ハイスクールD×D 理不尽壊しのリインカーネイション   作:橆諳髃

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13話 〜罪の王の世界〜 悪者になろうとも俺は助ける‼︎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side 亞里沙

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いつもと同じ日常……これが私の生きている現実だった。供奉院という大きな組織の娘として生まれ、そのために成績は優秀ではならないと周囲から勝手に思われて教育されてきました。私は、褒められたいと……皆に認められたいと思って、幼少からどんなに辛くとも勉学を重ねて来た。

 

小学校でもトップの成績を収め、中学でも同じく、それに付け加えて生徒会長も務めた。そして今も、生徒会長として、生徒の鏡となるべき存在として必死に頑張ってきた。その生き方を、私は幼少から変わらずに過ごしてきた。

 

でも……誰も私を褒めてくれない。褒めたとしても、それは私自身を見ているのではなく、家である供奉院を見ているに過ぎない。私の事を慕ってくれる学友達も……中には私個人を見てくれている人もいるのだろう。でもほとんどが供奉院を見ている気がしてならないわ。

 

それに私は、供奉院という家に生まれただけで他の人から完璧に見られなければならない……。私は幼少からそう教わった。だから、プライベートな時以外は……いえ、プライベート時でも気が抜ける時は少ないわね。

 

そんな日々を過ごしている時だったわ。彼が現れたのは……。

 

『皆さんおはようございます。今日この天王洲第一高校に赴任しました。愛護颯也と言います』

 

愛護颯也という新任の先生が、この学校に赴任してきたの。保健室の先生ということで、前までこの学校にいた先生は違う学校に行ったわ。理由は伺ってはいないのだけど、多分赴任先の先生が、何らかの都合でその学校を離れたのでしょう。これは私の予想にしか過ぎないのだけど……。

 

因みに前までこの学校にいらした保健室の先生は、ごく普通の人だったわ。でも、私の事は供奉院の人間と見ている節はあったわね。その先生としては自然な対応なのかもしれないけれども、でも時折そんな節があった。これが私の前の保健室の先生に対する評価ですわ。本来ならば、他人を評価するのは嘆かわしいことではあるのだけれど……。

 

(でもいつからでしょうね……。他人を見る度に、その人の事を勝手に評価をしてしまう)

 

私が、供奉院家主催のパーティーに同行した時ぐらいですわ。他の企業のご子息であったり、若い社長であったり……そんな高い地位にいる方達が、私の元に集まってきました。確かに私も、最初は興味を持ってお話などをしていましたわ。でもそれもいつしか変わってしまった。私の元に集まってくる方達が、私ではなく、私の家である供奉院しか見ていないという事に。それからと言うもの、私は他の方達が集まってきても、会話が全く楽しめなくなってしまいました。

 

それは供奉院家のパーティーなどの場面だけではありません。学校でも、先生方大人の振る舞いは、私に対するものではなく供奉院家に向けられるものでした。私に失礼があったら供奉院家が黙ってはいない……そんな強迫観念を勝手に持っている方達が多い様に見えましたわ。そして学友も……私を見ている様で、実際は完璧な姿の私しか見ていない気がしましたわ。私は……学友には素の私も見て欲しい……いつもそう思っていました。でも結果はそう簡単にいきませんでした。

 

そんな日常が、私のいつもになってしまいました。いつの時も完璧に見せようと、毎日偽りの仮面を被って過ごしていました。

 

その日常を過ごしている時に、愛護颯也先生が現れましたの。最初の挨拶の際には、ごく普通の事を仰っていましたわ。その時私は、また勝手に評価を下していましたわ。この先生も、どこにでもいる普通の先生であると……。

 

でもその評価は、数日後に覆されましたの。私も噂にしか挟んだことは無いのですが、愛護先生は生徒達に真摯に対応してくれる先生であると、そんな噂が早くも流れ始めましたの。それは生徒だけではありませんでした。度々先生方も、愛護先生の元を訪れる様でした。先生方の主な相談事はストレス関係と聞いていますわ。何でも葬儀社というテロ組織が表に出始めてからは、先生方も巡回などに回っており、その疲れが出てしまった様なのです。その事を愛護先生の所に相談しに行った先生方は、たちまち蓄積していた疲れが抜けていて、授業の時も生き生きしていると……そう伺っておりますわ。

 

(愛護颯也先生……一体どういった方なのでしょうか?)

 

私はその時初めて、愛護先生に興味を持ちましたの。そして、愛護先生がこの学校に赴任してきた数日後……。

 

「愛護先生、少し良いかしら?」

 

生徒会の業務が終わった放課後に、愛護先生がいる保健室を訪ねましたの。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

保健室の開いている扉に、この学校の生徒会長である供奉院亞里沙さんがいた。彼女の立ち姿は、足から頭までまっすぐ伸びていて、綺麗だった。でも何でだろうなぁ〜。

 

(確かに完璧というのは、誇らしいことではある。だが、それをいつもするのは流石に疲れるだろう。まだ大人になりきれていない子供が、無理矢理大人の振る舞いをするみたいに……)

 

俺が最初に浮かべた感想がそれだった。この子は無理をし過ぎていると……他人から完璧な人間だと思われるためにそうしているのだと。それも本人は分かっているのだろう。そして、自分の仲の良い友人達には、素の自分を見せたいのだろう。そう思ってはいても、周囲はそれを認知しようとしない。それが周囲としては、当然だと思っているから。

 

だから今見ている彼女の顔は、外面的には綺麗に見えても、内面ではとても疲れているように見えるんだろう。俺はそう思う。だから俺にははっきりと見えたんだ。彼女の心が、無意識に助けを求めている事に……。

 

(無意識だろうが、そんな物は関係ねぇ。俺は、本当に助けを求めている人は見捨てはしない!)

 

だから俺は、まずはいつも生徒達や、先生方に接している口調で話す。なんせここで話す口調は、俺の中では既に統一しているからな。

 

「おや、供奉院さん。こんにちは。どこか体調が悪いのですかね?」

 

そう話しかける。これがいつもの話し方だ。生徒だろうが先生だろうが、それは変わらない。

 

「いえ、どこも悪いところはありませんわ。愛護先生。私が今回訪れたのは、個人的にあなたに興味があって参りましたの」

 

「私に興味……ですか? と言っても、私はただ普通に保健室で業務を全うしているに過ぎませんが?」

 

「確かにそうでしょう。私は生徒会での責務で、あまりこの辺りに立ち入る事はありませんが、それでも噂としてあなたの仕事ぶりは素晴らしいものだと聞いていますよ」

 

「そう……ですかね? しかしながら私は、自分の業務を全うしているに過ぎませんよ。良い評判であろうと悪い評判であろうと、ここで私がする事に変わりなんてありませんからね」

 

「……とてもまっすぐな答えなんですのね」

 

「まっすぐですか……まぁ確かに、こんな所で嘘なんて言う必要なんてありませんしね。それも、なおさら生徒の前で正直に物事を言えないなんて……そんなの息が詰まってばかりで嫌になりませんか? しかしながらこれは、生徒間であろうと先生間であろうと、はたまた生徒と先生の間だとしても、同じ事だと思いますよ? 例を挙げるとするなら、気を張らないで良い時も、周りからの期待で本来の自分の気持ちを抑えて、周りの期待通りの自分を演じる……というところでしょうか」

 

俺はそう長々と語って、1回そこではなしをきる。長々と話していると、息が続かない事がある。だからそこで呼吸を挟むのだが、俺はそれだけでなく相手の反応を待つ事も含めて、ここで話をきった。すると……。

 

「……」

 

彼女は無表情であったが、顔を強張らせていた。さっきまでの少し微笑んでる表情から一変していて、その顔は、何か思い詰めている表情だった。

 

「供奉院さん、私が言うのもなんですが……その顔は、何か悩みを持っていらっしゃいますね?」

 

「えっ?」

 

「あなたも既にご存知かもしれませんが、保健室には怪我や病気になった人だけでなく、私に対して相談をしにくる人もいるのですよ。ですから、人の顔……表情ですね。それを見るだけで、何か悩みを持っているんだろうなというのが分かるんですよ」

 

「で、でも……先生の業務がまだ残っているのではないかしら?」

 

「いえ、今日の業務は既に終わらせましたよ」

 

「そ、そうだとしましても、本来の業務とは……」

 

「えぇ。確かに保健室の先生が、カウンセラー紛いの事をする事は、本来の業務には入ってはいませんね。ですが私は、目の前で困っている人を放ってはおけないんですよ。だからあなたも来たのでしょう? 供奉院さん?」

 

「わ……私は悩みなど……」

 

「そうして狼狽えている時点で、説得力なんてものは発揮しません。これ以上……自分に嘘をつく必要なんて無いんですよ?」

 

「……だったら……」

 

そこで彼女の口調が、今までとは違って崩れるように見えた。顔も俯かせ、髪で彼女の表情が見えない。体も小刻みに震えていた。今まで溜め込んできた物が、ここで彼女の封じてきた栓を押し上げようとしている。自分の感情を他者に押し付けようとする。

 

だがこれは彼女が悪いんじゃない。俺がわざとそうさせた。今まで世間話のように話していた節々に、彼女がわざと反応するワードを混ぜて話していた。それを蓄積させて、最後に一言を添えるだけだ。そしたら後は、彼女が感情を俺に向かって押し付ければいい。

 

端から見ると、俺が悪者のように見えるだろう。だが、俺はそれで構わない。何故なら……。

 

(自分を犠牲にしようとも、それで助けを求める者が少しでも負担が減ったのなら、俺は構やしない! 助けれるのなら、俺は自己犠牲を取る‼︎)

 

そして供奉院は、颯也に言われて数秒経程下を向いて沈黙していた。その後……。

 

「だったらあなたはっ! あなたが同じ立場ならどう振る舞うと言うのよ‼︎ 私は供奉院に生まれて……幼少から完璧であるように教育された。私は……私はただ、皆に褒めてもらいたかっただけ……家ではなく、ただ純粋に……供奉院亞里沙である私の事を褒めてもらいたかっただけなのに……」

 

供奉院は泣いた。床に膝がつき、汚れてしまってもそんな物は関係が無いという風に、彼女は顔を手で覆って泣いた。彼女の今の顔は、涙で濡れ、自分では人前に見せる事が出来ないと……そう思っていた。しかし……。

 

「本音……言ってくれたね」

 

「……えっ?」

 

座り込んで泣いてしまう彼女を、上から優しく抱きしめる人物がいた。その人物は、供奉院を優しく抱擁しながら、泣く彼女の背中をさすった。

 

「ずっとずっと……1人で悩んで辛かったでしょう。中々友人にも家族にも言えなくて……そんな状態で1人でよく頑張った。でももう、1人で抱え込まなくったって良い」

 

「そ……それは」

 

「生徒が泣くほど困っているのに、その助けを求めている手に、助けを差し伸ばさないでどうするって話です。困ってるんだったら頼って下さい。例え困ってないって装っていたとしても、私には分かりますから。だから今は……泣くだけ泣いて下さい。今は私が……胸を貸します」

 

「あ……あぁ……うっ……あぁぁぁぁっ‼︎」

 

颯也のその一言で、供奉院は泣いた。それも……今まで生きてきてこれほど泣いた事が無いと思えるくらいに、泣きじゃくった。だが本人は、その際に虚しいなどの感情はなく、逆に心が軽くなっていった。その理由は……今もこうして泣いている自分を、優しく抱きしめてくれる人がいるからである。自分を供奉院でなく、供奉院亞里沙として見てくれる人がいるからである。そして供奉院はこう思った。

 

(今まで生きてきた中で……今この時が1番幸せで安心ができる)

 

そう思ったのである。




読んで下さりありがとうございます!

今回書いていて思ったのですが、なんかオリ主が悪人のように思ってしまいました。このような描写を書いた私ですらそう思ってしまいましたね。えぇ。

ですが誤解はせぬようにお願いします。ただオリ主は困っている人を助けたいだけです。だからこのような手段を取っているのです。(誘導尋問みたいな感じで……と言うより誘導尋問に見えるか不安……)

てな訳で、次回はバトル物を書きたいと思っています。

ではまた‼︎
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