ハイスクールD×D 理不尽壊しのリインカーネイション 作:橆諳髃
恙神涯から連絡があって少し経った日かな? 俺は企業秘密によって、この辺りでGHQがアポカリプスウイルスに感染した人を粛清するという情報が流れた。まぁそれは、葬儀社の恙神涯をおびき寄せるためだと分かっている。だって、涯から連絡があった翌日に、葬儀社が公共の電波に流れ間からである。その意図は、GHQの日本支配を許さないものだと言ってたな。まぁ電波に乗せての宣戦布告かな。
そんな事もあって、この辺りで葬儀社を誘き寄せる作戦を展開するそうだ。まっ、涯の目的は新型のエンドレイヴ奪取と、今GHQの指揮官となっている……名前は忘れたけど取り敢えずハゲだな。そのハゲを打倒する事だったな。別に俺が手を出すまでもないが……。
(一般市民が殺されてしまうのは、俺は我慢ならんし……それにあのハゲもいけすかん。よし、殴りに行こう!)
そして俺はその日、涯の作戦に勝手に参加し、GHQに殺されそうになった一般市民を助けた。勿論、感染している人達は治したし、後は安全なところを作って、事が終わるまでそこで待機してもらった。
その後は御察しの通り、涯が来るまで子供の母親を拳銃で殺そうとした軍人他、ダリルを殴り飛ばしたり、ハゲもボコボコにした。いや〜……気分が晴れたよ。本当はこうやってストレスとか発散しちゃいけないのは分かってるけど、だが人を殺めようとしたんだ。殴られても文句は言わんだろうさ。
そして涯が到着してからは、バトンタッチでその場を涯に委ねて、一般市民達を安全な所まで誘導した。
それが数日前の話だ。そして今俺の目の前には、とある客が来ていた。
「あなたが、神の使者と呼ばれてる人ですか?」
目の前に立っているのは男性で、身長から察するに高校生だな。栗毛で一般男性より長髪、瞳の色は少し緑がかっているかな? そして全体的に痩せている印象だな。
(あぁ……この人が寒川谷尋か。という事は、キャンサー化した弟を治して欲しい……という事か)
「あぁ……自分自身がそう名乗った訳ではないけど、どうやら巷ではそう言われているらしいね」
「その……今回あなたを訪ねたのは「皆まで言う必要はないよ?」はい?」
「君がここを訪ねたのは、身内の人がアポカリプスウイルスに感染して、そしてキャンサー化に陥ってしまった。医療機関で診てもらっても、然程の進展がない。だから、藁にもすがる思いで私を訪ねた。違うかい?」
「……凄いですね。そこまでお見通しでしたか」
「まぁ、私の勘というやつですよ。私を訪ねる人達は、殆どが病や傷を癒してほしい人達ですからね。そして身内の人を救ってほしいと……そうやって、困っている人を救いながら生活をしていると、いつの間にかそう呼ばれてましたね。別に大した事はしていないのですが……ね」
「いえ、あなたが思っている以上に、あなたが今までやってきた事は他の誰にも真似できないと思います。俺も……兄の身でありながら、ウイルスに苦しんでいる弟には何もできなくて……」
「そう思いながらも、心の片隅では実の弟を殺したいと思っている」
「……はっ? 何を言ってるんですか? 俺が弟を殺したいと思う訳「私には見えましたよ? あなたの抱えている闇が」……そんな事できる訳がないじゃないですか!」
「えぇ、確かに普通の人ならば無理ですね。普通の人であれば……」
「な、何が言いたいんですか」
颯也の発言に、谷尋は心の中で恐怖を覚えた。この男は得体が知れないと。
「今あなたが抱いている私に対しての感情……恐怖ですね。そう感じてしまう事は、人として正常であると思いますね」
自分が一瞬思ってしまった感情でさえも、目の前の男は言い当てる。谷尋は、本格的に恐怖を覚えた。
「私の存在が得体の知れない者に見えてしまう……そんなのは当然です。なにせ、薬品も使わずに病を治してしまいますからね。そんな他の人から見ても怪しい存在は、例え善い行いをしようとしても迫害されてしまいますから。それは歴史が物語ってきた事……そしてその遺伝子も、現代に受け継がれてしまった。良い方向にも悪い方向にもね。だから、あなたが私に対して恐怖を抱こうと、何も文句は言いませんよ。その事と、困っている人を救うのは話が別ですからね」
「そう……ですか。なんかすみません」
「いえ、謝る必要もありません。私は別に、あなたには何もされてませんからね。暴力や侮蔑といった行動もされてませんし、寧ろこちらがあなたを傷つけたようなものです。だから、私の方から謝らせていただきましょう。失礼な態度をとり、申し訳ない」
颯也は谷尋に対して深々と頭を下げた。
「い、いえ‼︎ そんな、俺も謝られる立場には無いです! だから顔を上げてください‼︎」
そう言われて颯也は顔を上げる。
「いえ、あなたに少しばかりでも恐怖を植え付けてしまいましたからね、謝るのは当然です。それで話は変わりますが……」
そこから颯也の表情は一変する。先程までの優しい顔から、少し怒りを灯した顔付きに……。
「あなたは最近、自分の事を友だと思っている人を、GHQに売りましたね?」
この発言を聞き、谷尋は先程までの恐怖を通り越して体が凍りつく感覚がした。惚けようとは思ったが……だがこの人には隠し事はできないと先程の会話で痛いほど味わった。
「……ど、どうしてそれを」
「さっきも言ったように、あなたの闇が見えたと。そこに、友人を売ってしまったことに対する後悔が見えた。表面上で隠そうとしても、心は誤魔化せない」
「……」
「その後悔は、あなたの心を締め付ける。それは、私……いや、俺にとっては自業自得に見えるな」
「……えぇ。弟を助けるためとはいえ、俺は非道な事をした。もう後には戻れない事も……知っています」
「あぁ、戻る事なんてできねぇな。それに、場合によっては、その子とは一生離れ離れかもしれねぇな。信じあったと思った奴から裏切られるのは……裏切られた本人にとってはたまったもんじゃねぇんだよ。それを分かって、お前はそうしてしまった」
「……俺は」
「本来ならな、そんな事をする奴を助けようなんて思わねぇよ。他人を平気で裏切る奴はな。その性根を叩き直してまた来るんだな」
「……そう……ですね。俺は……取り返しのつかない事をした。あいつにどう謝って良いか分かりません。でもそれが、俺にとっての罪……だから、今度はその罪を償って、またで「と、いつもは言うんだがな」えっ?」
「お前はこんな危険なところにまでわざわざ危険を顧みず来た。弟の命を救うためにな。友を売ってでも、助けたい命……心の片隅で殺したいと思っていても、それでも弟を救いたいという一心でここに来た。なら、それに応えない俺は悪者になっちまう。そこまで俺は落ちぶれちゃぁいない。だから、お前の勇気に免じて、弟さん……治してやるよ。だか、ケジメはつける事だ。分かったな?」
「は……はい! ありがとう……ございます……」
谷尋は、泣きながら感謝した。最初は目の前に立つこの人の事を、怖いと思っていたのに。だが今ならわかる。皆がこの人の事を神の使者だというのが。
今回はいささか無理がありすぎるかなーと……。
でも次の回に進めるための話でもあるので、書き切りました。
次は戦闘シーンが入るかなといったところです。
それではまた……。