ハイスクールD×D 理不尽壊しのリインカーネイション   作:橆諳髃

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28話 〜罪の王の世界〜 約束

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あの後は……亞里沙さんに物凄く甘えられた。キスされたのは勿論のこと、そこからはついばむ様なキスに発展した。そして最終的にディープキスまでしてしまった……それも亞里沙さんが寝ているベットの上で抱き着きながらだ。挙げ句の果てには亞里沙さんが俺の足に自分の足を絡ませて来たりと……。

 

(正直理性が保つかどうかの瀬戸際だったな……)

 

ディープキスの後は、亞里沙さんが俺の胸に自分の頰やら頭を擦り付けていた。そしてその度に俺の名前を甘えた声で何回も口にしてきた。何だろう……猫の様にしか見えない……まぁそれもありだよな? 亞里沙さんの猫耳+猫尻尾&甘えた声で甘えてくる……。

 

(……そんな事されたら、いくら俺でも理性が保たないような……)

 

まっ、そんな事はさておきとしてだ。俺はギルクラのある場面に転送された。その場面とは……集くん達がこの区域から脱出するために決行するエクソダスの時だ。そして何だろう……俺の目の前に集くん達がいる。それに葬儀社の面々も……。

 

それで向こうにいた亞里沙さんにはすぐにバレた。こっちに微笑んでくるからな……あれは“私貴方のことは何でもお見通しですわ♡”の目だ。だって瞳がハートの形だからな……。

 

っといかんいかん。今回は15分でこの場を終わらせなければならんからな、さっさと用事を済ませようか。

 

「あなたは……ダアトの者ですか?」

 

昔よりも荒んだ顔になった集くん……あぁ、俺のせいだと分かっているが、今はそんなこと考える時でないからな。

 

「いや、俺はダアトの者ではない。逆だ。その証拠として、あの電波塔と、敵のオモチャを一瞬で壊してみせよう」

 

颯也は前と同じくマントを頭から不深々と被っている。そのため、集は目の前にある人物が颯也だと気付いていない。しかし、颯也の事をずっと凝視はしていた。

 

しかし颯也はそれを全く気にしてない様子で、呪文の詠唱に入った。

 

「天候満つる所に我はあり」

 

「黄泉の門開くに汝らあり」

 

「出でよ! 悪を裁く神の雷‼︎ これで貴様らの命運は尽きたな」

 

「インディグネーション‼︎」

 

颯也がそう唱えると、素人から見ても分かるほどの魔力が上空に上がり……それが黒雲を作ったと思った矢先、紫の光が電波塔と敵がいるであろう所に落ちた。その時間わずか数秒……。

 

電波塔は役目を果たすどころか颯也の呪文で丸焦げに……颯也がオモチャといった物も機能を停止していた。

 

「さて……これで君達はここから出られる。おっと……もうタイムリミットになったのか? まだ15分経っていないはずだが……まぁ良い。それではな。桜満集くん」

 

そして颯也は次の場へと転送された。

 

 

 

 

 

あれから何件か飛ばされ、再びギルクラへ……そして俺の目の前では、俺の容姿にそっくりなやつと、何時ぞや戦ったチビマロ(本来ならユウという名前だが……それも億劫だからチビマロ)と茎道、桜満くんと涯が戦っていた。奥を見てみると、囚われたのだろう楪と桜満真奈そして……。

 

(……何故亞里沙さんがこんな所に? まさか俺と似た容姿の奴が連れ去ったのか? ……許せんな)

 

しかしこの状況は何だ? 確かに桜満くんはチビマロ達と戦っているが……何故涯が桜満くんと戦っている?

 

(……なるほど、チビマロが戦っていないと思ったら他人のヴォイドを使って涯を操っているのか)

 

ん? 俺の容姿に似た奴がこちらに気が付いたようだ。そして一瞬睨むと、俺の方に一直線に向かってきた。そらと同時に自分の胸に右手を突っ込み……って、あれは王の力か? なるほど……涯が生きてるのに桜満くんの右手がないのは、俺に似た奴に取られたからか……。悪いことはしたが、だが今は謝罪を考えている場合じゃないな……。

 

偽颯也は颯也に向かって突っ込む。右手には、自分のヴォイドであろう血に濡れたような剣を持っていた。颯也はそれに見覚えがあった。あれは……自分の力の一部であると……。

 

颯也は素戔嗚から貰った鈍刀を右手に呼び出し、偽颯也に向かう。攻撃範囲に入った瞬間、両者が獲物を振りかぶる。偽颯也は大振りの剣のため、颯也の鈍刀よりリーチが長い。しかし颯也はそれを物ともせず鈍で晒す。そしてその繰り返しが何回も続く。

 

「……ル」

 

そんな中、颯也は偽颯也が何かを呟いているのが聞こえた。それに耳を傾けると……。

 

「マモル……アリサハ……ボクガマモル……」

 

(……そうか、こいつも……)

 

その呟きを聞いて何を思ったのか、颯也は鈍を捨てた。そして……。

 

ザクッ

 

颯也の体を偽颯也の剣が貫いた。颯也の体を貫いた剣から、血がポタポタと流れ出る。颯也もその痛みに顔を歪ませるが、そうしながらも偽颯也の剣に自分の手を添えた。

 

「お前は……どうやら俺のクローンのようだが……それでも俺と一緒の想いなんだよな」

 

「……」

 

偽颯也は何も言わないが、どことなく悲しそうな顔をしていた。

 

「そうだ……お前と剣を交えて分かった。お前も……亞里沙さんを守ろうとしたんだな。奴らの言いなりになりながらも……でも、もう大丈夫だ。亞里沙さんは……俺が守る。そして……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

お前は俺だ」

 

「……ウン」

 

偽颯也の体が青く光り、それは段々とカードの形になり、颯也の中に入っていった。それにより、颯也の体を貫いた剣も無くなり、颯也の体から流れた血も颯也の中に戻った。そして颯也の右手には……。

 

「王の力か……そう、こんなのがこの世界にあってはいけない。そして……お前があいつらから奪ってたこれも……。ハハ……やっぱりお前は俺だよ」

 

俺は、自分の中に力の一部が戻るのを感じていると……。

 

「ハァ……はやりクローンと言えど我々の駒にはなりませんか……」

 

「やはりあやつにもアポカリプスウイルスを投与して強化を図るべきだったか……」

 

その2人の発言颯也の耳に入る。瞬間……その場の威圧が大きくなった。戦わされていた桜満と涯も手を止めるほどだ。

 

「おい……チビマロと下衆……貴様らさっきなんと言った? 俺の間違いでなければ、あいつの事を役立たずだというニュアンスで聞こえたが……まさかそうとは言ってないだろうなぁ?」

 

その声は……颯也から発せられたとは思えないほどだった。そしてチビマロと下衆は見た……颯也の顔を……。その顔は……鬼の形相だった。

 

目は赤くなり……怒りのせいで髪は下に垂れ下がるのではなく、重力に逆らっていた。それに加え、颯也の体からは赤いオーラが見えた。だがそれも一瞬だった。

 

チビマロと下衆は一瞬安堵した。しかし颯也の目は赤くなったままだ。

 

「おや? 先ほどの怒りはどこに行ったのですか? 見るからに怒りが静まったようですが?」

 

チビマロが牽制するようにそう言う。が、颯也は先ほどの声ではなく、元の口調で話していた。

 

「いや? 怒っている……ただ貴様らが認識できていないだけだ。その証拠に……」

 

「グブッ⁉︎」

 

「なっ……」

 

茎道は颯也の一撃で地に倒れた。チビマロはすんでのところで颯也の攻撃を交わすが、左手に鈍が掠った。

 

「くっ……傷は浅いはずなのに……」

 

「あぁ、確かに傷は浅い。浅いが……この剣に傷付けられたものはそれ以上の痛みを伴う。その逆もまたしかり……傷を治す事もできる」

 

「それが……貴方のヴォイドというわけですか……なんとも厄介な「違う」……なに?」

 

「これは俺のヴォイドではない。確かに王の力は、あいつから受け継ぎはした。だが、俺自身まだ自分の心は使うどころか覗いてすらいない。だからこれはヴォイドではない」

 

その答えにチビマロは唖然としたが、それも束の間で顔は笑っていた。

 

「そうですか……しかしながらあなたの行動はいささか遅すぎた。あなたがいない間、もしものことを考えて宇宙《そら》からある物を落とすことになっていましてね」

 

「……アポカリプスか」

 

「おや……動揺しないのですか? まぁ良いでしょう。それに、既に大気圏内です。ほら、見えるでしょう?」

 

「颯也はチビマロが指す所を見る。そこには、さっきまでなかったアポカリプスがあった。

 

「……空間を移動させたか。見る限り制御されているか」

 

「そこまで分かりますか? 中々頭もきれる……流石は神の使者ですね。しかし、これに触れればあなたとて消滅します。そしていずれはこの星も覆われアポカリプスに滅ぼされる。まぁ……止めれるものなら止めて見せてくださいよ」

 

そう言ってチビマロは姿をくらました。それと同時に、アポカリプスから人型をした兵士が生まれ出た。

 

一方の桜満と涯は、楪と真奈を救出していた。そして颯也も亞里沙の所へ赴き、亞里沙を捉えていた繭を剥がした。

 

「……亞里沙さん」

 

「颯也さん……助けにきて……下さったのですね」

 

「えぇ、俺は貴女を助けにきた。でも、何故ここに?」

 

「……颯也さんに似た方に連れられて……でも、彼は私には何もしていませんでした。ただ私の事を見ていただけですわ」

 

「……そうか……あいつは貴女を守ったんですね」

 

颯也と亞里沙が会話をしていると、桜満と涯達がが颯也の所へ集まってきた。

 

「先生……」

 

「桜満くん……今の俺は先生ではない。名前で呼んで大丈夫だ」

 

「なら……颯也さん、ユウが言ったことが本当なら、僕達はあれを何とかしないといけない」

 

「あぁ……だが俺達は人だ。空は飛べない。遠距離からの攻撃ができれば何とかなるだろうが……見た所あれは並大抵の攻撃では傷は付けられないだろう。それにあれから生み出されたものがこちらに向かってきている。今回の作戦に参加している国連軍やダアトに所属している奴らにも被害が及ぶかもしれない」

 

「僕達は……これ以上関係のない誰かが傷付くのは黙っていられない……」

 

桜満と涯が颯也にそう言った。それを聞いた颯也の答えは……。

 

「……桜満くん……その右手を見せてはくれないか?」

 

「えっ? ……えぇ」

 

桜満は颯也に失った右手を見せる。颯也はその右手を両手で包むように持つと、信じられないことが起こった。

 

それは、桜満の右手が元の手に戻った事だ。自分のヴォイドの手では無くなり、元の人の手に戻っていたのである。

 

「颯也さん……これって……」

 

「君は自分の道を間違ったと思いながらも……これまで頑張ってきた。迷いながら……時には間違いながらも……それでもここまできた。だからこれは、ここまできた君へ俺からの贈り物だ」

 

颯也の顔は笑っていた。それは、頑張った子を褒めるかのような、そんな慈愛のこもったものだったと、他の者が見たらそう思うかもしれない。

 

「さて、君達はここから去りなさい。この建物内にいる全てのものを外に避難させなさい」

 

「待て……お前はどうする気だ?」

 

涯が颯也を睨むように聞く。それに颯也は、真剣な顔をして答えた。

 

「俺はここに残る。あの不吉な物を壊さなければならないからな」

 

「……僕達では、力になれませんか?」

 

「……すまない」

 

「分かりました……颯也さん、生きて帰ってきてください」

 

「俺からも言わせろ。俺はお前にこれまで受けた借りを返せてはいない。だから、帰ってこい」

 

「っ! あぁ、君達がそう言うのなら、俺は再び帰ってこよう」

 

その言葉を受け取った桜満達は、その場を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side 神界

 

 

 

 

「あいつ……何カッコつけてんのよ? バッカみたい」

 

全身黒い布地の服と甲冑で体を包んだ少女が言う。齢は10代後半で、髪は膝裏まで伸びる白髪よりの金髪で、瞳も金色だった。顔も美人の部類であり、道すがらで見かければ振り向かない人はいないだろう。しかし、残念なことに口は悪いらしく、今も颯也のことを罵倒していた。

 

「でもあなたはそう言いながらさっきから落ち着きませんよね? 素直に助けに行きたいって言ったらどうですか?」

 

それに対し、紫の髪を短髪よりのセミロングにした少女が言う。肌は褐色であり、瞳は紫で、こちらも美人の部類に入るが……露出の多い全身黒の衣装を纏っているため目のやり場に困るかもしれない。

 

「はぁ⁈ なんで私が……」

 

褐色の少女に言われ、白髪よりの金髪の少女は頬を赤くして慌てていた。

 

「でもこの状況は確かに危険ですね……颯也だけで対処できるかどうか……」

 

そこに割り込んで会話をしてきたのは、これまた褐色の少女であり、先程の少女同様に髪も瞳も紫だが、髪に至ってはその少女よりも長く、終わりの方で髪を一括りにしていた。そして露出も先程の少女より多かった。

 

「でも実際問題……助けに行こうと思っても、私達そもそもここから行く事なんてできないわよ? あちらの世界に行くには、神の許可がいると聞くし、それも並大抵ではないそうよ。それに、今回はここで颯也を見守ると決めたじゃない」

 

この発言をしたのは、ピンク色の髪をセミロングにした女性で、帽子を被っていた。童顔で他の少女達よりも背は低いが、れっきとした大人である。片手には大きく分厚い本を持ち、左肩の上の方に、何やらマスコットキャラのようなヌイグルミがその場で止まっていた。

 

「そこの所を融通がきいてくれれば良いんですけどね? でもあの人型の奴……“食べれませんね”」

 

そんな発言をしたのが、黒髪ロングの女子高校生だ。その証拠に、今着ている服もどこかの制服だった。

 

その発言に、金髪の少女が食ってかかった。

 

「っ⁉︎ あなた、またそんな事を……隙あらば颯也を食べようなんて思ってないでしょうね⁉︎ そんな事したら、私があんたを煉獄の炎で焼き尽くすけど?」

 

「いいえ、私はもう人は食べませんよ。第一に、颯也以外の人の血肉を食べる気なんて失せましたし、そもそも颯也は私を死の淵から助けてくれたんですよ? そんな事をしてくれた恩人を食べるわけないじゃないですか! あっ、でも颯也が許可してくれた時は、颯也から血とか吸わせて貰いますけど」

 

「……やっぱあんたをこの場で燃やした方が良さそうね?」

 

「おいおい、ここでそんな物騒な事するなよ? こんな所で殺し合いとかゴメンだぜ? それに、そんな所を見たら颯也がどう思うか……」

 

それは男の声だった。髪は整えられ、色は水色で瞳は青色、肌は白色だった。そしてその男の発言に、金髪の少女は罰が悪そうな顔をしてそっぽを向いた。

 

「それにしてもどうしますか? このままでは颯也が危ないです。俺達にもあちらに行け且つ使える機体があれば……」

 

そう言ったのは、黒髪の男で、とても真面目そうだった。

 

「だがそんな事をすればあの世界はさらなるイレギュラーに悩まされるだろう。ここは颯也に任せろ。何しろ、俺のような人を滅ぼそうとした悪魔も救うぐらいだからな……」

 

こう言ったのは黒髪の男で、格好はキッチリとしていた。しかし、どこから見ても人であり、全く悪魔には見えないが……。

 

「皆さん、揃っているようでちょうど良かったです。これから皆さんには、颯也さんを助けてもらいたいんです。それで、その方法なんですが……」

 

そこに神様が現れた。同時に颯也を助ける方法をその場にいるもの達に話した。それを聞いた各々の反応は、それぞれ違った。

 

「わっ、私にそれをしろと言うのっ⁉︎ は、恥ずかしい……」

 

「私……大きな声とか、出した事があまりないんですけど……」

 

「で、でも颯也を助けれるなら……」

 

「そうね。私もこの状況なんとかしたかっし……」

 

「良いですね! ここから颯也に私達の歌を届ける……戦えないのは物足りないですけど、颯也の力になれるなら私、精一杯頑張っちゃいます‼︎」

 

どうやら女性陣は皆で歌を歌って颯也にエールを送る様だ。それに対し男性陣は……。

 

「……これ操作できますかね?」

 

「俺もこれは……機械には強いとはいえ音響操作とか自信はないが……」

 

「人類を滅ぼすために見てきた情報がまさかここで役立つとはな……」

 

主に男性陣2人は操作できるか不安がっていたが、残りの1人は少々自信がある様だ。

 

「皆さんには、それぞれ知識をインプットしています。ですからどうか自信を持ってやって下さい。その想いは必ず、颯也に届きますから」

 

神様のその言葉に、その場にいるもの達は精一杯やろうと決め、颯也にエールを贈るのだった。

 

 

 

 

 

 

side out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目の前に迫るのはアポカリプスの塊だった。あれがこの地に落ちることになれば、この世界は終わりを迎えるだろう。それを抑えようと1人の男が立ち向かおうとしていた。しかしそこでとある少女が、その男の歩みを止めた。

 

「待って下さい……どうか、私も一緒に連れて行って下さい」

 

その声を発したのは亞里沙だった。この場に残ったのは、颯也の手助けをしたいと思ったからだ。しかし颯也は……。

 

「ダメだ。危険過ぎる……俺は貴女を……亞里沙さんを危険な目には合わせたくない」

 

当然の如く断る。本来ならここで亞里沙は手を引くだろうと、勝手ながら颯也は考えた。それでも亞里沙は去ろうとしない。それどころか颯也に近づいていき……。

 

「っ⁉︎」

 

亞里沙は颯也を強く抱きしめた。まるで、どこにも行かないでというように、次第に抱きしめを強めていった。

 

「私はもう……貴方を失いたくない! できることなら……いつまでも貴方と一緒にいたい‼︎ 例え……私自身が危険な目にあっても、もう私は貴方を離しません‼︎」

 

「……全く貴女は……どうやら俺が何と言おうと引かない様だ。分かった。俺も覚悟を決めよう。貴女が俺と一緒の道を進むと言うのなら……俺は貴女を……どんな災厄からも守ろう。だから……俺と一緒に来てくれないか?」

 

「っ‼︎ はい‼︎ 私はいつまでも貴方と一緒に参りますわ♡」

 

そして2人は強く抱きしめ合う。自分がここにいると……愛しい人が目の前にいると確かめ、感じあう様に……。

 

そして颯也は一旦抱きしめをやめて、亞里沙さんにある事を問うた。

 

「亞里沙さん、貴女がこの場にいるということは、貴女も狙われる事になる。だから、やむ終えないけど貴女のヴォイドを取り出してもいいか?」

 

「えぇ、問題ありませんわ。寧ろ……来て下さいな♡」

 

……俺がこう思うのは気のせいかもしれないが……亞里沙さんが俺を誘惑している様な気がするのは気のせいか? それに、俺の右手を掴んで自分から胸に誘導しているし……。

 

いや、今はそんな事よりも亞里沙さんのヴォイドを取り出さないとな。失敗した後なんてそんなのはその時考えれば良い! えぇい! ままよ‼︎

 

「んっ……あんっ♡」

 

俺の右手が亞里沙さんの心の中に入っていた。そして無事にヴォイドを取り出したが、なんか亞里沙さんが心なしか気持ち良い……という様な表情をしている気がする。しかもさっきの……あえ……いや、これ以上言ったら取り返しが付かない気がするからもう思わない様にしよう。

 

(それに何故かさっきから背中が凍る様な感覚なんだが……あのチビマロのアポカリプスのせいか?)

 

まぁそれは後から考えても問題ないなと判断した颯也は、自分のヴォイドで身を守る様に亞里沙に指示し、それが終わるとアポカリプスと対面する様に宙に浮かんだ。

 

それと同時に、その場に歌が聞こえた。それは、この世界では聞いた事のない複数人の女性の声だった。しかし颯也としては聞きなれた声であり、その女性達の歌を聞くと体から力が湧き出る様な感覚がした。

 

そして颯也の体から青い本流が巻き起こり、目の前にタロットカードが2つ舞い降りた。

 

「2体同時召喚……」

 

そのタロットカードを両手で握った。ガラスが綺麗に割れた様な音が響く。それと同時に颯也の目の前には、2つの剣を結合させた様な変わった形の剣が握られていた。頭を兜で多い、体は純白のマントで覆っていた。

 

もう一方も同じ様な剣と姿だが、色は血に染まった様な赤黒い色をしていた。

 

「伊邪那岐大神……禍津伊邪那岐大神……あの元凶どもの数を減らせ」

 

颯也のその言葉により、2体は前に飛び出して、無限に作られていく勢いのアポカリプス兵を一掃し始める。剣で斬り裂き、または雷で消滅させたりなどしていた。

 

「さて……俺は俺で自分の本性を曝け出すか」

 

颯也は自分の右手に刻まれた王の力をもって、自分のヴォイドを取り出した。それは……黒い王冠だった。それを右手に持ち、空高く掲げた。

 

「これは……誰かの罪と誰かに起こる理不尽を許容せし王冠である。世界に散らばりし罪よ……誰かを理不尽にする根源よ……俺の元へと集え‼︎」

 

そう言った瞬間、颯也の持つ王冠に人の感情が流れ込んだ。それも1人2人ではない。幾千幾万といった感情が、颯也の王冠を通じて颯也に流れ込む。

 

(あぁ……これが痛みだ。憎しみだ。怒りだ。この世界の人達が背負ってきた……。だからそれら全てを……俺が背負う!)

 

やがてその王冠は人に宿ってしまったアポアリプスを全て受け取り、颯也の胸の中に戻っていった。同時に颯也の体が光り始めた。

 

「この世界の元凶を今断つ! ドラケンIII‼︎」

 

颯也がそう唱えると、颯也の体を黒と金で主に色付けされた鎧が覆った。人型ではあるものの、所々フォルムが細く、胴の部分はかなり細い。

 

「さて、俺も事を成すとしよう」

 

颯也がそう呟いた瞬間、颯也は“変形”した。戦闘機の形となり、アポアリプスが次々と生み出している兵をレーザー機銃で一掃する。

 

その状況にアポアリプスは兵だけではなく、颯也を真似て戦闘機と対空砲塔も生み出した。戦闘機は生み出されると真っ先に颯也に向かっていく。砲塔も颯也を捉えて射撃を開始する。

 

「ほぅ……俺に狙いを定めるか」

 

しかし颯也はそれを意に介さず、迫り来る砲塔からの射撃と戦闘機の攻撃をひらりと躱す。

 

「だが……俺に付いてくるのはまだまだだ」

 

その一言を呟くと、一気に攻勢に転じる。戦闘機の形であるファイターモードから、戦闘機に足と腕を生やした形のガウォークモードに変形すると、戦闘機ではできない攻撃を仕掛けた。

 

ファイターモードを直線での動きと例えるなら、ガウォークは人型の時と同じで上下左右立体的に動く事ができる。そのため、変則的な行動が取れる颯也の動きにアポアリプスの戦闘機はついて行けず、次々と颯也の攻撃にのまれた。

 

その間にもこの戦場に響き渡る歌は2番目に入ろうとしていた。

 

「もうそろそろ頃合いだな」

 

ガウォークモードからバトロイドモードに切り替わると、右脚に収納されている長剣を取り出し、アポアリプスの砲塔を次々に斬り裂いていった。

 

その間にアポアリプス兵を一掃していた伊邪那岐大神と禍津伊邪那岐大神は颯也に指示された場所に移動し、自分たちが持っている剣を十字の形に結合させた。

 

そこに颯也も戻ってきた。同時に、長剣だけを残して装甲をパージした。

 

一方のアポカリプスは、この状況に自らの危機を感じたのか、颯也目掛けて特攻する。が、それを許す颯也ではない。

 

「貴様の弱点を晒せ」

 

そう言いながら右手で持つ長剣を、伊邪那岐大神達が結合した剣に向けた。すると、結合した剣はその場で横に一回転した。同時に剣が結合する中心部の輪の部分が透明な波紋で揺らぐ。その波紋から3度、衝撃がアポカリプスに撃ち出された。それによってアポカリプスの表面は剥がれ、やがて炉心が見えた。

 

それを確認した颯也は、両手で長剣を持ち、左下に刃が来る様に構えた。そして一気に透明な波紋の揺らぎの中に飛び込むと、透明な波紋もそれに呼応するかの様に颯也を撃ち出した。

 

「Right now at this moment……」

 

「Right now at this moment of all‼︎」

 

アポカリプスの炉心は、颯也のその言葉と共に斬られ、消滅した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アポカリプスが崩れ去った今……颯也は愛しき人の元へと向かった。

 

「亞里沙さん……終わらせてきたよ」

 

その言葉に、亞里沙は涙を流しながら嬉しそうに頷いた。そして、どちらともが共に歩み寄ると……2人は互いを抱きしめあった。

 

「ここでやる事も終わった。多分俺はすぐにここから去る事になる。それでなんだけどさ……俺は、さっきも言ったけど、亞里沙さんと一緒にいたい。だからもう一度言う。俺と一緒に……来てくれないか?」

 

その問いに……亞里沙は涙をながしながらただ一言だけ「はい♡」と返事をした。

 

それと同時に颯也と、そして亞里沙の体が光り始め、次の瞬間には、その場に2人の姿は無かったと言う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「愛護颯也……今回の救済、誠に見事でした」

 

俺の視界に移ったのは、優しい顔をしながらそう言ってくる神様だった。それに俺は、ありがとうございますと感謝を述べる。

 

「そして……供奉院亞里沙さん、この場にあなたを呼んだのは、あなたに道を選ばせるためです。颯也と共に歩むか……はたまた元の世界へ戻るか……あなたはどちらを選びますか?」

 

「私、供奉院亞里沙は宣言します。私の身は、全て愛護颯也に捧げると誓いますわ。それが、女神様に対する私の答えですわ」

 

亞里沙は瞬時にここが神聖な場所だと判断し、そこから目の前にいる神々しいオーラを放っている女性を女神だと導いて、丁寧に答えた。

 

「分かりました。その選択が、あなたに幸が訪れん事を願いましょう」

 

亞里沙のその答えに、神様は笑顔で返事をした。そして、再び颯也に顔を向けた。

 

「愛護颯也、貴方があの世界で回収したものをこちらに渡してもらえませんか?」

 

神様がそう言う。颯也はそれに応えるように、自分の胸に右手を入れ、そこから自分の心である王冠を取り出した。そして両手でそれを持ち、神様に献上した。それを神様は丁寧に手に取った。

 

「確かに受け取りました。あの世界の罪の元凶……本来ならば紛れ込んではいけないものです。それも元は私達が管理をしていました。ですが、いつのまにかそれがあの世界に入り込んでいたのです。それを貴方に何の説明をせずに送り出してしまいました。本当に……申し訳ありません」

 

神様は俺に対して謝ってきた。確かに……自分達が管理していたものを、いつのまにか無くしたとはいえ、他の人に回収させるというのは……第3者から見たらお門違いだと考える人も多いだろう。でも俺は……。

 

「神様……俺はそれに対して怒っていません。寧ろ感謝しているんです。こんな俺にも、まだ助かる事ができる命があるんだって……こんな事、前世ではできなかった。ただ人に優しくするだけで……何もできなかった。そう思っているからこそ、俺は今の生き方が好きです。だから……こんな生き方を与えてくれた神様に、感謝こそすれど怒るなんて事ありません。謝らなくても良いんです。ですから、どうか頭を上げて欲しいです」

 

「……私達が黙っていたのに……それさえも貴方は許してくれるのですか?」

 

「何か都合があったんだと思います。だから黙っていたんでしょう? それに、俺もそうするつもりでしたから。許すも何も、それに対して何とも思ってないです」

 

「……そう、ですか。分かりました。もうこれ以上は言いません。それと、愛護颯也に対する転生資格についてですけど……貴方は正式に転生する権利を得ました。転生する場所は言えませんけど……」

 

「そこは大丈夫です。どんな世界であれ……俺のやる事は変わりませんから」

 

「ふふ……やはり貴方は変わらないのですね。自分のできる精一杯をやる……そんな貴方だからこそ、付いていきたいという人達が大勢いるのでしょうね。私も神という役職についていなければ……貴方と一緒にいたいところです。話が長くなってしまいましたね。それで最後に言うのですが、颯也と亞里沙さんは、最初は離れた所で生活してもらいます。転生すると言う事で、能力はそのままですが年齢をリセットしないといけないのです」

 

「そんな……颯也さんと離れ離れになってしまうのですか? そんなの私……」

 

「亞里沙さん……そんなに悲しい顔しちゃダメだ。こうなる事は、俺も予想していたよ。確かに悲しいけど……でも、いつか会えるんだから。同じ世界に行くんなら必ずいつか会える。俺が約束するよ」

 

「颯也さん……分かりましたわ。いつかまた会えるのなら、その時は……いえ、いつまでも貴方を愛し続けますわ」

 

「話は決まりましたね。では……お別れの時間です。お2人に幸あることを……私達はここで見守らせてもらいますね」

 

「はい、見ていて下さい。神様……ありがとうございました!」

 

そして颯也と亞里沙は光に包まれ、その場から消えた。

 

「感謝を言うのはこちらの方です……ありがとうございます、愛護颯也」

 

ここから物語は切り替わる。今……颯也の物語は転生者として道を歩み始める。




いやはや……ギルクラ編終わりました! やっとです‼︎

自分としては、よくここまで書けたなと思ってます。しかしながら、小説の熱を冷ますことなく、これから本編に突入しようと思うので、どうか楽しみにしていて下さい‼︎

それでは、解説に入ります。



インディグネーション

テイルズシリーズの呪文で、雷の一撃が広範囲の敵を攻撃します。呪文の中では秘奥義にクラスに入るほどの高威力を誇ります。

伊邪那岐大神

ペルソナ4において、主人公のペルソナが進化した姿です。詳しくはウィキペディアなどを参照して下さい!

禍津伊邪那岐大神

伊邪那岐大神の色違い版です。本来は禍津伊邪那岐なのですが、今回は主人公補正もあり、神の領域にまで昇華しました。色合いは今回の本編で述べた通りです。

Sv-262 ドラケンIII(キース・エアロ・ウィンダミア機)

マクロスΔに出てくる機体であり、その物語に出てくるキースという登場人物専用の機体です。黒い装甲に金色の装飾を施しています。

何故この物語に出したかについてですが、作者がマクロスΔのキースが好きであり(生き方など)、また今回の作品の主人公の容姿もキースにそっくり(というよりほぼキースさんだから)という理由もあって出しました!

戦闘中のBGM

絶対零度θノヴァスティク

マクロスΔにおいて主題歌にもなっている曲であり、ワルキューレが歌っている。

今作品ではワルキューレの登場人物は1人も出ていない。なら歌ったのは誰か? 本編の方を見て予想して見て下さい‼︎

と言うことで……ギルクラ編終了です‼︎

これからはハイスクールD×Dの物語を書いて行くので、皆様どうかお付き合い下さい!

それではまた会いましょう‼︎
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