ハイスクールD×D 理不尽壊しのリインカーネイション 作:橆諳髃
今週もまた投稿がしにくくなると思いますが、ご了承下さい。
そして前回バトルに入るかもしれないと言っていましたが、そうすると長くなってしまうので分けることにしました。ですのでバトル物の話は次回になります。期待していた読者の皆様には申し訳なく思います。
それではご覧下さい。
保存日時:2016年10月04日(火) 21:01
side 供奉院
供奉院自らの膝に頭を乗せて眠っている人物を、頭を撫でながら見つめていた。見つめられている人物は、供奉院の膝枕に自分の頭を乗せてスヤスヤと眠っていた。それを供奉院は見つめては優しい笑みを浮かべ、頭を撫で続ける。撫でられている者は、それに対して気持ちが良いのか目を細める。そして不意に、自分のベットで寝ているかのように寝返りをうつ。
「きゃっ! せ、先生ったら……いきなりで驚きましたわ///」
その寝返りがくすぐったかったのか、供奉院はいつもならば出さないような声を出す。そんな声が出たのか、若干顔を赤らめていた。それは恥ずかしさから来るものだろうが、それよりも供奉院はこの時間がとても嬉しかった。なにせ供奉院からすれば、自分が恋している相手がこんなにも近くに、そしてこんなにも安心した状態でいるのだ。そんな状態は一般的に、心を許しているに等しいのと同じだ。
だからであろうか、供奉院はこの夢のような時間が嬉しくて仕方が無かった。
そして供奉院の膝枕で眠っている人物……愛護颯也は、供奉院がそんな声を発しているとは知らずに熟睡していた。
そんな状態の颯也の事を、供奉院は静かに、そして優しく撫でていた。
(それにしても、先程恙神涯という人が仰ってた話は本当かしら?)
供奉院は、恙神涯が集に言っていたことを聞いていた。盗み聞きというわけではないが、その場にいた3人の距離は離れていなかったがために聞こえてしまっていたのだ。そして供奉院はその事を考えていた。
「愛護先生が……神の使者。アポカリプスウイルスを薬も無しに治す事ができる唯一のお方……」
ネット上で話題に上っている人物が、まさか今自分の膝枕で寝ているとは誰も思わない。常人であるならば、根掘り葉掘りとその事や颯也の事について聞いていただろう。だが供奉院は……。
(例え愛護先生が何者であっても、私には関係ありませんわ。だって先生は……私の日常に、何の変哲もない日常に変化を与えてくださいましたわ。それに……)
「こんな感覚を教えてくれたのは……先生……貴方が初めてなんですのよ?」
供奉院はそう呟きながら颯也の頭を撫で続けた。
side out
あぁ……俺は何時間ほど寝たのだろうか? 意識が覚醒していた頃には、個室にも少し聞こえていた賑やかな音が静まり返っていた。どうやら船上パーティーは終わっているようだな。
そう悟った俺は、ゆっくりと目を開ける。開け始めは視界のピントも合ってなくてぼやけていたが、それも段々と合っていく。そして最初に目に映ったのは、微笑んでこちらに顔を向けている供奉院さんだ。まさかずっとこの体勢だったのかな? そう考えると申し訳なく思う。
「おはようございますわ、愛護先生」
俺の目に映った表情のまま、供奉院さんがそう言ってくる。何だか最近はこのシチュエーションが増えてきた気が……いや、気がするじゃなくて実際そうなんだろうな。別に俺は、意図してこんな事は望んでいるわけではないが……でもこんな日常が俺は気に入っている。この時間も、どうしてか心が安らぐ。
「あぁ、おはよう。もうパーティーは終わってしまったのかな? だとしたら、供奉院さんには悪いことをしてしまっただろうか? ずっとこの体勢を取らせていたとしたら……」
「いえ、先生が気にすることではありませんわ。それに私も先程まで眠っていましたの。ですから、先生が気にする事ではありませんわ」
「そ、そう……ですか。分かりました。なら、もう気にしないでおきましょう。さて、パーティーも終わったというのなら、私ももうそろそろ帰った方が良さそうですね。ではここでそろそろお暇させt「先生……」ん? どうかしましたか?」
既に上体を起こしていた俺が、座っているソファに手をついて立ち上がろうとする。だがその手を供奉院さんが、俺の事を呼びながら掴んでいた。そのため動作も途中で中断して、供奉院さんの方を向く。
向いた時、供奉院さんの顔は赤かった。何でそんなに赤くなっているのかは分か……いや、この子の気持ちは既に聞いている。だからこの子が顔を赤くしているのも分かる。俺を膝枕で寝かせた時も恥ずかしかったろうに、その時は優しく俺に微笑んでくれていた。だが顔は別に赤くはなかった。頬をほんのり赤くなるぐらいで、全体が赤くなるという訳ではなかった。なら、なぜ今彼女はこんなにも顔が赤くなっているのか?
俺がそう思っていると、供奉院さんが俺に震えながら言ってきた。
「その……愛護先生。今日はもう日を跨いでいますわ。それに、今この船は供奉院家が所有する港に帰っている最中ですの。船が港に着いたら、私は車で家まで帰るのですけれど……愛護先生もご一緒しませんか?」
「わ、私もですか⁉︎」
「えぇそうですわ。勿論愛護先生の家まで送らせてもらいます」
「た、確かにありがたい話ではありますが……」
「何か気にかかる事でもありますの?」
「いや、私の事を送るとすると……供奉院さんの自由な時間を削ってしまうんじゃないかって、そう思ってしまってね。私は別に送ってもらわなくても大丈夫ですし……」
「そこは遠慮なんていりませんわ。ですから……どうか一緒に帰ってくれませんか?」
「……分りました。生徒の頼みを、私はあまり無下にはしたくありません」
「っ! でしたら‼︎」
「えぇ、一緒に帰りましょう」
俺は心を折って供奉院さんと一緒に帰る事にした。それにしても、ここ最近心を折る回数が多いような気がする。例え生徒のためであっても、こうも何回も自分の心を折る事があるだろうか? いや、本来であればないんだが……もうこれは自分にとってのさがとして受け入れるしか無いのだろうかと近頃思い始めたよ。
それで俺は、供奉院さんと一緒に帰った。乗った車は、素人が見ても高級なもので、中に入るとシャンパンとかグラスとか沢山並べてあった。
その車に乗って俺は自分の家の近くまで乗せてもらったわけだが、その間は供奉院さんと他愛の無い世間話をして過ごした。本人の顔を見れば、楽しそうな表情をしていた。まぁ俺なんかと話してて楽しめたのであれば、それで満足ではあるが……。
その他愛の無い世間話をしている途中で、供奉院さんからシャンパンを勧められたが、俺は丁重に断っておいた。何故なら、俺は未成年だからだ。どこか大人びている雰囲気を他人は持つだろうが、実質俺は17歳で供奉院さんと同い年か1つ年下だ。神様の元で、恩恵の使い方を知り、そして応用するために何十年も篭っていたわけだが、実質的に現実の世界では1日しか経っていない。
精神年齢は確かにおじいさんクラスではあるが、年齢は17だ。だからこそ断った。供奉院さんは残念そうにしていたが、そこは分かって欲しい。まぁ供奉院さんには俺の実年齢は伏せたがな。
そして、俺が住んでいる家の近くまで送ってもらい、俺は供奉院さんと別れた。その時に供奉院さんが、俺の事を2人きりの時は下の名前で呼んでも構わないかと聞いてきた。まぁ2人きりの時ならば良いだろうと思い、了承はしておいた。そうすると供奉院さんの表情はパァっと明るくなった。それで供奉院さんからの方も、2人きりの時は下の名前で呼んで欲しいと頼まれた。
まぁ生徒がこう懇願しているのなら、2人きりの時ぐらいは良いかと思ってその事も了承しておいた。それで別れ際に……。
「亞里沙さん、おやすみ」
そう言った。するとくほう……いや、別に2人きりだから亞里沙さんで良いな。というか2人きりの時じゃなくても、俺の中では亞里沙さんで統一しても良いかもな。まぁ呼ぶ時は2人きりの時で良いかな。
だからその時は下の名前で呼んでおやすみの挨拶をしたのだが、亞里沙さんの顔を見ると顔を赤くしていた。
「お、おやすみなさいませ。そ……颯也先生///」
そして亞里沙さんは車で去って行った。
「さぁて、今日も学校だからな。準備を早々にして早く寝てしまおうか」
そして俺は家に帰り、準備をして寝た。
その日から数日間は、またいつものような日常を送っていた。保健室の先生としての仕事、いつものように困っている生徒や先生方の相談、亞里沙さんとの世間話……俺にとっては楽しい日常ではあったが、それから数日後、俺の楽しい日常とこの学園の生徒、そしてこの学園がある地域を巻き込む世界的な事件が起ころうとしていた。