戦姫絶唱シンフォギア×仮面ライダーゴースト・歌姫を守る魂 作:にゃはっふー
魂が駆けた。
そして、魂は世界と共に歩み始めた。
ライブが終わり、マリア、翼はホテルで休んでいた。
今日もまたアンコールを観客に求められ、多くの贈り物やエールがある。
だが、最近携帯、スマホを見るのが億劫だった。
「・・・また来てる・・・」
「・・・そうだな・・・」
マリアがそれを見てため息をつく、なにかが壊れているような気がする。気のせいではないのだろう。正直に言えば、翼と同じ仕事以外、ほぼ前科があるため、監視下に置かれる。その所為もあり、これは苛立つ。
その思考にたどり着き、顔を振る。
(相手はセレナの恩人よ、我慢よ我慢・・・)
対する翼の方は、何故こうも不機嫌になるか分からない顔だった。
(この身は剣、仲間が幸せなら良いはずだ。だが何故私はこうも心揺らぐ・・・くっ、そして充電器はどこだ!?)
すでに充電器も失うほど、ホテルの部屋は荒れている。正直に言えば緒川の方もまずいと思っている。
(二人の様子から、影響が出始めている・・・どうするべきか・・・)
そう危惧していた。
少し時間は遡る。
とあるカラオケ店で、熱唱する歌姫がいた。
暁切歌と月読調である。
他にもクリス、未来と、彼女の友達の三人もいて、正直、歌いながらストレスと言うストレスをぶちまけていた。
セレナもいて、少しばかり威圧に怯えている。
「次は誰の番デス!? 今日は夜まで歌い続けるデスよッ」
「ちょっと待て後輩っ、いくらなんで」
「なんでもじゃないよっ、帰って来るなりずっとあの調子なんだよ!!」
「そうデスッ、相手のいない私達への当てつけデスッ。不愉快デスッ、羨ましいデス!!」
「おいこら待て」
「クリスもそうだよね、だからここにいるのに、少し落ち着いて」
極寒の雪空のように何を歌うか見ている未来。眼が笑っておらず、静かにページをめくっている。
クリスはべ、別にとか、顔を紅くして、それでもなにも言わずに席に座り、三人もまたなにも言わず、ページをめくり、お菓子やら食べ始めたりしている。
そこにメールが来るため、全員が見てみる。
メールには写真画像付きであり、それを見て、固まる全員。
そして、震える切歌は、憤慨する。
「我慢できるかぁぁぁぁぁぁぁぁぁデスッ!! ここまで耐えに耐えましたッ、私、いまから邪魔しに行ってきますッ!!」
「待てッ、気持ちは分かるが待ってやれ!!」
「待たないッ、私だって・・・本当は」
調が何か言いかけながら、セレナはあーあと思う。きっと止められないなと、ふとっ、気づいた。
「み、未来さんがいない!?」
『!?』
後には先に出た者のように、各々の会計を済ますのであった。
そして、とある高台にて、町を見下ろす響がいた。
風を受けながら嬉しそうに笑顔で見ていて、世界を見る。
「んーーーいい風だな~♪」
そう言う響に、気配を消して、冷えた缶ジュースを首筋に当てた。
「ひゃ!?」
「油断しすぎだぞ装者」
そう言って、薄手の青年が呆れながら、缶ジュースを渡す。
それにもうと頬をふくらますが、彼を見て頬を赤くして微笑む。
「っていうか、もういいの? 向こうの戦い?」
「ああ、もう終わったよ響」
「うん、だからなんだよね・・・ハヤト」
そう言いながら、町を見下ろすハヤト。ベンチの隣に座る。
静かにしながら、リハビリなどもすんなり通り、彼はいま、ここにいる。
それを喜びながら、腕にひっつく響。それに少し驚くが、なにも言わず、大人しくされるがままであった。
「けど、グレートアイって、結局なんなの? ハヤトの肉体を作り上げたり、異世界の壁越えたりして」
「さあ? 世の中、不思議がいっぱいだ。五行眼魂が進化して、一つ、セカイドライバーってもんに進化したようにな」
そう言いながら、月光とハーツ眼魂を取り出してみる。
彼?は言ったのだ。
『世界と共に歩め』
そう言い終え、肉体をくれたグレートアイ。真偽は分からない、だが、一つ分かるのは、信じてくれた。
神代ハヤトと言う、人間の可能性を信じてくれたから、自分に肉体を与えたのだろう。ならば、自分がするのは一つ。
「装者達と共に、世界を廻り、守る。いまの俺がやるべきことだな」
「・・・えっへへ」
そう笑いながら、ぎゅーーーーと抱きつく響。正直恥ずかしいが、帰ってきてからや前々からのことを考え、何も言えないため、何より、
(・・・ああくそ)
本人は断る気が起きない。
響は嬉しそうにハヤトと共に、世界にいる。
それが、叶った。
「おいそこのバカップル」
と不機嫌な声で言われ、すぐに二人は離れ立ち上がり振り向くと、
「「キャロル」ちゃんっ!?」
キャロルとエルフナインがそこにいて、奏もまた、よっと挨拶して、ウルバイクがエンジン音を鳴らす。
ウルバイクは、いつの間にかサイドカーのようなものもあり、カスタムされていたりと、もう主を乗り換えた。
「キャロル、最近仕事ばかりだったらしいが」
「ああ、たまには外の空気吸えと、あの司令官が言うからな。俺が一応事件の主犯だってことで、奏が監視役だ」
「僕も少し休憩ですっ」
「悪いな、お邪魔だったか?」
それに二人揃って顔を紅くする。正直なにも言えない。
その様子に少し意地悪だったかとすまなそうな顔をするが、
「こんなメール送ってくるのが悪いんだぞ響」
「・・・・・・・メール?」
「えっへへ・・・さっきの、遊園地の観覧車の様子」
「!? おまっ、誰に送ったんだ!? あんな恥ずかしいの!!」
そう言いながら、ごめんごめんと誤り、履歴を見ようとするハヤトの様子に、エルフナインは内心、いいなと思う顔で見ていて、キャロルはうんざり気味に見ていた。
だが、
「おいハヤト」
「ん? キャロル、なんだ?」
「少しこっちに来い」
「うん?」
そう手招きされて近づく。
「膝を折れ」
「ん」
そう言われ、目線をキャロルへ合わせる。キャロルはよしと言う。
「お前には色々と世話になったな」
「? そうか?」
「ああ、だから」
そして、
「責任は取ってもらうぞ」
そう言って、無理矢理抱きつき、キスをした。
『!?!?!?!?!!』
少しだけ長めだが、すぐに離れる。少しだけ頬を赤くするキャロル。
響はなと言う単語を繰り返し、奏はあーあと額を抑える。
「きゃ、キャロルずるいですっ」
そして本音を叫ぶエルフナインもいた。
「エルフナインもすればいいさ、俺は奪い取るからな」
「ふへっ!?」
「ふん」
響は驚き、いまだに困惑しているハヤトは黙ったままだった。
と・・・
「ハヤト」
「!?」
壊れたブリキのように、極寒の冬空のような声を放った人へと振り返る。
小日向未来、本来日向のような暖かい幼なじみが、激怒してそこにいた。
「私、言ったよね? 響なら諦めるけど、他の子に浮気したら許さないって」
「み、未来さんっ? それって幼稚園児か小学時代の話では?」
「覚えてれば関係ないよ?」
「ひひぃ」
世界を越え、神の如き者に信じられた戦士は悲鳴を上げて、しりもちを付き、後ろに下がる。
怖いものは怖いのだ。
その後ろでは、
「きゃ、キャロルちゃん? い、いまの言葉って」
「あいにくと、これから育てば大きくなるようだからな、彼奴のために料理もできるし、後はいまの文化での家事だのなんだの覚えればいいだけだ。彼奴だって若い奴の方がいいだろ?」
「きゃ、キャロル!?」
「エルフナイン? お前は諦めてるが、俺は諦める気は無いからな。彼奴には責任を取ってもらう」
「そ、それだったら、僕だってっ」
「エルフナインちゃん!?」
「・・・」
その話を聞く未来は、また静かに近づいてくる。怯える戦士は後ろに下がる。
まだ続く。
「それなら、私達も」
「立候補するデス!!」
そう言って左右から抱きついてくる切歌と調に、二人は驚く。
「毎日毎日イチャイチャするなデスッ」
「私達も、この人のこと大切だからね」
「そ、そんな~~」
「・・・ハ・ヤ・ト?」
「お、俺か? 俺が悪いのか!?」
そんな中、多くの若者達が押し寄せてくる中、一人の男性を中心にわいわいきゃあきゃあしている。
その様子を見ながら、奏は静かに思う。
「ったく、家でやればいいのにな、ウルバイク」
エンジン音を鳴らす相棒、同意らしい。
そう言えば、前の相棒もう、うかうかしていられないだろうにと、後で話してやらないとなとか思う。
世界はいま、平和に廻り、命を育んでいた・・・
遊園地の観覧者の中、隣同士で座る響とハヤト。
そして、カメラモードにしているのを見たハヤトは首を傾げた。
「響、景色撮るのか?」
「ん~それはね~」
少し意地悪な顔で、すぐに頬にキスして、写真に撮る。それに気づくと遅く、保存した。
「響!?」
「えっへへ♪ いままで待たされた罰だよハヤト~」
「・・・ったく・・・」
そんなやりとりをしながら、静かに手を握り合う二人。
「・・・もう放さないからね、ハヤト」
「はいはい」
そう笑い合いながら、響は遊園地を後にする際、幸せのお裾分けのため、一斉送信した。結果、酷いことになるのだった。
完結