ハイスクールD×D 理不尽壊しのリインカーネイション   作:橆諳髃

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今回は……読んでいて訳が分からないと思います。自分でも読んでいて混乱してしまいます。(感覚として……)

まぁそこの評価は読者に任せるとして……。

それではご覧下さい。


14話 〜罪の王の世界〜 生徒を守るのは教師の義務だ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「少しは落ち着いたかな? 供奉院さん」

 

「えぇ……愛護先生には、迷惑をかけてしまいましたわ。本当に申し訳「ストップ」えっ?」

 

「私は迷惑だなんて思っていませんよ。寧ろ謝るのはこちらの方です。先程の無礼の数々……お許し下さい」

 

「そんな! 私こそ、目上の方に乱暴な発言をしてしまいました。こちらこそ本当に申し訳ありませんでした」

 

そうして2人は、先程のことを互いに謝る。

 

「このままだと、収まりそうにありませんね。今回の事は、お互い水に流す事にしませんか?」

 

(俺が撒いてしまった種ではあるんだけどな……)

 

「ふふ、そうですわね。今回はどちらも悪かったということでお願いしますわ」

 

先程まで泣いていた顔が嘘のように、今では年相応でとても可愛らしい笑顔を浮かべていた。

 

(あぁ……俺はそういう笑顔を見たかったよ)

 

「愛護先生、こちらを見つめてどうしたんですの?」

 

「いや、供奉院さんの今浮かべている笑顔が、年相応の笑顔で可愛いなって思ってね」

 

「っ/// か、可愛い⁉︎ 私が⁉︎」

 

「えぇ。供奉院さんは、私からして見ると可愛いですよ」

 

これは本音だ。と言うより、こんな所で嘘をつく必要がない。

 

颯也はそう思っている。第一に、颯也からしてみればここで嘘をつくなど全くもって考えていない。と言うより何故生徒との会話でそんな嘘をつかなければならないのか? 変な話題や、一大事となるような話題でもないのに、そんな時に嘘をつく必要があるか……それは否である。

 

しかしながら……例外が1つだけある。それは、目の前にいる意中相手をなんとか自分の彼氏、彼女にしたいという欲求がある場合である。先程の、泣いている女性を優しく抱きしめるという行為も、第3者から見れば、そうとして捉える者もいるだろう。

 

供奉院亞里沙も、それに対する感覚は敏感である。自分の家が主催するパーティーや、その他の場面でも、名声が欲しいがために自分にすり寄ってくる異性を嫌という程見てきた。今回の場合が初めてのケースでも、亞里沙は颯也の事をそういう風にとr(これまで私の容姿が綺麗だとかそんな事は散々言われてはいたけれども……可愛いって言われた事は無いですわね。な、なんだか照れますわ///)……捉えてはいないようである。

 

「そういえば、私に対して興味があったからいらしたのですよね? 私としてはまだ時間はありますが、供奉院さんはお時間大丈夫ですか?」

 

「えっ? え、えぇ! 今日の生徒会の業務も丁度終わっておりますし、この後の予定も入っておりませんの。ですが門限がありますので、今日の所は少しだけですけれどもお話ししたいですわ」

 

「分かりました。ではそちらでお話ししましょうか。飲み物は何が良いですか?」

 

「飲み物まで用意してくださるの?」

 

「それは勿論ですよ。客人に対して何もお出ししないのは……私としては失礼なので」

 

「そうなんですのね。では、お言葉に甘えて紅茶をお願いできますかしら?」

 

「えぇ、大丈夫ですよ。銘柄は何にしますか?」

 

「それは愛護先生にお任せしますわ」

 

「分かりました。先に中で待っていてください」

 

そして颯也と供奉院は、完全に防音が施された相談室の中でほぼ世間話と言っても過言ではな事を話した。それぞれの趣味や好きな物等、普通の事を話していた。それでも2人は楽しそうに会話をしていた。

 

 

 

 

 

それから数日後……。

 

 

 

 

 

 

 

「近々私の家が主催する船上パーティーがありますの。でも私……あまり行きたくありませんの」

 

「そうなんですね……。大体の心情は察していますよ。私も、周りがそういう風に見るのは嫌ですからね」

 

昼休憩の時間帯……颯也と供奉院は、相談室で2人きりで話していた。なんでもあの日以来、昼休憩には供奉院が颯也のところに行き、ご飯を一緒に食べたり、放課後になると世間話をしに来るなどの回数が多くなっていった。いや、あれからほぼ毎日と言ったところである。

 

しかし颯也も暇では無い。怪我を負ってしまった生徒や先生、そして颯也の元に相談しに来る人達がいる。それを毎日1人で捌いているのだ。暇であるはずが無い。そして常人であれば疲れも出てくるであろう。それは毎日がハードと言っても過言では無い。

 

だが、颯也はそれをあろう事か普通にこなす。怪我をした人には適切な対処を施し、相談事にも真摯に捉える。それを疲れた顔をせずにこなす。そこには愚痴も無い。

 

その事については、供奉院も勿論知っている。彼が毎日、保健室に来る人達に真摯に対応をしている事を……。だから疑問に思ったのだ。毎日自分と話していて疲れないのかと……。だからこそ、いつの間にかそう思っていた事を颯也に聞いていた。

 

「愛護先生……その、最近疲れていたりなどはしていませんか?」

 

「私ですか? そうですね……確かに毎日生徒や先生は来ますし、場合によっては重症の方もいらっしゃいますから……」

 

重症の方とは、怪我でも相談でもどちらにも当てはまる。体育の最中に捻挫をしてしまったり、風邪をひいてこちらに来る生徒や先生……はたまた、失恋や家族とのトラブルで相談に来る人達など……ケースは様々だ。だが颯也は、それを疲れた表情を一切せずに対応しているのだ。常人であるなら既に発狂してもおかしくは無い。

 

または、颯也は外にストレスを出さないだけで中で物凄く溜め込んでいるのか……それは本人しか知りえない。

 

「なら……愛護先生もストレスを溜め込んでいるのではなくて? ストレスも疲れる要因の1つだと伺っておりますわ」

 

「えぇ、確かにストレスも疲れを引き起こす要因の1つですし、場合によっては命も落としかねませんね。ですが、私は疲れてはいませんよ。そもそも、保健室の先生が体調を崩しては元も子もありませんからね」

 

「ですが、私から見て愛護先生は疲れているように見えますわ。本人が自覚してない場合もあります。ですから、たまには昼寝をしても良いと思いますの」

 

その頃には2人とも昼を食べ終えていた。片付けも既に済んでいる。だからであろうか? 供奉院がそう言って椅子から立ち、相談室に備え付けられてあるベットに腰をかけた。

 

「愛護先生、こちらにいらして下さい」

 

供奉院は自分の膝を叩いてそう言った。対する颯也の反応は……。

 

(えっ? そ、それは……いったい何をしようとしているんだ? だ、大体は分かるけど……それでも先生と生徒の関係でそれは……)

 

 

内面はとてつもなく焦っていた。何しろ彼には、異性との関係においてこんな事になった事が1度もない。そのため、その内面は顔にも出ていた。

 

それを見た供奉院は、クスリと笑う。

 

「ふふ、愛護先生がそんな顔をされるの、初めて見ましたわ。とても可愛げがあるのですね」

 

颯也はそれを言われて、さらに焦る。それに加えて顔も少し赤くなっていた。そもそも異性にそんな事を言われた記憶がない。ましてや可愛いなどと全く言われた事がない。そのため颯也は、今までにないほど焦り、そして恥ずかしかった。

 

いつもであるならば、自分の方が女性に対してキザな台詞を自然に言っているというのに、今回のような場合は不慣れなのだろう。だからこそ内面外面ともに焦っているのである。

 

「まぁ、顔まで赤らめてますわね。ふふ、本当に愛護先生がそんな顔をされるなんて珍しいですわ」

 

「……く、供奉院さんがそんな事を言うからですよ。私にだって焦ることくらいありますし、照れることもありますよ……」

 

「そうなんですの? 私はてっきり、愛護先生が何事にも動じない方だと思っていましたわ」

 

「そんな人は……いないですよ。誰にだって動じる事はありますし、私もそのうちの1人ですから」

 

颯也は、口調はいつもの調子ではあるものの、やはり焦っているに変わりはなかった。

 

「そうなんですのね。ふふ、また愛護先生に対して知りましたわ。 まぁそんなことより……早くこちらにいらして下さいな」

 

「……どうやらそうしないと、堂々巡りしそうですね」

 

そして颯也は諦めて、供奉院の隣に腰をかける。

 

「では愛護先生、私の膝に頭を乗せて下さいな」

 

「……」

 

颯也の心中では、もうどうにでもなれとやけになっていた。そして、とうとう供奉院の膝に頭を乗せて寝そべった。

 

「ふふ、それで良いんですわ。さぁ、ゆっくりお休みになって下さいな」

 

颯也は、もうここまで来たらこうするしかないと思い、素直に目を閉じた。そうするとどうだろうか。案外この態勢が気持ち良く感じられ、目をつぶって数分後には眠っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side 亞里沙

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふふ、やっぱり疲れているではありませんか」

 

亞里沙は、颯也に対して膝枕をしていた。そうして数分後に颯也は眠り、今は気持ち良さそうにしていた。

 

(とても気持ち良さそうな顔をして眠っていますわね。なんだかこの顔を見ていると……なんだが保護欲が湧いてしまいますわ。な……撫でてみてもよろしいのでしょうか?)

 

亞里沙は、いつの間にか母性的な感覚に陥っていた。そして颯也の頭の方に、自分の右手を近づける。その時に、何故か分からないが緊張しているのだろう。手が震えていた。

 

(あぁ……手が震えてますわ。き、緊張しているのかしら?)

 

そんな事を思いながらも、亞里沙は颯也の頭の方に手を近づけた。そして……。

 

ナデナデ……

 

颯也の頭をやっとの事で優しく撫でた。その際、颯也は無意識のうちにそれが気持ちよかったのだろう。閉じている目をさらに細めて、気持ち良さそうにしていた。

 

(か……可愛いですわ/// いつもならしないような顔を……これがギャップというものですの⁉︎)

 

そんな事を思いながらも、まだまだその顔を見たい一心で颯也の頭を撫で続けた。

 

 

 

 

 

 

side out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昼休憩が終わるチャイムが学校に鳴り響く。それを耳にした颯也は、さっきまで熟睡していたのが嘘みたいに目をさました。

 

「おはようございますわ。愛護先生」

 

颯也の視線の先には、にっこりと笑っている供奉院がいた。

 

「あぁ、おはよう供奉院さん。私は何分ぐらい眠っていたのかな?」

 

「大体30分ほどですわ。その間とても気持ち良さそうに眠っていましたわよ。やはり、疲れていたのではなくて?」

 

「……多分、無意識のうちに溜め込んでいたのでしょうね。まぁ、私にはやらなければいけない事があるので、当然と言えば当然ですかね」

 

「それでも、適度なお休みは必要だと思いますわ。私はもうそろそろ授業が始まってしまうので、ここで失礼しますけど、また来ますわ」

 

「えぇ、いつでも来て下さいね」

 

供奉院が保健室から去り、それを見届けた颯也も自分の業務に戻っていった。

 

その時間も過ぎ、早くも放課後になった。

 

「先生! 今日も相談に乗ってくれてありがとう‼︎」

 

「いえいえ。またいつでもいらしてくださいね」

 

「はぁーい! じゃあ先生、バイバイ‼︎」

 

「えぇ、気を付けて帰って下さいね」

 

颯也は、相談に来ていた生徒を優しく見送っていた。それが終わり、自分がいつも座っているデスクに腰掛ける。

 

(あれからこんな日常を送っているが……ふむ、慣れというのは早いな)

 

最初はアポカリプスウイルスの感染者が多くいる地区におり、そこで感染者の治療を行っていた。そうしていて、いつの間にか神の使者と呼ばれていた。別に自分は、名声を得るためにそうしてきた訳ではない。目の前で困っている人に、手を差し伸べていただけなのである。

 

そして今は学校の先生をしている。ここで疑問に思う人もいるだろうが、感染者達が多くいた所を離れたら、その感染者はどうなってしまうのか? 神の使者がそこから離れてしまったら、誰に救いを求めれば良いのか? そんな事を容易に思い浮かぶ事ができるだろう。

 

だが、颯也はその事について対処は既にしていたのである。颯也がその地区から離れた時、大掛かりな魔法をその地区全体にかけた。それは治癒魔法であり、颯也が谷尋の弟である潤を助けるためにGHQの施設に赴いた際、そこに入院していた患者も全員助けた時があった。その時に使った魔法を、颯也がいた地区にも使ったのである。それも、施設よりも規模が大きい物をだ。

 

だからこそ、その地区にはもう感染者が1人もいないのである。さらに言えば、その地区で暮らしていた感染者達やそれ以外の人たちは、供奉院グループが保護したのである。荒んでいた人達も、颯也のかけた魔法によって公正した。荒んだ原因はそもそもアポカリプスウイルスの影響もあってである。その元凶が周りから消え去った事もあり、荒んだ者は焦る事も、暴力等を振るって憂さ晴らしする事も無くなったのである。

 

そうして救われた人達は、これも神の使者がやってくれた事だと分かっていた。助けてもらったお礼を言おうと、彼らは神の使者を探すが、どこを探しても見当たらなかった。だが神の使者は確かにいたのだ。幻でもなんでもなく、困っている者に優しく手を差し伸べてくれていた事は、救われた人の記憶に残っている。

 

だからこそ彼らは、せめてもの恩返しにと、神の使者を祀った。自分達を保護してくれた供奉院グループにもその事の了承ももらい、神の使者を祀る部屋も作られた。そして救われた人達は、毎日欠かす事なく祈りを捧げていた。

 

しかしながら救われた人達は、神の使者がこの世界にまだ健在である事を知らない。

 

一方で、神の使者と呼ばれる者は……。

 

「ふふ、また愛護先生の寝顔が見れますわ。こんなに気持ち良さそうに寝て……もっと貴方の色んな顔を見てみたいですわ」

 

供奉院に膝枕をされていた。本日2度目の膝枕だったのだが、流石に颯也は遠慮した。しかし、それでも折れない供奉院に自分が早々に諦めて、こんな状況になっている。

 

「お昼の時より緊張はしませんが……何だか顔が熱いですわ……」

 

供奉院がそう言う中、膝枕をされている颯也は昼と同じく気持ち良さそうに寝ていた。

 

「できる事でしたら……愛護先生に毎日こうして差し上げたいですわ。ふふ……いつのまにか私、先生に惚れているのかもしれませんわね」

 

供奉院は、滅多に見せる事のない本物の笑顔を浮かべながら颯也の頭を撫でる。その撫で方は、2度目とあってまだぎこちなくはあるが、昼よりも上達しているように見える。

 

そうしていると、下校時間を告げるチャイムが鳴った。勿論そのチャイムで、今まで気持ち良さそうに寝ていた颯也も目覚める。

 

「おはようございます、愛護先生。よく眠れたかしら?」

 

「おはよう、供奉院さん。なんだか申し訳ないですね。膝枕という態勢は、辛くはありませんか?」

 

「いえ、今日初めてしましたけど、こういう体験があまりないものですからとても新鮮でしたの。それに、辛くもありませんわ」

 

「そうですか。それより先程は下校を促すチャイムでしたね。今日はお迎えの人はいらっしゃらないのですか?」

 

「えぇ、今日はどの方も忙しい様なのです。なんでも最近この近辺で、学生を中心に襲われている様なんですの。それで周回の方に人手を多く回していますの。いつも迎えに来てる方も、そちらの方に回っていて……」

 

「確かに、その話はよく聞きますね。学校の教師人も見回りをしている様ですが、被害は抑えられない様ですね。これはどうやら……犯行に及んでいる方は複数人と見て間違いないでしょう」

 

「えぇ、今朝私の家でもその様な見解になったと聞いておりますわ」

 

供奉院は、少し暗い表情でそう言った。そこで颯也は何かを勘づく。確かに帰り道に1人の所を、複数人に襲われたら誰だって怖い。それで暗い顔をしているのだろうが、その暗い表情には他の意味もあるのだろうと、颯也は思った。

 

「供奉院さん、他に何か心配事があるのではないですか?」

 

「えっ……い、いえ! そんな事は「そんな顔をして、説得も何もありませんよ」……はぁ……分かりましたわ。お話ししますわ」

 

そして供奉院は語った。今日の昼休憩が終わった頃、家の方から連絡があったのだ。今日の下校時刻に合わせて、イマ巷を騒がせている犯行者が供奉院グループ総帥の孫娘を誘拐すると。その手段は明らかではないが、狙われるのは確実に供奉院亞里沙だと言うのは分かっている。

 

だが、それが分かっているのにどうして護衛をつけないのか? それを颯也はまず疑問に思った。大切な孫娘なら、何人も護衛をつけるはずだし、グループでも当然ながらその意見は出ただろう。だが総帥はそんな指示はしていない。あくまで周回させている……。

 

(という事は……供奉院さんを囮にして犯人を捕まえるのか? いや、確かにそれも指示しているだろうが……まさか、供奉院さんの護衛を俺にやれと遠回しに言っているのか?)

 

「はぁ〜……」

 

「ど、どうしたんですの? 愛護先生が溜息を吐くなんて……」

 

「いえ、私の想像した事が仮にも本当に起きるのなら、そう考えたらつい出てしまいました。まぁそれはともかくとして、今この時間帯に女性が1人で出歩くのは危険ですから、私が近くまで送りましょう」

 

「えぇっ⁉︎ で、ですが先生にも業務が……」

 

「今日の業務も既に終わってますから、気にしないで下さい。私も帰る準備するので、少々待っていて下さい」

 

「……あ、ありがとうございますわ……」

 

供奉院は、少し照れた様子で言った。

 

それから颯也は、帰る準備を済ませて供奉院と一緒に学校からでた。それから数分、颯也は周囲を警戒していた。顔はいつものように優しそうにしていたが、内心では気をはりつめるようにしていた。そうしていたためか、2人の間は無言であった。

 

そんな時、供奉院が口を開く。

 

「あの……愛護先生」

 

「ん? どうかしましたか?」

 

「その、大したことではありませんの。ただ……」

 

「ただ……なんでしょう?」

 

颯也はいつものような微笑みを浮かべて、供奉院に聞き返す。供奉院はその顔を見て、頬を一瞬にして赤らめていた。そして少しもじもじしながら言う。

 

「一緒に……一緒に手を繋いで下さいませんか?」

 

それを聞いて颯也は……。

 

(手を繋ぐ……? 俺が……女の子と?)

 

また焦っていた。手を繋ぐよりもはるかに上位にある膝枕をされていたというのに、それでもこの焦りようである。

 

「どうかなさいましたの? 愛護先生」

 

「えっ? い、いや! なんでもありませんよ。それで……なんでしたかね?」

 

「私も……本当は恥ずかしいのですけれども……言いますわ。私と、手をつないd『はっはっはっ! 見つけたぞ‼︎ 供奉院グループの孫娘‼︎』な、何ですの⁉︎」

 

颯也と供奉院の目の前に、いきなり複数のエンドレイヴが現れる。型は旧型やGHQの量産型等で、数としては複数体いた。

 

(エンドレイヴか……供奉院グループは予想してなかったろうな……。まっ、そこまで考えて俺はここにいるんだが……)

 

供奉院さんが狙われる理由……考えれるとしたら、過去に供奉院グループと何かあって恨みがあるとかか? まぁ、供奉院グループについて詳しく調べてないからな。今目の前にいる奴らが、どういった理由でこんな事をしているのか分からんしな……それに、供奉院グループとは無関係の子達も襲っている。

 

(いや、関係ないと言っても、共通するところはあるんじゃないか?)

 

例えば、襲われた子が有名企業の子息だったり……そんなところか? 今の所思い浮かべる共通点は……という事は……。

 

(ただ単に楽して生きたいだけか? こいつらは?)

 

そう思えると阿呆らしく思えてくるな。それに、学生にエンドレイヴ使うとかどんだけ臆病なんだよ? そもそも集団で来る時点で臆病だ。

 

『供奉院グループの孫娘よ! 命が欲しければ、我らの人質となれ‼︎ そうすれば危害は加えない』

 

なるほど……こうしてお金を要求する訳か。それで被害に遭った人たちは、周りに恥とか思われたくないから被害報告は出さない。だから情報も一定の人たちにしか届かない。

 

『おい、孫娘と一緒にいる男はどうする?』

 

『ふん、金を持っているのならそいつのも取るぞ。今まで襲ってきた連中よりも持ってなさそうだがな』

 

ふむ、どうやら俺のお金も取るらしい。

 

(まぁ、俺から取れたらの話だが……)

 

俺がそう思っていた時だ。

 

「この人は関係ありませんわ! お金が目当てであるなら、私だけにしなさい‼︎」

 

『ほぉ、これは勇ましい事だな。はっはっはっ! 良かったなぁ‼︎ 一緒にいる男の方はもう去っても良いぜ‼︎』

 

エンドレイヴ。操る奴がそう言ってくるが……。

 

「……あなた達には残念だが、私はここから去るつもりはない」

 

「せ、先生! 何を言ってますの⁉︎ 私なら大丈夫ですわ! 供奉院は、一般の方を守る義務があります。ですから「供奉院さんこそ何を言っている?」えっ?」

 

「確かに供奉院グループは、一般の人達を守るという義務もあるでしょう。しかし、私は教師だ。私には、大切な教え子を守る義務がある‼︎」

 

「先生……」

 

『はっ! 何が教師だ‼︎ かっこつけやがって‼︎』

 

一体のエンドレイヴが、俺の近くにいるにも関わらず銃弾を撃ってきた。全く、頭に血がのぼるのが早いな。

 

エンドレイヴから放たれた銃弾は、何発かは地面に着弾して、砂埃を立てる。

 

『おい何やってる‼︎』

 

『人質に発砲するなんて何考えているんだ! これでは身代金が‼︎』

 

犯行グループはそんな言い合いをしていた。周りから見ても不毛な言い争いである。そんな中……。

 

「全く……あなた方はいつまで不毛な事をしている?」

 

『『『なっ⁉︎』』』

 

声のした方向に一斉に向いた。そこには、いわゆるお姫様抱っこをされている供奉院がいた。勿論お姫様抱っこをしているのは颯也だが、颯也は無傷であった。

 

『な、なぜ無傷でいる⁉︎ それに、どうやってそこまで移動した⁉︎』

 

「なぜ無傷か……ですか。そんなのは簡単ですよ。ただ単に、あなた達が下手なだけです。GHQの操縦者と比べれば、どうって事ありませんね。それと、どうやって移動したかについてですが、普通にあなた方のそばを通ってここにいるんですが? どうかしましたか?」

 

颯也は何も不思議ではないという口調でそう答えた。答えた後、供奉院をゆっくりと地面に立たせて、後ろに下がるように言った。颯也の腕から離れた供奉院は、頬を真っ赤に染めていたが、離れた事が少し残念だったのだろう。顔が少しシュンとしていた。

 

それを横目で確認した颯也は、申し訳ないなと思いながらエンドレイヴ達に向かっていく。

 

「それと、私に銃を向けるのは構いませんが、あなた方は無抵抗であり、そして可愛らしく、これからの未来を担っていく女の子にも無粋な物を向けるばかりか発砲もしましたよね……」

 

ここまでの口調は、学校にいる時と同じ様に優しい口調のものだった。だが次の瞬間には、先程の口調が見る影もなく無くなっていた。

 

「さて……お前らが何もしなかったなら、俺もこんな事を言わずに済んだんだがな……だが、もう遅い。お前らは罪のない女の子も撃とうとしたんだ。いや……その前に誘拐か。それも、エンドレイヴという無粋な手段を使い、複数人で襲おうとしたんだ。だから……」

 

その声は……エンドレイヴを操るもの達に恐怖を植え付ける。それはさも、死を言い渡されるのではないかと思う程の……颯也の今の雰囲気と口調からは、そうとしか感じ取れなかった。

 

そう感じ取ってしまえば、もはや冷静な判断は取れなくなってしまった。錯乱しながら辺りに銃やミサイルを撃ちまくる。そこは、学生達が普通に登下校をする道であり、民家も建っている。このままではさらに無関係な人達も巻き込みかねない。そして颯也達のいる所にも銃弾は飛んでくる。

 

供奉院はこの時、死んでしまうのではないかと思った。さっきの事が、偶然奇跡的に起きたものだとしても、早々2度目の奇跡など起こるわけがない。供奉院は、死んでしまうという恐怖で屈み込み、目を思いっきり瞑った。実際に、颯也の事を守ろうとして前に出た時も怖かった。だが颯也は、自分よりも前に立って供奉院の事を守ろうとした。颯也は、生徒を守るのが自分の義務だと言っていたが、それでも嬉しかったのだ。自分の事を供奉院の孫娘としてではなく、一個人として守ろうとしてくれるのを……。

 

先程の事を嬉しく思いながらも、今は死の恐怖が自分を押し潰そうとしてくる。それが怖くて仕方がない。そう思っていた時だ。

 

「供奉院さん、貴女の事は私が守るから。だから、怖がらなくても大丈夫ですよ」

 

その声が聞こえたと同時に、金属が斬り裂かれる音が響いた。それから数秒して、供奉院はゆっくりと目を開ける。そこには、さっきまで撃ち込まれたであろう弾丸やミサイルの残骸が転がっていた。そして目の前には、自分の事を1人の人間として見てくれる優しい先生が、刃に曇りの一片もない日本刀を前に突き出しながら、供奉院を守る様に立っていた。

 

「お前らは……また無粋な物を向けてきたよな? さっきのは俺も少し悪かったが、だからと言って貴様らがやってしまった事は変わらない。それに、ここにいる時点でお前らは覚悟ができてるよな?」

 

『『『ひっ⁉︎』』』

 

先程まで錯乱していたエンドレイヴ達は、颯也の言葉によって目の前の現実引き戻される。

 

『どっ、どうか許してくれ‼︎』

 

『俺達はただ、普通に生きたかっただけなんだ!』

 

『それを金持ち達が俺達を蔑ろにし「黙れ……」ひっ⁉︎』

 

「貴様らには……同情を少しだけしてやるよ。だが……だからと言って子供を狙うのは筋違いだろうが。子供に罪は無い。貴様らが受けた屈辱を、無関係な子供に向けるな! その時点で、貴様らが真っ当に生きれる資格など今は無い‼︎ 大人しく……縛につけ‼︎」

 

そして颯也はその場から消え、次の瞬間にはエンドレイヴ達の背後で、日本刀を鞘に静かに収めていた。収めた瞬間、エンドレイヴ達は綺麗にバラされていた。腕、足、胴体、頭と綺麗にだ。

 

「はぁ……まさか学校の先生をしている途中で戦闘行為を行うなんて思ってなかったな……」

 

溜息をつきながら颯也は、とある所に電話した。

 

「もしもし、あなたに少し頼み事がある。後で座標を送るから、そこに来て欲しいんだ。あっ、勿論変装をしてだ。廃材業者を装って、大きめの車で何台か来てくれ。何故大きな車か? 先程エンドレイヴに襲われてね。それで処理に困っていたんだよ。だから君達に後の事を任せようかなと。まぁ急で悪いけどよろしくね」

 

そして颯也は電話を切り、供奉院の所に向かった。

 

「愛護先生……」

 

「……供奉院さんには、怖い思いをさせてしまったね。本当に……申し訳ない」

 

颯也は、今回供奉院に怖い思いをさせたとして、頭を下げて謝る。これで許されるわけが無いと分かってはいる颯也だが、それでも加害者の1人として謝っておきたかった。

 

「愛護先生、顔をお上げになって下さいな」

 

「しかし、私には……貴女に顔向けできる様な顔は……っ!」

 

供奉院が顔を上げる様に促された颯也だが、今回の事は、分かっていながらも供奉院を危険に目に合わせてしまった。だから自分には向けれる顔が無いと思って、頭は下げたままだった。しかしそれも、供奉院のある行動によって中断された。

 

なんと供奉院自信が、颯也の顔を両手で優しく包み、無理やり上げさせたのだ。それには、颯也も想定外で驚きを隠せない。

 

「愛護先生、貴方は私の事を守って下さいました。それも私を、供奉院の孫娘ではなく私個人として守って下さいましたわ。私は、それが嬉しくてたまりません。ですから先生、謝らないで下さいな」

 

「でも……私が怖くないのですか? エンドレイヴという……人を簡単に殺めてしまう兵器を「怖くありませんわ」……何故です?」

 

「そんなの……簡単なことですわ。愛護先生……貴方が、とてもお優しい方だからですわ。生徒も先生も分け隔てなく接し、困ってる方には優しく救いの手を差し伸べる。そして今回も、私を助けて下さいました。そんな貴方のことを……私は怖くなんてありませんわ。それに……」

 

供奉院は、微笑みを浮かべながら颯也に言う。

 

「私……貴方のことが好きですの。ですから、そんな顔をしてもう謝らないで下さいな」

 

颯也は、供奉院が自分の事を好きだと言った事に驚いていた。自分の事を……学校の先生としての面でしかほぼ見せていない自分の事を、目の前にいるこの女性は嘘などない微笑みを見せながら好きだと言う。

 

「……私は……普段の自分など見せていないのですよ? 学校で過ごしている私しか、見せていないのですよ? そんな私の事を、簡単に好きと言ってはいけません。私は……貴女が思う程優しい人物ではっ⁉︎」

 

颯也は途中で言葉を打ち切られる。自分の唇には、誰かの人差し指が置いてあった。これ以上は言わせないという風に……。

 

「なら私は、愛護先生の事をもっと知りたいですわ。学校の面での先生だけでなくて、普段の貴方も……普段の貴方の口調も、私は知りたいですわ」

 

颯也は、それ以上は言えなかった。目の前に、こんなにも強く優しい瞳で自分の事を見つめてくれる……こうされてはこれ以上言えなかった。

 

「愛護先生、私を家までエスコートしてくださるのでしょう? なら、続きをお願いしますわ」

 

「え、えぇ。分かりました」

 

そして颯也と供奉院は、何事もなかったかの様にその場を後にした。それも、手をつなぎながら……。




1万文字超えましたけど……書いていて分かりにくいなと思ってしまいます。

ラブコメ含み、バトルシーンも書いてしまうと結構な量になりますが、今回はバトルと言うよりラブコメの方が多かったですね。

さて……次はどういった構想で書こうか……いまはそう考えています。

それではまた……。
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