ハイスクールD×D 理不尽壊しのリインカーネイション   作:橆諳髃

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8話 〜罪の王の世界〜 綾瀬からの事後報告

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side 綾瀬

 

 

 

 

「それは恐らく……愛護颯也だろうな。いや、恐らくではなく絶対と断言できる」

 

私は陽動任務が終了した後、すぐに涯のところに行って今日起きた事を報告した。全部話し終わった時、涯は私を助けてくれたであろう人物の名前を言った。確かにアンフェアブレーカーというのは、本人も偽名だって言ってたから本名は別にあるんだなとは思っていたけど……。

 

「でも、何で涯がその人の名前を?」

 

「この前俺が留守にした時があったろう? その時に会いに行ったんだ」

 

「えっ? でもその時涯は、噂になっている神の使者に会いに行くって……」

 

「そうだ。その神の使者が、愛護颯也だ」

 

し、信じられない……。確かに噂では、アポカリプスウイルスに感染した人を健康体に治す事ができると言われているわ。それにキャンサー化に陥っている人も治してしまうと……。それも、GHQが持っている薬を使わずに……。だから私は、てっきり戦闘などできない人なんだと思ったわ。でもそれは、私の思い込みだった。

 

(確かにそんな神業を持っている人を、GHQが放っておくはずがない。でも神の使者……愛護颯也は未だに捕まっていない)

 

こう言うと、彼が犯罪者のような感じに聞こえてしまうけど、決してそう思って言ってるわけではないわ。寧ろ彼は、今絶望を感じている人達に希望を与えていると私は思う。確かに、明日を生きるのが難しい人達が多いのは知ってるわ。それに、アポカリプスウイルスに感染した人が、毎日絶望を抱いて生きているのも……知っている。

 

(葬儀社に所属している人の中にも、キャンサー化に陥ってしまった人を間近で見てしまったから……)

 

でもその噂が出回った時、感染した人は涯に許可を貰ってその人の元に行った。それから1時間経った頃かしら。キャンサー化に陥った葬儀社の人が、健康体になって帰ってきた。それを見た時は、とても唖然とした。本当にそんな人はいるんだって。

 

その人は、帰ってすぐに涯の元に行った。多分涯が持たせた隠しカメラで、噂になっている人の顔を見るのだろう。

 

でも、後から聞いた話によれば、そのカメラは正常に動いていたのに、その人の近く(まだ姿を見ていない)に来た時、カメラに突然モザイクがかかった。ツグミに解析してもらったようだけど、結局どんな人物か分からなかった。

 

そこで涯は、アポカリプスウイルスに感染した人達を監視するように命令してきたわ。最初は何でと思ったけど、それはすぐに分かった。そうする事で、神の使者と呼ばれる人の元に案内させるためだったの。

 

そして結果はすぐに出たわ。それから数日間かけて、私達は神の使者を監視した。でもそんな中、監視していた仲間がこう言いだしたの。

 

姿は見えるのに、顔が全く分からない。まるで顔だけモヤがかかったみたいで、双眼鏡越しでも全く見れない。私は信じられないと思った。そこで私は、自分でも確かめてみたいと思って、涯に許可を貰って、目立たないようにエンドレイヴ越しに監視した。

 

確かに目的の人物らしい人は確認できた。でも……やっぱり顔だけは分からなかったわ。

 

噂では、とても優しい顔つきをしていて、口調も同じくらい優しい人と言われていた。そして対応も自然で、怪しいところは一切ないとも。確かに最初は、見た事のないやり方で病を治すのは不安とも、彼の元に行った人達は言っていたようだけど、それでも彼の事を別に怖がっている様子は無かったみたい。寧ろ、彼の元に行った人達全員が感謝していたようね。

 

(私も、いつかそんな人に会ってみたいわね)

 

心の中で、いつしかそう思うようになった。それでこの前涯が、神の使者に会いに行った。そして何時間かして涯が戻ってきた。それも、少し悔しそうな表情をして……。

 

彼にあった今なら、私にもその悔しい涯の気持ちが分かった。あの人は……医療だけでなく、戦闘にも特化している人物だと。

 

「綾瀬は、彼を見てどう思った?」

 

「私は……涯があの日、何で悔しそうな表情をしていたか分かった気がします。彼は……愛護颯也は、この日本解放の切り札になり得ると、私は思います」

 

「そうか……俺も、綾瀬と同じだ。あの力があれば、例えどんな脅威に晒されようとも覆せる……そんな気がした。だから俺はあの日、彼を葬儀社に招こうとした。だがそれは、物の見事に失敗した」

 

「今更なんですが……それは何でですか?」

 

「理由か? そういえば言ってなかったな。彼曰く、俺は本当に困っている人達の味方だから、だそうだ」

 

それを聞いた時、尚更何故彼が葬儀社に入らないのか分からなくなった。あの時は……私を助けてくれた。あの口ぶりだと、私が葬儀社だと知って……。だから尚更分からなかった。

 

「でも私達も……日々を命がけで戦って生きてます。日本解放を目指して……」

 

「あぁ。確かに俺もそれは言った。だがそれでも彼は断った」

 

「な、なんで‼︎」

 

その時私は彼に対して怒りを覚えた。葬儀社が日本解放のために戦う事と、彼の……本当に困っている人達の味方だからという理念で行動している事に、私は彼が矛盾をしていると思ったから。日本には……アポカリプスウィルスに感染して、それでGHQに我が物顔で支配下に置かれて多くの人達が困っている。それを解放するために私達は戦う。彼だって、そう思って感染した人を救うしていると私は思う。それは、多くの人を助けるという事で似ていると思う。だから、彼と協力すれば、もっと多くの人を救えるはずなの。なのに彼は、葬儀社に入らなかった。だから私は怒りを覚えたのかもしれない。

 

「落ち着け綾瀬。君が怒る理由も分からなくもないが、俺はその理由も聞いてきた。彼は……人が死ぬのが嫌なんだそうだ。なんでも、負傷した人を簡単に万全の状態まで治してしまったら、その負傷した者はすぐ戦場に戻り、また多くの犠牲者を出すだろうと。俺はその人に人殺しをさせる為に病を治しているわけじゃないと……そう言っていた。彼は多分……どこまでも優しい人物なんだろう。それ故に、人が死ぬのは嫌なんだろうな」

 

「……」

 

私はそれ以上言えなくなってしまった。彼が、今の世の中でそれを理由にして人助けをしているのが、私には甘過ぎると感じてしまったから。

 

(でも、彼が思っている事は……正しいと思う)

 

「そういえば綾瀬が言うには、愛護颯也は敵に攻撃したが、それによってなんの被害も出していないと言っていたな?」

 

「え、えぇ。そうよ。確かに敵の新型には結構殴ったりしてダメージは与えてたでしょうけど、それでも撃破はしてなかったわ。それに、後から来た敵の援軍にもガトリングみたいな物で撃ってたけど、弾に当たった筈のエンドレイヴは1機も爆発してなかったわ」

 

「そうか……なら彼は本当に、人を殺さずにその場を収めているんだな。俄然に興味が湧いてきたな」

 

「で、でも……彼は葬儀社には……」

 

「確かに所属はしないと言っていたな。だが、連絡はしてはいけないとは言われていない」

 

「そ、それは?」

 

涯は懐からある紙切れを出した。今更アナログだなと思ったわね。

 

「ここには、彼の連絡先が書いてある。今から俺は彼に連絡を取ろう」

 

そして涯は端末を手にして、その紙切れに書いてある連絡先に連絡を入れた。すると、コールが2回鳴ったところで……。

 

『俺の連絡を知っているという事は……あなたは恙神涯で間違いないですかね?』

 

その端末から聞こえる声は……紛れもなく、私を救ってくれた人の声だった。

 

「あぁその通りだ。今回連絡したのは『いや、言わなくても大丈夫だ。近日中に行われる、日本の上空に移動してきたルーカサイトを撃破する作戦に協力して欲しい……ってところだろう?』……話が早くて助かるが、何故それを知っている?」

 

『ん? そんなの……』

 

私はいつの間にかその人の返答に興味津々で聞き入っていた。

 

『企業秘密に決まってるだろ? なんで自分の内をホイホイと話さないといけないんだ?』

 

……何となく惚けるんじゃないかと思っていたわ。

 

『まっ、それには協力しよう。というか、俺がそれを全て請け負っても構わないが?』

 

「いや……それは流石に遠慮しよう。そうしたら、俺たちが何の為にいるのか分からなくなってしまうからな」

 

『まぁそれもそうだな。それより……桜満集は元気かな?』

 

「っ⁉︎ 何故それを⁉︎」

 

『多分そちらにいるエンドレイヴを操縦する子から聞いてると思うが……あの夜は俺もあの場に居たんでね』

 

「確かに聞いてはいるが……だからと言って桜満集の事を知っている訳が」

 

『だからさっきも言ったように……企業秘密だ。それで知っている』

 

「……そうか。ならばこれ以上は追求しないようにしよう」

 

『あぁ……それでお願いしようか。まぁともかく今回の件については……すまんが、どうやら客が来たようだ。ともかくとしてその依頼については協力しよう』

 

「それでお願いしよう。それと、我々の貴重なエンドレイヴ操縦者を助けてもらった件に関して、感謝したい。改めて礼を言わせてもらおう」

 

『そんな事か……俺は当然の事をしたまでだ。それに、まだ大人になりきれていない可愛い女の子がさ、俺の目の前で傷付くのは見たくないからな……。子供が戦場に出て……それで命を散らしてしまうのは……悲しい事だ。だから助けた。ただそれだけだ』

 

「そうか」

 

『それじゃあ、客を待たせる訳にもいかないからな。ここで切らせてもらおう』

 

そうして彼は連絡を切った。それにしても……。

 

(彼は私の事を一体何って言ったの⁉︎ 可愛い女の子⁉︎ 私の姿を見た事がないのに、何でそんな事が……。これも彼曰く企業秘密って奴なの⁉︎)

 

「どうした綾瀬? 顔が赤い様だが……」

 

「え? な、何でもないわ‼︎ こ、これで報告も済んだし、私はもう行くわね‼︎」

 

「あ、あぁ……」

 

私は少し恥ずかしく思いながら、涯に報告を済ませて自分の部屋に戻った。

 

 

 

 

 

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