ハイスクールD×D 理不尽壊しのリインカーネイション   作:橆諳髃

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「……これ完全にF○O絡みだろ?」

えぇその通りです! そして2週間ぶりの投稿ですね‼︎ いやぁ、書くまでちまちま書き連ねてました……

「まぁ……大変だったんだな。でもそれはともかくとして、今回の話を進めようか!」


40話 人類悪になったとしても……前編

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まただ……また夢を見た。どこかの和室で、黒い髪の女の子が布団の中で寝ていた。それもかなり顔色が悪い。どうやら何か病にかかっている様だ。

 

その女の子の様子を見にくる人達はいる。だが……皆一様に反応が同じだ。

 

可哀想……お気の毒に……御愁傷様……

 

そんな言葉だけだ。何もやろうとしない。医者も呼ぼうとしないし病院に行かせようともしない……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(なんなんだコイツらは……)

 

まるで常識がなっちゃいない。そして俺はいつまでもこんな状況を見ていられない。だが……

 

(ハイスクールの世界にこの子はいただろうか?)

 

見覚えがない……

 

『確かに彼女は……この世界の住人ではありません』

 

そ、その声は……神様?

 

『お久しぶりですね。貴方の成長をいつも楽しみに見ていますよ。それでなんですけどね……颯也にお願いしたいことがあって……』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

神様からの話を纏めるとこうだ。

 

・他の神様が俺に頼み事として夢に出ている少女を救って欲しい。

 

・期限は5日(しかしこちらの時間軸には1時間しか影響はない。

 

・やり方はこちらに任せる。

 

・頼み事が無事に終わったなら、その少女は自由にして良い事。

 

簡単にしたらこうだが……4つ目はどんな意味なんだ?

 

まぁともかくとしてエレナさん達にこの事を伝えよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして話した結果……

 

「全く……神様とやらも人使いならぬ颯也使い荒いんだから!」←エレナさん

 

「やはり神は忌むべき存在ですね‼︎ せめて私も連れて行って欲しい所だわ‼︎」←ジャンヌさん

 

「しかし、神から直々に颯也さんへの頼み事と言う事は……それだけ颯也さんの事を頼っている証拠ですよ」←ジール

 

「むぅ〜……颯也と触れ合う時間が短くなる……」←オーフィス

 

4人からはこう言われた。因みにジールは、朝早くに2人と会って昨日の事を謝り今に至るそうだ。だから2人からお咎めもない。まぁ2人としては……気持ちは痛いほど分かると言っていたけれども。

 

因みにオーフィスはこの前正式に俺の家族になった。なんでも前まで所属していた渦の団(カオスブリゲート)を数年かけてバレない様に抜けてきた様で……それがいつまでバレないか分かりはしないが。

 

まぁでも……

 

「心配はしてくれて嬉しいよ。俺だって、もしエレナさんやジャンヌさん、ジールにオーフィスが、俺にとっての大切な人達が危険な目にあってしまうと分かったら同じ様な事を思う。だけど……やっぱり俺も、苦しんでいる人を夢の中でとはいえ見てしまったら放って置けないから……」

 

「……はぁ、颯也だったら当然よね。私達がいくら心配しようと突っ走るし?」

 

「ハハ……ごめん」

 

「ほんとよね〜。でも、私達は颯くんのそんなところに惚れたんだから……だから気を付けて行ってらっしゃい」

 

「エレナさん……」

 

「颯也さんなら、問題なく戻って来ると……そう信じて待ってますね?」

 

「ジール……」

 

「後で我が思った様に構え。それが条件」

 

「オーフィス……うん。分かったよ」

 

「そういえばさ……なんでジールとオーフィスの事は呼び捨てで、私達は呼び捨てじゃないの?」

 

「えっ⁉︎」

 

「確かに……颯くん、どうしてかしら?」

 

「えっ、えぇっとぉ〜……ごめん‼︎」

 

「あっ! こらっ、待ちなさい‼︎」

 

元の姿に手早く戻って、俺は玄関の方に駆け出す。それに遅れてエレナさん達も追ってくるが、やはり追いつく事なく……

 

「無事に戻って来るから! それじゃあ行ってきます‼︎」

 

俺は玄関から勢い良く飛び出して、そこから神様に夢で見た少女がいる世界に転送してもらった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

転送先は、どこかの山の中だった。道がある事から一応の整備はされている様だけど、車が通れるほどじゃない。

 

「とりあえず歩けばどこかに行くつくだろう」

 

そして俺は足を進めた。

 

 

 

 

 

 

 

30分後……

 

 

 

 

 

 

 

 

少しばかり山を登ると、石段で出来た階段数段と山門が見える。確かに夢に出てきた物と合致する。おまけに山門で立っている人の格好も同じときた。

 

(おまけに外からの侵入者に備えて武装してるし……)

 

まぁ、許可ない者は立ち入りを禁ずると言うところだろうな。ともかく中に入らなければ話にならない。

 

「むっ……貴様、何奴だ?」

 

「私ですか? 見ての通りですよ」

 

見ての通り……と言っても、何を言ってるんだこいつはと思うだろう。だがそこは心配ない。世間一般でもその格好を見ただけで分かる服装に今はなっているからな。

 

普段そのままにしている髪は後ろで一括りにまとめて清潔感が出る様に、黒のズボンに白のワイシャツ、その上から颯也の身長に合った丈の白衣とおまけに眼鏡……皆様はもう気付いていると思うが……

 

「むぅ〜……っ! なるほど‼︎ ではそなたが例の?」

 

「えぇ、あなたが支えている宗派の代表の方からは話が通っていると思いますが……」

 

「先ほどの対応失礼申しました。では、こちらからお通り下され」

 

「いえ、こちらも失礼な対応をしました。今回はおあいこという事で……では失礼します」

 

こうして颯也は山門をくぐり抜けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて……確か記憶通りだとここをまっすぐ行って右に曲がった所の部屋だったはず……」

 

夢に出てきた映像を頼りに進む。ここに至るまで合わせて35分……今回はハイスクールの世界での事ではないために、この姿が1時間で元に戻るという事はない。だが時間は有限だ。だからできうる限り早く治しておきたい。

 

「ここ……で合っているかな?」

 

ここの建物はほぼ武家屋敷等と同じ様な構造で平屋建てだ。だがここには、ここに属する宗派の人達も住んでいるから、昔の武家屋敷と比べるととても大きいかもしれない。確かここの宗派は……

 

(真言立川詠天流……だったかな?)

 

ともかく、ここで誰かが助けを呼んでいる事は確かなんだ。例え口に出していなくても……俺は救う。

 

ここで足を止める。理由は目的地に着いたからだ。目の前には、武家屋敷らしく障子の仕切り扉がある。俺はそれに手を掛けてゆっくりと横にスライドさせる。その部屋に入ると、机や家具一式が揃えられてはいたが、どう考えても現代の子が住んでいるとは思えない様な、そんな殺風景な部屋だと印象に残る。そして左には襖で仕切られた部屋がある。どうやらそこに助けを求めている子がいる様だ。

 

「さて……行きますか」

 

俺は襖の取っ手に手を掛けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side ???

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昔から私は病弱だった。そのせいでまともに外の世界を見た事はない。私を世話してくれる人はいるにはいるが……それでも自分の体を満足に動かさない私は自分に対して情けないと思っていた。

 

でもそれ以外に私は……周りの人達に対する興味はとっくに失せていた。いえ……人とは思えなくなっていた。昔に読んだ本に出て来たような……そんな清い人はいないのではないか? 苦しんでいる私を見た大人達の反応は……皆一緒だった。可哀想……それだけで済ました。

 

私はこんなに苦しいのに……辛いのに……誰も私の事を救ってはくれない。

 

そんな状況が生まれた時から続いている。

 

(私は……悪い事はしてないはずなのに……どうして皆助けてくれないの?)

 

その病は……本来は簡単に治るはずのものだった。しかし……ここに居と宗派を構える代表……父親にあたる存在は、外来との関わりはほぼ絶ってきた。

 

だがここ最近になって、その父親にあたる人物は外来から医者なるものを呼び寄せる予定のようで……いつになるかは分からないが病弱な子の耳にも入っていた。

 

だが病弱な子は信用しなかった。何故なら、これまでに1回も医者という存在を見た事が無かったからだ。この14年間1度も……

 

我が子が病気ならば、普通の親はすぐさま病院に連れて行ったり医者を何回も呼び寄せている事だろう。だが……それは1回も無かったのだ。

 

だからこそ信用しない……いや、できないでいたのだ。例え方としても、自分の事を本気で見ないのかもしれない。そんな思いが頭の中を駆け巡る。

 

そんな負のスパイラルに陥っている時だった。襖がいつの間にか開いていたのだ。この時間……使用人が来る時間帯では無い。それどころか確認もせずにこの部屋に踏み入る事もない。だが……さっきまで閉まっていたはずの襖は開いていたのだ。

 

「驚かせてしまった様で申し訳ないね」

 

不意にその言葉が聞こえた。聞こえたのは自分の真横からだ。さっきまで誰もいなかった筈ではあるが……恐る恐るそちらに顔を向ける。するとそこには、

 

「君が病に苦しんでいる子だね? 確か名前は……殺生院祈荒さん、で良かったな?」

 

長髪の金髪で白衣をまとった男が、病を患っている少女、殺生院祈荒に優しい笑みを浮かべていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(この病は……普通に治る)

 

颯也は祈荒を一目見ただけだが、病院に行けば普通に治るものだと分かった。

 

「あなたは……誰ですか?」

 

「私ですか? 私は、あなたの病を治しに来た者ですよ」

 

「……本当に?」

 

「えぇ、本当です。その証拠に、今すぐあなたを蝕む病を払い除けましょう」

 

「えっ? そ、そんな事すぐに……っ⁉︎」

 

祈荒は……すぐに実感した。今までに自分の体を覆っていた様な倦怠感、身体の節々で感じられた痛みやその他諸々が治っていた事に。彼女は颯也がやっていた事を見ていたが、だがそれでどうやって治したのか分からなかった。何故なら……颯也はただ祈荒に対して自分の手をかざしただけだったのだから。

 

「本当に……治ってる……」

 

「これで信じて来れたかな? 私が医者だって事」

 

「……ないの?」

 

「ん? まだ信じてもらえないかな?」

 

俺は、目の前で寝ている少女、祈荒ちゃんがなんて言ったのか聞こえなかった。俺としては、まだ自分が医者じゃないと思われている。そう思って聞き返したんだが……

 

「見返りは……見返りは求めないのですか?」

 

彼女が切り出して来た言葉がそれだった。

 

「見返り?」

 

「そうです……私はこの14年……医者に診てもらったことはありません。この宗派の代表が……お父様が外とあまり関わりたくないという事は知ってます。ですが……そんなお父様が態々外から医者を、しかも今になって呼び寄せるなんて……何か裏があるに決まっています。それで……見返りはなんですか?」

 

なるほど……要するに自分をタダで治した方が信じられないといったところか。まぁ確かに本来なら医者はタダでは治さないんだけど……生憎俺はタダ、無償でやっている。だから見返りなんて求めていないんだが……

 

「私は見返りなんて求めませんよ?」

 

「そんなの……嘘に決まっています! だってもう……この世にはそんな都合が良い人なんている訳がありません‼︎ 周りの……私に接する人達皆! 私を哀れむだけで何もしようとしなかった! いつもいつも同じ目ばかり向けて……だからもうこの世に……本の中に出て来る清い人など……何も見返りを求めない人など……」

 

「……嘘なんかじゃないです」

 

「……えっ?」

 

「私は……あなたを治した代償に何かをもらおうなんて思わない。少しだって思わない! 何故なら……それが私にとっての当たり前だから。確かに私は……あなたが読んだ本に出て来る様な清い人ではないです。でも……それでも私は、あなたに対して何も見返りを求めようとはしないという事は信じて欲しい」

 

祈荒は……颯也の言葉を聞いてどうしたら良いか分からなくなってしまった。颯也の瞳を見ても……嘘を言ってる様な目には見えなかった。このまま自分が見返りは何かを問うたとしても、千日手になる事は目に見えていた。そんな時……

 

「祈荒よ、先日伝えてあった様に医者を連れて来た。入るぞ」

 

それは厳かな男の声だった。しまっていた障子扉が開く音がし、祈荒には自分の部屋に2人ぶんの足音が入って来たと感じられていた。そして閉じられていた襖も開いた。そこからは、スキンヘッドで顔が厳つく和服を着た男と、白髪でまん丸眼鏡をかけ白衣を纏った、どこからどう見ても医者ですという男が入ってきた。

 

「待たせたな祈荒よ。お前の病気をやっと治してくれる医者が……っ⁉︎ だ、誰だ貴様は⁈」

 

そこで着物を着た男……多分祈荒を呼び捨てにしているところから彼女の親類にあたる人だろうその男は、颯也の存在に初めて気付いた。

 

「私ですか? 私は通りすがりの医者ですよ」

 

「馬鹿を言うな! 誰が好き好んでこんな山奥の屋敷を、しかも屋内を通り過ぎる者がいると言うのだ‼︎」

 

「ここにいるのですが……まぁそれはさておきとして……」

 

颯也は男の隣にいる白衣の男性を見た。

 

「あなたは……魔術師ですね?」

 

「っ⁉︎」

 

「なに? 魔術師だと? 馬鹿を言うのも休み休みに言えよ? こちらにいるのは、祈荒の難病を治す医者だ。変な言い掛かりはやめてもらおうか?」

 

「変な言い掛かりではありませんよ。私には特殊な能力がありましてね……人の波長を読み取る事が出来るんですよ。その証拠に、その医者と名乗る男からは魔術の波動がダダ漏れでしてね……普通の人なら何も見えませんが、魔術師となると体を囲む様に青い波動が包んでいるんですよ。そしてそこの男の人が体から波動がダダ漏れという事は……何らかの魔術を使おうとした表れ……ですから私はその男を魔術師と呼ぶんですよ」

 

これは勿論嘘……と言うわけではないが、それでも颯也には分かってしまう。この世界は確かにハイスクールの世界とは違うが、魔法を扱う際に使われる魔術回路がONの状態であったのならいとも簡単に見抜ける。例え魔術に対しての才能がある無い関わらずだ。

 

「……ふふ」

 

「? せ、先生?」

 

「フハハハハハッ……何ともバレたのが早かったですなぁ……」

 

「な、何を仰っているんですか?」

 

「そのままの意味ですよ。私は確かに医者です。表向きはね? ですが裏では魔術師として生きている。そして私が主にテーマを置いているのは……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「珍しい魔術回路の収集なんですよ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

男がそう言った途端、男の周りに白く輝く物体が4体出現した。

 

「こ、これは⁉︎」

 

「あなたには少し眠っていただきますね?」

 

「グアッ⁈」

 

「お父様‼︎」

 

祈荒が心配そうに叫ぶ。お父様と呼ばれた人物は、4体のうちの1つから何らかの衝撃をくらい、壁に激突して意識を失った。それを見た祈荒は、先程まで布団から上半身を起こしていた体を動かし、父の元へ向かう。

 

「さぁ〜て、私は殺傷は好みません。そこのあなたも、私の邪魔をしないのであればこちらからは何もしませんよ?」

 

既にその男の顔は勝ち誇っている様だった。殺生院の党首は、確かに調べた限りでは厄介に思えた。しかし今は不意打ちで気を失っている。後は目の前にあるこの男が何もしなければ、問題なく珍しい魔術回路が手に入る……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

男はそう簡単に思ってしまっていた。

 

「……はぁ〜。私もあまり殺傷は好まないんですけどね……」

 

颯也の左手に、いつの間にか鞘に収まった日本刀があった。颯也は右手でその鞘から刀を抜く。魔術師の男は警戒した。だが……

 

「ふっ、フハハハハハッ‼︎ 何を取り出すかと思えば! そんな錆び付いた刀で何が出来ると言うのだ‼︎」

 

その声とともに男の周りにいた物体は一斉に颯也に襲いかかる。それを見ていた祈荒は、もうどうしようもないと諦めて目を瞑った。そして何かが儚く崩れ去る音がした。それも4回……祈荒は、自分を治してくれた男の刀が壊れた音だと……

 

(……えっ? 4回?)

 

祈荒は恐る恐る目を開けた。そこには、先程と変わらずヒビすら入ってない錆びた刀を持った颯也と、自分の召喚したものを倒されて唖然としている男の姿があった。

 

「なっ……何が⁈」

 

「次はお前だ……」

 

その言葉が男に投げかけられた瞬間、颯也はいつの間にか男の背後にいて、鞘にゆっくりと刀を納めるところだった。鞘と鍔がぶつかり合った音が鳴ると、男は断末魔もあげず前に倒れた。

 

「命までは取っちゃいない。ただ……もう魔術師とは名乗れないがな?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後はと言うと、祈荒の父親が目を覚まし、それを確認した祈荒が涙を浮かべながら安堵していた。祈荒と父親との親子関係はそこまで良くは無かった。母親は祈荒を産んで数年したのち病気にかかり、医者に診てもらったものの原因不明……そしてそのまま命を落とした。それを気に祈荒の父親は外の世界に干渉しなくなった。

 

祈荒が病弱である事は……産まれた時から分かっていた。だが母親の件があったために、もう医者に頼る事はしたく無かった。そのため、親子間でのスキンシップは生まれなかった。

 

祈荒が10歳になった頃……父親は迷っていた。果たしてこのままにして置いていいのかと……

 

だがそんな中で偶然にも知り合ったのがさっきの魔術師だった。目の前でその男が魔術師と名乗るまでは医者と信じていたが、最後には裏切られる形となった。

 

その際助けてくれたのは目の前の金髪の少年だった。祈荒から話を聞くと、瞬きする暇も無かったのに一瞬で男を倒したのだと言う。

 

それを聞いた祈荒の父親は、先程の無礼を謝罪するとともに、颯也の事を客として扱うと言った。颯也としては、自分がそうしたいからそうしたまでだったが、祈荒の父親の懇願に折れて仕方なく何日か置いてもらうことにした。

 

 

 

 

 

 

side 祈荒

 

 

 

 

 

 

 

あれから1日過ぎた。昨日は、久し振りに庭に赴いていて散歩をしていた。そして私の傍らには、私と私の父親を助けてくれた男の人がいた。名前は愛護颯也といって、私とそこまで歳は離れていないと言っていた。

 

でも颯也さんは……何故か他の同年代の子、私は病弱だったが故に外の世界に行った事は無いし、私と同じ歳の子がどんな風なのかは分からないけど、でも颯也さんは私が思い描いていた同年代の子達とは違うと思った。

 

どこがと言われれば、会ったばかりで明確には言えないけれど、どこか大人っぽく感じた。

 

「ん? 私の顔に何か付いていますか?」

 

どうやら無意識の内に彼の顔を眺めていたようだ。とっさに何でも無いですと言って顔を彼から背けた。名残惜しいという思いと同時に、顔が熱く感じた。それに胸の鼓動も……

 

(私は……どうしてしまったの? また病気になってしまったのかしら?)

 

「祈荒さん、顔が赤い様だけど、熱でも出たのかな?」

 

「えっ⁉︎ い、いえ! そう言う訳では……」

 

「遠慮はいりません。病気は治したといっても病み上がりです。急に体を動かした事によって疲れたのかもしれません。一旦部屋に戻りましょうか?」

 

「は、はい……」

 

私は颯也さんと一緒に私の部屋に戻った。

 

部屋に戻った時、颯也さんに座る様に言われた。そして……

 

「少し、じっとしていて下さいね」

 

「っ⁉︎///」

 

何をするかと思えば、なんと颯也さんが私のおでこに彼のおでこを優しく当てていた……と言うよりも、

 

(ち、近い……///)

 

彼は目を閉じて集中しているので羞恥はそこまで感じていないと思いますが……私は思い切り恥ずかしさを感じていた。顔全体がさっきよりも熱くなるのを感じる。そして心臓もうるさいくらいに高鳴って……

 

「ん〜……熱では無い様ですね。でも、今日はゆっくりと過ごす事をお勧めしますよ」

 

「……」

 

「祈荒さん?」

 

「はっ! はい⁈」

 

「やっぱり少し疲れが出たんでしょう。安静にしていて下さいね?」

 

「わ、分かりました……」

 

「えぇ。では、私はあてがわれた部屋にいますので、何あったらこれで呼んで下さいね?」

 

颯也さんに携帯電話? みたいな物を渡されて、使い方を習った。使い方が分かると、颯也さんは私の部屋から去って行った。

 

しかしながら颯也さんが去った後も、私の顔から熱がひくことも、心臓の高鳴りが治まることも無かった。

 

それが昨日あったことで、今日はいつもより早起きをした。外に出てみると風が心地よく感じた。そう思っていると、庭の方から何かが振られる音がした。

 

なんだろうと思って行ってみると、颯也さんが昨日出していた刀で素振りをしていた。服装は昨日の白衣に包まれた格好ではなく、黒の和服だった。そして長い髪も邪魔にならない様に後ろで括っていた。

 

(まるで侍みたい……)

 

そこまで思ったところで私はある事を思いついて、屋敷の中に戻って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は素戔嗚からもらった刀で素振りをしていた。昨日久し振りに刀を振るったが……素戔嗚とやりあった時より鈍っていた。少し危機感に思ったため、勝手ながら庭に出て素振りをしていた。回数は1万と7700程だった。

 

それからも降り続けて、回数が2万に達したこともあって、キリがいいなと思って休もうと思った。そんな時だった。

 

「おはようございます、颯也さん」

 

そこにはタオルとお茶を用意して縁側に座っている祈荒さんがいた。

 

「あぁ……おはようございます」

 

「随分熱心にしていた様ですから、こちらに汗を拭くものとお茶を用意しています。こちらで一休み致しませんか?」

 

「えぇ、私も休もうと思っていたところです。それにしても、気が利きますね」

 

「これぐらいの事、殺生院に生まれたなら当然の事です。それに私達を助けてくれた命の恩人に無礼を働くなど言語道断の事ですから」

 

「そう、なんですね。でも嬉しいです」

 

そして俺は祈荒さんの隣に座って一休みした。その時に祈荒さんに自分のことを聞かれたが、半分くらい嘘を混ぜて聞かれた事を話した。まぁ本人が満足しているならそれで良いかなと思ったし……

 

それから合わせて3日間ほどキアラさんの家に泊まらせてもらった。その間は祈荒さんと楽しく話したり、祈荒さんの父親に頼まれて稽古をしたりとなかなかに忙しくはあったが、とても楽しく過ごせた。そして……

 

「もう行ってしまうのか?」

 

「えぇ、私にはまだやる事が残っているので、長居は残念ながら……」

 

「そうか……少し寂しくなるな」

 

「颯也さん……」

 

祈荒さんが俺に悲しそうな顔を向けていた。俺は少しでもその顔から悲しみが取り除けるようにと思って、彼女の頭に手をのせて優しく撫でた。

 

「ふぇっ⁉︎/// そ、颯也さん⁉︎」

 

「勝手ながら、祈荒さんの顔から少しでも悲しみが取り除けるようにと……」

 

「うぅ……恥ずかしい///」

 

「はっはっはっ‼︎ まさか祈荒がそんな顔をするなんてな……今までお前の事を放任してしまっていたが、そんな顔を見るとそれが愚かしく思えてくるな……」

 

「お父様……」

 

「さて、愛護さん。君はまだ若い事もあって様々な事を経験するだろう。悲しい事も辛い事も……もしなんだが、抱えきれなくなったらいつでも私を頼って欲しい。まぁ……万が一にもないと思うがね?」

 

「いえ、ありがたくその言葉を頂いておきます!」

 

「ふふ、そう行ってもらえて私も嬉しい」

 

「あの、颯也さん……」

 

「どうしましたか?」

 

「また……また私と会っていただきますか?」

 

「絶対の保証なんて……どこにもありません。でも……もし祈荒さんが私の事を、私にまた会いたいと願ったのなら、私はあなたにまた会いに行きましょう」

 

「嬉しい……私、次颯也さんに会う時までにもっと自分を磨いておきます! 貴方の……颯也さんの様になるために‼︎」

 

「それは……嬉しいですね。でも、無理しない様に。あなたの人生はまだこれからなんですから。では、私はこれで……」

 

そして颯也は山門をくぐり、祈荒達と別れた。それから数十分後……

 

『颯也さん、もうそろそろ次の場所に行ってもらいます』

 

(えっ? でも彼女は救ったと思うんですが……)

 

『いえ、まだです。本当の意味では……まだ彼女を救えてはいないのです』

 

(……分りました。次の世界に行けば、その意味も分かる事でしょうし。神様、早速ですが転移をお願いできますか?)

 

『勿論です。では、いきます』

 

その神様の声が聞こえた後、颯也はその場から光となって空高く登っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




「ところであの魔術師の出した白い物体って、モチーフは何なんだ?」

そうですねぇ……このアニメを観てない人には分りにくいと思いますけど、一応私の中ではオーバーロードにでてくる天使型モンスターですね。3話、4話ぐらいに出てきた、cv子安さんが使役していたモンスターです。

「あぁなるほど……。まぁ大体分かった。それで作者、次は後編の予定になると思うが……書くの難しくなるんじゃないか?」

確かに難しくなりそうです。でも頑張って書きますよ‼︎

「そうか! それは楽しみだな‼︎ それで読者の皆には、ハイスクールの本編まだかと思ってるかもしれないが、これも後々必要になってくる話なんだ。だからどうか我慢して欲しい……」

本当に申し訳なく思います。残念に思う方も多数いるでしょうが、早めに本編も書けるように頑張りますので、どうかこれからも宜しくお願いします‼︎
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