう叫び、走り出した。