戦姫絶唱シンフォギア×仮面ライダーゴースト・歌姫を守る魂 作:にゃはっふー
第8話・彷徨う爆ぜる魂
ルナアタック事変後、風鳴翼とマリア・カデンツァヴナ・イブによるライブ日。
そんな前日だった。
「・・・あれ?」
知らない荒野に立っていた立花響。
気のせいか、風鳴翼、雪音・クリス、天羽奏がいる。
それだけでなく、顔が分からないが、あと三人いる気がした。
「あれって・・・」
『開眼! ハーツ!!』『スタート覚悟!! ガンガンゴースト!!』
彼女達装者に衝撃が走る、それは彼女がよく知る人物である、彼のもう一つの姿。戦士である、仮面ライダーハーツの姿だった。
「命爆ぜるぜ!!」
そう叫び、空間の割れ目から出てくるノイズを、次々と切り伏せる。それでも外からノイズが大量に迫っているが、それを切り伏せて、前へと進む。
何度も何度も、たった一人で、ノイズと戦う。
「悪いがもう誰も悲しませない!! 俺がいる限り、俺の魂は、命を全て守る!! 偽善だろうとなんであろうと、守るものがあるのなら、俺は何度も現れる」
ノイズの群れが人々に迫る前に、彼はノイズを斬る。人は誰も彼に気づくことはなかった。誰も彼も、たまたま時間が来て消えたんだろうと言う顔で見向きもせず、戦士はそれでも戦う。
「必ず、守らなきゃいけない・・・自分勝手に死んで、彼奴を傷付けた分まで」
ノイズの攻撃に傷付きながらも、一人で彼は戦った。
時には丸一日中、誰にも気づかれることなく、たった一人、意味もなく戦った。
その命が消える、その日まで、
「ハヤト・・・」
目が覚めると、静かに五行眼魂を見る。
戦いの後、自分が持つべきと弦十郎が渡してくれた、彼と共に戦ったアイテム。
その五つに見守られながら、未来と共に朝日を見る。
「あれって・・・ハヤトの記憶なのかな」
だとしたら寂しい。彼は誰にも知られずに一人、黙々と戦った。
自分を傷付けた罪悪感を背負いながら、ずっと戦ってきた。
彼に会いたい。そうつぶやき、ご飯の支度を始める。
「ふ~ふん、ふ~」
ウルバイクを手入れしながら、奏は鼻歌を歌っていた。
ここのところノイズの出現もなく、出番はないので助かるが、
「とはいえ、響とクリスはソロモンの杖の輸送任務か。私らが出ればいいのになウルバイク」
同意するようにエンジン音が鳴り響き、ライトがつく。その様子によしよしと狼の頭部を模した部分を撫でてやる。
ハヤト以降、ウルバイクは奏の愛機となり働いていて、翼が時折壁からのぞき込むのを可愛いな~とからかう機会が多い。
「翼が別の誰かと歌うのか・・・少し複雑だけど、いまの翼は、歌い手としてがんばって欲しいからな」
シンフォギア装者としての資格を失い、アイドルと言うより、翼のサポートが大事になったため、アイドルをやめた自分。
いまさら戻るのは虫が良すぎるので、戻る話は断っているし、残してもらった力で戦えるため、彼女達、普通の日常がある響達の代わりに戦う面もある。
「ガングニール魂・・・ハヤト、お前の魂、借りるからな」
そしてライブ中継をテレビで見る。どこでなにがあってもいいように待機するためだし、ウルバイクにも見せるために、待機していた。
だが、予想外の事態に、奏の顔が曇る。
突如として放たれた、テロ宣言。その主格と思われるマリア・カデンツァヴナ・イブ
と、黒いガングニールに、全員が驚いた。
ウルバイクに乗り、現場近くまで走る奏、そして、
『ウオォォォォォォォォォォォ』
「!? どうしたウルバイク」
突如ウルバイクが吼えた、急停止して辺りを見渡す。
気のせいかと思ったとき、電柱、欠けた月を背に、誰かいる。
「!?」
突如ウルバイクからの謎の機関部、武器の収納口なのだが、そこからチョーガンガンセイバーと別の獲物が放たれ、それが影の手元に飛ぶ。
「なっ」
そして影は消えた。ウルバイクにすぐさま問いかけようとするが、ウルバイクは何も答えない。
「いまのは彼奴の武器・・・けど、彼奴の獲物は剣だけなのに、二つ?」
疑問に思いつつも、インカムから連絡が入り、大急ぎで現場に向かう。
戦場は打ってかわり、観客は避難済みであり、生中継が止まり、装者達は力を振るう中で、彼女達を見る。
「どうして戦わないの」
ツインテールの子が、丸鋸のような武器を振り回しながら響に迫る。
そんな中響は、
「戦えないよ!! どうして同じ人間同士で争わないといけないの!? いま、この力は誰かのために、誰かを守るためある力だよ」
「ふざけないで!!」
丸鋸を防ぎながら、響は叫ぶが、それをにらみ返される。
「誰かのためだなんて、痛みを知らない貴方みたいな人が使わないで!!」
「痛み・・・」
一瞬、響は彼がよぎった。
自分のために生き返ろうとした、自分のために諦めたり、戦い続けたり、勝手に生きた幼なじみがよぎった。
その瞬間の隙を、丸鋸が迫るが、クリスが銃撃で防ぎ、我に返る。
「しっかりしやがれ」
「ご、ごめん・・・」
「に、しても・・・何者だ!?」
新たに現れた二人の装者に対して、観客席に経つ三人。緑の装者は叫ぶ。
「イガリマ装者、暁切歌」
「シュルシャガナ装者、月読調」
それを聞き、響以外構える中、調はそんな響を睨む。
「戦わない気!?」
「だって、私達が戦う理由なんて」
「立花、気持ちは分かるが」
「戦わなきゃ、こいつら話聞く気がないぜ」
そう言われ戸惑う響、その時、彼の顔がよぎる。
彼ならば、
「・・・戦わなくちゃ、ダメなの・・・はや」
その時、身体に変な感覚が襲う。
力が入らず、シンフォギアが重く感じる。
その様子を見た三人組も、険しい顔で辺りを見る。
「ドクターね・・・余計なことを」
「まあいいデス、このまま倒すデス!!」
そう言い、切歌が叫び、突っ込んでくるが、そこに、ウルバイクのエンジン音が鳴り響く。
「デス!?」
「うっらあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
バイクの突進をすぐによけ、奏を睨む切歌。
だが、奏はすぐにドライバーを腰に巻く。
『ガングニール魂!!』
「デス!?」
「!? 気を付けなさい!! 未知の聖遺物よ!!」
「借りるぜ魂!!」
『ガングニール・撃槍!! 裂槍!! 貫く決意!!』
パーカーと言うよりコートが現れ、奏はそれを纏う。
全身ではなく、頭部の部分は素顔を逸らしたまま、ヘッドホンのような三つの角を持っており、ガングニールの槍を構えながら、その場に現れる。
「奏・・・」
「悪い、少し出遅れた。少し待って、なっ!!」
槍を地面に刺して、ドライバーを押す。
『ダイカイガン・ガングニール・オオメダマ!!』
その瞬間、辺りに何度か空間を振るわす衝撃波が放たれ、無理矢理空気中に漂う毒素を身体に入ったものまで消し飛ばす。
その荒技に、全員が驚いた。
「彼奴の魂が込められてんだ、これくらいできるってもんさね」
「あっはは・・・まあ、ハヤトらしいです」
「おかげで幾分か身体が動くか」
「ったく、この先輩は・・・」
その様子とエネルギーに、マリア達も驚いていた。
「これが眼魂の力・・・未知の聖遺物」
「凄い力デス、デタラメすぎますよ!?」
「・・・」
構える三人に、奏はため息をつく。
「響、言いたいことは分かるけど、やるしかないようだぞ」
「!?」
周りからノイズがあふれてくる、その様子は三人組も予想外のようで、ノイズを倒すために散る装者達。
そしてその隙に、三人組が消えていった。
響達の絶唱の光が、巨大ノイズを吹き飛ばす。その様子に三人組も見ていた。
天すら貫く光を見ながら、その時、切歌が気づく。
「ドクターの奴、外にまでノイズはなってるデスよ!?」
「外まで!?」
その言葉に、マリアはガングニールを構えるが、
『ア~イ~』
その言葉に三人が驚く。
『バッチリミ~ル~!! バッチリミ~ル!!』
黒い、真っ黒なパーカーに、紅色の線が入ったものが鎌のような袖で、ノイズを切り刻む。
その様子に驚いていると、それは何かに羽織られた。
『孤高魂・孤独覚悟!! ザシュザシュゴォゴォゴースト!!』
現れた瞬間、その場にいたノイズは全て切り裂かれた。細切れ、そう言えばいいのか、現れたそれに、瞬時に切り裂かれていた。
「!?」
あわてて武器を構えるが、それはその場から消えた。
それに切歌は青ざめながら、その場を見る。
「い、いまのなんデス? ゆ、幽霊デスか!?」
「落ち着きなさい、そんなことはあり得ないわ」
調も平気そうな顔をしながらも、マリアのマントを掴んでいる。
何者かは知らないが、いまのはいったいとマリアも思いながら、その場から去る。
そこから離れた位置、血の涙のようなラインを持つ仮面の戦士は、パーカーを脱ぎ、町を見下ろす。
血の涙で身体を覆い、黒いコートを纏うその姿は不気味であり、どこか悲しげだった。
そしてまた静かに、孤独な戦いが始まった。
夢は繰り返す、たった一人、感謝されたい訳でもなく、ただ一人、少女を傷付けたことへの身勝手な償い、そのためだけに戦い続ける。
一人で、誰にも知られず、誰にも見られず、戦士は戦う。
そんな夢が、たびたび見る。
たった一つの魂が望むのは、一人の少女が笑っていられる世界。
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