ハイスクールD×D 理不尽壊しのリインカーネイション   作:橆諳髃

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15話 〜罪の王の世界〜 生徒を危険な目に合わせるわけが無いだろう?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今日は……本当にありがとうございますわ。この恩は、いつか必ず返させて頂きます」

 

「いえ、私はただ当然の行為をしたまでですよ。ですから、恩とか考えなくても良いんです。貴女はただ、高校生らしい青春を送ってくれれば良いんです」

 

あの後、供奉院さんの家の前まで彼女を送り届けた。供奉院さんは、どうやら今回の事で何かお礼をしたがってはいた様だが、俺は断る。何せ、子供がそんな事を気にするもんじゃない。俺はそう思うんだ。たとえそれがどこかの令嬢とか子息だとしても、子供は子供で、今の時間を……送れる限りの青春を送るべきだと、持論ではあるが俺はそう思う。

 

だが……まさか俺が、こんな言葉を誰かに言うなんて思ってもみなかったよ。学生時代……いや、俺が前世で死んだ時はまだ学生だったな。……今思うととても懐かしい気分になる。実質俺がこの世界に来て数ヶ月は経っている。だからだろうか? こんなにも懐かしく思うのは……。

 

(いや、来る前にとある世界にも行ったし、その前は通常の世界でいうと数十年自分の能力を確認+修行してた訳だろう? なら俺の精神年齢とっくに20歳超えてるじゃねぇか……寧ろそれ通り越しておっさん……いやおじいちゃんだろ? はぁ……何だか考えるだけで疲れてくるから、これ以上は掘り下げない様にしよう……)

 

「あっ……そうですわ‼︎」

 

颯也がそう考えている時に、供奉院が何か思いついた様に声を上げる。

 

「愛護先生には、近々供奉院のパーティーがあると話しましたわよね?」

 

「え、えぇ。確かにその話は聞きましたが……」

 

「私、決めましたわ! 愛護先生、貴方を是非招待させてくださいな‼︎」

 

「えっ……えぇ⁉︎」

 

颯也は驚く。まさか自分がパーティーに招待されるとも思わなかったために、普段ならば出さない様な声を出してしまった。それも、供奉院グループからの令嬢からである。世の人からしてみれば、とても羨ましい事である。

 

「ふふ、愛護先生の驚いた顔を初めて見ましたわ。また先生の新しい表情を見れて、私嬉しいですわ!」

 

「く、供奉院さん……あまり私を茶化さないでくれるとありがたいんですが……」

 

「茶化したつもりなんてありませんわ。ただ正直に申しただけですもの。それはさておきとしまして……愛護先生、私の家が主催するパーティーに参加していただけませんか?」

 

供奉院は、颯也に可愛らしい微笑みを向けながらそう問う。颯也はというと、この申し出に応じて良いものか迷っていた。何せ前世でもそんな行事には参加した事がない。所謂一般庶民なのだ。戸惑うなという方が無理な話である。

 

(しかし、生徒からのお願いを無下に断るなど……今の俺には無理だな)

 

学校に赴任した最初の頃であるなら、丁重にお断りしただろう。だが今は、教師という職業に対して愛着が湧いているのだ。だからこそ、生徒のお願いには真摯に応えたいと思っている。そう思っている颯也の決断は……。

 

「ふぅ……分かりました。私で良ければ、参加しましょう」

 

「っ‼︎ ありがとうございますわ‼︎ では、また後ほど日程は連絡させていただきますわ。それでなんですけれども……愛護先生の連絡先を、教えてくださらないかしら?」

 

「連絡先ですか? えぇ、構いませんよ」

 

颯也は供奉院に自分の連絡先を教えた。供奉院はそれを受け取ると、颯也の連絡先が入った自分の端末を、大切な物を扱う様に抱きしめた。

 

「や、やりましたわ!」ボソッ

 

「ん? どうかしましたか?」

 

「えっ? い、いえ! 何でもありませんわ。では先生、今日はありがとうございましたわ。また明日、学校でお会いになる事を楽しみにしていますわ‼︎」

 

「えぇ。ではここで失礼しますね」

 

「はい。道中お気をつけください」

 

その言葉を背にして、颯也は供奉院から離れ帰路に着いた。

(さて、供奉院さんは送り届けたし、後は先程の処理だな)

 

それから颯也は、事後処理に移る。まずはエンドレイヴを操っていた者達がどこに潜んでいるかを突き止める。そこは既に突き止めている。颯也がエンドレイヴを止めた際、彼らの電気信号を読み取っていた。そのため、供奉院と別れた後すぐさまそちらに行き、今回の犯行グループを確保した。

 

その現場に行った時、エンドレイヴを操る者達は勿論の事、サポート役の者までいたために、結構な数を取り締まった。その時に颯也が言った台詞が……。

 

「貴様ら大人が大勢で大人気ない事を……貴様ら全員大人しく縛につけっ‼︎」

 

っと、とあるゲームでの台詞をパクったような発言をしていた。

 

そして、そこにいた犯行グループを全員縄できつく縛り付け、後はGHQに引き渡す。警察組織が日本にはあるものの、それもほぼGHQの支配下にあるに等しい。だから一応警察に届けるが、ほぼGHQに等しいのだ。そして次に行ったの所は、先程エンドレイヴに襲われた所だ。そこで未だに転がっている残骸を纏める。

 

そこに丁度葬儀社が現れる。勿論民間の業者に偽装してだ。

 

「えぇっと、貴方が我々に電話してくれた方ですかね?」

 

その発言をしたのが、全身黒い服装をした金髪の男だった。勿論この男が涯なのだが、徹底した演技で他人を装っていた。

 

「はい。私が貴方に連絡しました。それと……ここに監視の眼はありませんし、あなた方を安全に送り届ける事を約束しましょう」

 

「……そうか。やはり君は只者ではない。それにしても久しぶりだな。まさか君が教鞭を振るうとは思ってもなかった」

 

「それは俺もだ。まさか俺が子守の真似事をするとは、最初は思ってなかったよ。だがこの数週間数ヶ月で随分と板に付いた。自分ではそう思っているよ」

 

そんな他愛のない世間話をしながら、数台の大型者の荷台にエンドレイヴの残骸を乗せていく。勿論乗せるのは颯也がやった。監視がないとはいえ、ここでエンドレイヴを持ち出すのは目立つ。しかしながら、人がエンドレイヴの残骸を乗せるというのも目立つものであるが……。

 

そうこうしているうちに積み込みが終わり、涯達は颯也に礼を言って去って行った。それを見送った颯也も、その場を後にして自分が今住んでいる所に帰った。

 

 

 

 

 

その夜……。

 

颯也の端末が鳴り出す。それを確認してみると、見知らぬ連絡先が表示されていた。この端末の連絡先を知っているのは、自らで教えた人達だけである。その教えた人は、2人しかいない。1人目は葬儀社の恙神涯と、もう1人は天王洲第一高校の生徒会長の供奉院亞里沙だけである。颯也は、多分供奉院の方からだろうなと思って連絡に出る。

 

「もしもし?」

 

『あっ、もしもし? 夜分遅くに申し訳ありませんわ。私供奉院亞里沙と言うものです。愛護先生の連絡先で間違いありませんかしら?』

 

颯也の予想通り供奉院だった。

 

「えぇ、愛護です。こんばんは、供奉院さん」

 

『こんばんは、愛護先生。その、お休み中でしたか?』

 

「いいえ、明日の用意をしていた所ですよ。所で、要件は何ですか?」

 

『あっ、そうでしたわ! 愛護先生にお知らせしたいことがありまして連絡しましたの。今日一緒に帰った時に、船上パーティーについて話したと思うのですけど、その日取りを連絡しようと思いまして……。それで日取りについてなのですが、来週の日曜日に開催されますの』

 

(来週の日曜日ということは、今日から数えて4日後か。ふむ、予定というのは入っていないから普通に行けるな)

 

「来週の日曜日ですね。分かりました。その日は予定もありませんし、参加できますよ」

 

『そ、そうですの⁉︎ 本当に参加できますのね⁉︎』

 

「えぇ、勿論ですよ。まぁその日に予定があったとしても、私は生徒との約束を優先しますよ」

 

『む、無理はしなくても良いんですのよ? 愛護先生の予定が空いていないのでしたら……』

 

「無理はしてませんよ。だから大丈夫です」

 

『そ、そうですのね。分かりましたわ。私、当日を楽しみにしておりますわ。それでは愛護先生、お休みなさいませ』

 

「えぇ、お休みなさい。供奉院さん」

 

そして颯也は端末を相手が切ることを確認して、自分も明日の準備をして寝た。

 

 

 

 

 

 

それから4日後……。

 

颯也は供奉院に招待されて船上パーティーに来ていた。受付の方も既に済ましている。しかし颯也は、原作知識として知っている。この船上パーティーは、GHQに狙われており、そこで恙神涯がその攻撃を阻止しようとして桜満集の王の力を使い、供奉院のヴォイドを使って攻撃を防ぐ。その供奉院のヴォイドと言うのが、何ものの攻撃を通さず弾くというものだ。防御の面を見ると、確かに最強に見える。

 

(だが、今の俺は先生だ。生徒を危ない目に合わせるわけにはいかない)

 

と、この様に教師の仕事が板についてしまい、その影響か熱血になってしまう。特に生徒が絡むとこうだ。生徒は颯也のこの性格を知らない。他の教師でさえも、多分知らないだろう。なにせ颯也が学校でその姿を見せた事がないのだから。

 

そして、恙神涯がいるという事を予測し変装している。仮面をつけているだけに過ぎないが、それだけでも気付かれることはない。

 

だがこのパーティーの中で仮面を着けているものは颯也しかいない。勿論受付の時は外したが、それ以降は気付かれない様に着けている。この状況を見るに、1人浮くのではと思うだろう。しかし実際は……。

 

「申し訳ないのですが、飲み物を1つお願いできますか? いえ、お酒ではなくて普通のドリンクをあちらのご令嬢に」

 

「今日はよく冷えますね。その格好では体を冷やすでしょう。係りのものに頼んで温かい羽織を持ってこさせましょうか?」

 

「立派な格好をしていますが、少々襟が曲がっている様ですね。直すので少しじっとしていただけますか?」

 

「パーティーは始まったばかりだというのに、少し顔が赤いですね。お酒を飲みすぎたのでしょう。心なしか気分も悪そうですし、水割りを持ってきましょう」

 

「白いシャツにシミができてますね。少しじっと……はい、これで綺麗になりましたよ」

 

と、何らかで困っている人がいれば助けていた。本人達が気付いていなくても、そこに赴いて解決してしまう。一瞬近づかれた時、「何だこいつは?」と心の中で思っていた人達が多い。いや、全員と言っても過言では無い。しかし、彼が去った後は……。

 

「あの人……怪しそうなのに気遣いできるわね。今度うちに招待しようかしら?」

 

「今日は少し冷えると思っていましたけど……あの方のおかげで助かりましたわ」

 

「はっ⁉︎ またここが曲がっていたのか⁈ いつも確認しているのに……ともかく大勢に知れ渡る前に直せて良かった。いや、直してもらってありがたい」

 

「さっきまで飲み過ぎて気持ち悪かったのに……あの人が持って来てくれた水割りを飲むと、気分がすぐ良くなったわ! 今度あった時はお礼をしないと……」

 

「シミがいつのまにかついていたみたいだが……後で確認すると、ワシが来ている服が切る前よりも綺麗になっておったのぉ。いやはや、どういう仕掛けか分からんが……感謝じゃな」

 

と、一様に颯也を褒め称えていた。そしてそれを周りで見ていたもの達は……。

 

(((あいつ(あの人)一体何者なんだ? (なんでしょう?))))

 

と、一様に思っていた。

 

そしてその様子を見ていた供奉院は……。

 

(あの仮面を被っている方……間違いなく愛護先生ですわね。この様な場所でも人助けとは……お人好しですわ。ですが、そんな所も私は好きなのですけれども……。あぁ、早く私の所に来てくれないかしら?)

 

そう思っていた。そう思うのには訳があった。それは……。

 

「供奉院さん、今日も素敵ですわね!」

 

「日に日にお美しくなられて……羨ましいですわ」

 

「供奉院さん、今度は私とダンスをしてくれませんか?」

 

「いえいえ、この私とお願いできませんか?」

 

「いや、次に踊るのは私だ!」

 

と、供奉院の周りには人集りができていた。人気といえば確かに聞こえは良いが、供奉院はそうは思わなかった。自分の所にこう集まるのは、自分ではなく後ろにいる供奉院という家を見ているのだ。純粋な褒め言葉も中にはあるのだろうが、こうも集まって一度にたくさん言われてしまえば、それも分からなくなってしまう。そのため、供奉院は心の内にストレスを溜めてしまう。しかし目の前で不機嫌な顔などできない。だからここは愛想笑いなどでその場を乗り切るしかない。

 

そう思い、供奉院が愛想笑いを浮かべていた時……。

 

「盛り上がっている中申し訳ないのですが、そこのお方は少々疲れている様に見えますね。彼女の事を真に思うのであれば、ここは少々落ち着かれてはいかがでしょうか?」

 

その場に、供奉院が待ち侘びた人物が来たのだ。その素顔は、仮面を被っていて確認はできないが、その優しい声音から察して愛護であると分かった。

 

「わ、私少々疲れてしまった様ですわ。夜風に当たりたいので、仮面を被った貴方様、私をエスコートして下さらないかしら?」

 

「えぇ、私で良ければ……」

 

颯也は片膝をつきながらこうべを垂れ、供奉院の応答に応える。そうした後、颯也は供奉院の隣に着き、右手を腰に当て、肘を直角に曲げる。それは例えるならコップについた取手だ。そして供奉院は、颯也の取手部分に自分の左腕を絡ませ、体を委ねる。それを確認した颯也は、夜風が当たれる船のデッキへと歩を進ませた。

 

それを見ていた周りの人達は、羨ましいと思いながら、自分もあの様な気配りができたらと思った。

 

そしてデッキに出た2人はというと……。

 

「愛護先生、助かりましたわ」

 

「いえ、それほどの事はしてませんよ。それに、生徒を守るのが私の義務ですから……」

 

「先生……少し伺ってもよろしいですか?」

 

「えぇ、私で答えれることができるのであれば……」

 

その返事を聞き、供奉院は深呼吸をする。そして、今まで聞けなかった事を勇気を出して聞いた。

 

「愛護先生は……私が生徒でなくても助けてくれますか?」

 

「……それは、どういう意味でしょうか?」

 

「その……そのままの意味ですの。愛護先生は、助けてくれる時いつもこう仰っていますわよね? 『生徒を助けるのは、自分の義務である』と。確かに先生は、生徒にも優しいですし、先生方にも優しいですわ。そして、困っている人に対してはどの方にも手を差し伸べて下さいます。私の事も……。先生が誰にだって優しく接するのも、私重々承知ですわ。それでも私……」

 

供奉院がその後の言葉を言おうとした時……。

 

「突然で失礼する。君が供奉院亞里沙さんだな?」

 

そんな声が船のデッキに響く。とは言えこの場には供奉院と颯也の2人だけだが……。

 

「あなたは……それに桜満君⁈ あなたが何故こんなところにいるの⁉︎」

 

「か、会長……確かに驚くことかもしれませんが……今は時間がないんです! 今は何も言わずに協力してくれませんか⁉︎」

 

「きゅ、急に何を言っているの⁉︎ それに協力って……」

 

「供奉院亞里沙さん。単刀直入に言いますが……この船は今、GHQに狙われている。善意の情報提供者が、この船で供奉院グループがパーティーを開くという事をGHQに流したようだ」

 

「そ、それがもしも本当だとして……私にどうしろと言うの⁉︎」

 

「それを説明するのも時間がないですが、こちらとしては納得した上で協力してもらった方が良いでしょう。この船は今、ミサイルで狙われている状況です。それを防ぐ為に、貴女の力……ヴォイドの力が必要です」

 

「が、涯! それは急すぎるんじゃ……それに無関係な人もいるのに……」

 

「確かにそうだが、今はなりふり構ってはいられない。そこの仮面を被った方には、本当はすぐに去ってもらいたいのだが……そうしないのであれば後で「お待ちになって!」ん?」

 

「この方は無関係ですわ! この方に乱暴を働くというのであれば、私が許しませんわ‼︎」

 

供奉院さんが俺の前に立ちはだかる。俺の事なんて、守る必要無いのに……そう思ってしまうが、それと同時に先程供奉院さんが俺にした質問も頭に浮かんだ。

 

『愛護先生は……私が生徒でなくても助けてくれますか?』

 

(その意図がやっと分かった。全く……供奉院さんも供奉院さんだが、俺もまだまだという事か……)

 

供奉院さんが俺に伝えようとした事が、ようやく分かった。俺は今まで色恋沙汰など全くと言って良いほど無縁だった。そんな俺に……さっきの質問の意図がすぐに分からわけがない。だが、供奉院さんはこんな俺に想いを伝えてくれた。確かに今は……先生と生徒の関係だ。だからこそ、表沙汰にはしたくないし、供奉院さんの事も考えると負担はかけたくない。だからと言って、さっきの質問には答えない……。

 

(ふんっ、答えないわけがないだろう!)

 

意は決した。そして俺の目の前では……。

 

「なら、今は何も聞かずに力を貸してくれますか?」

 

それに供奉院は頷きで返す。

 

「供奉院会長……すいません‼︎」

 

桜満君がヴォイドを引き取る構えを取る。供奉院さんはそれを見て震えるが、それを我慢する。そして供奉院さんの胸の中心が青く光り、それに向かって桜満君が右手を入れようとした。だがな……。

 

「すまないが、私の方も供奉院さんを乱暴にされてしまうのは嫌なんでね」

 

俺は桜満君の右手を取った。いきなりの行動でその場にいた全員が呆気にとられていた。それからすぐさま回復した涯が、俺を睨みながら言う。

 

「何の真似だ? こちらとしては時間がない。その手をどけて貰おうか?」

 

「ならば、私からそのヴォイドとやらを取り出せば良いではないか? 恙神涯君? 君は、そのヴォイドとやらが見えるのだろう? だから供奉院さんの力を必要とした。いや、この場では供奉院さんの力が有効であると言ったところか」

 

「っ⁉︎ 驚いたな……そこまで頭の回転が速いとは……まるで」

 

「まるである男と話している……そう思っているのだろうな。それで、君は見えるのだろう? 私の心……ヴォイドが」

 

「……確かに、ヴォイドの力を君からも感じる。だが……」

 

「あぁ、はっきりとは見えんだろうなぁ。ならそこの君……桜満君だったか。君なら取り出せるかな?」

 

俺は両腕を開き、桜満君に敵対する意思が無いという態度を取る。桜満君は呆気にとられていたが、それを振り払って私に手を向ける。俺の胸も青く光る。それを確認した桜満君は、俺の胸に腕を入れようとした。だが……。

 

ビキィッ‼︎

 

「なっ⁉︎ えっ……何で弾かれて……」

 

「ふむ……どうやら私の心は、あまり他人には見られたくないらしい。それはそうと、私の自己紹介がまだだったな」

 

俺は自分が被っていた仮面を外して、それをデッキの甲板に投げ捨てた。

 

「えっ……愛護先生?」

 

「ま、愛護颯也だと⁉︎ 何故こんな所に⁉︎」

 

「驚くかもしれないが、今はGHQがこちらを狙っているのでしょう? だが私は教師だ。曲がりなりにも……ね。だから生徒を危険に合わせるわけにはいかないわけだよ。なら誰が対処するかだが……そこは私に任せて欲しい」

 

颯也はそういうと、今度は供奉院の方に体を向ける。2人の身長差は20㎝以上離れており、供奉院からすれば見上げる形になる。その瞳には、供奉院がいつも見る愛護先生の優しげな表情が、綺麗な夜空をバックに映っていた。

 

「愛護先生……」

 

「そんな心配そうな顔をしなくても大丈夫ですよ。それと、さっきの質問ですが……」

 

颯也は、供奉院の瞳を真っ直ぐ見て言う。

 

「今の生徒と先生の関係では……貴女だけを見る事は難しい。それに私は、目の前で困っている人は……どうしても放っては置けないんです」

 

「……何となく、先生がそう答えるものだと思っていましたわ。分かりました。これで……私は貴方のことをあきらm「何を言っているのですか?」えっ?」

 

「さっき言ったでしょう? 今の生徒と先生の関係では……と。だから……」

 

「えっ……きゃ⁉︎」

 

颯也は供奉院の事を優しく抱き締める。供奉院の頭を自分の胸の位置に持っていき、優しく撫でる。その行為に供奉院は、顔がすぐに真っ赤になった。

 

「だから今は……これで我慢して欲しいです。でも……この生徒と先生の関係がなくなった時は、貴女の事を優先して見る事を約束しましょう」

 

「……ず、ずるいですわ」

 

「えぇ、私もそう思っていますよ。さて……」

 

颯也は供奉院から離れる。その時供奉院は名残り惜しそうな顔をしていたが、先程と違ってとても嬉しそうにしていた。

 

「かなり驚くかもしれませんが、この事は他言無用にして下さいね?」

 

颯也がそう言うと、颯也の周りから紅の気が発せられた。その光景に、供奉院も桜満も、それに涯も驚きを隠せなかった。しかし、驚くのはまだ早い。なにせ颯也はまだ何もしていないのだから……。

 

「フォーム、アルケー」

 

そう言った途端、颯也は紅の光に包まれた。その光は強く、その場にいた者は目を瞑る。光が弱くなったのを感じ、涯は目を開けた。その涯の目に飛び込んできた物は……。

 

「なっ……何だ⁉︎ お前のその姿は⁉︎」

 

颯也の姿……それは、先程颯也の周りから発せられていた紅と同じ色だった。頭の部分も全てが紅に覆われた颯也の外面は……どこか禍々しくも思える。まるで返り血で染まったような、そして怪しげに光る赤色のツインアイが、一層の禍々しさを際立たせていた。

 

「愛護先生……その姿は……」

 

「少し……いやかなり怖いかな? この姿」

 

だがその禍々しい外面からとは思えない程の声が、そこから発せられていた。

 

「……いいえ、怖くなんてありませんわ。だって……貴方が……愛護先生が優しい人だと分かっていますもの。その姿になったとしても、貴方の事を……私は全く怖くありませんわ」

 

「はは……何だかそんな事を言われると照れてしまいます。でも、とても嬉しい。ありがとう、“亞里沙さん”」

 

「えっ? 先生……今なんて……」

 

「貴女の聞き間違いではありませんよ。また機会があれば、そう呼ばせてもらますから。では、私はこの静かで真っ暗な空間に、色取り取りの花を咲かせに行きましょうか」

 

颯也はそう言って皆に背を向け、ゆっくりと浮かぶ。それと同時に、デッキから見渡す事ができる方向から小さく、それも一瞬だけ強く灯りが灯った。それは、紛れもなくミサイルが発射される時に発生する点火の炎だった。そのミサイルは、この船に向けて一直線に進む。

 

対する颯也は、右腕に備えてあった武装を手に持った。それは腕からしゅるりと滑らかに滑り、いつの間にかその武装の持ち手が颯也の右手に掴まれていた。それは……今颯也が纏っている外面と同じく、血に濡れたような大剣だった。それを颯也は、普通に片手剣を持っているかのように軽々と扱い、その剣先をこちらに来ているであろうミサイルに向けていた。

 

「さぁ……ここからが本当のパーティーの始まりだ」

 

颯也は頭から突っ込むかのようにミサイルに向けて加速した。それを行うことによって、ミサイルとの距離は一気に縮まる。それから1秒とも経たないうちに、颯也とミサイルはすれ違う。そのすれ違いざまに、颯也は右手に持つ大剣を凪いだ。そうする事によってミサイルは横に両断される。

 

しかし、このままだと相手に勘付かれてしまう。この船にミサイルを対処できる存在がいるという事を……。だが颯也も馬鹿ではない。それを分かりきっているからこそ、既に対処をしてある。

 

一閃されたミサイルは、その状態でいくらか真っ直ぐ進むが、ある一定の場所まで飛ぶとさらに細切れとなった。そして爆発したのだ。それも綺麗な赤色の花の様に……。

 

「どうやら上手くいった様だ。まぁ今度は複数飛んで来るだろう。この剣だけでやるのは苦では無いが……どうせならもっと花のあるやり方のほうが良いだろうなぁ」

 

そんな独り言を呟きながら、左手を開いた状態にして頭の前の位置に持っていった。そして……。

 

「さぁ、お前達の持っている鋭い剣でこの船上パーティーを美しく飾ろう。行けよ……ファング‼︎」

 

叫びながら左手を横に振り払った。その瞬間、颯也の纏っている外面……下半身の側面にあるスカート状の膨らみから複数の小さな物が勢い良く飛び出してきた。それは言うなれば小型の剣に似ていた。ファングは、主人の周りを飛び交う。それも目視で捉えれないほどだ。

 

一方ミサイルが飛んできた方向からは、数発のミサイルが同時発射されていた。

 

「不発を考えての数発同時発射……悪くは無い。私が相手でなければな。行け、ファング!」

 

主人の命令に、ファングは数発のミサイルに向かう。その先端からは、赤いビームでできた刃ができていた。その刃はミサイルを細切れに切り裂く。それが同時処理で行われ、船に届く前に色取り取りの花を咲かせた。

 

颯也もただ黙って見ているわけではなく、手に持っている大剣で先ほどと同じ様にミサイルを斬り裂き、花火に変えていた。そうして行くうちに、一気にミサイルの量も多くなる。そして颯也もそれに対応するために足のつま先から赤いビームの刃を発生させていた。そして右手の大剣でミサイルを切りながら、両足のつま先から発生させた赤色のビーム剣……ビームサーベルで斬り裂く。そう対応しているうちに、颯也の包囲網から1発のミサイルが無傷で抜け、船に向かっていた。

 

「どうやら気が少し緩んでいましたかね? ですが、まだあるんですよ」

 

そう言うと、先程のスカート状の膨らみから2つほどファングが射出された。それは抜けたミサイルを一瞬で斬り裂き、綺麗な花火をこの静かな空間に作り出した。

 

そこから数分後、いよいよミサイルは発射されなくなった。

 

「ふむ……もう少し楽しませてくれるものだと期待していたのですが……たかだか100発に届くかどうかの数ではこれが限界の様ですね。さて、私も船に戻りましょうか」

 

颯也は物足りないと感じながらも、供奉院が待つ船に戻った。




書いているといつの間にか10000文字超えていました……。しかも2話連続で超えていました。自分でも驚いています。

さて、今回は少しのラブコメと少しのバトル物を描きました。いかがでしたかね?

まぁどう思うかは読者の皆様にお任せしましょう。

それと、この物語が始まって初めて話に出てきた武装、魔法、特技の詳細を書いていきたいと思います。

今回はこの話にでてきた武装の説明をしますが、これを書いた後にこれまでの話に出てきた詳細を、その話ごとに書いていきます。※1回しか書きません。

では、詳細に移りましょう。

・アルケーガンダム

機動戦士ガンダムOOに出てくるガンダムです。表面は本文に書いた様に、全体が返り血を浴びた様に紅色に染まっています。全体のフォルムとしては、細いイメージです。そしてこの機体には、背中に脱出機能が備わっています。しかしこの話では、颯也がアルケーの外面をパワードスーツの様に纏っているので、当然ながら脱出機能はありません。

武装は

・GNバスターライフル
右腕にマウントされている実体剣であり、表面に出力を放出させるとビームサーベルにもなる。また、ライフルモードに切り替えること可能。

・GNビームサーベル
足のつま先から発生するビームサーベル。不意打ちに有効な時もある。

・GNファング
腰部のスカート状の膨らみから射出される、遠近両方の攻撃手段んを持つ小型の兵器。遠距離からビーム攻撃ができる他、ファングの先にビームの刃を発生させ、敵に攻撃が可能。

・GNシールド
左腕に搭載されている実体盾から発生させることができ、実弾にもビームにも対応できる。

今回の詳細はこの辺にしておきます。詳細が分かりにくかった方は、Wikipediaやyoutubeをご覧下さい。

ではでは……。
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