ハイスクールD×D 理不尽壊しのリインカーネイション   作:橆諳髃

19 / 71
16話 〜罪の王の世界〜 R-15 貴方の側に……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

GHQのミサイル攻撃から船を守った俺は、アルケーガンダムの外面をしたまま船の甲板に戻った。ん? アルケーガンダムが何なのか? 一応その説明は前回したはずだが……まぁ良い。ざっくり説明すると、俺の大好きな作品の1つである、ガンダムシリーズに登場する機体だ。前述した様に、血に濡れた様な紅の色をしている。パイロットは傭兵で、声は野原ひろしだ。(今の声じゃないぞ)

 

まぁそんなメタ発言とやらはどうでも良い。俺は攻撃を防いで甲板に戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side 集

 

 

 

 

 

 

 

 

 

僕は夢でも見ているんだろうか? 目の前では、色取り取りの花火が咲いていた。でもそれは普通の花火なんかじゃない。僕達が見ている方向から撃ち出されていた、GHQのミサイルだったんだ。その数は100発までとはいかなかったけど、それでも数人で対処するには難しい。エンドレイヴが10体ぐらいいてやっと対処できるんじゃないかってほどだった。

 

でもそれを……こっちに狙いを定めて撃たれていたミサイルを全部撃ち落とした人がいる。それも1人で……。撃ち落としただけじゃない。GHQのミサイルには、1つずつ爆薬が仕込まれていたはずなんだ。それも一般人からすれば計り知れないほどの……それを、その人は全て爆発という騒音と恐怖ではなく、花火という派手で体の芯まで響く様な音と、そして綺麗な物に変えていたんだ。

 

そんな光景を呆然と眺めていた僕は……。

 

「……凄い」

 

「あぁ……俺達ではとても真似ができない。当初の通りにやって攻撃を防いだとしても、あんな光景は生まなかったろうな……」

 

僕の言葉に、涯が反応した。涯も、この光景を見てとても信じられないという顔をしていた。そして少し離れた所には……。

 

「愛護先生……とても美しいですわ///」

 

顔を少し赤く染めた供奉院会長がそう呟いていた。確かに、僕もそういう思う。だって爆薬による爆発じゃなくて、いろんな色の花火が目の前で今も打ち上げられているんだから、誰しもそう思わざるをえないと思う。

 

それにこの甲板には僕と涯、後供奉院会長だけしかいないから、こんな静かな甲板に鳴り響く花火の音と、真っ暗な夜空に綺麗な花が咲いているとなれば、そう思わない方がおかしいかもしれない。

 

それで目の前で繰り広げられる花火の音とは逆に、今船の中では音楽が奏でられていた。多分ダンスをしているんだろうと思う。中にも花火の音は聞こえているんだろうけど、それも今回のダンスに合わせて用意したものだと認識している人が多いのか、甲板には誰も上がって来なかった。中からも花火が見えるから、甲板に上がらなくても良いと思っている人が多いんだろうね。それも原因の1つとして、甲板は静かだった。

 

そんな静かな甲板の上でしか見られないもう1つのダンスを、僕達は見たんだ。そのダンスを踊っている人物は……僕と供奉院会長が通っている高校、天王洲第一高校の保健室の先生をしている愛護颯也先生だった。

 

僕はあまり保健室にはいかないから噂でしか聞いたことはないけれど、その噂でも良い噂しか聞かなかった。生徒や先生と身分は問わず平等に接し、自分の仕事でもないにも関わらずに悩み事にも真摯に応えていた。僕も何度か行こうと思ったけど、でもいつもの引っ込み思案なところもあって行けなかった。

 

(でも僕が供奉院会長がのヴォイドを取り出そうとした時、僕の腕を掴んで止めさせた。しかも僕の名前を呼びながら……僕と先生はほぼ初対面のはずだ。なのに何で僕の名前を?)

 

疑問に思う事は山程浮かんできたけど、それでも何1つとして分からなかった。そんな事よりも、今もなお目の前でミサイルを迎撃している愛護先生のあの姿は何だろう? でもあの力があったら……そう考えていると、自然と僕の隣に立つ人物に言葉を投げかけていた。

 

「なぁ涯……あの力があったらなんだけどさ……葬儀社が存在する意味ってなんなのかな?」

 

そんな言葉を投げかけていた。この言葉に隣にいる涯は呆れるだろう。そう思ったんだけど……。

 

「……俺もそう思うよ。今まで俺達は、GHQの支配下に置かれた日本を解放しようと戦ってきた。仲間も大勢死んだ。そんな苦難を乗り越えてここまで来たというのに……今目の前で繰り広げられている物を見てしまうと、俺がやってきた事は何だったのかと……そう考えてしまう」

 

「……驚いた。まさか涯がそんな事を言うなんて」

 

「お前にとって俺はどう見えているんだ?」

 

「簡単に言うなら……カリスマが他と比べても、他が霞んで見えるほどで、それで頭が物凄くキレる人かな?」

 

「そんな大きな評価をいつの間にかされていたのか……」

 

「多分葬儀社の皆はそう思ってるんじゃないかな?」

 

「……そうか。なら、こんな弱い姿は極力見せないようにしないとな。それより、集は愛護颯也の事を知っていたか?」

 

「え? あぁ……うん。でも今回会ったのが初めてだよ」

 

「そうか。なら彼は普段どんな生活をしている? 勿論学校生活での話だ」

 

「それは僕にも分からないけど……でも良い噂しか聞かないよ? 生徒先生の身分なんて関係なしに、困っている人には誰にでも手を差し伸べる……僕が知っているのはこれぐらいのもんだけど……」

 

「……やはり彼は変わらないな……」

 

「ところでさ涯。愛護先生の事について聞いてくるのは良いんだけど……何で涯が愛護先生の事を?」

 

「あぁ……そう言えば集には話してなかったな。今彼は、学校の保健室の先生としてやっているらしいが……以前は違う事をしていたんだ。いや、やっている事は全く変わりはないが、教師の前に違う所である事をしていたんだ」

 

そこで涯は言葉を切って僕に顔だけ向けてくる。

 

「なぁ集……愛護颯也が以前何と呼ばれていたか知っているか?」

 

涯が唐突にそんな事を言ってきた。でもそんな事を言われても分かるわけが無かった。だから無言で首を振った。

 

「あいつはな……神の使者と、そう呼ばれていたんだ」

 

「神の……使者? ……って、えっ⁉︎ まさかあのネット上に浮上してた……」

 

「あぁ、その通りだ。あいつはアポカリプスウイルスに感染してしまった感染者達を無償で治していたんだ。見返りも求めず、ただそれが当然であるかの様にな。そしてあいつは、その感染者達が多くいた地域から姿をくらました。だが、ただくらましただけじゃない。あいつは姿をくらます前に、その土地にいた感染者達を全て治して去って行ったんだ。だから今でも、助けられたもの達は神の使者を崇めている。本当に神から送られた使者としてな」

 

その話を聞いた僕は、とても信じられないと思った。ネット上で今も騒がれている神の使者が、まさか愛護先生だなんて誰も思わない。もしこれが露呈したら、学校は大騒ぎするんだろうな。そんな事を思いながら、愛護先生がミサイルを撃墜しているのを見ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺が甲板に戻ると、唖然とした表情の桜満君と涯、そして何故か顔を真っ赤にして俺の方を見つめている供奉院さんがいた。まさか熱を出してしまったのだろうか? それだと一大事だな。早く個室に行ってみた方が良いな。そう思いながら甲板に着地して、アルケーの外装を解いた。

 

「供奉院さん、顔が赤い様だが熱が出てしまったかな? その様であるなら、係りの者に言って個室を用意してもらうのですが……」

 

「い、いえ! ご心配なさらず‼︎ 私は大丈夫ですわ。それより先程のダンスは、とても素晴らしかったですわ‼︎」

 

「だ、ダンスですか⁉︎ 私は踊った事など皆無なのですが……」

 

「まぁ、そうなんですの⁉︎ そんな風には見えませんが……でも、貴方と一緒に踊りたいですわ。その……今度は貴方のソロではなく……私と一緒に踊って下さらないかしら?」

 

先程よりも赤くはなかったけど、頬を少し赤らめて俺にそう言ってきた。

 

「い、良いのかな? 私は……ダンスなんて踊った事はないのに……」

 

「でしたら、私が先生をリードしますわ! ですから……ね?」

 

供奉院さんは上目遣いで俺にそう言ってくる。瞳をウルウルさせてだ。俺は正直、こんな瞳をした子の頼み事は断れないな。まぁ、内面もちゃんと読み取った上でだが……。

 

「……わ、分かりましたから。だから、そんな顔をするのはやめて下さい」

 

「ほ、本当ですの? 本当に私と踊ってくれますのね?」

 

「え、えぇ。踊りますよ。ですけど、リードは任せましたよ?」

 

「やった……やりましたわ‼︎」

 

俺の返事に満足したのか、いきなり俺に抱きついて来た。しかも、意外に力は強かった。そのために、腹部の方で何か柔らかい感触がしたのは……多分気のせいじゃない筈だ。

 

「く、供奉院さん……分りましたから、一回離れましょう?」

 

「え? ……あっ! も、申し訳ありませんわ‼︎ 何とはしたないことを……」

 

「いえ、別にはしたなくなんてありませんから気にしないで下さい。それより、踊るのでしょう? なら行きましょう。このパーティーが終わる前に」

 

「そ、そうですわね/// では先生、参りましょうか」

 

そして俺は、供奉院さんを甲板にエスコートした様に右手を腰に付けて、コップの取っ手の形を作る。そこに供奉院さんが左腕を絡めて、体を俺の方に寄せてくる。その時にも柔らかい何かが俺に対して自己主張をしてきたが、俺はそれを表情に何とか出さずにその場を乗り切ろうとする。

 

「愛護先生……顔がお赤いですわよ? フフッ、どうかなさったのかしら?」

 

「いえ、どうもしませんよ。あぁ、そうでした」

 

俺は桜満くん達に顔だけ向けて言った。

 

「今宵の事は、さっきも言った様に他言無用にお願いしますね? もしも話した時は……分かっていますね?」

 

俺は笑顔のまま2人にだけ威圧を放った。そうすると2人は、ゾッとした顔をして頷いていた。その様子だと、今回の事は言わないと思う。まぁ……涯は葬儀社の幹部には話しそうだが、まぁそれぐらいは許すつもりだ。ただ1回ぐらい驚かしても、誰も文句は言わないだろう。

 

「まぁ、言わない事を信じてますよ。では、私はこれで失礼しますね」

 

そして俺は、船の中に供奉院さんをエスコートした。その後、供奉院さんとダンスをした。勿論ダンスなんてあ初めてだったから、そこは恥ずかしながら供奉院さんにエスコートしてもらった。それで曲が終わるまで何とか踊り終えた。

 

「愛護先生、私と踊って下さってありがとうございますわ。それにしても、初めてという割には踊れていましたわ。いえ、寧ろ上手な部類ですわよ?」

 

「そ、そうでしょうかね? 私は初めてなので自分が上手いかどうか分かりはしないのですが……ですがそう言ってもらえるのは嬉しいですね」

 

「私も喜んでもらえた様で嬉しいですわ。それより先生、先程の事もそうですけど疲れは溜まっていませんか? もしよろしければ、私の部屋に参りませんか?」

 

「えっ? ですが、供奉院さんはもうこのパーティーに満足はしているのですか?」

 

「えぇ、私は先生が来てくださった時点で満足はしているんですの。いえ、こうして貴方の側にいるだけで満足なんです。我儘を言うのでしたら、こうして貴方の側にずっといたいですわ……」

 

「……ずっと……ですか」

 

俺はその言葉に、そう答えることしかできなかった。確かに俺は今、この世界を生きている。そして、普通に人と接している。この世界に溶け込んで普通に日常を生きている。そう実感はしているんだ。だが俺は……死者なんだ。この世界に生まれたわけじゃないし、事実前世の俺は確かに死んで、そして神様に特典を貰って今はこの世界に来ている。

 

だからかな……俺が供奉院さんの言葉にそんな受け答えしかできないのは。だが正直……俺はこの世界での生活を気に入ってしまった。まだ本当の意味で転生したわけでもないし、そもそも俺が転生する資格があるのかというのに対して未だに疑問を持っている始末だ。それでも俺は……。

 

(俺は……まだこの世界にいたい)

 

「っ⁉︎ 愛護先生! どうしたんですの‼︎」

 

俺はそれでハッと我に帰る。供奉院さんの顔を見ると、どこか焦っている様だった。

 

「……供奉院さん、そんな顔をしてどうかなさったんですか?」

 

「どうかなさったんですかって……気付いていないんですの⁉︎ 愛護先生……泣いていらっしゃいますわよ⁉︎」

 

そう言われてやっと気づいた。自分の頬をそっと流れる雫に触れる。それは紛れもなく、俺の涙だった。

 

「ははっ……何で私はこんな時に泣いているんでしょう? それに……私はいつの間にこんな感情を抱いてっ⁉︎」

 

俺の空いている方の手を、優しく掴まれた。それに驚いていつの間にか下げていた顔を上げた。するとそこには、優しい微笑みを浮かべる供奉院さんがいた。

 

「愛護先生が何で泣いてしまっているのか……私は分かりませんわ。でも、そんな顔をした貴方の事を癒す事は、私にもできるはずですわ。という事で、ついて来てくださいな」

 

俺は供奉院さんに手を引かれた。そして着いたのが、船の片隅にある個室だった。

 

「ここでしたら、いくらか静かに過ごせますわ。先生……私の膝の上に、いらして下さいな」

 

「えっ? それは……」

 

「膝枕……したいんですの。先生はいつもこう仰ってますわよね。生徒を守るのが自分の務めだと……。ならそんな先生の事を、生徒である私が気遣っても誰も文句なんて言いませんわよね?」

 

「し、しかし……」

 

「先生……私に、貴方の負担を取らせてくださいな。正直私は、殿方とどう接すれば良いかなんて分かりませんわ。ですが、それでも貴方のお側にいたいんですの。ですから……」

 

「……はぁ。そんな顔をされては、断れないではないですか。全く、こんな時の私の甘さには呆れてしまいますよ」

 

俺は、供奉院さんの上目遣いにまた負けてしまった。不純な動機とかそんなんじゃない。ただ純粋に心配してくれている供奉院さんの想いに……態度に……俺は負けた。だから俺は、供奉院さんが座っているソファに身を預け、頭をゆっくりと供奉院さんの膝に乗せた。すると、また心地の良い気分になってしまった。自分では疲れてはいないと言っておきながら、いざ膝枕されてしまうとこんな風に癒される感覚に陥る。

 

そんな感覚に囚われていると、不意に頭を優しく撫でられた。まだぎこちなさが残る撫で方ではあると思うが、それでも俺からすれば気持ちが良いと思ってしまう。それで段々と睡魔が俺を襲ってきた。閉じそうになる瞼をどうにか開けようとする。そんな睡魔と格闘をしている時……。

 

「眠たいのですね? でしたら、このまま寝て下さい。私がこのまま付き添ってあげますから」

 

そんな優しい声を耳にして、俺は眠気に身を任せて眠った。




書き終えました。

今回は甘々な展開が多かったですね。まぁ私がそうさせているんですが(キリッ!)

さてさて次回は第二次ロストクリスマスに進みたいと思います。少々曖昧な感じになるとは思いますが、まぁなんとかしてみせましょう。

それではこれにて……。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。