ハイスクールD×D 理不尽壊しのリインカーネイション   作:橆諳髃

57 / 71
53話 この町に不純な風が入り込んだか……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

はぐれ悪魔達をこの町から追放して数日が経った。それと忘れていたんだが……アルヴィンが言っていた攫われた貴族の子供は、どうやら俺たちが行く前にはマk……モンタークが保護していたようだ。だからあの場に行ってもはぐれ達の気配しか無かったというわけだ。だが忘れていたのは反省しないと……

※これはただ単に作者が入れ忘れただけでオリ主に落ち度はない。

 

それであれからも兵藤は頑張って悪魔稼業をしているようだ。だが本人が思うような成果は得られていないらしい。転生した悪魔は、人の欲望……つまりは願いを叶えてその対価に何かを得ることができれば、契約が成立する。つまりは成果が得られたと言うことになる。また、契約が成立したと言う事はお得意様になると言う事で、これも悪魔がその地域で活動するには大切な事の様だ。

 

因みに何で俺がこんな事を知っているかと言うと……原作知識を持っているからだ。まぁ俺が来た事でその知識とやらも使い物にならない時があるが?

 

(例えばあの時のはぐれ悪魔退治……本来ならバイザーだけを倒すはずだった)

 

しかしそこに別のはぐれがいて、バイザーとは組んで活動をしていた。それにあのはぐれが持っていた逆五芒星の紙……あれは完全にこの世界とは違う術式の物だ。

 

(俺や他の世界の人達が来た事で、敵側に変な奴が召喚されてる? と言う事だろうな)

 

「あら颯也さん? そんな怖い顔して……どうかなさいましたか?」

 

「祈荒さん……いえ、ただ少し考え事を」

 

それで今俺がいるところは学校の保健室だ。昼休憩で本来なら亞里沙さんと食べているはずなのだが、今回亞里沙さんは悪魔側で所用があるらしく学校には来ていない。と言う事で祈荒さんがいる保健室でお昼を食べていたのだが、いつのまにか考え事をしていたようだ。

 

「あまり1人で考えるのはよろしくありませんわ。もしよろしければ私にも相談して下さい。私も……貴方の過去を共有する数少ない存在なのですから」

 

「……そうですね。なら、少しだけ話を聞いてくれますか?」

 

「えぇ! 貴方の話ならなんでも聞きたいですわ‼︎」

 

そして祈荒さんに俺がさっき考えた事を告げた。祈荒さんは俺の話を最後まで黙って聞いてくれた。そのおかげもあってか、少し焦っていところも拭い去れた気がした。

 

「確かに……本来この世界には私達は存在しません。ですが、これも神の思し召しです。ですから私達は堂々とこの世界を満喫するべきかと」

 

「そう、ですよね。せっかく神様が俺を転生させてくれたのだから、それを楽しまないと損……ですよね」

 

「その通りです! 私も忙しいは忙しいですが、この世界は好きですね。しかしながら問題は……私達の他にもこの世界に存在するはずのない人達がいると言う事ですね。それも貴方の敵として……」

 

「えぇ。多分これは、俺が招いたことでもありますから……だからその責任は取ろうと思っています」

 

「それは……少し違いますわね」

 

「えっ?」

 

まさかここで祈荒さんの否定が入るとは思わなかった。だからちょっと面食らってしまった。

 

「貴方だけの責任ではないと言うことです。それは私も例外ではありません。私も本来あの場で命が尽きるところでした。それを貴方は、自分の身を顧みず救ってくれた。そんな貴方の優しさに私は惹かれ、そして惚れて貴方について行こうと決めたのです。他の貴方について来た方々も、私と気持ちは似通っているはずです。だからこれは、貴方だけが負う責任ではありません。これは、私達全員が負うべき責任です。ですから颯也さん……あまり1人で抱え込まないで下さい。私も、貴方の事を支えますから」

 

そう言われて、凄く嬉しかった。いつも……自分がなんとかしようと、自分が辛い道を行けば他の子は楽な道を歩けると……そんな風に思っていた。でも多分それは自己満足だ。今まで経験して来た道の中で、俺と一緒に歩みたいと思ってくれた人達もいたんだと思う。その人達が、俺に付いてきた子達なんだろうけど。だけど俺は……他の子達がそうする事で傷付く姿を見たくはなかった。俺の事を思っている人達も、俺の事をそう思って付いてきたんだろうけど……

 

(でもやっぱり……俺にとっての大切な人が傷付くよりかは、俺が傷ついた方がマシだ)

 

「また難しい顔をしていらっしゃいますね」

 

「えっ? あっ……ごめんなさい。また考え込んじゃって……」

 

「いえ、考える事は人にとって正しい事です。立ち止まっては考えて、自分の道を突き進む。本来あるべき人の姿ですわ。逆に苦難を抱えても考えずそのまま放置する者には、快楽さえおこがましい。そして私の目の前で一生懸命考えて答えを出そうとする貴方には……ひと時ですが快楽を与えましょう」

 

「き、祈荒さん? 何をっ⁉︎」

 

最後まで言い切る前に、祈荒さんに抱きしめられた。そして頭の位置は……他の女性陣が俺を抱きしめた時と同じ位置だ。左手で背中を支えられ、右手は俺の後頭部を優しく撫でる。そして頭頂部には、祈荒さんの顎が優しく乗っかっていた。

 

「私も……貴方を甘えさせたいのです。本来ならば貴方は思春期……女性にこうされて胸踊っても良いのですよ?」

 

「……恥ずかしさはあるんですが」

 

「それが顔に出ていないのが残念ですわ。貴方の恥ずかしがる顔は滅多に見られないものですから。それでも貴方のそのルンは正直ですわね」

 

祈荒さんが言うように、顔には出ていないが俺のルンは正直に反応している。このルンと言う物は……とある作品を見ていれば大体分かると思うが、風を読む力がある。どれほど自らの存在を抑えようと、自然に噴き出る風は抑えられようがない。だから例え姿が見えなくとも、俺は感知できる。

 

だがこのルンにはそれだけができるわけではない。おまけと言えばそれまでだが、このルンは自分の感情も表すことができる。さっき祈荒さんが言ったように、顔には出なくともルンは自分の感情を正直に示してしまう。怒り、悲しみ、喜び、羞恥……と、ここまで説明してみせたが、なんかネガティブな事を多く挙げてしまっているな。まぁ日常生活を送る時はほぼ喜びか羞恥のどちらだ。

 

「ふふっ……貴方が愛らしいですわ。それも、普段会えない分とても」

 

「そ、そうですか?」

 

「そうですわ。それと……今日は供奉院さんがいらっしゃらない事ですし、私が貴方の事を膝枕して差し上げましょう」

 

「き、祈荒さんがですか⁉︎」

 

「私のではお気に召しませんか?」

 

「い、いえ……そんな事は」

 

「でしたらあちらのベットの方に参りましょう。供奉院さんが今日できない分、私が沢山貴方の事を甘えさせてあげますから」

 

俺は祈荒さんのなんとも言い難い迫力みたいなものに押され、祈荒さんに膝枕をしてもらった。その感想なのだが……祈荒さんの膝枕もとても安心できた。彼女自身、本来なら病弱で逆にされる側であるはずなのに……なのにこうも俺を優しく包んでくれる温かさと安心感。これもクセになりそうだ。その安心感のせいで眠気が俺を襲ってくる。

 

「大丈夫……そのまま安心して眠って下さいな」

 

その心地良い響きを持つ一言に……俺は意識を手放して眠りについた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃の亞里沙さんはというと……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(な、なんか嫌な予感がしますわ‼︎)

 

「供奉院嬢、どうかなさいましたか?」

 

「い、いいえ。何でもございませんわ」

 

「それだったら良いのですが……」

 

亞里沙さんは今、親が勝手にセッティングしたお見合いに来ていた。今日は普通に学校がある日であり、いつもの様に颯也と過ごす筈だったのだが……

 

(本当ならこの時間、颯也さんに膝枕している筈でしたのに‼︎)

 

最悪ですわ! 本当に最悪ですわ‼︎ はやくこのお見合いも終わらせて、途中からでも良いですから学校に向かいたいというのに‼︎

 

だがこれは普通のお見合いではなく、昔から続く純潔悪魔同士のお見合いなのだ。すぐに切り上げる訳にもいかず……

 

(もぅ……私は純潔などに興味は無いというのに……)

 

そう……純潔など興味が無いのです。昔であれば、その風潮は合っていたのだと思いますわ。ですが今の時代……それだけではいけないのです。ただ純潔同士が交わり、種を存続させる。

 

(それでしたら、何故現魔王の方々は態々人を悪魔に転生させる仕組みを作ったの? 種を存続させるためではなくて?)

 

なのにこんなお見合い……何故必要だというの? ただ純潔というブランドが欲しいだけでしょう⁉︎

 

(私が想っている方は今も昔も颯也さんだけですわ♡)

 

亞里沙さんは純潔同士のお見合いの中でも颯也さんの事を思っていたと言います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして場面は学校に戻ります。

 

(あぁ……この感触、この温かさ……私が求めていたものです♡)

 

祈荒さんは亞里沙さんがいない事を良い事に、颯也さんの事を膝枕でめいいっぱい甘やかしたといいます……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれから時間が過ぎて放課後……俺が部室に行くと、どうやら兵藤が部長に叱られている様だった。その時には話の内容の後半部分に入っていて肝心の主軸が分からなかったが……聞く限りでは教会やそこに関係ある土地には近づいてはダメというものだった。

 

(つまりは今日兵藤はアーシアと会ったって事だな)

 

という事は……今日兵藤が行く召喚先で事件が起こるという事で……

 

(ん? この町に異物が入り込んだか?)

 

風がそう教えてくれた。そいつはそこで誰かと合流してどこかを目指している……

 

(ほぅ……とある一軒家に向かっているようだが、少し時間がかかるか)

 

「部長、来て早々すみませんが急用が出来ました。なので早退しても良いですか?」

 

「えっ? 別に構わないけど……って、まだあなたの詳しい話をあれから聞いていないのだけど⁉︎」

 

「それは……すみません。その時も忙しかったので」

 

「そう言いながらここにいる時亞里沙にベッタリ甘えてたでしょう⁉︎ 話す機会はあったと思うんだけど⁉︎」

 

……このままでは拉致があかない。仕方ないがあれを使うか。

 

テレポーテーション

 

俺はその呪文を使って無理やり早退した。

 

「ちょっと‼︎ 待ちなさい‼︎ あぁもぅ‼︎」

 

颯也さんがその場から抜け出してリアスさんはカンカンに怒っていたと言います……

 

そして抜け出した颯也さんはというと……

 

「もしもし太陽王? 少しお願いがあるんだが……あぁ、今度上等なワインとかあげるから」

 

何かを画策していた様です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから数分後……

 

「全く……急にこの格好で来いとは、颯也よ……これに合う報酬はあるのだろうな?」

 

「そんなの当然だ」

 

「本当だろうな? 余としては、あの英雄王が宝物庫に入っている以上の品物でなければ納得はせんぞ? その時の覚悟はあるのだろうな?」

 

「そういうと思って、もう用意してるよ。味見してみる?」

 

「なんと⁉︎ では早速……」

 

颯也は事前に用意していたワインをオジマンディアスが手に持つ盃に注いだ。それをオジマンディアスは、まずは香りを堪能してその後一口口に含んだ。その結果は……

 

「な、なんだこの味は⁉︎ 余が生前飲んだどの上等なワインよりも良いだと⁉︎ だがこの時代……ここ様な上等なワインを作れるはずが……颯也! これはどこで手に入れたのだ⁉︎」

 

「ん? いつもの様に手作りだが?」

 

「なに⁉︎ 数週間前に新作として持って来たばかりであろう⁉︎」

 

「そんなの簡単だよ。オジマンディアスも知ってるだろ? 俺は時間の概念すら捻じ曲がった空間を自ら作れると……」

 

「という事は……まさか⁉︎」

 

「そう、数週間前に渡したワインをさらに時間をかけて成熟させたものだ。あの空間は、太陽王のお気に召すワインを作るために作った空間だからな。ちなみにそのワイン……数週間前に渡したワインより1000年ほど成熟してるから」

 

その空間の作り方は、昔オーフィスさんから教えてもらった。そう、オーフィスさんが作り出した修行の場と原点は一緒だ。ただ違う所は……俺はその空間を出しっぱなしにすることができる。だから、その時間という概念が捻れた空間は作ったらそのままにしてある。そして複数ある。また、1つずつ用途も違う。さっきオジマンディアスに渡したワインを作る専用の空間もあれば、修行する場もある。

 

まぁ今そんな事はさておき……

 

「じゃあ約束通り……頼むよ?」

 

「フンッ、余が約束を破るとでも?」

 

「いや、思ってないさ。それじゃあ行こうか」

 

そして俺とオジマンディアスは夜の住宅街を歩いてとある所へと向かった。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。